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13話 テーマパークの異変
しおりを挟む長期休暇に入り、ソウタの侯爵邸で過ごすことになったソウタとルースは、あっという間に打ち解けていた。
敬語の壁がなくなってからは、二人の会話はより自然で、互いの距離は急速に縮まっていった。
ある日の午後、ソウタはルースに尋ねた。
「ルース、帝国にあるテーマパーク、『スターライト・ドリーム』に行ったことある?」
ルースは、首を横に振った。
「いや、私は平民だから、そのような場所に行く機会がなかったんだ……」
ルースの言葉に、ソウタの目が輝いた。
「そっか!僕も行ったことないんだ。じゃあさ、一緒に行こうよ!」
ソウタは、純粋な好奇心からルースを誘った。
彼にとって、テーマパークは未知の場所であり、好奇心をくすぐられたのだ。
そして、ルースの「好感度」をさらに上げる良い機会でもある、と冷静に計算していた。
ルースは、ソウタの誘いに、心臓が高鳴るのを感じた。
(ソウタが、私をテーマパークに……!これは、まさかデートなのでは!?)
ルースの頬は、わずかに赤く染まった。
二人きりでテーマパークに行くというのは、特別な意味を持つに違いない、とルースは深読みした。
「い、いいのか?……行きたい!」
ルースは、喜びを隠しきれない様子で承諾した。
ソウタの、無意識の「口説き文句」に、ルースの心は満たされていく。
⸻
翌日、二人で『スターライト・ドリーム』へとやってきた。
そこは、まるで星々が地上に降り立ったかのような、魔法と光に満ちた場所だった。
幻想的な音楽が、人々の楽しげな声と溶け合っていた。
「うわぁ!すごいな、ここ!」
ソウタは、子供のように目を輝かせ、次々とアトラクションに飛び込んだ。
ジェットコースターでは、隣で絶叫するルースを横目に、涼やかな顔で景色を楽しんでいる。
スリル満点のアトラクションでも、彼は冷静さを保ち、時にはルースの様子を伺って、さりげなく手を差し伸べた。
「ルース、これ飲む?冷たいジュースだよ」
ソウタは、ジュースを買ってきて、ルースに手渡した。
ルースは、ソウタのさりげない優しさに、ますますソウタに惚れていくのを感じた。
ソウタは、以前とは全く違う、本当に優しい人だ。
(ソウタは、本当に素敵な人だ……)
二人は、一日中、アトラクションに乗ったり、ショーを見たり、美味しいものを食べたりして、心ゆくまでテーマパークを楽しんだ。
ソウタにとっては、自身の好奇心を満たし、ルースの好感度を上げる、まさに「合理的」で楽しい一日だった。
ルースにとっては、ソウタとの「デート」を心ゆくまで満喫できる、最高の一日だった。
しかし、その穏やかな時間は、突然、終わりを告げた。
「う、うわああああああ!!!」
「何だ!?あれは!?」
パークのあちこちから、悲鳴と混乱の声が響き渡った。
空が、突如として奇妙な緑色の光に包まれ、巨大な影がいくつも出現した。
それは、これまでに見たことのない、未知の生命体だった。
甲殻類のような外骨格を持ち、鋭い爪と牙、そして不気味な光を放つ目。
彼らは、パークの建物やアトラクションを次々と破壊し、一般市民を襲い始めた。
「まずい!敵の急襲か!」
ソウタは、瞬時に状況を理解した。
自身の身の安全もそうだが、目の前で脅かされる一般市民を放っておくことはできない。
「ルース!戦闘準備だ!」
ソウタは、ルースに声をかけた。
彼の顔からは、テーマパークを楽しむ無邪気さは消え、冷静な軍人の顔になっていた。
「わかった!ソウタ!」
ルースもまた、瞬時に状況を理解し、戦闘態勢に入った。
彼は、ソウタの指示を待つまでもなく、近くの警備員の武器を借り、一般市民を守るために走り出す。
ソウタは、サポーター用の装備を展開し、ルースを援護した。
「ルース、右から三体!気をつけて!」
「了解!」
ソウタの的確な指示と、ルースの圧倒的な戦闘能力。
二人の連携は、軍事学校での訓練をはるかに上回る、息ピッタリの戦闘を繰り広げた。
まるで、長年共に戦ってきた戦友のように、互いの動きを完璧に理解し、補い合っている。
未確認生物は、ソウタとルースの連携によって次々と撃破されていく。
しかし、その中に、一際巨大で、強力な怪物が出現した。
その体からは、不気味なオーラが放たれ、ソウタとルースの攻撃を、まるで歯が立たないかのように跳ね返す。
「くそっ、手ごわいな……!」
ソウタは、額に汗を浮かべた。
彼のシールドも、この強敵の前には、あっという間に削られていく。
ルースもまた、苦戦を強いられ、少しずつ後退していく。
このままでは、ジリ貧だ。ソウタの心に、焦りが募り始めた、その時だった。
横から、二つの人影が、猛スピードで突っ込んできた。
彼らは、帝国騎士団の近衛兵の制服を身につけており、その背中には、帝国皇室の紋章が刻まれている。
彼らは、ソウタとルースの隣に立つと、それぞれ手に持った武器を構えた。
一人は剣を、もう一人は銃を。
二人の近衛兵は、無言で、しかし圧倒的な速さで、巨大な未知生命体へと突撃した。
キンッ! ドオンッ!
剣と銃から放たれる攻撃は、想像を絶する威力だった。
未確認生物の堅牢な外骨格は、彼らの攻撃によって、まるで紙切れのように引き裂かれていく。
彼らの動きは、洗練され、そして圧倒的な力に満ちていた。
そして、あっという間に、巨大な怪物は、彼らの手によって、完全に排除された。
その場に残されたのは、機能停止した生命体の残骸と、静寂だけだった。
ソウタは、目の前で繰り広げられた、二人の近衛兵の戦闘を見て、思わず息を呑んだ。
(すごい……!あんなに手ごわかった敵を、一瞬で……!)
ソウタの瞳は、二人の近衛兵に、尊敬の眼差しを送っていた。
ソウタは、自身が生き残るために、彼らの強さが、きっと役立つだろうと直感した。
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