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第一話 図書館にて
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「も~~~っ!栄養学なんて、大っ嫌い!!」
初夏の陽射しが強さを増す、ある日の午後。
悩める子羊の絶叫が、静まり返った図書館の地下室に響き渡った。
***
文系キャンパスにある巨大な建造物。
煌びやかなエントランスをくぐった瞬間、一筋の汗がつぅと背中を伝った。
(何だろう……今日は落ち着いて勉強できない予感がする)
レポートの提出期限が近付いた水曜日。
休講でぽっかり空いた時間を有効に使おうと、俺は大学の図書館に足を運んだ。
歴史ある大学だけあって、その蔵書は街の図書館よりもずっと充実している。
(栄養学や食品加工学の専門書なんて、普通はそう簡単に見つからないもんな)
高い天井、明るい照明、そして広々とした読書フロア。
新刊コーナーには華やかな女子学生たちが集まり、はつらつとした空気を作り出している。
それを横目に見ながら、俺はカウンター横の鉄の扉を押し開けた。
すると、薄暗くて無機質な階段室が現れる。
階段を慎重に下り、折り返しの先にある扉をくぐった瞬間――。
(そう、ここなんだよ)
一階とは全くの別世界が、目の前に広がった。
陽の差さない空間に、白々しい蛍光灯。
天井は低く、むき出しのコンクリート壁に囲まれた空間に、冷たいスチール製の書棚が並んでいる。
ここが地下一階の専門書コーナー。
俺が探す栄養学関連の本は、その最奥にひっそりと集められている。
壁際に並んだ机は、いつもなら大抵食品栄養学科の学生で埋まっている。
メンバーが固定されているので、学年が違っても、なんとなく顔見知りのような感覚だ。
――と、その中に。
(……あれ?)
長い髪を束ねる、カラフルなヘアゴム。
見覚えのない華奢な後姿に、俺は首を傾げた。
(珍しいな。一年生かな?)
何か悩んでいるのか、左右に小刻みに揺れるその後ろを通り抜け、書棚の一番奥に進む。
目当ての本を探し出し、さて、空席を探そうとしたそのとき――。
「もう無理!全然わかんない!」
勢いよく引かれた椅子が、がたりと床を鳴らす。
「う、わっ!?」
突然立ち上がった女生徒に行く手を遮られ、思わずのけ反る。
同時に、分厚い本を抱え直した俺の耳に、彼女の恨み節が届いた。
「なんで栄養学なんて勉強しなきゃいけないの!?意味わかんない!聞いてるだけで眠くなるんだってば!」
「いや……それ、俺の専攻なんだけど」
「えっ!?」
女生徒が振り返ると、肩に届くポニーテールが勢いよく揺れた。
シンプルな細身のパンツ、ヘアゴムと揃いの紐で結んだスニーカーは、動きやすさ重視のスタイルだ。
けれどシャツの襟に刺繍された小花が、控えめに女の子らしさを演出している。
(元気と可愛さ、両方持ってるタイプ……かな)
そんなことを考えている間も、女生徒は無遠慮にこちらを眺め、訝しげに口を開いた。
「……あなた、誰?」
「えっ?……あ、俺は藤宮湊。食品栄養学科の二年です」
「食品栄養学科……?」
その言葉を繰り返した途端、彼女の表情がぱっと明るくなった。
