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82 変化 フランチェスカ視点
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私が死んでから彼はまるで抜け殻のように覇気がなくなっていた。
信じたくなかったが、もしかすると彼は私が死んで大きな後悔に苛まれているのかもしれない。
(何で今になってそんな……)
彼に対する恨みもあったが、その事実にかなり動揺している自分もいた。
そしてまた場面が変わる。
(ここは……広場の……)
私が昔女神ローラ様について彼に話した場所だった。
あんな昔のちょっとしたことをまさか覚えていたというのか。
私はそのことに驚きを隠せなかった。
(あのとき私は何て願ったんだっけ……)
もうずっと前のことだ。
思い出そうとしたところで思い出せやしない。
『この先もずっとレオと一緒にいたいです。どんなときだってずっと二人で生きていきたいです』
(……!)
――レオ
私が小さい頃に呼んでいた陛下の愛称だ。
だけどもう彼の前では何年もそう呼んでいなかった。
私が彼に遺した手紙の最後の方にその名を連ねたが、彼がそれを見てどう思ったのかは分からない。
昔、仲の良かった私たちのことを少しでも思い出してくれたらいいなと思って書いたものだが、私の気持ちは彼に届いただろうか。
王都の広場で彼は再び涙を流した。
先ほどと違って今度は声を上げて。
泣いている彼を見るのはもう何度目だろうか。
人前ではあまり感情を表に出さない人だというのに、どうして私が死んだ後になってこうも感情の起伏が激しいのだろうか。
そんなことを思っている間にも彼の世界での時間は進んでいく。
朝が来て昼が過ぎ、そして夜になる。
水晶の中に見える彼の一日は非常に変わり映えの無いものだった。
どうやら愛妾であるフレイア様にも全く会っていないようでただ機械のように仕事をこなすだけの日々。
そんな変わらない日々の中で、場面は次々と移り変わっていく。
(え……何……?)
彼が手に持っていたものには見覚えがあった。
(それって……私が飲んだ毒じゃない……!)
彼は何の迷いも無くその小瓶の蓋を開けた。
この先の彼の行動を予測した私は、思わず水晶に向かって叫んでいた。
「やめて!!!」
しかし当然声は届かない。
彼は小瓶を飲み干してそのまま床に倒れ込んだ。
「あ……ああ……」
青白い顔で倒れている彼の姿を見た私は途端に心臓が冷えていくのを感じた。
しばらくして侍従が部屋で倒れている彼を発見し、すぐに医務室へと連れて行った。
そして私は怒り任せに水晶の中で眠っている陛下を怒鳴りつけた。
「何で!!!何でなのよ!!!」
こんな大声を出すのは初めてかもしれない。
私は彼に対して本気で怒ったことなどほとんど無かったから。
「どうしてそんなことをしたの!!!今すぐ目を覚まして!!!」
気付けば涙が落ちていた。
「レオ!!!」
そう言っても彼はまだ眠ったままだ。
「う……ううっ……」
そして私はそのまま顔を手で覆って地面に座り込んだ。
彼が死んでしまうのではないかという恐怖心からだった。
女神様から陛下を助けてくれと言われ、そのことは拒否したものの私は彼の死を願ってなどいなかったからだ。
むしろ、私は彼を――
「え……?」
ふと顔を上げた私の目に飛び込んできたのは、無事に目を覚ました彼の姿だった。
(嘘……あの量の毒を飲んだのに……)
陛下が飲み干した毒の量は間違いなく致死量を超えるものだった。
しかし彼は死ぬどころか後遺症もなく無事に生還したのである。
(どうして……?)
そう疑問に思うと同時に心から安心した。
「生きててよかった……」
陛下の無事を確認して今度は安堵の涙が溢れてきた。
「――たった今、王国の未来が変わったわ」
「!」
突然聞こえた声で顔を上げると、そこにいたのは女神様だった。
「女神様……」
「フランチェスカ、彼の顔を見てみて」
その言葉で私は再び水晶に目を向けた。
「……!」
水晶に映っている彼は、毒を飲む前とは打って変わって晴れ晴れとした顔をしていた。
「フランチェスカ、貴方はたしかに彼に酷い目に遭わされたわ。私はずっと貴方のことを見ていた。私も貴方が生きていた頃の彼は本当に最低な男だったと思うわ」
「……」
「――だけど、今の彼はどうかしら?」
「……!」
そのとき、突然水晶の中から声が聞こえてきた。
「フランチェスカ、本当にすまなかった。君が昔言っていたように、私はこれから国のために全力を尽くすつもりだ。――そうしたら、また君に会えるだろうか」
「え……?」
長い間彼と共にいた私が聞き間違えるはずがない。
これは間違いなくレオの声だった。
私は驚いて水晶の中を凝視した。
彼がこんなことを言うだなんて信じられなかったからだ。
水晶の中にいる陛下は私の墓の前にいた。
「また来るよ。そのときは立派な王になって君の前に現れる。だから、どうか待っていてくれ」
「レオ……」
(私、もう一度貴方を信じてもいいの……?)
