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8 突然の呼び出し
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「それはどういったご用で……」
学園を卒業してから、ディートハルトの実家には行ってなかった。ここに来てのお呼び出し……。
「そうだね……。最近俺も顔出してなかったし……。寂しいのかもね」
あ、俺って言った。なんか距離が戻ったみたいでうれしい……。
「でも、弟君結婚されたのよね?じゃあ、寂しくないんじゃない?」
「俺……、愛されてるからかな……」
それはそれは……。
でも、もしかしたらお母様の方から婚約解消の提案があるかもしれない!
「わかったわ、今週末なんてどう?」
「ありがとう。じゃ、今週末迎えにいくよ」
バルコニーの近くの窓から、何人ものご令嬢がこちらをチラチラ見ている。
「ディー、私はもう大丈夫だから、あなたを待ってるご令嬢とダンス踊ってきたら?」
そう言った瞬間、ディートハルトの顔から温度が消えた。
「俺が女性苦手なの知ってて言うんだ……」
ディートハルトの力強い腕が腰を持ち、ぐっと引き寄せられた。
そして、反対の手は背もたれに回され、頬と頬が触れ合った。
ひっ...!急にどうしたの……?
これ、見る角度によってはキスしてるように見えるんじゃない……?
触れ合った頬が熱くなり、心臓が爆発しそうになった。
「窓の所の女性たち……いなくなった?」
私が窓の方に視線を向けると、頬を赤らめた女性達が恥ずかしそうに、でも名残惜しそうにこちらを見て、その場を去っていった。
「いなくなったわ……」
ちゅっと音をたてて、ディートハルトが頬にキスをした。
「なっ!」
私はすかさず頬に手を当てて、彼から距離をとった。
その顔が面白かったのか、ディートハルトはまたお腹を抱えて笑っている。
すました顔もかっこいいけど、ディートハルトには笑っていてほしいと思ってしまった。
◇◇◇
「アーシュレイ、久しぶりね」
「はい、奥様。ご無沙汰しております」
私はディートハルトの母に一礼した。
あっという間に週末がやってきて、伯爵家の応接室でディートハルトのお母様とテーブルを挟んでソファに座った。
侍女が紅茶と焼き菓子をテーブルに置いた。
お母様は年を重ねても、おきれいな方だ。はちみつ色の髪は長く美しく、翡翠の瞳はディートハルトと同じ色をしている。
背はそこまで高くないので、ディートハルトの高身長は伯爵様に似たのだろう。
お母様が紅茶を一口飲み、洗練された操作でカップを置いた。
「今日来てもらったのは、あなたたちの婚約のことです」
おっ!やっぱり婚約解消の話だったのね!
「か、母さん!それは私たちで……」
隣に座っていたディートハルトが前のめりになって、反論した。
私はディートハルトに目線を送り、大丈夫よとアイコンタクトを送った。
それをディートハルトは茫然と眺めた。
「ディートハルト、あなたに任せていたら、アーシュはおばあさんになってしまいます。ここは母に任せなさい」
……ん?
「例のものを」
お母様が執事から何やら書類を受け取り、私たちの前に置いた。
「これはあなたが作ったものだと聞いたわ。とても良くできてるわね。さあ、ここで今書いてしまいなさい」
一枚の紙の上に、私が特許を取得した万年筆が置かれていた。
そして紙には【婚姻届】の三文字が記載されていた。
私は自分の目が泳いでいるのを感じた。
これはいったい……、どういうことなのでしょうか……。
お母様は反対されていましたよね?
