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12章 美味しいもの大好き!
486.モンちゃんと話そう♪
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お土産を準備して、ラッタンと共に『突撃! モンちゃん家』を決行した。
いつも通り、家の前でいい子にご挨拶から始めるよー。
「モンちゃーん! こんちゃー! モモだよー!」
開け放たれた玄関で、家の中に向かって叫ぶ。
隣にいるラッタンが、きょとんとした感じで首を傾げてから、僕を真似て手でメガホンの形を作った。
「らっぴゅー(こんちゃあ! ラッたんだよぉ!)」
花丸満点のご挨拶です。モンちゃんには言葉が伝わらないけど。
僕がラッタンを「いい子だねー」と撫でている間に、廊下をドシドシと音を立てて近づいてきたモンちゃんが、「うるっせー!」と叫んだ。
そのまま、僕を指し、文句を言おうとしたのか大きく口を開け──固まる。
「…………は?」
モンちゃんの指がラッタンに向けられた。
目を瞬かせて驚くモンちゃんに、僕はえっへんと胸を張る。
「新しい仲間を紹介に来たよ。水獺竜のラッタンです!」
「らぴゅ(ラッたんって呼んでねぇ)」
ニコニコと微笑む僕たちを交互に眺め、モンちゃんは次第に毒気を抜かれた感じで肩を落とした。
「……当たり前な感じで超レア種をつれてくるなよ。いや、でも、これがモモだな……」
さすが世界一のテイマーと言われるモンちゃんだ。ちゃんと水獺竜を知っていたらしい。
詳しい説明はいらなそうだなー。楽できてよかったー。
「中入れてー。お土産持ってきたよ!」
ラッピングした箱を見せる。
今日はこだわってウサギ柄の包装紙を使ったんだ。目で見て楽しめていいでしょ。
「……変なもんじゃないだろうな?」
なぜか疑われた。失礼だな、プンプン。
確かに、前に食べたら綺麗になってキラキラする桃をプレゼントしたことはあったけど、あれは結構いいアイテムだったでしょ。
「美味しいものだよ?」
「そうかよ……ほら、あがれ。ここで帰したら、レアナに怒られる」
頭が痛そうな顔をしながらも、家の中に招いてくれたモンちゃんの後に続く。
いつも通りの応接間に通されて、ニコニコ顔のレアナさんがお茶とお菓子を持ってきてくれた。
今日は緑茶と練り切り。紅葉の形の練り切りが風流だ。
「ほあー、綺麗だねぇ」
「らぴゅ(丸くなぃ……)」
ラッタンはちょっとご不満なようだ。
どうしてそんなに丸いものにこだわるんだろうね?
「あー、そっちの子にはこれがいいだろ」
モンちゃんがラッタンを見て何かを取り出した。
お皿に載っているのは、丸くて青いお饅頭のようなもの。
「らぴゅっ(美味しそぅ!)」
ラッタンの目がキラキラしてる。食いつきが凄い。
「それ、なぁに?」
「モンスフード(海鮮)だな」
「……それ、なぁに?」
疑問を繰り返した僕を、モンちゃんが驚きに満ちた目で見下ろす。ちょっと引いてない?
「えっ、お前、テイマーのくせに、モンスフードを知らないのか……?」
「テイマーの師匠が教えてくれてないんだから、知るわけないでしょー! 僕のせいじゃないよ!」
そんなに当然の知識だったら、最初に教えてほしいな!
僕が頬を膨らませて「プンプン!」と言うと、モンちゃんは「いや、それ、声に出して言うのかよ」とツッコミを入れた。
レアナさんがクスクスと笑う。
僕たちのこんなやり取りを、レアナさんは前から気に入ってくれてるからね。
『モンちゃんモモちゃんコンビ』の一番のファンはレアナさんだ。これからも応援よろしくねー。
「普通はテイマーと交流してたら自然と知ることなんだけどなぁ。つーか、お前、テイマー講習に全然来てないよな」
「ギクッ……」
思い当たる節がありすぎて、僕はソッと目を逸らした。
モンちゃんが行っているテイマー講習には一回しか参加したことがない。
やりたいことが多すぎて、優先順位が後回しになっちゃうんだもんー。
楽しいことをたくさん用意してる運営さんのせいだね!
