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8 義父
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「奥様、大旦那様がお呼びです」
「……お義父様が?」
ウィルベルトと義母と朝食を摂った日の夜、今度は義父から呼び出しをされた。
ウィルベルトの父親である義父とは結婚式のときに一度会ったきりだ。
(先代のブリンストン公爵閣下よね……どのような方か全く分からないわ)
初めて会ったときは年齢のわりには若くて綺麗な方だと感じたが、どちらかというと母親に似ているウィルベルトとはあまり似ていない。
「……すぐに行くわ」
夫の父親を待たせるわけにはいかない。
義理の両親とは出来るだけ良い関係を築いていきたい。
そう考えた私は、公爵夫人の執務を途中で一度終えて部屋を出た。
***
義父に呼ばれて訪れたのは公爵邸の端にある小さな部屋だった。
(こんなところで一体何をするつもりかしら?)
――「失礼します、お義父様」
ノックをして部屋へ入ると、ソファに義父が一人で座っていた。
「よく来たな」
「お義父様、お待たせしました」
「いいや、気にするな。私も今来たところだ」
義父は微笑みながらそう言うと、向かいの席を私に勧めた。
「座ってくれ、親子になったのだからもっと楽にしていい」
「あ、ありがとうございます……?」
ソファに座ると、ウィルベルトと同じ青い瞳が私をじっと見つめた。
それがどこか気味悪く感じるのは気のせいだろうか。
「どうだ?ウィルベルトとは上手くやっているか?」
「そ、それは……」
上手く答えることが出来なかった私を見て、義父は予想通りというように眉をひそめた。
「まったく、本当に困ったヤツだな……遠路はるばる嫁いできた妻を蔑ろにするとは……」
「……」
表面的には私を心配しているように感じる。
しかし、部屋へ入った瞬間から付き纏う妙な違和感はいつまで経っても消えなかった。
「結婚生活が辛くはないか?アイツはきっと以前付き合っていた女のことを未だに引きずっているに違いない」
「……深く愛し合っていたとお聞きしました」
「愛し合っていた……か。相手は男爵家の令嬢だ。我が公爵家に釣り合うような女ではなかった。私がそう判断したんだ」
「ですが……」
「――夫の元恋人のことを気にかけるだなんて、随分優しいんだな」
義父はそう言ってニヤリと笑った。
「――気に入った」
「な、何をなさるのですか……!?」
突然近付いてきたかと思うと、強引に手首を掴まれた。
「初夜を行わなかったんだろう?私が女にしてやる」
「何を言って……!私はウィルベルト様の妻です!」
「女なら誰だって愛されたいと思うだろう。それはお前だって同じはずだ」
「結構です!」
必死でもがくが、力が強くて振りほどけない。
(だ、誰か助けて……!)
ソファに押し倒され、服を脱がされそうになったそのときだった――
「――何をしている?」
頭上から聞こえた低い声に顔を上げると、見知った人物が冷たい目でこちらを見下ろしていた。
「だ、旦那様……!」
「……お義父様が?」
ウィルベルトと義母と朝食を摂った日の夜、今度は義父から呼び出しをされた。
ウィルベルトの父親である義父とは結婚式のときに一度会ったきりだ。
(先代のブリンストン公爵閣下よね……どのような方か全く分からないわ)
初めて会ったときは年齢のわりには若くて綺麗な方だと感じたが、どちらかというと母親に似ているウィルベルトとはあまり似ていない。
「……すぐに行くわ」
夫の父親を待たせるわけにはいかない。
義理の両親とは出来るだけ良い関係を築いていきたい。
そう考えた私は、公爵夫人の執務を途中で一度終えて部屋を出た。
***
義父に呼ばれて訪れたのは公爵邸の端にある小さな部屋だった。
(こんなところで一体何をするつもりかしら?)
――「失礼します、お義父様」
ノックをして部屋へ入ると、ソファに義父が一人で座っていた。
「よく来たな」
「お義父様、お待たせしました」
「いいや、気にするな。私も今来たところだ」
義父は微笑みながらそう言うと、向かいの席を私に勧めた。
「座ってくれ、親子になったのだからもっと楽にしていい」
「あ、ありがとうございます……?」
ソファに座ると、ウィルベルトと同じ青い瞳が私をじっと見つめた。
それがどこか気味悪く感じるのは気のせいだろうか。
「どうだ?ウィルベルトとは上手くやっているか?」
「そ、それは……」
上手く答えることが出来なかった私を見て、義父は予想通りというように眉をひそめた。
「まったく、本当に困ったヤツだな……遠路はるばる嫁いできた妻を蔑ろにするとは……」
「……」
表面的には私を心配しているように感じる。
しかし、部屋へ入った瞬間から付き纏う妙な違和感はいつまで経っても消えなかった。
「結婚生活が辛くはないか?アイツはきっと以前付き合っていた女のことを未だに引きずっているに違いない」
「……深く愛し合っていたとお聞きしました」
「愛し合っていた……か。相手は男爵家の令嬢だ。我が公爵家に釣り合うような女ではなかった。私がそう判断したんだ」
「ですが……」
「――夫の元恋人のことを気にかけるだなんて、随分優しいんだな」
義父はそう言ってニヤリと笑った。
「――気に入った」
「な、何をなさるのですか……!?」
突然近付いてきたかと思うと、強引に手首を掴まれた。
「初夜を行わなかったんだろう?私が女にしてやる」
「何を言って……!私はウィルベルト様の妻です!」
「女なら誰だって愛されたいと思うだろう。それはお前だって同じはずだ」
「結構です!」
必死でもがくが、力が強くて振りほどけない。
(だ、誰か助けて……!)
ソファに押し倒され、服を脱がされそうになったそのときだった――
「――何をしている?」
頭上から聞こえた低い声に顔を上げると、見知った人物が冷たい目でこちらを見下ろしていた。
「だ、旦那様……!」
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