「やった!今日の私、ツイてる!――ねぇ、お願い。レポート手伝ってもらえないかな?」
「えっ!?」
突然の展開に、理解が追い付かない。
戸惑う俺に向けて、女生徒は明るい笑みを浮かべた。
「私は白石美緒。看護学部生で、あなたと同じ二年よ」
あまりにも爽やかに「よろしく!」と手を差し出されたものだから、うっかりその手を取ってしまう。
その瞬間、彼女――白石さんは、俺の腕をぐいと引っ張った。
「というわけで、私たち、たった今友だちになったよね?そうだよね?だから――お願い、藤宮くん!栄養学のレポート手伝って!」
「えぇー……」
どう考えても図々しい。けれど――なぜだろう、嫌な気分になれない。
俺は小さく息を吐いて頷いた。
「わかったよ。ただ、少し静かにしよう。みんな勉強してるんだから」
「うん、そうね。ごめんなさい。それから――ありがとう」
周囲を見やって肩を竦め、えへへと笑みを浮かべる姿に、つい絆されてしまう。
(ちょっと……いや、かなり強引だけど。素直な子なんだな、きっと)
この不思議な出会いが、特別なものになるなんて――。
このときの俺は、全く想像していなかった。
***
「はぁ~、助かった!本当にありがとう。さすが食品栄養学科ね!」
自販機横のベンチに腰掛けて、俺たちはジュースを飲んでいる。
地下室での強引な助っ人要請から一時間、レポートの骨子ができあがったところで、俺はどうにか解放された。
「ね、ね。お礼にジュースおごらせて!」
「え?いいよ、別に」
「ダメ!藤宮くんだって、本当は勉強をしに来たんでしょう?それを邪魔しちゃったんだもん。――それともジュースじゃ不満?」
という若干強引なお誘いで、図書館の休憩スペースにやってきた次第だ。
終始彼女のペースに巻き込まれっぱなしだったけれど、こうして並んで話してみると、彼女の人となりが見えてくる。
「そりゃあね、炭水化物とタンパク質と脂質って言葉くらいは覚えられるわ。だけど、どの食べ物がどれに当てはまるかなんて、全部覚えるのは無理なのよ。しかもどの栄養素が体や病気のどこに作用するかとか……」
ふぅ……とため息を吐いてミルクティーをあおる白石さんに、しかし俺は同情半分だ。
「けど、病気の患者さんにとって、栄養は大事なことだよ?」
「それもわかってるよ!だから病院には、藤宮くんみたいな栄養士さんがいるんじゃない!」
びしっと言い切られて、俺は口を噤んだ。
(俺もまだ、栄養士じゃないんだけどな……)
「私ね、それぞれのプロフェッショナルがそれぞれの分野で活躍すれば、それでいいと思うの」
白石さんはペットボトルを目の高さに掲げ、揺らめく液体を覗き込んだ。
「看護師はドクターのサポートをしつつ、患者さんに寄り添ってケアをする。栄養士は患者さんの病状に合わせて、最適な食事を提案したり提供する。そういう役割だもんね。それとも――私が言ってること、違う?」
「……違わない、と思う」
「でしょう!?」
ほらご覧なさい!とばかりに、白石さんは胸を張った。
「私こう見えても、栄養学以外の成績は悪くないのよ。本当に栄養学だけ苦手なの。あーあ、やんなっちゃう!」
途端に背中を丸め、しゅんと項垂れる。
その姿に、どうにかできないかと俺は思案を巡らした。
(うーん。教科書で勉強するから、わかりにくいのかも……?)
