もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
533 / 661
12章 美味しいもの大好き!

487.ガラスは取り扱い注意

 驚きの水獺竜アクアラッコーリュ情報はおいといて。
 僕は「はいどーぞ」とお土産を差し出した。

 ウサギ柄の包装に包まれたそれを、レアナさんが「ありがとう」とにこやかに受け取る。

 モンちゃんは何故か爆発物でも見るかのような、警戒心に満ちた目で凝視していた。
 失礼だなぁ。ちゃんと美味しいものなのに。

「可愛らしいわね」
「見た目と中身のギャップがヤバいパターンだろ。コイツそっくり」
「モンちゃん、それ、どういう意味!? 僕の見た目と中身のギャップがヤバいみたいな言い方しないでよー」

 プンプン、と怒って僕が抗議すると、モンちゃんに半眼で見据えられた。

「……自覚ないのか」
「なんのこと??」

 じっと見つめ合う僕とモンちゃんを、レアナさんが微笑ましげに見比べる。

「ふふっ、楽しそうね、二人とも。仲がいいのは素敵なことよ」
「仲良くねーよ」
「うん、僕たち仲良し!」

 同じタイミングで正反対のことを言った僕たちに、レアナさんは「やっぱり気が合うのね」とクスクス笑った。

 モンちゃんはそっぽを向く。
 重ねて否定しないってことは、実は仲がいいことを認めてるんだ。モンちゃんって素直じゃないよねぇ。

「……ニヤニヤ笑ってんなよ、ウサギ」
「そんな変な笑い方してないもん! それと、僕のことウサギって呼ばないで。モモだよ!」
「知ってる。ウサギ」
「わかってないじゃんー!」

 ペシペシと机を叩いて僕が抗議したら、モンスフードを食べ終えたラッタンが楽しそうに真似をした。

「らっぴゅ、らぴゅぴゅー(ぺし、ぺし、ぺしぃ♪)」

 可愛い。
 僕の曲『もふもふプリティ』のリズムと似た叩き方なのは、最近レコーディングしてたくさん歌ったからかな。
 覚えが早くて、応用力あるなんて、ラッタン優秀!

「すげぇ親バカな気配を感じた……」
「もふもふはすべからく可愛いからしかたないね」
「開き直ってんじゃねーよ。あと、可愛いのはもふもふだけじゃなくて、全モンスだ。敵意がなけりゃ、すべからく尊ぶべし」
「もふもふ至上主義を超える、だと……!?」

 さすが世界一のテイマーのモンちゃん。全モンスター推しで、一番好きなのは王鮪キングマグロというだけある。
 正直、その好みはわりと変人の域に入ってると、僕は密かに思ってます。

「不本意なことを考えられている気がする……」
「モンちゃんって察しが良すぎるところあるよね」
「それ、自白してるよな? ぁあ? お前、なに考えた?」

 モンちゃんが凄んで言うけど、僕が「てへぺろっ」とお茶目に返したら、脱力した感じで目を逸らした。
 多少の苛立ちを感じていたとしても、全モンスター推しのモンちゃんは、僕のもふもふパワーが通用するのだ。もふもふの効果はバツグンだぁ。

「らぴゅ(てへぺろぉ)」

 ラッタンが僕を真似て、テヘッと笑いながら舌をチョロッと出した。
 思わず、僕はモンちゃんと真顔で見つめ合う。

「僕の真似っ子なラッタン、可愛すぎない!?」
「……異議なし」

 モンちゃんと意見の一致を得ました。握手。

「あら……綿菓子?」

 マイペースにお土産の包装を開けたレアナさんが、中を見て楽しそうに呟く。
 モンちゃんは「綿菓子?」と不思議そうに復唱しながら横から覗き込んだ。

「そうだよ。お土産は綿菓子なんだ~。僕のもふもふさを表現しました!」

 えっへん、と胸を張って言う。
 お土産はウサギの形をした綿菓子。丸い玉にうさ耳が付いてる感じの形なんだよ。
 しかも、こだわったのは可愛い見た目だけじゃない。実はふわふわの綿菓子の中には驚きが隠れてるんだ。

