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第四章:夏の終わり
47.うるさすぎるハーモニー
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頬に残った小さな指の跡が消える間もなく夕方の防災無線が流れ始めた。つまりいよいよこの夏の終わりがやってきたと言うことだ。
「まあ別に連絡なんてしないけど一応ね。たまに自慢話くらい聞かせてあげる。山の中でせいぜい歯ぎしりでもすればいいのよ、ホント気に入らないんだから」
「もしかして東京以外はみんな山の中なんて思っているの? その程度の知識では私立に受かるなんて夢物語じゃない? ちゃんと高いビルだってコンビニだってあるんだからバカにしたもんじゃないわよ? 空気も水もきれいだしね」
「随分と地元愛が強いみたいじゃないの。だったら一生留まってた方がいいんじゃない? 高校になったら上京するなんて故郷への裏切りだと思うよ?」
「そうね、こよみに来てもらうのもいいかもしれないわ。夫婦で一緒に渓流釣りに行って自然を満喫するなんてステキだもん」
「誰と誰が夫婦なのよ! バッカじゃないの、このマセガキ! まだ三年半もあるんだからどうせ気が変わるに決まってるさ。ううん、変えてみせるんだから覚悟してなさい?」
「その根拠のない自信、そこまで行くと哀れだわ。やっぱり無理だったって手紙が来るのが楽しみね。まあわかりきってることだから楽しみにもならないかもしれないけど愚痴を聞いて慰めるくらいはしてあげても良くてよ?」
「アンタみたいな年寄りみたいな喋り方する女子なんて、思春期の男子からはそっぽ向かれるに決まってるっての。精神年齢だけどんどん重ねちゃっててかわいそう。アタシみたいにちゃんと年相応の若さが無いとねえ。ファッションやトレンドにも敏感じゃないと中高生カップルなんて成り立たないんだから」
「そうだよね。きっと櫻子はお洒落で賢くて話もウマイいま時のギャルみたいになっちゃうんだろうね。そんな女子が釣りや野鳥を愛する男子の相手にふさわしいと思ってるならおめでたいことだわ」
「まあそう感じるのも無理ないね。田舎には自然しか誇れるものがないんだもん。それすら受け入れられなかったらって考えたら不安で不安で、どうにもできなくて他人を追い落とそうとするだけで精いっぱいって感じなんでしょ? あーかわいそう」
「なによっ!」
「なンなのさッ!」
連絡先を交換していたから雨降って地固まるって感じなのかと思ってたが、完全に土砂崩れの大災害になっている。櫻子の態度は予想がついていたものの、ミクが思いのほか好戦的なのと、次から次へと悪口が出てくることに僕はあっけにとられていた。
だがいつまでも口を開けて眺めてばかりじゃいられない。もう約束の時間を過ぎてしまったのだから、ミクを家まで送って行かなきゃまずそうだ。この状況に首を突っ込むのは気が進まないが、らちが明かないので覚悟を決めて声をかける。
「二人とももうよせってば。最後なんだから上辺だけでも仲良くすりゃいいのに。なんでそこまでいがみ合う必要があるってんだよ」僕はまた、ついうっかり余計なことを言ってしまった。
「どうやら病院送りになるくらいしないとわからないみたいだねえ。今度はグーにしてあげようか? それとも蹴った方がはっきりと自覚してくれる?」
「櫻子の言う通りよ? こよみは自分のことに関心が無さすぎるわ。だから彼女の心をもてあそんだようになって勘違いさせちゃったんでしょ?」
「ちょっとアンタ? いちいちそうやって傷口えぐってくるのやめてくんない? アタシも絶対ミクの弱点見つけてやるから覚えておきなさいよ?」
珍しく意見があったと思った瞬間にまた言い合いを始めてしまい、このままじゃ本当にここから一歩も進めそうにない。だがここで助け舟だ。
