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しおりを挟む麗かな春の陽気。学園の庭にはお嬢様が好きな花々が咲き誇り、お嬢様はご機嫌だ。
「ジル~みてみて、今年のお花もとっても綺麗ね」
このアルジョン国のオレリエット公爵家の1人娘であるエルミーユお嬢様が花壇の前にしゃがみ込み、花の香りを楽しんでいる。
「そうですねお嬢様。学園の庭の花々も綺麗ですが、お屋敷の庭園の方も今が時期ですし綺麗だと思いますよ」
「あら、そうね。今日は寮じゃなくて家に帰ろうかしら?」
「良いですね。丁度今日は金曜日ですし、旦那様も奥様もきっと喜びますよ」
オレリエット公爵家の庭園は、貴族の中でも一際大きく春夏秋冬いつでも隅々まで手入れされている。
草花が好きなお嬢様の為に、旦那様が庭園をプレゼントした時は流石にびっくりした…でも、プレゼントされたお嬢様は凄く喜んでいたし、なぜか庭師達もやる気に満ち溢れていたから中々良いプレゼントだったのだと今だと思う。流石、お嬢様のお父様だ。センスが良い。
「ふふふ、しばらく帰ってなかったものね。私もそろそろお父様とお母様そして、屋敷で働いてくれている使用人達に会いたいわ」
「なら、決定ですね。早速準備しましょうか」
今日は午前授業だけだったから、帰っても問題ないはずだ。それに今から公爵家に迎えば、お茶の時間には間に合うだろう。花が咲き誇っている庭園の真ん中にテーブルと椅子を出し、そこでお茶にしよう。きっと…いや絶対お嬢様は喜んでくれるはずだ。
「それなら、部屋に一度戻りま『おい、ちょっと待て』」
はぁ、どうしてこの方はいつもタイミングが悪いのでしょうか…さっきまでニコニコしていたお嬢様が一瞬しょんぼりした顔をした。
「こんにちはバスチアン殿下。今日も素敵ですね」
「ふん、ご機嫌取りをしなきゃならないなんて力のない貴族は大変だな」
そう思うんだったら話しかけないで頂きたいのですが…はぁ、殿下の話は長いですし今日は庭園でお茶するの無理そうですね……
「ふふふ、殿下はカッコいいのですからお世辞ではありませんのよ。それより何かありましたの?」
「ふ、お前との婚約を破棄する為にわざわざ来てやったぞ」
殿下のそんな勝ち誇った顔なんて、みたくないですねぇ。お嬢様の笑顔ならいつでもみたいですけど…それより、殿下は何を言っているんだろうか。
「婚約ですの?」
お嬢様が首を傾げて頭の上にハテナを沢山出している。やっぱりそう思いますよね…
「あぁそうだ。俺はお前との婚約を破棄し、リリアーヌと婚約する」
リリアーヌ?あぁ今年編入してきた平民の方ですね。確か彼女は、膨大な魔力の持ち主で今は国に保護されこの学園に通われているんですよね。
生徒の殆どが貴族のこの学園じゃ、元平民の彼女は行き辛いでしょうに…国の考える事は良く分かりませんね。
「わぁ~、そうなんですね。婚約おめでとうございます。殿下とリリアーヌ様凄くお似合いでしたから、婚約はまだかって皆様噂してましたのよ」
そういえば…そんな話をされていた女子生徒が多数いましたね。でも実際は殿下とリリアーヌ様の仲を喜んでいるわけではなく、平民の娘と戯れ勉学や仕事を疎かにしていた殿下の悪口大会でしたけど…
貴族の会話は表面上だけは、どんな悪口や嫌味も褒めたり絶賛している様に聞こえますから、お嬢様は本気でそう思っているのでしょうね。お嬢様は昔から言葉の裏の意味を読み取るの苦手ですし…
「そうだろう、そうだろう。俺とリリアーヌはラブラブだからな、誰がみてもそう思う筈だ」
「そうですわよ。結婚式はいつ上げますの?やっぱり卒業後でしょうか」
卒業後という事は、今から約2年後ですね。その時期はちょっと困るので、辞めて頂きたいのですが殿下。
「なるべく早く挙げたいと思っているが、卒業後になるだろうなぁ…ってそうではない‼︎」
「?」
今度は1人漫才でしょうか。殿下は様々な芸を持っていらっしゃるんですね。
お嬢様が?を浮かべていますので、早く続きを仰ってください。
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