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9 愛人宅へ
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ディアン様への復讐を決めた私は、まず彼の身辺を探ることにした。
彼がどのような経緯で生まれたのか、いつ公爵邸に引き取られたのか。
そして愛人であるドロシー様や息子のことまで全て。
(私って結構ディアン様のこと何も知らなかったのね……)
夫婦とはいえ私はお飾りの妻で、彼とは普段から別々に暮らしているため当然と言えば当然だが。
調べれば調べるほど全く知らなかった情報が多く得られた。
最愛のドロシー様と出会ったのが子供が産まれるほんの数年前だったことや、今は亡きアース様との詳しい関係性など。
私の実家である侯爵家の力を使って多くのことを調べ上げたものの、ディアン様への復讐に使えそうなものは特にない。
「ハァ……案外すんなりとはいかないものなのね」
だからといってここで諦める私ではない。
愛娘を傷付けたことは万死に値するから。
(……そういえば、私はドロシー様や息子さんには会ったことが無いのよね。あのディアン様が私に大切な人たちを会わせるわけが無いし)
「ねぇ、貴方はドロシー様とその息子について何か知っているかしら?」
「わ、私……ですか?」
「ええ」
気になった私は近くにいた侍女に尋ねた。
ディアン様の愛人は何年か前まではここで働いていたのだ。
だからもしかすると、何か知っている使用人がいるかもしれない。
そう思ってのことだった。
が、しかし――
「昔公爵家の本邸でメイドとして働いていたということくらいしか……」
「そう……やっぱりあまり知らないわよね」
彼女は目を逸らして気まずそうにそれだけ言った。
何か知っているかもしれないと思ったが、侍女からめぼしい情報を得られそうには無いようだ。
「ところで、こんな探るようなことをしているというのに貴方たちは何も言わないのね」
「……私たちは奥様に仕える侍女ですので。旦那様への報告義務はありません」
「そう、助かるわ」
どうやら侍女たちは私のしてることをディアン様たちには黙っていてくれるみたいだ。
ディアン様にバレると面倒だからありがたい。
(どうすればもっと探れるかしら)
手元の紙を机に置いた私は思考を巡らせた。
そして、すぐにある考えに至ることとなった。
(そうだわ、実際に愛人さんたちに会ってみればいいじゃない!)
ディアン様が愛人と暮らす邸宅は既に調べが付いている。
そして私は姿を消す魔法と瞬間移動の魔法が使えるのである。
グクルス公爵家が私を欲しがっていた理由として、類稀な魔法の才能を持ち合わせていたということも挙げられた。
(ふふふ、ディアン様は知らないでしょうけど、姿を消すくらいはお手の物なのよ)
「というわけで、少し出掛けてくるわ」
「え、ど、どちらへ!?」
「愛人さん宅へ」
「え、ええ!?奥様、いくら何でもそれは旦那様に怒られちゃいますよ!」
「そんなこと気にする私はもういないのよ!」
私は侍女の制止を振り切って魔法陣を床に描き、素早く転移魔法を発動させた。
***
「ここが……ディアン様とドロシー様親子が暮らす家か……」
私は転移魔法によってディアン様とドロシー様が住む別邸を訪れていた。
てっきり物凄い豪邸に住んでいるのかと思えば、案外そうでもない。
いや、むしろ公爵家の当主が暮らしているとは思えないほど質素な造りだった。
(本当にここで合ってる……のよね……?)
予想とかけ離れすぎていて不安になってしまうほどだ。
それはそれは贅沢な暮らしをしているのだと勝手に想像していたから。
(まぁ、中に入ってみれば分かることね)
再び転移魔法を発動させた私は、姿を消した状態で邸宅の中へと侵入した。
彼がどのような経緯で生まれたのか、いつ公爵邸に引き取られたのか。
そして愛人であるドロシー様や息子のことまで全て。
(私って結構ディアン様のこと何も知らなかったのね……)
夫婦とはいえ私はお飾りの妻で、彼とは普段から別々に暮らしているため当然と言えば当然だが。
調べれば調べるほど全く知らなかった情報が多く得られた。
最愛のドロシー様と出会ったのが子供が産まれるほんの数年前だったことや、今は亡きアース様との詳しい関係性など。
私の実家である侯爵家の力を使って多くのことを調べ上げたものの、ディアン様への復讐に使えそうなものは特にない。
「ハァ……案外すんなりとはいかないものなのね」
だからといってここで諦める私ではない。
愛娘を傷付けたことは万死に値するから。
(……そういえば、私はドロシー様や息子さんには会ったことが無いのよね。あのディアン様が私に大切な人たちを会わせるわけが無いし)
「ねぇ、貴方はドロシー様とその息子について何か知っているかしら?」
「わ、私……ですか?」
「ええ」
気になった私は近くにいた侍女に尋ねた。
ディアン様の愛人は何年か前まではここで働いていたのだ。
だからもしかすると、何か知っている使用人がいるかもしれない。
そう思ってのことだった。
が、しかし――
「昔公爵家の本邸でメイドとして働いていたということくらいしか……」
「そう……やっぱりあまり知らないわよね」
彼女は目を逸らして気まずそうにそれだけ言った。
何か知っているかもしれないと思ったが、侍女からめぼしい情報を得られそうには無いようだ。
「ところで、こんな探るようなことをしているというのに貴方たちは何も言わないのね」
「……私たちは奥様に仕える侍女ですので。旦那様への報告義務はありません」
「そう、助かるわ」
どうやら侍女たちは私のしてることをディアン様たちには黙っていてくれるみたいだ。
ディアン様にバレると面倒だからありがたい。
(どうすればもっと探れるかしら)
手元の紙を机に置いた私は思考を巡らせた。
そして、すぐにある考えに至ることとなった。
(そうだわ、実際に愛人さんたちに会ってみればいいじゃない!)
ディアン様が愛人と暮らす邸宅は既に調べが付いている。
そして私は姿を消す魔法と瞬間移動の魔法が使えるのである。
グクルス公爵家が私を欲しがっていた理由として、類稀な魔法の才能を持ち合わせていたということも挙げられた。
(ふふふ、ディアン様は知らないでしょうけど、姿を消すくらいはお手の物なのよ)
「というわけで、少し出掛けてくるわ」
「え、ど、どちらへ!?」
「愛人さん宅へ」
「え、ええ!?奥様、いくら何でもそれは旦那様に怒られちゃいますよ!」
「そんなこと気にする私はもういないのよ!」
私は侍女の制止を振り切って魔法陣を床に描き、素早く転移魔法を発動させた。
***
「ここが……ディアン様とドロシー様親子が暮らす家か……」
私は転移魔法によってディアン様とドロシー様が住む別邸を訪れていた。
てっきり物凄い豪邸に住んでいるのかと思えば、案外そうでもない。
いや、むしろ公爵家の当主が暮らしているとは思えないほど質素な造りだった。
(本当にここで合ってる……のよね……?)
予想とかけ離れすぎていて不安になってしまうほどだ。
それはそれは贅沢な暮らしをしているのだと勝手に想像していたから。
(まぁ、中に入ってみれば分かることね)
再び転移魔法を発動させた私は、姿を消した状態で邸宅の中へと侵入した。
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