信じたくなかったが、もしかすると彼は私が死んで大きな後悔に苛まれているのかもしれない。
(何で今になってそんな……)
彼に対する恨みもあったが、その事実にかなり動揺している自分もいた。
そしてまた場面が変わる。
(ここは……広場の……)
私が昔女神ローラ様について彼に話した場所だった。
あんな昔のちょっとしたことをまさか覚えていたというのか。
私はそのことに驚きを隠せなかった。
(あのとき私は何て願ったんだっけ……)
もうずっと前のことだ。
思い出そうとしたところで思い出せやしない。
『この先もずっとレオと一緒にいたいです。どんなときだってずっと二人で生きていきたいです』
(……!)
――レオ
私が小さい頃に呼んでいた陛下の愛称だ。
だけどもう彼の前では何年もそう呼んでいなかった。
私が彼に遺した手紙の最後の方にその名を連ねたが、彼がそれを見てどう思ったのかは分からない。
昔、仲の良かった私たちのことを少しでも思い出してくれたらいいなと思って書いたものだが、私の気持ちは彼に届いただろうか。
王都の広場で彼は再び涙を流した。
先ほどと違って今度は声を上げて。
泣いている彼を見るのはもう何度目だろうか。
人前ではあまり感情を表に出さない人だというのに、どうして私が死んだ後になってこうも感情の起伏が激しいのだろうか。
そんなことを思っている間にも彼の世界での時間は進んでいく。
朝が来て昼が過ぎ、そして夜になる。
水晶の中に見える彼の一日は非常に変わり映えの無いものだった。
どうやら愛妾であるフレイア様にも全く会っていないようでただ機械のように仕事をこなすだけの日々。
そんな変わらない日々の中で、場面は次々と移り変わっていく。
(え……何……?)
彼が手に持っていたものには見覚えがあった。
(それって……私が飲んだ毒じゃない……!)
彼は何の迷いも無くその小瓶の蓋を開けた。
この先の彼の行動を予測した私は、思わず水晶に向かって叫んでいた。
「やめて!!!」
しかし当然声は届かない。
彼は小瓶を飲み干してそのまま床に倒れ込んだ。
「あ……ああ……」
青白い顔で倒れている彼の姿を見た私は途端に心臓が冷えていくのを感じた。
しばらくして侍従が部屋で倒れている彼を発見し、すぐに医務室へと連れて行った。
そして私は怒り任せに水晶の中で眠っている陛下を怒鳴りつけた。
「何で!!!何でなのよ!!!」
こんな大声を出すのは初めてかもしれない。
私は彼に対して本気で怒ったことなどほとんど無かったから。
「どうしてそんなことをしたの!!!今すぐ目を覚まして!!!」
気付けば涙が落ちていた。
「レオ!!!」
そう言っても彼はまだ眠ったままだ。
「う……ううっ……」
そして私はそのまま顔を手で覆って地面に座り込んだ。
彼が死んでしまうのではないかという恐怖心からだった。
女神様から陛下を助けてくれと言われ、そのことは拒否したものの私は彼の死を願ってなどいなかったからだ。
むしろ、私は彼を――
「え……?」
ふと顔を上げた私の目に飛び込んできたのは、無事に目を覚ました彼の姿だった。
(嘘……あの量の毒を飲んだのに……)
陛下が飲み干した毒の量は間違いなく致死量を超えるものだった。
しかし彼は死ぬどころか後遺症もなく無事に生還したのである。
(どうして……?)
そう疑問に思うと同時に心から安心した。
「生きててよかった……」
陛下の無事を確認して今度は安堵の涙が溢れてきた。
「――たった今、王国の未来が変わったわ」
「!」
突然聞こえた声で顔を上げると、そこにいたのは女神様だった。
「女神様……」
「フランチェスカ、彼の顔を見てみて」
その言葉で私は再び水晶に目を向けた。
「……!」
水晶に映っている彼は、毒を飲む前とは打って変わって晴れ晴れとした顔をしていた。
「フランチェスカ、貴方はたしかに彼に酷い目に遭わされたわ。私はずっと貴方のことを見ていた。私も貴方が生きていた頃の彼は本当に最低な男だったと思うわ」
「……」
「――だけど、今の彼はどうかしら?」
「……!」
そのとき、突然水晶の中から声が聞こえてきた。
「フランチェスカ、本当にすまなかった。君が昔言っていたように、私はこれから国のために全力を尽くすつもりだ。――そうしたら、また君に会えるだろうか」
「え……?」
長い間彼と共にいた私が聞き間違えるはずがない。
これは間違いなくレオの声だった。
私は驚いて水晶の中を凝視した。
彼がこんなことを言うだなんて信じられなかったからだ。
水晶の中にいる陛下は私の墓の前にいた。
「また来るよ。そのときは立派な王になって君の前に現れる。だから、どうか待っていてくれ」
「レオ……」
(私、もう一度貴方を信じてもいいの……?)
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