もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
484 / 555
11章 夏の海ではしゃいじゃお

446.ぷるぷるを連れて行こう

しおりを挟む
 ただいま西の港に来ておりまーす。正確に言うと、その手前にあるバリケードのところだけど。

「ひぇぇぇ……」

 ぷる君がプルプルしてる。なんか可愛いね。
 あ、異世界の住人NPCの冒険者さんが飛んでくる魚を風魔術で撃ち落とした。カッコいい!
 でも、陸地まで飛んでこられる魚モンスターのバイタリティ凄すぎでは……? ちょっぴり引いちゃったよ。魚、とは?

「行くよー、ラッタン、ぷる君」
「らぴゅ(ごぉごぉ)」

 ラッタンがのほほんと気合いを入れている横で、ぷる君がプルプルしてる……これ、さっきも思ったな。ぷる君、プルプルしすぎじゃない?

「無理です無理です無理ですっ。絶対ここのモンスター、僕より強いでしょう!?」

 プルプルしてるぷる君が、プルルッと身震いして叫んだ。
 ……ちょっと早口言葉を言ってる気分だなぁ。

「なるほど、モモさんはスライムに対してはスパルタ……メモメモ」

 なぜかメモをとってるタマモはさておき。
 僕はぷる君をポンッとタッチする。スラリンと同じくぷるもちな感触で気持ちいい。

「大丈夫だってー。スラリンだって、低レベルの頃から一緒にここで漁をしてたからね。今はイベント期間だから、いつもより強いモンスターが出てくるみたいだけど、それはこのポーションでなんとかなるよ!」

 てっててー、とステータスアップポーションを掲げたら、ぷる君よりも先にタマモが食いついてきた。

「そ、それは、ラッコ印の新アイテム……!?」
「うん。ラッタンが作ったんだよー」
「はわわ……可愛くて調薬もできるなんて、ラッタンたん、優秀すぎでは!?」

 ラッタンたん、というおかしな呼び名に「うん?」と首を傾げたけど、指摘する前にタマモに勢いよく詰め寄られて後退りした。

「お店で売ってくださいますよね!?」
「う、売るよ! 大丈夫、たくさんあるからね」
「ありがとうございますーっ」

 感涙の表情でお礼を叫んだタマモが、掲示板を開いて超速作業を始める。きっとみんなにお知らせしてるんだろう。
 早めに売り出さないと混乱が生じちゃうかもなー。ログアウト前に作業しようっと。

「……なんかよくわかんないですけど、ラッタンさんありがとうございます」
「らぴゅ(うん? ラッたんもよくわかんないけど、どういたしましてぇ)」

 伸ばした体をふにょっと曲げて頭を下げるような仕草をしたぷる君に、ラッタンがきょとんとしてからニコッと笑う。
 ふわふわなコミュニケーションしてる二人が可愛いよー。

 まあ、それはさておき。
 束の間だけ状況を忘れてほのぼのしてるぷる君に、僕はずいっと近寄った。
 レベリング方法をちゃんと伝えておかなくちゃね。

「いい? ぷる君は海に入って、海水ごと敵のモンスターを飲み込むんだよ」
「……うぅん……ちょっと人の意識が邪魔して、できると断言はできないんですけど……とりあえずがんばってみます」
「スラリンを喚んでお手本を見せてあげるからねー」
「それは助かります!」

 ようやく前向きになったぷる君に、ちょっとホッとする。
 さすがに無理強いするのはダメだと思ってたんだよね。

「海水と一緒にモンスターを飲み込んだら、分解して吸収するか、浜辺に吐き出すんだよ。それでモンスターを倒せたら、ちゃんと経験値が入るからね」
「なるほど……面白い仕組みですね」
「うん、たぶんスライム系のモンスターしかできないやり方だよね」

 僕もスラリンが漁を始めた時は驚くやら感心するやら……今はもう慣れて日常みたいになってるけどね!

 なにはともあれ、ぷる君に今後の行動指針を伝えられたから、そろそろ行こうか──と言おうとしたら、ラッタンが『はぁい』と手を挙げているのが見えた。

「ラッタン、どうしたの?」
「らぴゅ(ラッタンも漁するぅ)」
「え……」

 思わぬ宣言を受けて、ちょっと固まる。
 そっか、ラッタンも漁に興味が湧いたのか……僕のテイムモンスターって感じだなぁ。

 ラッタンは水属性だし、それなりに強いし、海水に入っても大丈夫かも? 少なくともぷる君よりは安全に漁をできそうだよね。

「──わかった! ラッタンもスラリンに漁を教えてもらおうねー」
「らぴゅ(スラリン? わかんないけど、がんばるよぉ)」

 首を傾げたラッタンを見て、みんなをまだ紹介してないことを思い出した。
 今日のレベリングが終わったら、屋敷に帰ってみんなと会わせるから楽しみにしててね!

「話がまとまったところで……れっつごー!」
「らぴゅ(ごぉ♪)」
「……プラトン、きます!」

 あれ? ぷる君の宣言に変なルビがついてた気がする? ……まあいっか。

 バリケードに向かって歩き始めたら、そこに集っていた異世界の住人NPC冒険者たちに「お、ウサギたちも防衛に協力してくれるのか?」とか「スライム? よくわかんないけど、旅人プレイヤーならなんでもアリか……」とか歓迎(?)された。

 適当に手を振りながら声に応えて、よいしょっとバリケードを乗り越える。
 不意打ちで襲ってきたモンスターは異世界の住人NPCの冒険者が倒してくれた。
 ありがとー。おかげでぷる君が足を止めずに済んだよ。

「【風の玉ウィンドボール】」
「らぴゅ(水矢アクアロー)」
「よいしょっと」

 いい感じのところに着くまでは、僕が風魔術や蹴り技を放ち、ラッタンに指示を出して攻撃させ、タマモが見事な体術を披露して、ぷる君を守りながら進んだ。

 ぷる君はプルプルと体を震わせてビビりながらもちゃんと着いてきてる。ここまで来たら離れる方が怖いって考えてる気もするけど。

 海からのモンスターを倒して、イベントアイテムをザクザクと獲得中。
 海中窟ダンジョンでも入手できたし、結構溜まってきたなー。どんなアイテムと交換できるのか、後で確かめておこうっと。

「この辺でよさそうだね。【召喚】スラリン!」

 浜辺まで歩いてきたところで立ち止まる。
 スラリンを召喚して、漁の準備は万全だよ!

「──レッツ、スライム漁!」
「きゅぃ(わーい、漁だー!)」
「らぴゅ(ラッたんも漁するんだよぉ)」
「えぇー……」

 ぷる君がぷるぷる震えてる。
 強くなるためには挑戦あるのみだよ。ふぁいとー!

しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。