「私ね、元気なうちに孫の面倒をみたいのよ……」
は……?孫って…。
お母様はもう随分遠くまで行ってらっしゃる。
隣をみると、ディートハルトも美しい石造みたいになって固まっていた。
彼も予想が外れていたようだ。
「アーシュレイのご実家、資金繰りが大変なようね。婚姻を結んだら、一定額の支援をするつもりよ。悪い話ではないのではなくて?」
そうきたか……。
実家の男爵家は、父が起こした事業が失敗して多額の借金をしている。少しずつ返しているがなかなか減らないのが実情で、このままでは弟が家督を継ぐときに借金も継がなければいけなくなる。
「魔道具課の仕事も、家族行事に支障が出ないなら続けてもらっても構わないわ」
えっ……。まさか仕事を続けてもいいなんて……、それで実家の借金もなくなって……。
いい事ばかりじゃない……。
ディートハルトを見ると、ふっと笑った。私が何を考えているのかがわかったようだ。
彼は万年筆を手に取り、名前を記入した。
そして笑顔でその紙を渡してきた。
私も自分が発明したペンを握りしめ、そこに名前を記入した。
◇◇◇
「は?婚姻届を出した……?」
「そうなの、なりゆきで……」
ボトッ……。食堂のテーブルで向かいに座るイヴェッタが、フォークに刺したエビフライを落とした。
「だって、婚約解消する!って息巻いてたじゃない!」
そうなのだ。週末に入る前の夜、仕事終わりにイヴェッタにそう宣言して退社したのだ。それなのに、こんなことになってしまった……。
「はい、全くその通りで……」
「そんなにディートハルトと一緒になりたかったの? あんまり、そうは見えなかったけど……」
「えっ、じゃあ仕事は!?あんなに大変な思いしてやっと入ったのに……」
「そう!それなのよ!家族に迷惑をかけなければ、仕事を続けていいって言われたの。あと、実家の支援もしてくれるって……」
それを聞いて、イヴェッタは「はぁ……」とため息をついた。
「家族に迷惑って、基準が曖昧だよね。でも、アーシュが決めたことだもんね。実家の事情もあるし……。貴族女性の社会進出って昨今言われてるけど、まだまだ古い考えは根強いしね。結婚しても働いていいなんて、確かにありがたいわよね」
「うん、本当に。絶対ダメって言われると思ったし」
「でも、お義母さん反対してたんじゃないの?」
「それもね、急に賛成って感じになっちゃって……。……孫の面倒が見たいって言われたの」
「は……?」
イヴェッタが眉間に深いシワを刻み、嫌悪感丸出しの顔をした。
「何それ……、こっちは子供産む道具じゃないっつーの」
イヴェッタが貴族女性らしからぬ悪態をつき、フォークを乱暴に使ってお皿をカンカンいわせながら生野菜を平らげた。
◇◇◇
それから、両家の顔合わせや引越し、職場への挨拶、結婚式の準備、仕事と、一日24時間では足りないと泣きながら、毎日やることをひたすらこなしていった。
結婚がこんなにパワーがいるものだとは思わなかった。
もう、婚姻届を出してからの今日までの記憶が無い……。
私はほぼ不眠状態で、結婚式当日を迎えたのであった。
学園を卒業してから、ディートハルトの実家には行ってなかった。ここに来てのお呼び出し……。
「そうだね……。最近俺も顔出してなかったし……。寂しいのかもね」
あ、俺って言った。なんか距離が戻ったみたいでうれしい……。
「でも、弟君結婚されたのよね?じゃあ、寂しくないんじゃない?」
「俺……、愛されてるからかな……」
それはそれは……。
でも、もしかしたらお母様の方から婚約解消の提案があるかもしれない!
「わかったわ、今週末なんてどう?」
「ありがとう。じゃ、今週末迎えにいくよ」
バルコニーの近くの窓から、何人ものご令嬢がこちらをチラチラ見ている。
「ディー、私はもう大丈夫だから、あなたを待ってるご令嬢とダンス踊ってきたら?」
そう言った瞬間、ディートハルトの顔から温度が消えた。
「俺が女性苦手なの知ってて言うんだ……」
ディートハルトの力強い腕が腰を持ち、ぐっと引き寄せられた。
そして、反対の手は背もたれに回され、頬と頬が触れ合った。
ひっ...!急にどうしたの……?
これ、見る角度によってはキスしてるように見えるんじゃない……?
触れ合った頬が熱くなり、心臓が爆発しそうになった。
「窓の所の女性たち……いなくなった?」
私が窓の方に視線を向けると、頬を赤らめた女性達が恥ずかしそうに、でも名残惜しそうにこちらを見て、その場を去っていった。
「いなくなったわ……」
ちゅっと音をたてて、ディートハルトが頬にキスをした。
「なっ!」
私はすかさず頬に手を当てて、彼から距離をとった。
その顔が面白かったのか、ディートハルトはまたお腹を抱えて笑っている。
すました顔もかっこいいけど、ディートハルトには笑っていてほしいと思ってしまった。
◇◇◇
「アーシュレイ、久しぶりね」
「はい、奥様。ご無沙汰しております」
私はディートハルトの母に一礼した。
あっという間に週末がやってきて、伯爵家の応接室でディートハルトのお母様とテーブルを挟んでソファに座った。
侍女が紅茶と焼き菓子をテーブルに置いた。
お母様は年を重ねても、おきれいな方だ。はちみつ色の髪は長く美しく、翡翠の瞳はディートハルトと同じ色をしている。
背はそこまで高くないので、ディートハルトの高身長は伯爵様に似たのだろう。
お母様が紅茶を一口飲み、洗練された操作でカップを置いた。
「今日来てもらったのは、あなたたちの婚約のことです」
おっ!やっぱり婚約解消の話だったのね!
