乙女ゲームの攻略対象者から悪役令息堕ちポジの俺は、魂の番と幸せになります

琉海

文字の大きさ
29 / 53

29.推しは尊い

しおりを挟む
「孔雀ぅぅぅ~…」
「くぅちゃぁぁーーん!」

セフィロス…アカネよ…感動しているのは分かるが、筋肉ムッキムキの大男と、これまた筋肉ムキムキの猫耳くねくねオッサンがハンカチを握りしめて泣いている光景はちょっと…いや、かなり異様な光景だぞ。
本人達は声を押し殺して泣いているつもりだけどダダ漏れダダ聞こえだからな?
嬉しいけど恥ずかしい…。

周囲の人間は呆れたり、微笑ましそうに見守っていたり、クスクス笑っていたりするが2人はお構いなしだ。あの2人がなぜあそこまで感動しているのか理解しているから恥ずかしいけど嫌な気持ちにはならない。
俺と母があの夜、生還できたのは本当に奇跡だった。

目が覚めて落ち着いてから聞かされたことだった。
俺はあの時、無自覚に闇魔法を使って母を救ったようだった。
光魔法だったらこんなことにはならなかったんだろうが俺は光魔法にあまり適性がない。使えるには使えるんだがコントロールがうまくいかないというか

あの日、咄嗟に使ったのはまだ適性があった闇魔法だったようだ。
だが闇魔法に関してはまだ全然訓練も勉強もしておらず、無意識に発動したせいか代償が大きかったのだ。
その代償のおかげで今、やたらと注目されているわけだが。

舞台の上で生徒代表として兄上が新入生に激励と歓迎の言葉をかけ、終わった時に祝福の風と光を降り注いだ。さすが兄上!素晴らしいパフォーマンスとコントロール。俺を含めたほとんどの人間が感動している。

視界の端に風で揺れる真っ白な髪の毛が目に入った。
そう、俺は頭髪の色がすっかり抜けて白髪はくはつになったのだ。
この世界に白髪(しらが)以外でこんな髪色はないため異常な見た目なのだ。
俺は俺と母の命を救った代償とはいえ、勲章のようなものだから気にしてないしむしろ銀髪っぽくてカッコいいなとすら思っている。
まぁ髪色だけじゃないからより異様な見た目になってしまっているせいで初対面の人を驚かせてしまうんだけどな。

兄上と学園長のありがた~いお言葉を聞いて、各自教室へ向かう。
この学園は大きく貴族と平民クラスに分かれているが、一部の優秀な平民は貴族と同じクラスになる。
貴族クラスの中でも上から成績順に分かれていて、俺は一番上のクラスだ。そう!俺は何気に優秀なのだ!まぁ、2回目っつーチートあるけど。。

ただなぁ…このままだと飛び級でご入学された紅玉と同じクラスになるんだよなぁ
…こんなことなら手を抜けば良かった。
俺が元王族ってことは周知の事実だし、周りも気ぃ使うよなぁ。
さらには紅玉があんな態度じゃ周りもより緊張するだろうし。


「ぬぬぅ…」
『くじゃー!困ってるの?』
『助けたげよかー?』
『アップルパイよこせ。そしたら助けてやるぞ』

周りでハエのようにブンブン飛んで好き勝手にキャッキャ言っている妖精は無視だ。

『あ!なんかいい匂いするぅ~!』
『本当だぁ!』
『いい匂い。喰わせろ』

約一名不穏なセリフを吐きながら俺よりも先に我先にと教室へ入っていく。


「いい匂い…?質のいい魔力を持っている人がいるんかな」

教室に入ってその姿を見た瞬間心臓が止まりそうになった。
蒼玉!…と、レティシアちゃん!
一番に目に飛び込んできたのは今も昔も俺の最推しである蒼玉!はわぁ~カッケェぇえ!俺とは違う純粋なキラキラと陽の光で輝く髪を後ろで一つに結って流している。スラリとした長身にカッチリとした騎士服が無茶苦茶似合っていて鼻血が出るかと思った。

いい女オーラ全開で自分の席に座っているレティシアの後ろにひっそりと立っているのだが全然ひっそり出来ない感じがたまらない!!
数年ぶりに見たレティシアは本当に良い女で、あんな子が俺の前世の婚約者だったなんて贅沢にも程があると思った。

隠しきれない豊満なおっぱいは首元までしっかり覆ったハイネックのドレスでは全然隠しきれない。きゅっとくびれたウェストに、パン!と張ったヒップ。まさに西洋版峰不二子。まじで垂涎ものなけしからんスタイルである。

勝気な印象を与える少し吊り気味の大きな瞳は切れ長の二重で更に気が強そうに見える。形の良い鼻筋にぷっくりとした赤い唇。すっべすべな陶器肌。
ほんのりと色づく頬が艶っぽい。
いやまじでなんで俺は不満だったんだろうな?無茶苦茶いい女!
顔だけじゃなく、彼女は才色兼備を地でいくタイプだ。
ちょっとだけ魔法が苦手なのはご愛嬌である。
その隙はむしろ彼女の魅力を引き立てている。
うん、俺にはマジで勿体無い子だな。王族抜けて正解だったわ。

今生では彼女とは友人になれたら嬉しいな。
贅沢だろうか。だが、良き友人として彼女を支えることができたら嬉しい
…シナリオはだいぶ改変されたが彼女が「悪役令嬢ポジション」であることには変わりないと思うし、事情を知っている俺がサポートできれば冤罪が生まれないよう立ち回れたらと思う。
とはいえ今どんなシナリオで動いているか分からないから対応できるとはいえないのだが…。

ボケーっと2人に見惚れていたらこちらを見た蒼玉と目が合った。
その瞬間、バチっと何かが弾けたような衝撃を受けて思わず目を張ると、向こうも目を見開いているのが分かる。
推しと目があったことで受けた衝撃かと思ったんだが、俺だけが勝手に受けたものではないことが分かって戸惑う。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

処理中です...