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4章 錬金術士だよ?
130.もふもふと戯れます
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一階におりて受付さんに聞いてみたら、仮想施設の機能について改めて説明された。
効率的に鍛えられるのは、指定したスキルだけ。でも、内部で使った他のスキルも、通常と同様の経験値が入るらしい。
「――なーるほど。ということは気配察知はたまたまレベルが上がるのが近かったから、ってことだね」
「その可能性が高いですね」
にこやかに頷く受付さんに、説明してくれたお礼を言う。
飛翔スキルもたくさん使ったけど、こっちはまだレベルアップしないみたいだなぁ。便利だし、早く上げたい。
「明日になったら、また仮想施設で訓練できるんだよね?」
「そうですね。あと三十分ほどすれば、明日分の訓練が可能ですよ」
受付さんがちらりと時計を見てから答えた。
もうすぐ朝になるもんね。でも、あと三十分かー。ここで待ってるのは、時間がもったいないし、どうしようかな。
「……あ、今日は青乳牛のお世話に行ってないや。夜だけどいるかな」
ふと思いつき、牧場に向かうことにした。
青乳牛を毛繕いしてもらえる長毛は、錬金術の素材になる。それで作れる青乳牛のお守りは、敵の攻撃を一回無効化する効果があるから、迷彩小竜を倒す時に必須のアイテムだ。
地道に長毛を集めて、迷彩小竜とのバトルに備えないとね。
受付さんと一旦別れて、街を飛んでいく。建物の上を進んだら、道をショートカットできて早く着くんだ。
「……おっと、ここだ」
勢いがありすぎて牧場を通り過ぎそうになり、飛びながらたたらを踏むような仕草をしちゃった。なんの効果もないんだけど。
「青乳牛くーん、おやすみかなー?」
牧草で覆われた広場に青乳牛の姿はない。時間帯的には深夜だから当然かも。でも、せっかく来たのに残念だなぁ。
そう思いながら、牧草地の奥にある、ほのかに明かりが漏れてる建物に向かってみる。立ち入り許可をもらってないけど、牧場主のスパルくんは友だちだし、きっと許してくれるよね。
「あ、いた!」
「モー」
建物は厩舎だった。たくさんの青乳牛が、牧草を食べたり身を横たえたりして自由に過ごしてる。
僕を見ても、みんなのんびりとしたままだ。何度もお世話しに来てるから、慣れてくれてるんだろうな。
中に入ろうとしたら、ポーンと音がした。
〈この先は『青乳牛の休憩所』です。好感度が50%に満たない場合、攻撃されて大きなダメージを負う可能性があります〉
こんなアナウンス、初めて聞いた。ここは一応街中の範囲だけど、ダメージを負うんだね。
じっと青乳牛を眺めたら、その近くに看板があることに気づいた。
「えっと……レベル50……?」
思わずぎょっとする。他の看板にも57とか、65とか書かれてた。
これはもしかして青乳牛たちのレベルなのかな。
「――強すぎでしょ!」
僕の倍以上のレベルって、攻撃されたらダメージが大きすぎる。青乳牛たち、どうしてこんなに高レベルなの? この子たちを飼ってるスパルくん、実はすごく強い……?
「モー?」
「いや、うん……僕を攻撃しないでね?」
近くにいた青乳牛が『どうしたの?』と尋ねるように顔を覗き込んできたので、ちょっとたじろぎながらもお願いしてみる。
目を細めて『モゥ』と鳴き返してくれたので、僕のお願いは受け入れられたと考えて良さそう。
「――毛繕いしていい?」
「モーモー」
尋ねたら、嬉しそうに鳴きながら近づいてきた。歓迎されてるっぽい。
他の青乳牛たちも近づいてきたので、手際よく毛繕いスキルを使っていく。長毛たくさんだー!
「わわっ、押さないでー」
夢中で毛繕いしてたら、いつの間にか厩舎の奥まで入っちゃって、青乳牛に囲まれてた。
舐められるのはノーセンキュー! 僕の毛繕いは自分でできるから、もしゃもしゃしないでほしいな。
「……騒がしいと思ったら」
ふと人の声が聞こえた。僕の周りに押しかけてきてた青乳牛の何体かが、ふらりと声の主の方へ向かっていく。
「スパルくん! お騒がせしてごめん!」
「こんな朝っぱらからカーたちの世話してんの? 物好きだなぁ」
近づいてきたのはスパルくんだった。呆れた顔をしてる。
「朝?」
「数分前に朝になったぞ」
気づいたら厩舎の外が明るくなってきてた。次の日が始まったんだ。
ということは、毛繕いの一日上限数がリセットされてる? また長毛をもらえちゃう?
試しに近くの青乳牛――すでに毛繕いをしても長毛をくれなくなってた子――に毛繕いスキルを使ってみる。
「……またもらえた!」
長毛をもらえて歓声をあげちゃった。周囲の青乳牛たちが『また毛繕いしてくれるの?』と言う感じで、順番待ちを始める。
「また一体ずつお世話していくから待っててねー」
るんるん、としながら順に毛繕いしていく。今回もらった分だけで、たくさんの青乳牛のお守りを作れそうだ。ルトたち喜んでくれるだろうな。
「とんでもない物好き……」
青乳牛たちに餌やりを始めたスパルくんが呆れたように呟くのが聞こえた。
レア素材を入手できて嬉しいから、そんなことを言われても全然気にならない。
〈行動蓄積により、称号【世話焼き】を獲得しました〉
「ふぁっ!?」
「っ、急になんだよ!?」
スパルくんを驚かせちゃってごめん! でも、急に称号をもらったら、さすがにびっくりしちゃうんだよ!
