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24 殿下の訪問
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その日の午後。
「……旦那様、何故こちらにいらっしゃったのですか?」
「……久々に君と過ごしたかったんだ」
新しくなった庭園で一人くつろいでいると、アランがやってきた。
(一人になりたいからここへ来たのに……)
アランの訪れをこんなにも不快に感じたことは無かった。
彼はそんな私の気持ちになど全く気付いていないようで、ゆっくりと歩いてくると、そのまま隣に座った。
(こんな風に並んで座るのはいつぶりかしら)
隣に座る彼の横顔を冷めた目でじっと見つめていると、彼がこちらを向いた。
「ところで……前の庭園は気に入らなかったのか?」
「……いえ、そういうわけではありませんわ」
「では、何故急にこのような……」
アランは自分がプレゼントした庭園を一掃したのが不満だったようだ。
嘘をつく理由も無かったため、正直に答えた。
「――汚されてしまったからです」
「……何?」
彼が目を見開いて固まった。
「旦那様があの庭園に男爵令嬢を何度も入れていたこと、私が知らなかったとでも?」
「……!」
そう、アランは私たちの思い出が詰まったあの庭園に何度も男爵令嬢を招待していた。
理由は彼女があの場所を気に入ったから。
愛する女性の願いを叶えてあげたかったのだろう。
そのことで私がどれだけ傷付いたかも知らずに。
(やっと自覚したみたいね)
グッと拳を握って黙り込んだ彼に、侍従が声をかけた。
「旦那様、ブリアナ様が体調を崩されたようです」
「……何だと?」
「あら……まぁ……」
どうやら身体の弱いブリアナがいつものように寝込んでしまったらしい。
彼と過ごす時間に居心地の悪さを感じていた私は、悩んでいる彼を後押しした。
「旦那様、男爵令嬢のことが心配でしょう。早く行ってさしあげては?」
「だが、しかし……」
アランはかなり迷っているようだった。
いつもなら迷わず飛んでいくのに、どうして今日に限って。
「彼女もきっと旦那様が来るのを待っているはずです、私のことはお気になさらず」
「……」
「旦那様が行ってさしあげればきっとすぐに良くなると思いますわ、愛のパワーは偉大ですから」
「…………そうだな、君がそう言うなら」
私の言葉にアランは渋々頷いて部屋を出て行った。
近頃の彼は私の言うことをよく聞くようになった。
(……彼と一緒にいると何だか息が詰まるわ)
出来ることなら、数日は帰って来ないでほしい。
彼がどれだけ歩み寄る努力をしようと、私たちの夫婦関係は既に終わっているのだということを強く感じた瞬間だった。
一人になった私に、今度は侍女が声をかけてきた。
「奥様、第一王子殿下がいらっしゃっています」
「……エイベル殿下が?」
突然の訪問だった。
(そういえば前……)
彼に抱き締められたあの日のことを思い出して顔が真っ赤になった。
「奥様、どうかなさいました?」
「な、何でもないわ。殿下にはすぐに行くと伝えてちょうだい」
何とか誤魔化した私は、準備を済ませて殿下の元へと向かった。
「殿下、お久しぶりです。今日はどのようなご用件で……」
「ああ、アンジェ。君に伝えたいことがあって来たんだ」
「伝えたいこと……?」
首をかしげていると、彼が真剣な顔で私を見つめて言った。
「――あの男爵令嬢には気を付けろ」
「……旦那様、何故こちらにいらっしゃったのですか?」
「……久々に君と過ごしたかったんだ」
新しくなった庭園で一人くつろいでいると、アランがやってきた。
(一人になりたいからここへ来たのに……)
アランの訪れをこんなにも不快に感じたことは無かった。
彼はそんな私の気持ちになど全く気付いていないようで、ゆっくりと歩いてくると、そのまま隣に座った。
(こんな風に並んで座るのはいつぶりかしら)
隣に座る彼の横顔を冷めた目でじっと見つめていると、彼がこちらを向いた。
「ところで……前の庭園は気に入らなかったのか?」
「……いえ、そういうわけではありませんわ」
「では、何故急にこのような……」
アランは自分がプレゼントした庭園を一掃したのが不満だったようだ。
嘘をつく理由も無かったため、正直に答えた。
「――汚されてしまったからです」
「……何?」
彼が目を見開いて固まった。
「旦那様があの庭園に男爵令嬢を何度も入れていたこと、私が知らなかったとでも?」
「……!」
そう、アランは私たちの思い出が詰まったあの庭園に何度も男爵令嬢を招待していた。
理由は彼女があの場所を気に入ったから。
愛する女性の願いを叶えてあげたかったのだろう。
そのことで私がどれだけ傷付いたかも知らずに。
(やっと自覚したみたいね)
グッと拳を握って黙り込んだ彼に、侍従が声をかけた。
「旦那様、ブリアナ様が体調を崩されたようです」
「……何だと?」
「あら……まぁ……」
どうやら身体の弱いブリアナがいつものように寝込んでしまったらしい。
彼と過ごす時間に居心地の悪さを感じていた私は、悩んでいる彼を後押しした。
「旦那様、男爵令嬢のことが心配でしょう。早く行ってさしあげては?」
「だが、しかし……」
アランはかなり迷っているようだった。
いつもなら迷わず飛んでいくのに、どうして今日に限って。
「彼女もきっと旦那様が来るのを待っているはずです、私のことはお気になさらず」
「……」
「旦那様が行ってさしあげればきっとすぐに良くなると思いますわ、愛のパワーは偉大ですから」
「…………そうだな、君がそう言うなら」
私の言葉にアランは渋々頷いて部屋を出て行った。
近頃の彼は私の言うことをよく聞くようになった。
(……彼と一緒にいると何だか息が詰まるわ)
出来ることなら、数日は帰って来ないでほしい。
彼がどれだけ歩み寄る努力をしようと、私たちの夫婦関係は既に終わっているのだということを強く感じた瞬間だった。
一人になった私に、今度は侍女が声をかけてきた。
「奥様、第一王子殿下がいらっしゃっています」
「……エイベル殿下が?」
突然の訪問だった。
(そういえば前……)
彼に抱き締められたあの日のことを思い出して顔が真っ赤になった。
「奥様、どうかなさいました?」
「な、何でもないわ。殿下にはすぐに行くと伝えてちょうだい」
何とか誤魔化した私は、準備を済ませて殿下の元へと向かった。
「殿下、お久しぶりです。今日はどのようなご用件で……」
「ああ、アンジェ。君に伝えたいことがあって来たんだ」
「伝えたいこと……?」
首をかしげていると、彼が真剣な顔で私を見つめて言った。
「――あの男爵令嬢には気を付けろ」
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