「か、母さん!それは私たちで……」
隣に座っていたディートハルトが前のめりになって、反論した。
私はディートハルトに目線を送り、大丈夫よとアイコンタクトを送った。
それをディートハルトは茫然と眺めた。
「ディートハルト、あなたに任せていたら、アーシュはおばあさんになってしまいます。ここは母に任せなさい」
……ん?
「例のものを」
お母様が執事から何やら書類を受け取り、私たちの前に置いた。
「これはあなたが作ったものだと聞いたわ。とても良くできてるわね。さあ、ここで今書いてしまいなさい」
一枚の紙の上に、私が特許を取得した万年筆が置かれていた。
そして紙には【婚姻届】の三文字が記載されていた。
私は自分の目が泳いでいるのを感じた。
これはいったい……、どういうことなのでしょうか……。
お母様は反対されていましたよね?
「私ね、元気なうちに孫の面倒をみたいのよ……」
は……?孫って…。
お母様はもう随分遠くまで行ってらっしゃる。
隣をみると、ディートハルトも美しい石造みたいになって固まっていた。
彼も予想が外れていたようだ。
「アーシュレイのご実家、資金繰りが大変なようね。婚姻を結んだら、一定額の支援をするつもりよ。悪い話ではないのではなくて?」
そうきたか……。
実家の男爵家は、父が起こした事業が失敗して多額の借金をしている。少しずつ返しているがなかなか減らないのが実情で、このままでは弟が家督を継ぐときに借金も継がなければいけなくなる。
「魔道具課の仕事も、家族行事に支障が出ないなら続けてもらっても構わないわ」
えっ……。まさか仕事を続けてもいいなんて……、それで実家の借金もなくなって……。
いい事ばかりじゃない……。
ディートハルトを見ると、ふっと笑った。私が何を考えているのかがわかったようだ。
彼は万年筆を手に取り、名前を記入した。
そして笑顔でその紙を渡してきた。
私も自分が発明したペンを握りしめ、そこに名前を記入した。
◇◇◇
「は?婚姻届を出した……?」
「そうなの、なりゆきで……」
ボトッ……。食堂のテーブルで向かいに座るイヴェッタが、フォークに刺したエビフライを落とした。
「だって、婚約解消する!って息巻いてたじゃない!」
そうなのだ。週末に入る前の夜、仕事終わりにイヴェッタにそう宣言して退社したのだ。それなのに、こんなことになってしまった……。
「はい、全くその通りで……」
「そんなにディートハルトと一緒になりたかったの? あんまり、そうは見えなかったけど……」
「えっ、じゃあ仕事は!?あんなに大変な思いしてやっと入ったのに……」
「そう!それなのよ!家族に迷惑をかけなければ、仕事を続けていいって言われたの。あと、実家の支援もしてくれるって……」
それを聞いて、イヴェッタは「はぁ……」とため息をついた。
「家族に迷惑って、基準が曖昧だよね。でも、アーシュが決めたことだもんね。実家の事情もあるし……。貴族女性の社会進出って昨今言われてるけど、まだまだ古い考えは根強いしね。結婚しても働いていいなんて、確かにありがたいわよね」
「うん、本当に。絶対ダメって言われると思ったし」
「でも、お義母さん反対してたんじゃないの?」
「それもね、急に賛成って感じになっちゃって……。……孫の面倒が見たいって言われたの」
「は……?」
イヴェッタが眉間に深いシワを刻み、嫌悪感丸出しの顔をした。
「何それ……、こっちは子供産む道具じゃないっつーの」
イヴェッタが貴族女性らしからぬ悪態をつき、フォークを乱暴に使ってお皿をカンカンいわせながら生野菜を平らげた。
◇◇◇
それから、両家の顔合わせや引越し、職場への挨拶、結婚式の準備、仕事と、一日24時間では足りないと泣きながら、毎日やることをひたすらこなしていった。
結婚がこんなにパワーがいるものだとは思わなかった。
もう、婚姻届を出してからの今日までの記憶が無い……。
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