効率的に鍛えられるのは、指定したスキルだけ。でも、内部で使った他のスキルも、通常と同様の経験値が入るらしい。
「――なーるほど。ということは気配察知はたまたまレベルが上がるのが近かったから、ってことだね」
「その可能性が高いですね」
にこやかに頷く受付さんに、説明してくれたお礼を言う。
飛翔スキルもたくさん使ったけど、こっちはまだレベルアップしないみたいだなぁ。便利だし、早く上げたい。
「明日になったら、また仮想施設で訓練できるんだよね?」
「そうですね。あと三十分ほどすれば、明日分の訓練が可能ですよ」
受付さんがちらりと時計を見てから答えた。
もうすぐ朝になるもんね。でも、あと三十分かー。ここで待ってるのは、時間がもったいないし、どうしようかな。
「……あ、今日は青乳牛のお世話に行ってないや。夜だけどいるかな」
ふと思いつき、牧場に向かうことにした。
青乳牛を毛繕いしてもらえる長毛は、錬金術の素材になる。それで作れる青乳牛のお守りは、敵の攻撃を一回無効化する効果があるから、迷彩小竜を倒す時に必須のアイテムだ。
地道に長毛を集めて、迷彩小竜とのバトルに備えないとね。
受付さんと一旦別れて、街を飛んでいく。建物の上を進んだら、道をショートカットできて早く着くんだ。
「……おっと、ここだ」
勢いがありすぎて牧場を通り過ぎそうになり、飛びながらたたらを踏むような仕草をしちゃった。なんの効果もないんだけど。
「青乳牛くーん、おやすみかなー?」
牧草で覆われた広場に青乳牛の姿はない。時間帯的には深夜だから当然かも。でも、せっかく来たのに残念だなぁ。
そう思いながら、牧草地の奥にある、ほのかに明かりが漏れてる建物に向かってみる。立ち入り許可をもらってないけど、牧場主のスパルくんは友だちだし、きっと許してくれるよね。
「あ、いた!」
「モー」
建物は厩舎だった。たくさんの青乳牛が、牧草を食べたり身を横たえたりして自由に過ごしてる。
僕を見ても、みんなのんびりとしたままだ。何度もお世話しに来てるから、慣れてくれてるんだろうな。
中に入ろうとしたら、ポーンと音がした。
〈この先は『青乳牛の休憩所』です。好感度が50%に満たない場合、攻撃されて大きなダメージを負う可能性があります〉
こんなアナウンス、初めて聞いた。ここは一応街中の範囲だけど、ダメージを負うんだね。
じっと青乳牛を眺めたら、その近くに看板があることに気づいた。
「えっと……レベル50……?」
思わずぎょっとする。他の看板にも57とか、65とか書かれてた。
これはもしかして青乳牛たちのレベルなのかな。
「――強すぎでしょ!」
僕の倍以上のレベルって、攻撃されたらダメージが大きすぎる。青乳牛たち、どうしてこんなに高レベルなの? この子たちを飼ってるスパルくん、実はすごく強い……?
「モー?」
「いや、うん……僕を攻撃しないでね?」
近くにいた青乳牛が『どうしたの?』と尋ねるように顔を覗き込んできたので、ちょっとたじろぎながらもお願いしてみる。
目を細めて『モゥ』と鳴き返してくれたので、僕のお願いは受け入れられたと考えて良さそう。
「――毛繕いしていい?」
「モーモー」
尋ねたら、嬉しそうに鳴きながら近づいてきた。歓迎されてるっぽい。
他の青乳牛たちも近づいてきたので、手際よく毛繕いスキルを使っていく。長毛たくさんだー!
「わわっ、押さないでー」
夢中で毛繕いしてたら、いつの間にか厩舎の奥まで入っちゃって、青乳牛に囲まれてた。
舐められるのはノーセンキュー! 僕の毛繕いは自分でできるから、もしゃもしゃしないでほしいな。
「……騒がしいと思ったら」
ふと人の声が聞こえた。僕の周りに押しかけてきてた青乳牛の何体かが、ふらりと声の主の方へ向かっていく。
「スパルくん! お騒がせしてごめん!」
「こんな朝っぱらからカーたちの世話してんの? 物好きだなぁ」
近づいてきたのはスパルくんだった。呆れた顔をしてる。
「朝?」
「数分前に朝になったぞ」
気づいたら厩舎の外が明るくなってきてた。次の日が始まったんだ。
ということは、毛繕いの一日上限数がリセットされてる? また長毛をもらえちゃう?
試しに近くの青乳牛――すでに毛繕いをしても長毛をくれなくなってた子――に毛繕いスキルを使ってみる。
「……またもらえた!」
長毛をもらえて歓声をあげちゃった。周囲の青乳牛たちが『また毛繕いしてくれるの?』と言う感じで、順番待ちを始める。
「また一体ずつお世話していくから待っててねー」
るんるん、としながら順に毛繕いしていく。今回もらった分だけで、たくさんの青乳牛のお守りを作れそうだ。ルトたち喜んでくれるだろうな。
「とんでもない物好き……」
青乳牛たちに餌やりを始めたスパルくんが呆れたように呟くのが聞こえた。
レア素材を入手できて嬉しいから、そんなことを言われても全然気にならない。
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