「なあレキ、いつまでも漫才やってたら夜どころか明日の朝になっちまうぜ? せっかくみんなで見送れそうなんだからさっさと行こうぜ?」
「健二のいう通り、離れがたいのはわかるけど、最後って言ったって今生の別れじゃないんだから、今日はさっぱりと気分よく別れて次の機会を楽しみにしようぜ? まあ冬休みなら釣りは厳しいけどな」
さすがにミクも全員を巻き込んでいることに気付いたと見え、寂しそうではあるが素直に大人しくなった。ついでに櫻子もなんだかさみしそうになり、二人無言で向かい合った。
「じゃあ次来る時までこよみの面倒よろしくね。特に優しいのはいい事ばっかじゃないってことは身近な人が教えてあげないとでしょ?」
「まあそうかもね。コイツは筋金入りだから無駄だと思うけどさ。次来た時にレキがアタシに乗り換えてたら素直に諦めてよね?」
「そんなことは無いと思うし、もしも一時的にそうなったとしたって、次は私が奪い返す番になるんじゃないかしら? どっちかが諦めるまではコレは続くんだから精々頑張んなさい」
最後まで悪態を付き合っている二人だが、どういうつもりなのかがっちりと握手をした。連絡先の交換もそうだが、どちらの考えも行動も意味不明すぎる。
「それじゃアタシは帰るわ。アンタ達の別れ際なんて見たくもないからね。それじゃまたね、ミク」
「なんだよ、ここまで来たら最後までいたっていいじゃないか。家はすぐそこなんだから一緒に見送りしようよ。せっかく仲良くなったんだしさ」
「誰が仲良くなったってのよ! ホントアンタってバカなんだからさ!」
「バカってなんだよ、良かれと思って言っただけなのにさあ。ミクだって友達には見送って欲しいだろ?」
「この子が友達? バカ言わないで? これっぽっちも友達だなんて感じたことは無いわよ。こよみにはもっと女心を理解してもらいたいものね。まあ見送って欲しいってのは合ってるけど」
「ほらね? ホント性格悪いんだから気に入らないっての。絶対に帰る、誰がなんと言おうと今すぐ帰るんだからね!」
「どっちが性格悪いってんだよ。そりゃ親友ではないかもしれないけど、なんだか気が合いそうだし、これから仲良くなれそうだったじゃないか」
「ほ―― っントレキってバカと言うかおめでたいと言うか気が利かないんだからヤになっちゃうよ。アンタがそのブスと離れがたいって顔しながら別れるとこなんて見たくないの! そんなバカバカしい場面見たいと思うのは部外者だけに決まってるじゃん! それがわかってるからそのブッスはアタシに見送って欲しいって言ってるんだからね!」
「ブスブスうるさいわね! 自分だって似たようなもんでしょ? 人間なんて大まかに見ればみんな同じような顔してるんだから! 容姿を気にするなんて凡人のすることよ。それともアナタはこよみをルックスで選んだわけ?」
「ちっ、違うけど、今はそんな話してないでしょ! あーこれだから頭の回る女子はダメなのよ。うるさくて仕方ない。きっと高校も上位の高校へ行くんでしょうね。こよみと違ってさ」
「別にいいとこなんて行きたくないからこよみと同じところを選ぶだけよ? そんな自由が許されることが羨ましいんでしょう? うふふ、親くらいうまく操縦できないと旦那さまなんてもっと難しいわよ? たぶん」
結局ミクと櫻子の言い合いは終わる気配がなく、二人は歩きながらもさかんにけん制し合っている。一緒に歩いている僕たちはいい恥さらしだ。せめてどちらも相手を認め合ってるからこそ出来ることなのだと思いたい。
それでも僕はようやく当事者である自覚を持つことができ始めたこともあり、二人の行動がなんだか急に面白くなってきてしまった。これがきっと恋の力なんだろうなと傍目から見ているとよくわかる。
別に自分を取り合ってるのを目の当たりにして調子に乗ってるわけじゃない。僕にとっても初めての恋だから、なんだかとても楽しくて幸せを感じているだけなのだ。
そしてその本心が思わず口から出てしまった。