「へぇ、こんなもん作るなんて器用だな」

 手のひら大の綿菓子を眺めてから、モンちゃんがカプッと耳から食べる。

「ああ……そこから食べたら、残るのはただの丸い玉……」

 ウサギ要素がなくなったことを僕が大げさに嘆くと、モンちゃんは「ウサギの頭を齧ってるように見える方がグロくないか?」と、ご尤もなことを言った。

「まあ、中から星が出てきたわ」

 耳を残して顔面から食べるという大胆な食べ方をしたレアナさんが、綿菓子の真ん中に詰め込まれた星型のクッキーに目を輝かせる。

 そのクッキー、すごくホロホロで美味しいんだよー。綿菓子で甘くなった口をちょっと和らげてくれる絶妙な甘さに調整してあるし。

「……俺のはハートだ」
「僕の想いをたっぷり込めました♡」
「気色悪いな」

 茶目っ気を出して手でハートマークを作って言ったのに、返ってきたのは冷たい言葉。
 僕はとっても傷つきました。

「悪口が端的すぎてひどい。僕のガラスのハートにヒビが入りました。慰謝料を要求します」
「ガラス? オリハルコン製じゃね?」

 モンちゃんに心底不思議そうな顔をされた。

「誰が、世界で最も硬い金属製の心の持ち主じゃい! 怒りのあまりキャラ変しちゃうぞ、こんにゃろー!」

 ちなみに、幻の金属といわれるオリハルコンは、この世界では最も硬い金属として、高値で取り扱われているらしい。まだ、僕が行けるフィールド上では採集できないよ。

「このクッキー、ホロホロで、口に入れたら溶けてなくなるような食感が面白いわね。味も甘すぎなくて美味しいわ」
「レアナさん、超マイペース……でも、褒めてくれてありがとう」

 僕たちのやり取りをスルーしてお菓子を楽しんでくれているレアナさんに、すごく慣れを感じた。
 こうして僕の周りの人たちは、僕に染まっていくんだね。

「らぴゅ(ラッたんも、モモのハート欲しぃ)」
「たくさんあげるよ!」

 ラッタンにハートクッキーをたくさん渡した。
 僕のハートを欲しがるラッタン、可愛すぎる。

「らぴゅ(【頬張る】よぉ)」
「あれ? 今、スキル使った?」

 パクッとハートクッキーを食べたラッタンが、頬を両手で押さえて「らぴゅ(うままぁ)」と幸せそうな顔をする。
 可愛いなぁ──じゃなくて、なんで今スキル使ったの??

 キョトンとする僕の前で、ラッタンが脇にズボッと手を突っ込み、何かを取り出した。

「らぴゅ(なんかできたぁ。あげるぅ)」
「ありがとう?」

 首を傾げながら受け取る。
 もらったのは透明なハート型の石だ。

——————
硝子の心ブロークンハート】レア度☆☆☆
 ハートの形をした透明な石
 敵に投げると、精神力を5下げる
——————

 なんでこれをくれたの?
 あと、アイテム名のルビがひどい。ガラスのハートがもう壊れちゃってるじゃん!

「ぶっは!」
「モンちゃん、笑いすぎー!」

 呆然としてたら、モンちゃんに爆笑された。
 ラッタンは「らぴゅ(どうしたのぉ?)」と不思議そう。
 狙ってやったことじゃないだろうから、怒れないぞ……。

「ぴえん」

 しょぼんとしながら、紅葉の形の練り切りを大胆に切って口に放り込んだ。
 あんこ美味しいナァ……。優しい甘みが心に沁みる気がするよ。

感想 3,053

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?

シエル
恋愛
「彼を解放してください!」 友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。 「どなたかしら?」 なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう? まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ? どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。 「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが? ※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界 ※ ご都合主義です。 ※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される

木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。 婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。 やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。 「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

