お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの

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85 五百年前の思い出

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「ふぅ……何だか久々に人間と話したような気がするわ」
「天界に住んでいるのであれば普通人間と話す機会などそうはありません。貴方だけですよ、ローラ様」


フランチェスカと別れた女神ローラは彼女の侍従である死神のリアムと共に天界にある城の自室にいた。


死んだはずの女神ローラは何故生きているのか。
それはただ単に人間たちが勝手に死んだと誤解していたからである。
基本的には天界に住む女神は不老不死で死ぬことは無い。
しかし彼女は死をもって償わなければならないほどの罪を犯した。


長はローラを天界に連れ戻した後、五百年の眠りに就く罰を与えた。
そして彼女はつい最近その眠りから目覚めたところであった。


「それにしてもローラ様、フランチェスカ様でしたっけ?何故あの女性をわざわざ天界に呼び寄せたのですか?」
「あら、聞いていなかったの?彼女を気に入ったからよ」
「絶対それだけが理由じゃないですよね……」
「……」


リアムは女神ローラがじっと見つめている水晶の中を覗いた。
水晶に映っていたのはローラが何かと気にかけていたフランチェスカとレオンの姿があった。


「そういえばレオンというこの青年、誰かに似ていると思ったら五百年前に貴方が大恋愛をしたライオネル様に雰囲気がよく似ていらっしゃいますね」
「……!」


リアムのその言葉にローラの瞳が大きく揺れた。


「やっぱり……貴方に隠し事は出来ないわね……」
「やはりそれが理由だったんですね、ローラ様」


ローラの返答にリアムは困ったように眉を下げて微笑んだ。


「五百年の眠りから目覚めた私は自分の人生に絶望していた。彼のいない世界で暮らさなければいけないということが私にとっては耐えられない事実だったから。だけど久しぶりに水晶で人間の世界を―彼との思い出が詰まったあの国を覗いてみて驚いた。彼によく似た男の子がいたんだから。一目で彼の子孫だと分かったわ」


そう言ったローラは過去を懐かしむかのような顔をしていた。
きっとライオネルとの幸せな日々を思い出しているのだろう。


「その日から私は密かにあの二人を見守っていた。本当に仲の良いあの二人を見ていると昔の自分たちを見ているようで……」
「ローラ様……」


ローラはただただ水晶の中に映る二人を微笑ましそうに眺めていた。
フランチェスカとレオンの姿に、自分とライオネルを重ねているのだろう。


「――ねぇ、リアム」
「……何ですか?」
「十年の時を超えて二人の願いが通じ合うだなんて、素敵だと思わない?」
「え、何の話ですか?」
「ふふふ、秘密よ!」
「じ、自分から聞いておいて何なんですか、もう!」


女神ローラの部屋ではしばらくの間二人の楽しそうな笑い声が響いていた。


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