なんて他人のせいにして開き直る僕に、モンちゃんがため息をついてジトッとした目を向けてきた。
「その感じじゃ今後も来る気ないな? どうせ、テイマーレベルも全然上がらなくなってるんだろ」
「なんでわかったのー?」
テイマーレベルは3になってから、暫く変わってない。
そのせいで、今は新たにモンスターをテイムすることができない状態だ。
「テイマーレベルを上げる経験値には、テイマーとしての知識も加算されるからな。テイムモンスターの指揮だけじゃ、経験値が足りねぇよ」
「それも、早く教えてほしかった!」
なんで後出しなの!?
むぅ、と拗ねる僕に、モンちゃんはどうしようもない弟子を見るような目を向けながら「だから、講習に来いって最初に言っただろ」と告げた。
そうだけど、そうなんだけど、重要なことは、ちゃんと言ってほしいな!
……まあ、次の機会に、講習には行きます!
「しかたねぇから教えるけど。モンスフードは大まかな属性毎に好みの調合をした食べ物だ。これは主に海鮮を素材にしてあるモンスフードで、海に住んでる水属性のモンスターに好まれる」
モンちゃんが説明をしながら、改めてモンスフード(海鮮)をラッタンに差し出す。
「らぴゅ(食べていいのぉ?)」
「いいよー。待てができるようになったの、偉いねー」
僕をチラッと伺うラッタンに許可を出すと、嬉しそうに頬張った。
最初の頃は食べ物じゃないものまで、すぐさま口に入れてたから、成長が窺えて嬉しい。毎回注意していた甲斐があったよ。
子育てって大変だなぁ、って実感したんだよね。
「へぇ、いい感じに絆ができてるんだな」
「でしょ!」
モンちゃんに褒められて胸を張る。
僕とラッタンは仲良しです!
「ああ。水獺竜はとりあえずなんでも食おうとするモンスターだからな。指示されたからって、すぐにそれをやめることもない」
「あ、それ、種族的な性質だったんだ?」
追加の説明に納得して、ちょっとホッとした。
僕の食い意地がラッタンにも移っちゃったのかな、って思ってたんだよね。
「おう。言い伝えだと、昔、水獺竜は島を呑み込んだこともあるらしいぞ」
「……なんでも、の範囲が広すぎない!?」
ギョッとして固まる僕を見て、モンちゃんがハハッと乾いた笑みを浮かべる。
モンちゃんも僕と同じ感想を持っていたらしい。
水獺竜の食い意地、恐るべし……!
いつも通り、家の前でいい子にご挨拶から始めるよー。
「モンちゃーん! こんちゃー! モモだよー!」
開け放たれた玄関で、家の中に向かって叫ぶ。
隣にいるラッタンが、きょとんとした感じで首を傾げてから、僕を真似て手でメガホンの形を作った。
「らっぴゅー(こんちゃあ! ラッたんだよぉ!)」
花丸満点のご挨拶です。モンちゃんには言葉が伝わらないけど。
僕がラッタンを「いい子だねー」と撫でている間に、廊下をドシドシと音を立てて近づいてきたモンちゃんが、「うるっせー!」と叫んだ。
そのまま、僕を指し、文句を言おうとしたのか大きく口を開け──固まる。
「…………は?」
モンちゃんの指がラッタンに向けられた。
目を瞬かせて驚くモンちゃんに、僕はえっへんと胸を張る。
「新しい仲間を紹介に来たよ。水獺竜のラッタンです!」
「らぴゅ(ラッたんって呼んでねぇ)」
ニコニコと微笑む僕たちを交互に眺め、モンちゃんは次第に毒気を抜かれた感じで肩を落とした。
「……当たり前な感じで超レア種をつれてくるなよ。いや、でも、これがモモだな……」
さすが世界一のテイマーと言われるモンちゃんだ。ちゃんと水獺竜を知っていたらしい。
詳しい説明はいらなそうだなー。楽できてよかったー。
「中入れてー。お土産持ってきたよ!」
ラッピングした箱を見せる。
今日はこだわってウサギ柄の包装紙を使ったんだ。目で見て楽しめていいでしょ。
「……変なもんじゃないだろうな?」
なぜか疑われた。失礼だな、プンプン。
確かに、前に食べたら綺麗になってキラキラする桃をプレゼントしたことはあったけど、あれは結構いいアイテムだったでしょ。
「美味しいものだよ?」
「そうかよ……ほら、あがれ。ここで帰したら、レアナに怒られる」
頭が痛そうな顔をしながらも、家の中に招いてくれたモンちゃんの後に続く。
いつも通りの応接間に通されて、ニコニコ顔のレアナさんがお茶とお菓子を持ってきてくれた。
今日は緑茶と練り切り。紅葉の形の練り切りが風流だ。
「ほあー、綺麗だねぇ」
「らぴゅ(丸くなぃ……)」
ラッタンはちょっとご不満なようだ。
どうしてそんなに丸いものにこだわるんだろうね?