「ミク、櫻子、二人とも僕を好きになってくれてありがとね。恋ってオモシロいもんだね。あはは――」
「バカ! アタシは全然面白くなんかない!」
「私たちの立場で面白いなんて言えるわけないでしょ!」
僕は再びダブルビンタを喰らうはめになった。
「まあ別に連絡なんてしないけど一応ね。たまに自慢話くらい聞かせてあげる。山の中でせいぜい歯ぎしりでもすればいいのよ、ホント気に入らないんだから」
「もしかして東京以外はみんな山の中なんて思っているの? その程度の知識では私立に受かるなんて夢物語じゃない? ちゃんと高いビルだってコンビニだってあるんだからバカにしたもんじゃないわよ? 空気も水もきれいだしね」
「随分と地元愛が強いみたいじゃないの。だったら一生留まってた方がいいんじゃない? 高校になったら上京するなんて故郷への裏切りだと思うよ?」
「そうね、こよみに来てもらうのもいいかもしれないわ。夫婦で一緒に渓流釣りに行って自然を満喫するなんてステキだもん」
「誰と誰が夫婦なのよ! バッカじゃないの、このマセガキ! まだ三年半もあるんだからどうせ気が変わるに決まってるさ。ううん、変えてみせるんだから覚悟してなさい?」
「その根拠のない自信、そこまで行くと哀れだわ。やっぱり無理だったって手紙が来るのが楽しみね。まあわかりきってることだから楽しみにもならないかもしれないけど愚痴を聞いて慰めるくらいはしてあげても良くてよ?」
「アンタみたいな年寄りみたいな喋り方する女子なんて、思春期の男子からはそっぽ向かれるに決まってるっての。精神年齢だけどんどん重ねちゃっててかわいそう。アタシみたいにちゃんと年相応の若さが無いとねえ。ファッションやトレンドにも敏感じゃないと中高生カップルなんて成り立たないんだから」
「そうだよね。きっと櫻子はお洒落で賢くて話もウマイいま時のギャルみたいになっちゃうんだろうね。そんな女子が釣りや野鳥を愛する男子の相手にふさわしいと思ってるならおめでたいことだわ」
「まあそう感じるのも無理ないね。田舎には自然しか誇れるものがないんだもん。それすら受け入れられなかったらって考えたら不安で不安で、どうにもできなくて他人を追い落とそうとするだけで精いっぱいって感じなんでしょ? あーかわいそう」
「なによっ!」
「なンなのさッ!」
連絡先を交換していたから雨降って地固まるって感じなのかと思ってたが、完全に土砂崩れの大災害になっている。櫻子の態度は予想がついていたものの、ミクが思いのほか好戦的なのと、次から次へと悪口が出てくることに僕はあっけにとられていた。
だがいつまでも口を開けて眺めてばかりじゃいられない。もう約束の時間を過ぎてしまったのだから、ミクを家まで送って行かなきゃまずそうだ。この状況に首を突っ込むのは気が進まないが、らちが明かないので覚悟を決めて声をかける。
「二人とももうよせってば。最後なんだから上辺だけでも仲良くすりゃいいのに。なんでそこまでいがみ合う必要があるってんだよ」僕はまた、ついうっかり余計なことを言ってしまった。
「どうやら病院送りになるくらいしないとわからないみたいだねえ。今度はグーにしてあげようか? それとも蹴った方がはっきりと自覚してくれる?」
「櫻子の言う通りよ? こよみは自分のことに関心が無さすぎるわ。だから彼女の心をもてあそんだようになって勘違いさせちゃったんでしょ?」
「ちょっとアンタ? いちいちそうやって傷口えぐってくるのやめてくんない? アタシも絶対ミクの弱点見つけてやるから覚えておきなさいよ?」
珍しく意見があったと思った瞬間にまた言い合いを始めてしまい、このままじゃ本当にここから一歩も進めそうにない。だがここで助け舟だ。
「なあレキ、いつまでも漫才やってたら夜どころか明日の朝になっちまうぜ? せっかくみんなで見送れそうなんだからさっさと行こうぜ?」
