異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
176 / 529
第4章 ネシア国〜

大会4日目 1

しおりを挟む

それから周りの座席にバタバタと人が戻ってくると、またアナウンスが流れた。

「座席が埋まってきましたので、そろそろ本日の第1試合を始めたいと思いま~す!この試合には昨日クーガー選手と対戦したリッキー選手、最終戦で戦ったシエル選手の仲間のスコット選手が出場します!前回の戦いからの予想でもかなりの強さだと想像できますので、対戦相手の方は頑張ってほしいですね!……あ、そろそろ準備が整ったようです!両選手、入~場~!!」

アナウンスと同時に入り口の扉が開き、スコットさんが対戦相手と一緒に出できた。

今回の対戦相手はゴリラのような見た目の獣人らしい。

顔がゴリラなだけではなく、体格もそれに匹敵するほどのでかさだ。

スコットさんよりも2まわりほどデカく見える。

エルフの隠れ里のマッシさんよりもかなり大きいのではないかな?

……彼も、エルフにしては異例のマッチョだったけどね!


2人が舞台中央に来るとアナウンスで武器を構えるように指示が出た。

どうやら今回は両者ともに素手のようだ。

この『素手』というのは曲者だと思うんだよね。

どこまでの殴り合いで勝敗を決めるのか?って思うけど、さすがにリッキーみたいなことになるまでやるのは違うと思う。

「おや~?今回の対戦は両者ともに素手での格闘戦になりそうですね!これは楽しみですね!どういう展開になるのか!両者の体格からの力の差はかなりありそうですが……これはスコット選手に不利な状況か!?……それでは、試合開始です!」

その瞬間、ものすごいスピードでスコットさんが相手選手に肉薄した。

相手選手は力はありそうだが、体を動かすスピードはないようだった。

あまりの素早さの差で、対戦相手はスコットさんを殴りつけようと拳を振るのだが、それが全然当たる気配がない。

そんな状態で相手が大振りをした時に大きな隙ができるので、その時にスコットさんは拳を打ち込むのだが、今度は相手の筋肉という鎧がダメージを拒むようだ。

スコットさんのパンチが腹に決まっても決定打とはならないようで、地味に相手の体力を削っていくしかないみたい。


そのうち俺は、ふと気づいた。

どうやらスコットさんはずっと同じ場所を叩き続けているようで、だんだん相手の顔が痛そうな顔に変わっていった。

相手もスコットさんが同じ場所にパンチを打ち込んできていることに気づいているようで、なんとか違う場所に当てさせようと体を捻るのだが、スコットさんのフェイントに引っかかって結局は同じ場所にパンチを食らっている。

そのうち相手が痛みでさらに体の動きが鈍くなってきた頃、スコットさんは最後の仕上げとばかりに、相手の大振りパンチを避けた際にその腕を抱え、素早く身を捻ると一気に背負投をかました。

相手は背中から思い切り硬い床にたたきつけられ、動けなくなったところでうつ伏せにされ腕をひねり上げる。

相手はあまりの痛みに「わかった、降参だ!」と叫んだ。

スコットさんは締めていた相手の腕を解き、その手を引っ張り上げて立たせた。

相手の言葉を聞いた審判がそばまで駆け寄り、宣言する。

「対戦相手の降参により、スコット選手の勝利です!」

次の瞬間、観客席が沸いた。

盛大な拍手で、スコットさんの勝利を祝ってくれた。

「この試合、勝者はスコット選手で~す!いやぁ~、鮮やかな投げ飛ばしでしたね!あんな技は初めて見ました!それにしても相手をあまり傷つけずに最小限の痛みで降参に追い込む手腕は素晴らしいですね!」

そうアナウンスが告げると、会場の拍手が大きくなった。

その拍手の中、両選手は退場口から退場していった。



しばらくするとスコットさんが観客席へとやってきた。

「お疲れ様!鮮やかな一本背負いだったね!」

俺が嬉しそうに駆け寄ると、スコットさんも破顔して俺の頭を撫でた。

「シエルが見ていると思ったら、無様な格好を晒せないだろう?」

「そんなことないよ。兄さんはいつだって強いよ!」

「フフフッ、ありがとな。」

そんな俺たちのやり取りを見ていたリリーさんが、目を吊り上げてスコットさんに詰め寄った。

「んもうっ!兄さんばかりずるいわ!私もシエルと戯れたいんだけど!何で試合は男性のみなの?不公平だわ!私も出ることができれば堂々とシエルに褒めてもらえるし、そうやって頭も撫でられるのにぃ!」

い……いや、姉さん、みんなの前で「撲殺聖女」姿を見せるつもりかい?

俺は、あれはないと思うんだけど?

それに魔法が使えない姉さんは獣人に力で勝てないと思うけど……。

そう思いつつも俺は姉さんには逆らえないので、頷くしかない。

呆れた顔をしたスコットさんは1つため息をつく。

「お前なぁ……。いつまでそうやってブラコンやってるんだ?ほら見ろ、リッキーも呆れてるぞ?」

そう言われてリッキーを見ると、確かに苦笑いをしている。

「スコット、大丈夫だ。もう慣れてるよ。なんせ55年も夫婦だったからな。その間もコイツ、いつまでも『紫惠琉大好き!』って感じだったんだぞ?なんせこっちに来ればいつまでも若い紫惠琉がいるからな。」

「……。酷いな、それ。お前と結婚してから友梨佳とは正月しか会ってなかったからな。まさかそんなことになっていたとは思ってなかったぞ?てっきりお前と結婚したからブラコン卒業したのかと思っていたくらいだ。」

2人は呆れた顔でリリーさんを見る。

リリーさんはついっと2人から目を逸らした。

「まぁ……しょうがないわよ、だってあんなに目に入れても痛くないほどに可愛がっていた弟でしょ?それがいつまでも若いままなら、芸能人に対するファンみたいな気持ちだったんじゃない?」

3人のやり取りを見て、苦笑いしたエミリーさんがリリーさんの弁護に入った。


……っていうか、俺、いつまでもこんな姿なの!?

えっ、まさか成長しないの!?

俺、もしかして大人になれないのかい!?
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...