手に持っていた炭酸水をベンチに置いて、俺は、ぽんと手を打った。
「じゃあさ、家で食べるご飯に当てはめてみたらどうかな。ほら、カレーならお肉はタンパク質で、タマネギやニンジンは野菜でビタミン、白飯は炭水化物――って感じでさ」
「家のご飯……?」
良い案だと思ったが、白石さんは困ったように視線を泳がせた。
「えっと……うちね、両親ともに看護師なの。だから家でゆっくりご飯を作る時間なんてほとんどなくて。冷凍食品やお弁当ばっかりなのよ」
「えっ、そうなんだ……」
悪いことを言ったかと声のトーンを落とすと、彼女はハッとしたように俺の顔を見た。
「でもね、それを悪いなんて思ってないよ。家のことはあまりできなくても、お父さんとお母さんが誠実に看護に取り組む姿勢、カッコ良くて尊敬してるんだ。だから私も『看護師になりたい!』って思って勉強してるの」
そう語る彼女の瞳は、誇りと、未来への希望に満ちていた。
冷凍食品や弁当ばかりと聞いて、ちょっと不憫に思った自分が情けない。
彼女にとっては食卓よりも、両親の働く姿が温かな思い出なのだ。
(……そうか。それが白石さんの世界――俺にはなかった感覚だ。でも、だからこそ。彼女に、栄養学の意味を知ってほしい)
彼女の真剣さに触れた今だからこそ、俺の胸にはその想いが息づき始めていた。
初夏の陽射しが強さを増す、ある日の午後。
悩める子羊の絶叫が、静まり返った図書館の地下室に響き渡った。
***
文系キャンパスにある巨大な建造物。
煌びやかなエントランスをくぐった瞬間、一筋の汗がつぅと背中を伝った。
(何だろう……今日は落ち着いて勉強できない予感がする)
レポートの提出期限が近付いた水曜日。
休講でぽっかり空いた時間を有効に使おうと、俺は大学の図書館に足を運んだ。
歴史ある大学だけあって、その蔵書は街の図書館よりもずっと充実している。
(栄養学や食品加工学の専門書なんて、普通はそう簡単に見つからないもんな)
高い天井、明るい照明、そして広々とした読書フロア。
新刊コーナーには華やかな女子学生たちが集まり、はつらつとした空気を作り出している。
それを横目に見ながら、俺はカウンター横の鉄の扉を押し開けた。
すると、薄暗くて無機質な階段室が現れる。
階段を慎重に下り、折り返しの先にある扉をくぐった瞬間――。
(そう、ここなんだよ)
一階とは全くの別世界が、目の前に広がった。
陽の差さない空間に、白々しい蛍光灯。
天井は低く、むき出しのコンクリート壁に囲まれた空間に、冷たいスチール製の書棚が並んでいる。
ここが地下一階の専門書コーナー。
俺が探す栄養学関連の本は、その最奥にひっそりと集められている。
壁際に並んだ机は、いつもなら大抵食品栄養学科の学生で埋まっている。
メンバーが固定されているので、学年が違っても、なんとなく顔見知りのような感覚だ。
――と、その中に。
(……あれ?)
長い髪を束ねる、カラフルなヘアゴム。
見覚えのない華奢な後姿に、俺は首を傾げた。
(珍しいな。一年生かな?)
何か悩んでいるのか、左右に小刻みに揺れるその後ろを通り抜け、書棚の一番奥に進む。
目当ての本を探し出し、さて、空席を探そうとしたそのとき――。
「もう無理!全然わかんない!」
勢いよく引かれた椅子が、がたりと床を鳴らす。
「う、わっ!?」
突然立ち上がった女生徒に行く手を遮られ、思わずのけ反る。
同時に、分厚い本を抱え直した俺の耳に、彼女の恨み節が届いた。
「なんで栄養学なんて勉強しなきゃいけないの!?意味わかんない!聞いてるだけで眠くなるんだってば!」
「いや……それ、俺の専攻なんだけど」
「えっ!?」
女生徒が振り返ると、肩に届くポニーテールが勢いよく揺れた。
シンプルな細身のパンツ、ヘアゴムと揃いの紐で結んだスニーカーは、動きやすさ重視のスタイルだ。
けれどシャツの襟に刺繍された小花が、控えめに女の子らしさを演出している。
(元気と可愛さ、両方持ってるタイプ……かな)
そんなことを考えている間も、女生徒は無遠慮にこちらを眺め、訝しげに口を開いた。
「……あなた、誰?」
「えっ?……あ、俺は藤宮湊。食品栄養学科の二年です」
「食品栄養学科……?」
その言葉を繰り返した途端、彼女の表情がぱっと明るくなった。
「やった!今日の私、ツイてる!――ねぇ、お願い。レポート手伝ってもらえないかな?」