「健二のいう通り、離れがたいのはわかるけど、最後って言ったって今生の別れじゃないんだから、今日はさっぱりと気分よく別れて次の機会を楽しみにしようぜ? まあ冬休みなら釣りは厳しいけどな」
さすがにミクも全員を巻き込んでいることに気付いたと見え、寂しそうではあるが素直に大人しくなった。ついでに櫻子もなんだかさみしそうになり、二人無言で向かい合った。
「じゃあ次来る時までこよみの面倒よろしくね。特に優しいのはいい事ばっかじゃないってことは身近な人が教えてあげないとでしょ?」
「まあそうかもね。コイツは筋金入りだから無駄だと思うけどさ。次来た時にレキがアタシに乗り換えてたら素直に諦めてよね?」
「そんなことは無いと思うし、もしも一時的にそうなったとしたって、次は私が奪い返す番になるんじゃないかしら? どっちかが諦めるまではコレは続くんだから精々頑張んなさい」
最後まで悪態を付き合っている二人だが、どういうつもりなのかがっちりと握手をした。連絡先の交換もそうだが、どちらの考えも行動も意味不明すぎる。
「それじゃアタシは帰るわ。アンタ達の別れ際なんて見たくもないからね。それじゃまたね、ミク」
「なんだよ、ここまで来たら最後までいたっていいじゃないか。家はすぐそこなんだから一緒に見送りしようよ。せっかく仲良くなったんだしさ」
「誰が仲良くなったってのよ! ホントアンタってバカなんだからさ!」
「バカってなんだよ、良かれと思って言っただけなのにさあ。ミクだって友達には見送って欲しいだろ?」
「この子が友達? バカ言わないで? これっぽっちも友達だなんて感じたことは無いわよ。こよみにはもっと女心を理解してもらいたいものね。まあ見送って欲しいってのは合ってるけど」
「ほらね? ホント性格悪いんだから気に入らないっての。絶対に帰る、誰がなんと言おうと今すぐ帰るんだからね!」
「どっちが性格悪いってんだよ。そりゃ親友ではないかもしれないけど、なんだか気が合いそうだし、これから仲良くなれそうだったじゃないか」
「ほ―― っントレキってバカと言うかおめでたいと言うか気が利かないんだからヤになっちゃうよ。アンタがそのブスと離れがたいって顔しながら別れるとこなんて見たくないの! そんなバカバカしい場面見たいと思うのは部外者だけに決まってるじゃん! それがわかってるからそのブッスはアタシに見送って欲しいって言ってるんだからね!」
「ブスブスうるさいわね! 自分だって似たようなもんでしょ? 人間なんて大まかに見ればみんな同じような顔してるんだから! 容姿を気にするなんて凡人のすることよ。それともアナタはこよみをルックスで選んだわけ?」
「ちっ、違うけど、今はそんな話してないでしょ! あーこれだから頭の回る女子はダメなのよ。うるさくて仕方ない。きっと高校も上位の高校へ行くんでしょうね。こよみと違ってさ」
「別にいいとこなんて行きたくないからこよみと同じところを選ぶだけよ? そんな自由が許されることが羨ましいんでしょう? うふふ、親くらいうまく操縦できないと旦那さまなんてもっと難しいわよ? たぶん」
結局ミクと櫻子の言い合いは終わる気配がなく、二人は歩きながらもさかんにけん制し合っている。一緒に歩いている僕たちはいい恥さらしだ。せめてどちらも相手を認め合ってるからこそ出来ることなのだと思いたい。
それでも僕はようやく当事者である自覚を持つことができ始めたこともあり、二人の行動がなんだか急に面白くなってきてしまった。これがきっと恋の力なんだろうなと傍目から見ているとよくわかる。
別に自分を取り合ってるのを目の当たりにして調子に乗ってるわけじゃない。僕にとっても初めての恋だから、なんだかとても楽しくて幸せを感じているだけなのだ。
そしてその本心が思わず口から出てしまった。
「ミク、櫻子、二人とも僕を好きになってくれてありがとね。恋ってオモシロいもんだね。あはは――」
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