340 / 529
第8章 国立学校編
どうしてこうなった!?
しおりを挟む翌朝、俺は前日の大量の魔力消費の影響なんて全く感じさせないほど、とても清々しい目覚めだった。久々だね!
みんなで朝食を食べ、2台の馬車に乗って登校する。
どうやら完璧にミストさん達2人とは別行動をすることになったようだ。
朝食の席で話はしたが、こうやって別々の馬車に乗ってるので全く話をすることもない。
……俺、何の為に学校に入ったんだっけ???
学校に着いて教室に向かう途中で、スコットさん達4人と別れた。
スコットさんとリッキーには後で授業でも会えるんだけどね!
教室に着くと大きな声で元気にクラスメイトみんなに向かって挨拶をして、俺は窓際の真ん中くらいの席に座る。
ここはもう俺が座るとみんな思っているのか、その席の周囲だけぽっかりと穴が空いている。
……今はいないけど、これって王族3人組のために空けてないか?
一応挨拶はみんなも返してくれるので、ただのボッチというわけではなさそうだ。
俺は一つため息をつくと、頬杖をついて窓の外を眺めた。
そこからはどうやら中庭が見えるらしく、今の時間は日本でいうホームルーム的な時間らしくて誰もいない。
俺が席に着いてから少しすると、王族3人組が教室に入ってきた。
俺は3人にも挨拶をし、また窓の外を眺める。
「ねぇ、そんな風に窓の外を眺めていて何が楽しいの?」
ローラは俺に寄りかかるようにして同じく窓の外を眺める。……くっつきすぎだよ、君。
俺が何のリアクションもせずにいたからなのか、ローラは鼻息荒く「ふんっ!」と言うと席に戻った。
「お前なぁ……あからさま過ぎるんだよ!そんな見え見えの行動しても靡かねぇって。」
ローラの態度を見ていたセインはそう言って笑う。
それに対してローラは「うるさいわねっ!そんな事言わなくてもいいでしょっ!?そんなだからセインは女の子にモテないのよ!」と言い返し、それ以降2人で口喧嘩を始めてしまった。
「お前らいい加減しろよ?ほら、周りから注目されてるぞ?」
そう言ったのはクロードだ。さすが、よく見ている。
そう言われた2人は周りを見渡してからコソコソと席に戻った。
「はいっ、おはよう、みんな!!元気に登校してきたね?……実は今日の授業内容にだいぶ変更があるんだ。本来、本当は1限目だけが俺の授業だったんだけど、急遽2限目も俺の授業になったんだ。しかも、だ。聞いて驚くな?全校生徒が見学に来ることになった。」
少し興奮気味にマール先生はそう言った。
……え?何だって……?
今……『全校生徒』って、言ったか?
な……なんで???
俺が少しパニックになりかけていると、そのマール先生からさらなる爆弾発言が。
「シエルくん、先生も楽しみにしてるよ?頑張ってね!」
「……。」
弾けるような笑顔の先生の言葉に、俺は思い出した。
なるほど、昨日言っていた「練習試合」が、俺たちのクラスだけでなく全校生徒にも見学させるほどの大ごとになってしまったらしい。……マジかぁ。
「それにしても君たち『スノーホワイト』はあちこち国を越えて活躍しているんだね。先生、知らなかったよ。しばらく前には獣人の国ネシアで闘技大会に出てきたらしいじゃないか。前大会の優勝、準優勝者を差し置いて、君とスコットくんが優勝決定戦を戦ったって聞いたよ?スコットくんも学生の時でも先生より強かったのに、そんなに強くなったんだねぇ……!楽しみだなぁ、君たちの試合!」
先生は本当に心から楽しみにしているらしく、笑顔が止まらない。
クラスメイトも俺の方を見て色んな反応をしている。
……大半は好奇の目と疑惑の目だねぇ。
「じゃあ、早速移動しようか。スコットくんによると!みんながケガをしないように『前準備』をしないとならないんだろう?早めに行って準備をしないとね。」
先生はそう言うと、クラスの皆で修練場へと移動する。
修練場に着くとそこにはスコットさんとリッキーがいた。
2人は俺を見つけると近寄り、申し訳なさそうな顔で俺を見た。
「すまない、シエル。止められなかったんだ。」
近寄ってきたスコットさんの第一声はそれだった。
……多分、リリーさんがなんかやったんだと、俺は睨んでいる。
「じゃあとりあえず……座席を作るか?俺たちは無理だけど、お前なら余裕だろ?」
ニヤリと笑っているリッキーにそう言われた。
……いや、作るのは構わないんだけど、どのくらいの規模で作るのさ?
「そうだなぁ……真ん中には戦う場所のスペースを作るだろ?その1メートルほど離れた所から、ぐるりと8段くらいの階段状で良いんじゃないか?」
心を読んだらしいリッキーがそんな事を言う。
なるほどねぇ……じゃあそれで作ってみるか。
「マール先生、危険なのでクラスの皆と俺のそばに寄ってもらえますか?」
俺の言葉に肯定を返したマール先生は、皆を連れて修練場の真ん中へとやってくる。
俺はそれを見て、地面に手をつくと魔力を流し始め、その間に頭の中で作る場所と形をしっかりと想像しておく。
魔力が行き渡ったら、一気に土魔法で作り上げた。
「うわっ!?何だ、何だ!?急に座席が出来上がったぞ!?」
先生はとても驚いて周りを見渡す。
もちろんクラスメイトも同じだ。
「マール先生、座席ができたので皆と好きな場所に座っていて下さい。」
俺がそう言うと、まだ信じられないといった顔で俺を見ていた先生が、そのままの状態で皆を引き連れていく。……大丈夫か?
それから俺は、四方を囲む座席の前に正方形の結界を張る。
もちろん四方だけではなく、天井も床も張っておく。
「シエルく~ん!そんなに魔力使って、試合には響かないのか~い?」
座席に座っているマール先生が大きな声でそう言った。
俺は「全く問題ないです!」と答えると、なんとなく納得いっていない顔だが、頷いた。
準備が整った頃、チラホラと修練場に人がやってくる。
リリーさん達もやってきたが、なぜかとても嬉しそうだ。
「シエル~!頑張ってね!」
リリーさんから激励の言葉が飛んだ。
あれ?リリーさんはリッキーの応援じゃないの?
「あいつはな、俺よりお前を優先するんだ。前世からな。」
リッキーは苦笑いをして俺にそう言った。
……ごめん、山田。苦労をかけるね。
俺は口には出さないが、心でそう謝った。
さあ、もうすぐ2人との模擬試合が始まる。
ネシア以来の試合形式だから、俺も少しワクワクしている。
……武器はネシアと同じで模擬剣じゃなくて真剣かな?
268
あなたにおすすめの小説
オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい
広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」
「え?」
「は?」
「いせかい……?」
異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。
ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。
そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!?
異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。
時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。
目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』
半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。
そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。
伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。
信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。
少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。
====
※お気に入り、感想がありましたら励みになります
※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。
※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります
※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる