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第8章 国立学校編
生まれ変わった鞄
しおりを挟む「にぃに、落ち着いて?簡単だよ、魔道具作るのと同じく魔力を流して捏ねて成形するだけ。実はこの鞄、素材が特殊でね。神界にいる神が着る衣の素材と同じなんだ。だから相当魔力必要だけど、にぃになら一晩寝れば回復するほどの量だよ。やってみる?」
ユーリはなんてことのない様に、そう言った。
……え?神界に存在する生地なの?
しかもそんなのを魔力込めて捏ねるの?
布が別な物になるの?
俺は少し混乱しかけたが、大きく1つ深呼吸をする。
落ち着け、シエル。
神界なんだから、何でもありなんだ、うん。
そう思ってしまえば、気が楽だぞ!
俺は自分で自分にそう言い聞かせる。
そして落ち着いた俺はユーリに「それをするにあたっての注意事項はあるか?」と聞く。
すると『特にない』と返答が。
ならば今すぐに変えてしまうか。
俺は鞄に手を翳し、自分の魔力を流す。
するとスノービークの結界を作った時と同じくらいの速度で魔力が持っていかれそうになった。
俺は慌てて持っていかれる速度を調整する。
「にぃに、大丈夫だよ。魔力が空っぽになる事はないから。安心して吸われるままに渡して良いよ。そうやって調整するといつまでも時間かかってしまって夜、寝れなくなるよ?」
ユーリが苦笑いをしてそう言う。
なるほど、ユーリが大丈夫って言うなら信じよう。
俺は調整していた量を元に戻す。
うぉっ!この吸われ方はちょっと気持ち悪いな。
俺は顔を顰めながら、吸われるままに放置する。
「大丈夫か、シエル?」
リッキーが心配そうにそう言う。
他の皆も心配そうに俺を見ている。
「大丈夫だよ、ユーリが『大丈夫』って言うんだから、大丈夫さ。ただ、吸われる量が半端ないから気持ち悪いだけだよ。」
俺は苦笑いをしてそう言う。
「何せ神のいる場所の物質だからな。そりゃあ相当魔力持っていかれるよな。」
リッキーはそう言って苦笑いをする。
そう、相当な勢いで吸われてる。
掃除機で吸われるより強い吸引力な気がする。
それからしばらく吸われるままに放置していると、徐々に吸われる勢いが弱くなり、30分後くらいには完全に吸われなくなった。
「じゃあにぃに、それを捏ねて好きな形にして?」
ユーリが俺にそう言って、次の工程にいけと促す。
俺は頷くと、魔石を捏ねるみたいに恐る恐るだがまずは揉んでみた。
すると鞄の形がぐにゃりと崩れ、まるで粘土を捏ねてるような感じになる。……すんごい不思議なんだけど!?
すっかり粘土状になってしまった『元』鞄。
……体積が全く違うんだけど?
元の体積を100とすると、今の体積は25じゃないだろうか?かなりの変化だ。
でもこれだけ小さくなると案外幅広にすればブレスレットもいけるかもしれない。
どうせ俺から離せないならアクセサリーのほうが良いだろう。
俺は早速俺の腕に合わせて幅広のブレスレットを作る。
……でもこれ、中の物取り出す時はどうするんだろう?
とりあえず形が完成すると、ユーリが「魔道具を作るように何らかの魔法も追加でつけることができるよ?」と言われた。
なるほど……でもこの鞄、元々『破損防止』、『盗難防止』、『所有者認識』機能があるから、あと付けるとしたら……サイズ調整?
俺はルーシェさんの所で習った『サイズ変化』の魔法をつける。
すると魔法を追加で付け終わった途端に、一瞬だが部屋に目も開けられなくなるほどの光が迸る。
光がやむと、ゆっくり目を開け、鞄からブレスレットになった魔道具を見る。
それは淡く青白い光を帯びた銀色のブレスレットになっていた。
元は茶色だったんだけど、色も変わっちゃったねぇ……。
「さぁにぃに、使ってみてよ!使い方は腕に装着すれば頭に出てくるらしいよ?」
ユーリが笑顔でそんな事を言う。……誰が言ってるんだ?
俺は一つ大きく息を吸うと、ブレスレットを身につける。
すると着けた瞬間に、言われたように頭に音声が流れ、目の前にブレスレットの中身が一覧表みたいに現れた。
それは他のメンバーには見えないらしく、俺しか見ることができないようだ。
俺は早速、一覧表の『おにぎり』をタップし、中からおにぎりを出してみる。……どうせなら人数分出すか。
すると床に光の塊が現れたと思うと、皿に載ったおにぎり6個に変化する。
……なるほど、手で取り出さなくてもよくなったわけだね?
その少しだけ便利になった収納魔道具のブレスレットだが……ブレスレットと呼ぶにはちょっと幅広い。
どちらかというと盾代わりの『腕カバー』のような大きさだ。
作った時は10cmほどの幅だったのだが、どういう訳か身に付けると肘まで覆うように変化したのだ。
おかしいなぁ……?
そんなふうに作った覚えはないんだけど?
俺は首を傾げながら考えるが、身に覚えのないものはどうしょうもない。
「にぃに、そのブレスレット?の事なんだけど、ニィニじゃなくて『あの人』が変えたんだって。」
ユーリがそんな事を言ってきたが……あの人ってどの人だよ!いや、知らなくていいけど!
「それにしてもシエル、かなり身軽になったな。これなら常に身につけていても服の下なら分からないし、例え明日のような実技の授業で見えたとしても防具としか思われない。」
「そうだよな。……じゃあ明日学校に行ったら俺たちの方から先生たちに報告しておくよ。『収納の鞄』を『収納のブレスレット』に変更したって。先生の中にはやっぱり鞄を常に提げているのはどうか?って言ってたやつもいたから、ちょうど良かったな。」
スコットさんとリッキーがそんな事を言う。
そっかぁ~……やっぱり気にしてる先生もいたんだね?
「それより魔力の方はどうなの?枯渇してはいなさそうだけど……?」
エミリーさんが心配そうに俺にそう聞いてきた。
俺は「全然大丈夫」と答えたが、俺の総量でいうと残り4分の1ほど残っているので生活活動には問題はない。少しだけ眠いけど。
それからや俺達はメイドさんが夕飯に呼びに来るまでいろいろ相談したりして、その日はゆっくり休ませてもらうことになった。
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