お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの

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84 二度目の恋 フランチェスカ視点

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「レオ……こんなに立派になって……」


私はあの日からずっとレオの様子を水晶で見ていた。
彼はローレンとの戦争において大きな活躍を果たした。
悪名高いレスタリア公爵を倒し、戦争を終わらせたのがまさに彼だった。


私はこの天界からそんな様子を見て一人微笑んだ。


(ふふふ、レオは強いもの。誰にも負けるはずがないわ)


レオは誰よりも強いということを私はよく知っている。
誰よりも彼の傍にいたのが私だったから。
今の彼は間違いなく私が心から愛していた彼だった。


「レオ……」
「彼、本当に素敵な男になったわね」


傍にいた女神様が嬉しそうに微笑みながら私に言った。


「はい、本当に良かったです……!」
「彼が毒から生還したことでウィルベルト王国は救われたわ」
「救われた……」


(あ……そういえば……今ウィルベルト王家直系の王族はレオだけだったわね……)


そしてレオには子供もいなかった。
もし彼が死んでいたら王国はどうなっていただろうか。
そんなこと考えたくもなかった。


(でも本当に良かった……彼は変わったんだわ)








◇◆◇◆◇◆





そして月日は流れ、私が死んで何十年もの年月が経った。
レオが英雄となったあの日からも、私は変わらずずっと彼の様子を天界から見ていた。
王の威厳に満ちている彼は信じられないほど格好良くて水晶越しに何度も胸が高鳴った。


どうやら天界での時間の流れは人間たちが暮らしている世界とは違うようで、数十年という長い年月を感じさせなかった。


そして、レオはたった今長かった人生に幕を下ろそうとしていた。


(レオ……)


彼が死ぬのは何だか複雑な気持ちだった。
人は誰だっていつかは死ぬ。
分かっていたはずなのにとても悲しい気持ちになった。


それからしばらく、レオは養子となった王太子たちに看取られながらゆっくりと目を閉じた。
そしてそれと同時に私の頬を、一筋の涙が伝った。


「一時はどうなることかと思ったけど、王国が救われて本当に良かったわ」


女神さまは安堵の表情を浮かべてそう言った。
ふと、私の中である疑問が浮かび上がった。


「あの、女神様は何故私をここに呼んだのですか……?」
「……」


私の問いに女神様は少しだけ考え込む素振りを見せた後、私にニッコリと笑いかけて口を開いた。


「――貴方を気に入ったからよ」
「え……?」


(私を気に入った……?)


不思議そうな顔をする私をよそに、女神様はクスリと笑った。


「あら、どうやらお迎えが来たようね」
「……?」


その言葉の意味が分からず聞き返したが、彼女はそれに答えることなく姿を消した。


「め、女神様……!」


慌てて引き留めようとしたそのとき、背後からコツンと革靴の音がした。


「……?」


女神様かと思って後ろを振り返ると、そこにいたのは――








「……………………!」


その人物を見た私はハッと息を呑んだ。
天界の白い光を受けてキラキラと輝いている金髪に、宝石のような青い瞳。
私が死ぬ前と全く同じ姿。


忘れられるはずがない。
かつて私が愛したその人だったから。


「………………………レオ?」


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