畑の隣にダンジョンが生えたので、農家兼ダンチューバーになることにした件について〜隠れ最強の元エリート、今日も野菜を育てながら配信中〜

グリゴリ
ファンタジー
 木嶋蒼、35歳。表向きは田舎で農業を始めて1年目の、どこにでもいる素朴な農家だ。しかし実態は、内閣直轄の超エリート組織・ダンジョン対策庁において「特総(特別総括官)」という非公開の最高職を務める、日本最高峰の実力者である。その事実を知る者は内閣総理大臣を含む極少数のみ。家族でさえ、蒼が対策庁を早々に退庁したと信じて疑わない。  SSSランクのテイムスキルと攻撃スキル、SSランクの支援スキルと農業スキルを18歳時に鑑定され、誰もが「化け物」と称えたその実力を、蒼は今日も畑仕事に注ぎ込んでいる。農作物の品質は驚異的に高く、毎日の収穫が静かな喜びだ。少し抜けているところはあるが、それもご愛嬌——と思っていた矢先、農業開始から1年が経ったある朝、異変が起きた。  祖父母の旧宅に隣接する納屋の床に、漆黒に金の縁取りをしたゲートリングが突如出現したのだ。通常の探索者には認識すらできないそれは、蒼だけが見えるシークレットプライベートダンジョン——後に「蒼天の根」と呼ばれることになる、全100階層の特異空間だった。  恐る恐る潜ったダンジョンの第1層で、蒼は虹色に輝くベビースライム「ソル」と出会い、即座に従魔として契約。さらに探索を進める中でベビードラゴンの「ルナ」、神狼種のベビーシルバーウルフ「クロ」を仲間に加えていく。そしてダンジョン初潜入の最中、蒼の体内に「究極進化システム」が覚醒する。ダンジョン内の素材をエボリューションポイント・ショップポイント・現金へと変換し、自身や従魔、親しい者を際限なく強化・進化させるこのシステムは、ガチャ機能・ショップ機能・タスク機能まで備えた、あまりにもチートじみた代物だった。  蒼は決める。「せっかくだから配信もしよう」と。農家兼ダンチューバーという前代未聞のスタイルで探索者ライセンスを取得し、「農家のダンジョン攻略配信」を開始した彼の動画はじわじわと注目を集め始める。  そんな中、隣のダンジョンの取材にやってきたのが、C級探索者ライセンスを持つ美人記者兼ダンチューバー・藤宮詩織だった。国際探索者協会の超エリート一家に生まれながら自らの道を切り開いてきた彼女は、蒼の「農家なのになぜかとても強い」という矛盾に鋭い鑑定眼を向ける。  隠れ最強の農家配信者と、本質を見抜く美人記者。チート級の従魔たちが賑やかに囲む日常の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。ダンジョン攻略・農業・配信・ガチャ・そして予期せぬ大事件——波乱と笑いと感動が交錯する、最強農家の新米配信者ライフが、今幕を開ける。

死にたくないので、今世は「悪女」の看板を下ろして「聖女」の利権を奪い尽くします

あめとおと
恋愛
「死に様なら、もう八通りも見てきたわ」 公爵令嬢レオノーラは、義妹ミアを「聖女」として引き立てるための「悪役」として、九回の人生をループしてきた。 どれほど善人に振る舞おうと、どれほど婚約者の王太子に縋ろうと、最後は常に処刑台か追放。 すべては、周囲の好感度を強制的に書き換えるミアの「偽りの奇跡」のせいだった。 十度目の十六歳。 累計八十年の人生を経験し、精神年齢も魔導知識も「枯れた」域に達したレオノーラは、ついに決意する。 「いい子を演じるのは、もう飽きたわ。今世は悪役令嬢らしく、あなたの『幸運』をすべて奪い尽くしてあげる」 ミアが手に入れるはずだった【癒やしの聖杯】を先回りして献上し、 ミアの信奉者になるはずだった【最強の騎士団長】を魔導の力で救済して味方につけ、 王太子との「思い出の場所」を物理的に整地してバラ園に変える。 「あら、殿下。ゴミ(思い出)を片付けて何が悪いのかしら?」 冷徹に、そして優雅に「ざまぁ」を完遂していくレオノーラ。 そんな彼女の前に、前世では「死神」と恐れられた隣国の皇帝ギルバートが現れる。 彼は、聖女の補正が効かない唯一の男。そして、誰よりも重すぎる独占欲を抱えた男だった――。 「君は世界を奪え。私は、そんな君を奪うとしよう」 これは、九回殺された悪役令嬢が、十回目で「真の幸福」と「最強の地位」を力ずくでもぎ取る、逆転無双の物語。 【全10話+後日談 完結まで投稿済 最終投稿は3/27】