もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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11章 夏の海ではしゃいじゃお

426.報酬ルンルン

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 宿借蛸パクルオクトの体力バーが赤色になって尽きかけている。

 ここまで、宿借蛸パクルオクトの強さが増したり、攻撃の種類が増えたりしたけど、なんとかなったみたいだ。

 ルトたちだけじゃなくて、ユウシャたちがいてくれたおかげだよ。
 意外と強いんだよね、ユウシャたち。実はその名に恥じない実力者? ここまで泳いで来ただけあって、水中戦がめちゃくちゃ上手かった。
 僕のシャボリンが割れないように守ってくれたりして……ありがとね!

 ともかく、さっさと宿借蛸パクルオクトを倒しちゃお。最後の一撃を打ち込むぞー!

 そう考えたのは僕だけじゃないようで、同じタイミングで、ルトが目をギラッと好戦的に輝かせながら剣を振りかぶった。

「これで、終わりだーっ! 【光空斬リヒスパティスラッシュ】!」

 あ、先を越された! 僕も攻撃だー。

「【竜巻トルナード】!」

 僕の風魔法に続いて、ヒスイたちもスキルを放つ。

「にゃっ(【旋風】!)」
「ぴぅ(【浄化】!)」
「きゅぴっ(【発射】!)」
「くるる(【水噴射】!)」
「【浄化】!」
「キュルルンッ」

 全員で一斉に攻撃したから、宿借蛸パクルオクトの姿さえ見えず、もうわけがわからない状態になってる。ユウシャたちも同じタイミングでスキルを放ってたみたいだし。
 この感じだったら宿借蛸パクルオクトを倒せてると思うんだよねぇ。

 攻撃の影響でブクブクと生じた泡の向こう側に目を凝らす。
 ──果たして、貝殻の隙間から伸びていた触腕も、こちらを覗いていた金の目も、その姿を消していた。

〈〈とあるプレイヤーによって、デビル系モンスター【宿借蛸パクルオクト】が倒されました。これより、レイドイベント【深海の悪魔を倒せ!】が開催されます〉〉

 ちゃんと倒せてたみたいだね!
 それはそれとして、レイドイベント開催? なにそれ?

 首を傾げつつ、詳細を確認してみる。

――――――
イベント【深海の悪魔を倒せ!】
 リュウグウ近くにあるダンジョン『海中窟』に悪魔が巣食ってしまった……
 みんなで力を合わせて悪魔を倒して、ダンジョン探索を始めよう!

 六パーティまで参加可能なレイドイベントです。
 一度悪魔を倒すと、その後はこのバトルをせずにダンジョン探索が可能になります。
*再戦も可能です。
――――――

 ほうほう……つまり、僕はもう倒してるから、再度宿借蛸パクルオクトを倒さなくてもダンジョン探索できるってことか。
 頷いていると、再びアナウンスが聞こえてくる。

〈【宿借蛸パクルオクト】討伐報酬として、アイテム【悪魔の欠片デビル・フラグメント】【宿借蛸パクルオクトの触腕】が贈られます〉
〈シーズンイベントのドロップアイテム【虹色の貝殻アルカンヤージュ】を二つ入手しました〉

「おお! シーズンアイテムもゲットできたのは嬉しい!」

 期待はしてたけど、こういうモンスターからもシーズンイベントのドロップアイテムをもらえるんだね。
 ということは、海中窟ダンジョン内でもシーズンアイテムをゲットできる可能性が高い。さらにやる気が高まる!

――――――
悪魔の欠片デビル・フラグメント】レア度☆☆☆☆☆
 禍々しい気配がする結晶の欠片
 集めるとなにかが起きるらしい……?

宿借蛸パクルオクトの触腕】レア度☆☆☆☆
 黒色のタコの触腕
 浄化すれば食べられる
――――――

 報酬のアイテムの詳細を確認して首を傾げちゃった。
 宿借蛸パクルオクトの触腕が浄化しないと食べられないのは、なんとなく納得できる。見るからに禍々しい感じだったし。

 でも、悪魔の欠片デビル・フラグメントが何に使えるのかまったく予想できない。
 レイドイベントの報酬なんだから、レアアイテムなのは間違いないんだけど……禍々しい気配がする欠片を集めちゃって大丈夫? なんか変なこと起きない?

「……とりあえず、アイテムボックスにぽーい!」

 謎は謎のまま放置!
 あんまり集める気ないし。宿借蛸パクルオクトと何度も戦いたくない。

 悪魔の欠片デビル・フラグメントを見なかったことにして、再び聞こえてきたアナウンスに集中する。

〈〈あるプレイヤーにより、ダンジョン【海中窟】が開放されました〉〉
〈ダンジョン開放特典として、スキル【解放リリース】を獲得しました〉

――――――
スキル【解放リリース
 自分または味方のスキルのクールタイムを一時間短縮する
 解放リリース自体にスキルを使うことはできない
 クールタイム一時間
――――――

「結構すごいスキル!」

 クールタイムを短縮させるスキルがあったのか。
 これを使えば、僕の杖に付属したスキル【天兎の光アンジュラパ・ヘイロー】も連続して使えちゃうね。クールタイムが一時間だもん。

〈ペタのレベルが30になりました。スキル【水流鉾】を習得しました〉

――――――
スキル【水流鉾】
 水でできた鉾で敵を攻撃する
 貫通効果があり、敵の防御力を無視してダメージを与える
――――――

「くるる(強くなった気がする~)」
「レベルアップおめでとう! いいスキルも覚えられたみたいだね」

 ペタが嬉しそうに泳いでる。
 僕が拍手で称えたら、さらに上機嫌になって、水中で宙返りのようなパフォーマンスをしてくれた。カッコよくて可愛いねぇ。

 水流鉾はビアンが使ってたスキルと同じだと思う。
 敵の防御力を無視してダメージを与えられるのは強い! 今後たくさん活躍してくれそうだね。

「モモも解放リリーススキルをゲットできたか?」
「うん! ルトたちも?」

 ルトに聞かれて僕が頷きつつ問い返すと、「ああ。初めて宿借蛸パクルオクトを倒したメンバー全員に贈られるスキルだったみたいだな」と納得された。
 全員が報酬ゲットできてよかったね。

「ラストアタック報酬は俺がもらった! 悪いな!」

 ユウシャが笑いながら言う。
 途端に、ルトやユウシャ以外の『輝かしき勇者と仲間たち』のパーティメンバーが、「「「はぁああ!?」」」と非難の声を上げた。

「なんでお前が!」
「普通、ルトとか、モモとか、このイベント発見者が入手すべきだろ!」
「ちょっと、横取りしちゃった感がありませんかね……?」

 僕はそんなに責めなくていいと思うんだけど。
 文句を言われてるユウシャは「悪かったって」と言いながらも、大して気にした様子がないから、フォローしなくてもいっか。

 ユウシャ、ラストアタック成功おめでとう!

 ユウシャを囲んでワイワイしているルトたちをよそに、僕はスラリンたちとグルメ談義。
 宿借蛸パクルオクトの触腕で何を作ろっかな♪

宿借蛸パクルオクトってどんな味なんだろうね?」
「にゃ(イカに似てるにゃ?)」
「ぴぅ(楽しみだね)」
「きゅぃ(美味しかったら、また倒さないとね!)」
「くるる(キュウリ食べたい)」

 とりあえず、レベルアップのお祝いに、ペタにはキュウリの一本漬けをプレゼント。
 すっごく喜んでもらえて、僕も嬉しいよ。

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