「えっ!?」
突然の展開に、理解が追い付かない。
戸惑う俺に向けて、女生徒は明るい笑みを浮かべた。
「私は白石美緒。看護学部生で、あなたと同じ二年よ」
あまりにも爽やかに「よろしく!」と手を差し出されたものだから、うっかりその手を取ってしまう。
その瞬間、彼女――白石さんは、俺の腕をぐいと引っ張った。
「というわけで、私たち、たった今友だちになったよね?そうだよね?だから――お願い、藤宮くん!栄養学のレポート手伝って!」
「えぇー……」
どう考えても図々しい。けれど――なぜだろう、嫌な気分になれない。
俺は小さく息を吐いて頷いた。
「わかったよ。ただ、少し静かにしよう。みんな勉強してるんだから」
「うん、そうね。ごめんなさい。それから――ありがとう」
周囲を見やって肩を竦め、えへへと笑みを浮かべる姿に、つい絆されてしまう。
(ちょっと……いや、かなり強引だけど。素直な子なんだな、きっと)
この不思議な出会いが、特別なものになるなんて――。
このときの俺は、全く想像していなかった。
***
「はぁ~、助かった!本当にありがとう。さすが食品栄養学科ね!」
自販機横のベンチに腰掛けて、俺たちはジュースを飲んでいる。
地下室での強引な助っ人要請から一時間、レポートの骨子ができあがったところで、俺はどうにか解放された。
「ね、ね。お礼にジュースおごらせて!」
「え?いいよ、別に」
「ダメ!藤宮くんだって、本当は勉強をしに来たんでしょう?それを邪魔しちゃったんだもん。――それともジュースじゃ不満?」
という若干強引なお誘いで、図書館の休憩スペースにやってきた次第だ。
終始彼女のペースに巻き込まれっぱなしだったけれど、こうして並んで話してみると、彼女の人となりが見えてくる。
「そりゃあね、炭水化物とタンパク質と脂質って言葉くらいは覚えられるわ。だけど、どの食べ物がどれに当てはまるかなんて、全部覚えるのは無理なのよ。しかもどの栄養素が体や病気のどこに作用するかとか……」
ふぅ……とため息を吐いてミルクティーをあおる白石さんに、しかし俺は同情半分だ。
「けど、病気の患者さんにとって、栄養は大事なことだよ?」
「それもわかってるよ!だから病院には、藤宮くんみたいな栄養士さんがいるんじゃない!」
びしっと言い切られて、俺は口を噤んだ。
(俺もまだ、栄養士じゃないんだけどな……)
「私ね、それぞれのプロフェッショナルがそれぞれの分野で活躍すれば、それでいいと思うの」
白石さんはペットボトルを目の高さに掲げ、揺らめく液体を覗き込んだ。
「看護師はドクターのサポートをしつつ、患者さんに寄り添ってケアをする。栄養士は患者さんの病状に合わせて、最適な食事を提案したり提供する。そういう役割だもんね。それとも――私が言ってること、違う?」
「……違わない、と思う」
「でしょう!?」
ほらご覧なさい!とばかりに、白石さんは胸を張った。
「私こう見えても、栄養学以外の成績は悪くないのよ。本当に栄養学だけ苦手なの。あーあ、やんなっちゃう!」
途端に背中を丸め、しゅんと項垂れる。
その姿に、どうにかできないかと俺は思案を巡らした。
(うーん。教科書で勉強するから、わかりにくいのかも……?)
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「じゃあさ、家で食べるご飯に当てはめてみたらどうかな。ほら、カレーならお肉はタンパク質で、タマネギやニンジンは野菜でビタミン、白飯は炭水化物――って感じでさ」
「家のご飯……?」
良い案だと思ったが、白石さんは困ったように視線を泳がせた。
「えっと……うちね、両親ともに看護師なの。だから家でゆっくりご飯を作る時間なんてほとんどなくて。冷凍食品やお弁当ばっかりなのよ」
「えっ、そうなんだ……」
悪いことを言ったかと声のトーンを落とすと、彼女はハッとしたように俺の顔を見た。
「でもね、それを悪いなんて思ってないよ。家のことはあまりできなくても、お父さんとお母さんが誠実に看護に取り組む姿勢、カッコ良くて尊敬してるんだ。だから私も『看護師になりたい!』って思って勉強してるの」
そう語る彼女の瞳は、誇りと、未来への希望に満ちていた。
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