虐げられた新妻は義理の家族への復讐を決意する

ましゅぺちーの

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1 縁談

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――「リーゼ、お前の縁談が決まった」


ニヤリと笑いながらそう言ったのは私の父であるオーブリー伯爵だ。
昔から欲深くて権力に目が無い、私を道具として扱ってきた実の父親。


そんな父が決めた縁談だなんて良くないものに決まっている。
元より愛のある結婚なんて諦めていたからそれほど絶望は無かったが。


(かなり年上の男の後妻かしら?それとも他国の王の側室とか?)


父は利己的な人だ。
きっとこちらに最も利があるところに決めたに違いない。
何か嫌な予感がすると思いながらもじっと話に耳を傾けた。


「相手はブリントン公爵家の当主、ウィルベルト殿だ!喜べ、お前が公爵夫人になれるのだぞ!」
「ブリントン公爵家……ウィルベルト……」


喜ぶ父親とは対照的に、私はその名前を聞いた途端頭を抱えた。
彼は社交界ではなかなか有名な人物だった。


――ウィルベルト・ブリントン公爵


容姿端麗で剣術の腕も立つ、文武両道な公爵閣下。
その美貌に惹かれる女性は多く、国内外問わず縁談が山のように舞い込んでくるのだと聞いたことある。
しかし、貴族令嬢の誰もが憧れる彼は二十五にして未だに独身を貫いていた。


それは何故か。
決してウィルベルト本人が女性に興味が無かったというわけではない。


(そこが問題なのよね、女に興味が無い方がむしろ良かったわ)


そう、彼には相思相愛の恋人がいた。
社交界ではとても有名な話だった。


彼が山のように来る縁談を断り続け、独身を貫いているのは全てその愛する女性のためなのである。
身分差を乗り越えて愛し合う、彼ら二人の愛は国内でも有名だった。


(たしか、お相手の身分が低いせいでご両親が反対していてなかなか結婚に踏み切れない……という理由だったかしら……)


私も舞踏会で何度かウィルベルトが恋人をエスコートしている姿を目にしたことがある。
お互いを見つめて微笑み合うその姿は誰から見ても愛し合う恋人同士そのものだった。
その間に私が入ることなど、今この瞬間まで想像もしていなかった。


(つまり、お父様は他に想う相手のいる方に妻として嫁げとおっしゃるのね……)


ニヤニヤとこちらを見つめてくる父親。
父がどうやってウィルベルトと私の縁談を取り付けたのかは分からないが、彼にとって望まぬ結婚であることは間違いなさそうだ。


そんな結婚をするだなんて私としても御免だ。
しかし、結婚は既に決まったことのようで、反対したところで何の意味も無い。


「結婚式は二ヶ月後だ。これからお前の輿入れの準備をする。見た目には一層気を遣うように」
「……はい、お父様」


拒否権など最初から無い私は、頷くしかなかった。




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