「あー、そっちの子にはこれがいいだろ」
モンちゃんがラッタンを見て何かを取り出した。
お皿に載っているのは、丸くて青いお饅頭のようなもの。
「らぴゅっ(美味しそぅ!)」
ラッタンの目がキラキラしてる。食いつきが凄い。
「それ、なぁに?」
「モンスフード(海鮮)だな」
「……それ、なぁに?」
疑問を繰り返した僕を、モンちゃんが驚きに満ちた目で見下ろす。ちょっと引いてない?
「えっ、お前、テイマーのくせに、モンスフードを知らないのか……?」
「テイマーの師匠が教えてくれてないんだから、知るわけないでしょー! 僕のせいじゃないよ!」
そんなに当然の知識だったら、最初に教えてほしいな!
僕が頬を膨らませて「プンプン!」と言うと、モンちゃんは「いや、それ、声に出して言うのかよ」とツッコミを入れた。
レアナさんがクスクスと笑う。
僕たちのこんなやり取りを、レアナさんは前から気に入ってくれてるからね。
『モンちゃんモモちゃんコンビ』の一番のファンはレアナさんだ。これからも応援よろしくねー。
「普通はテイマーと交流してたら自然と知ることなんだけどなぁ。つーか、お前、テイマー講習に全然来てないよな」
「ギクッ……」
思い当たる節がありすぎて、僕はソッと目を逸らした。
モンちゃんが行っているテイマー講習には一回しか参加したことがない。
やりたいことが多すぎて、優先順位が後回しになっちゃうんだもんー。
楽しいことをたくさん用意してる運営さんのせいだね!
なんて他人のせいにして開き直る僕に、モンちゃんがため息をついてジトッとした目を向けてきた。
「その感じじゃ今後も来る気ないな? どうせ、テイマーレベルも全然上がらなくなってるんだろ」
「なんでわかったのー?」
テイマーレベルは3になってから、暫く変わってない。
そのせいで、今は新たにモンスターをテイムすることができない状態だ。
「テイマーレベルを上げる経験値には、テイマーとしての知識も加算されるからな。テイムモンスターの指揮だけじゃ、経験値が足りねぇよ」
「それも、早く教えてほしかった!」
なんで後出しなの!?
むぅ、と拗ねる僕に、モンちゃんはどうしようもない弟子を見るような目を向けながら「だから、講習に来いって最初に言っただろ」と告げた。
そうだけど、そうなんだけど、重要なことは、ちゃんと言ってほしいな!
……まあ、次の機会に、講習には行きます!
「しかたねぇから教えるけど。モンスフードは大まかな属性毎に好みの調合をした食べ物だ。これは主に海鮮を素材にしてあるモンスフードで、海に住んでる水属性のモンスターに好まれる」
モンちゃんが説明をしながら、改めてモンスフード(海鮮)をラッタンに差し出す。
「らぴゅ(食べていいのぉ?)」
「いいよー。待てができるようになったの、偉いねー」
僕をチラッと伺うラッタンに許可を出すと、嬉しそうに頬張った。
最初の頃は食べ物じゃないものまで、すぐさま口に入れてたから、成長が窺えて嬉しい。毎回注意していた甲斐があったよ。
子育てって大変だなぁ、って実感したんだよね。
「へぇ、いい感じに絆ができてるんだな」
「でしょ!」
モンちゃんに褒められて胸を張る。
僕とラッタンは仲良しです!
「ああ。水獺竜はとりあえずなんでも食おうとするモンスターだからな。指示されたからって、すぐにそれをやめることもない」
「あ、それ、種族的な性質だったんだ?」
追加の説明に納得して、ちょっとホッとした。
僕の食い意地がラッタンにも移っちゃったのかな、って思ってたんだよね。
「おう。言い伝えだと、昔、水獺竜は島を呑み込んだこともあるらしいぞ」
「……なんでも、の範囲が広すぎない!?」
ギョッとして固まる僕を見て、モンちゃんがハハッと乾いた笑みを浮かべる。
モンちゃんも僕と同じ感想を持っていたらしい。
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