もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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5章 もふもふいっぱい?

174.えすおーえす、来た?

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 目的の二体を探し歩いたけど、全然出会えない。
 レア度の高い白翠獅子ヴェールオンはともかく、星栗鼠ターゲアルが見つからないのはなんで? 普通に出会えるって資料に書いてあったよ?

「もしかして、僕が嫌われてる!?」

 会ったこともないのに、嫌われる要素あるかな? もしかしてリスはウサギがお嫌い?

 ……こんな時こそ――。

「じゃじゃじゃーん! 猫着ぐるみパジャマ! だにゃー」

 前にリリに作ってもらった衣装を着る。
 僕はウサギじゃなくてネコだにゃー。リスくん、怖がらずに出ておいでにゃー。

 ウサギの矜持を捨ててネコになりきったおかげか、近くの木で動くモンスターを発見!

「――って、君はお呼びじゃない! ドロップアイテムは欲しいけど!」

 いたのは【笑化猫スマイリーキャット】だった。イベントモンスターだよ。

 これまでに何度も倒してて、ドロップアイテムをたくさんくれるのはありがたいんだけど、素早く移動するからゴムゴムトラップで捕らえにくくて、相手するのが大変なんだよぉ。

「にゃぁ?」
「その笑顔がバカにしてるように見えるぅ!」

 常に笑ってるように見える笑化猫スマイリーキャット。ゴムゴムトラップを避ける度に僕をあざ笑ってるように見えて、ムカーッとなっちゃう。
 こんにゃろ、絶対倒してやるー!

「にゃぁ~」
「僕に本当のネコの鳴き方教えるって? どうせ僕は猫を被ったウサギだよっ」

 二つの意味で猫を被ってるよ。指摘されなくてもわかってるから!

 ゴムゴムトラップを投げまくってなんとか捕らえて、魔術攻撃。倒しきる前に脱出されて、またゴムゴムトラップを投げて捕まえて攻撃――と続けて、やっと倒せた。

「やっぱ、この辺のモンスター強いんだよなぁ」

 ソロだとちょっときついよ。
 ちょっぴり休憩しよう、とちょうど見つけたセーフティエリアに駆け込む。

 本日のおやつは、紅茶シフォンケーキ。
 紅茶味好きー。仙桃ミルクジャムも添えて、完璧! 仙桃ミルクジャムは仙桃飴を青乳牛サファカウのミルクで溶かして、煮詰めたものだよ。

「うまうま」

 ふわもちなシフォンケーキは、食べた瞬間に紅茶の香りが広がって美味しい。仙桃ミルクジャムで味変しながら楽しむ。僕の幸せはここにあった……!

 ほのぼの~と和んで休憩してたら、不意に騒がしい音が聞こえてきた。
 誰かがモンスターと戦ってるのかな?
 第三の街にも他のプレイヤーが到着し始めてるから、この辺にいても不思議じゃないし、もしくは異世界の住人NPC冒険者かも。

 苦戦してるようだったらお手伝いしよう。
 というわけで、音がしてる方へ出発。到着する前に片付いてるかもしれないけどね。

 あ、着ぐるみパジャマは脱いでおこう。なんか戸惑われる予感しかしないから。

「……おお? ここ、キーリ湖か」

 ふよーっと飛んで、遭遇するモンスターを倒しながら向かったら、青く輝く湖が見えた。
 僕、結構奥まで来てたんだね。

「それにしても、あれはなに?」

 高い水しぶきが上がってる。水が噴き出してるようにも見える。
 その水からプレイヤー六人が逃げ回ってた。舟漕いで必死に陸地を目指してる。その舟から攻撃しようとしてる人もいるけど、あれってモンスターに届いてるのかな?

「――待って? 舟?」

 キーリ湖は陸地からの攻撃を推奨してるモンスターが発生中じゃなかった? 狂水獣マッディアクアって名前だったよね。

 とりあえず湖岸に近づいて叫ぶ。

「お助け必要かなーっ?」
「頼むっ!」

 必死な感じで返答があった。
 途端に〈ヘルプコールを受信しました。バトルに介入できます〉というアナウンスがある。
 他のパーティのバトルに手助けするのって、こんな感じなんだ?

「んー……風の槍ウィンドランス!」

 モンスターの姿は見えないんだけど、水が噴き出してるところを狙ったらいいのでは? と思って魔術を放つ。
 魔術は一瞬後に湖面にぶち当たると、水の噴き出しが止まった。

 同時に、いくら漕いでも進んでるように見えなかった舟が、勢いよく岸辺に近づいていく。

「助かった!」
「もしかして、水中に飲み込まれかけてた?」
「その通り――って、また来やがった!」

 後ろを振り返ったプレイヤーが斬撃を放つ。
 途端に、水中からモンスターが飛び出してきた。すかさず全鑑定スキルを使う。

狂水獣マッディアクアだ! 見た目はビーバー……?」

 藍色のビーバー、結構可愛いよ。今は凶悪そうな顔でプレイヤーたちを睨んでるから、おっかないけど。大きさは成人男性くらい? 結構大きいね。

 気づいたら狂水獣マッディアクアを中心に渦ができてて、舟が飲み込まれそうになってる。
 必死に漕いで脱出を目指してるプレイヤーくん、がんばれー。

「とりあえず、もう一回風の槍ウィンドランス!」

 今度は姿が見えてたから直撃した。渦キャンセルできたよ、やったね。
 狂水獣マッディアクアが水中に隠れちゃったけど。

「今のうちに逃げてー」
「くっそ、こんな強いモンスがいるとか聞いてねえ!」
「それは情報収集力なさすぎでは?」

 思わずツッコミを入れちゃう。そもそもなんで舟に乗って湖にいるのさー? 危ないって言われてるでしょー?

 狂水獣マッディアクアが再び渦を作る前に、プレイヤーたちはなんとか上陸できた。陸に上がった途端、渦ができて舟は水中に飲み込まれちゃったけど。

「ああああ……それ、高かったのに……」
「やっべ……十万が消えてった……」
「成功報酬もらっても割に合わねぇよ……」

 すっごい落ち込んでる。
 舟十万するのか。可哀想。まぁ、僕はどうにもできないんだけど。

「えっと……どんまい?」
「ウサギの優しさが身にしみる……」

 熊耳お兄さんを泣かせちゃった。なんかごめんね?

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