もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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5章 もふもふいっぱい?

176.良いこともあれば——

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 悩む時間があるなら即実行!
 ということで、テイムスキルを使ってみる。

「僕と友だちになってよ。【テイム】!」

 狂水獣マッディアクアの周囲に光が走った——と思ったら、すぐに消えちゃった。

〈このモンスターは現在テイムできない状態です〉

 不思議なアナウンスが聞こえる。その言い方だと、違う状態だったらテイムできるってこと? 友好度が足りないのか、それとも別の条件があるのかな……?

「んー……そうだ! 友だちを喚んで聞いてみよう」

 というわけで、僕の友だちおいで!

「【召喚】スラリン、ピア、ユキマル!」
「きゅぃ!」
「ぴぅ!」

 ピアは無言の登場。でも、周囲をきょろきょろ見渡して、興味津々な感じだ。

 スラリンは湖を見て『今日も漁!』と気合い入れてるけど、違うんだよ。いつも漁ばっかりでごめんね?

 まだ僕の普段の感じに慣れてないユキマルだけが、狂水獣マッディアクアを警戒してる。

「みなさん、このモンスターにおかしなとこなーい?」

 聞いてみたら、ピアが『モモに好き好きしていいか迷ってるー』という感じに答えた。

「そうなんだ? というか『好き好き』って表現可愛いね!」

 ピアに花丸あげる。僕も見習おう。……ルトに「あざとい」って言われる気がするぞ?

「きゅいっ」

 はい! と挙手する感じに体を伸ばしたスラリンが『食べるのは難しそうだよ』と言った。

「食べることについては聞いてないんだけどー。スラリン、漁の意識が強すぎない? 僕はいつでも食料調達してるわけじゃないんだよ?」
「きゅぃ!?」

 そんな驚愕って感じに体を震わされても困っちゃう。スラリンが僕のことどう思ってるか、すごくよく伝わってきたよ。

 ジトッとスラリンを見つめたら、その横でユキマルが控えめに体を揺らした。
 えっと――『敵の体に変なものがまとわりついてるよ』? 変なものってなーに?

「それ、僕には見えないんだけど」
「ぴぅ」

 ユキマル曰く『変なもの』を見れるのは光属性の特有の性質らしい。スキルでもないなら、僕は見れるようにならないのかぁ。

「その変なものって、ユキマルがどうにかできる?」
「ぴぅ……ぴ!」

 やってみる、と勇気を振り絞った感じで頷いたユキマルが、狂水獣マッディアクアに向き合った。

 まだ魅了状態が継続中だから、僕らを攻撃してくることはないと思うけど、いつでも守れるように僕も構える。

「――ぴーぅ!」

 ユキマルが叫んだと思ったら、全身から光を放った。その状態のまま狂水獣マッディアクアに突撃する。

「えっ、そんな物理な感じ?」

 てっきり、回復ヒールみたいに光を飛ばす感じのスキルを使うんだと思ってたんだけど。

「くるるっ!?」

 びっくりして固まった狂水獣マッディアクアの体が、次第に藍色から淡い水色に変わっていく。

「ぴぅ!」
「なにしたの?」

 しばらくして離れたユキマルが近づいてきた。
 聞いてみたら、ユキマルは【浄化】っていうスキルを使ったらしい。ホワイトスライムの中でも持ってるのが珍しいスキルなんだって。

「――待って? ユキマルって普通のホワイトスライムよりレア度が高い変異種だったりする……?」

 衝撃の事実に気づいちゃった。テイマーじゃないとテイムモンスターのスキル構成や詳しいステータスを見れないのが悔しい!

「くるぅ」

 ユキマルを凝視してたら狂水獣マッディアクアが近づいてきた。やっぱり全体的に白っぽい水色になってる。
 とりあえず鑑定してみよう。

「……え、名前変わってるんだけど。君、狂水獣マッディアクアじゃなかったの?」

 表示されたモンスター名は【湖狸レイカスター】。
 モンスターが入れ替わったわけじゃないよね?

「くるるぅ?」

 つぶらな瞳で見つめられる。なんか小さなことにこだわらないで良い気がしてきた。可愛いは正義!

 モンスター名が変わるのは小さなことじゃないって? この子と仲良くなれるなら、今はどうでもいいんだよ!

「まぁ、いっか。それよりもう一回テイム試してみよー。【テイム】!」

 ピア曰く『好き好き』状態らしい湖狸レイカスターにスキルを掛ける。
 すぐに湖狸レイカスターが光り始めて――。

〈野生の湖狸レイカスターをテイムしました。モンスターカードが贈られます。名前をつけますか?〉

「やったー、テイム成功!」

 魅了状態だったら、友好度アップのアイテムが必要ない可能性あるね。あと、最初にテイム対象じゃなかったのは、ユキマルが言ってた『変なもの』のせいだったってことだ。

 もしかして、狂雪獣マッディネージュ狂岩獣マッディロークも、浄化したら別のモンスターに早変わりするのかな?

 気になるし、時間を見つけて確かめてみよう。
 今は名前つけなきゃ。えーと、何がいいかなぁ。

「名前は……ペタで!」

 尻尾が平たくて地面にぺったりとくっついてるからだよ。歩き方もペタペタって感じだし。
 安直? 呼びやすければいいの!

湖狸レイカスターの個体名をペタに設定しました。【モンスター空間(草原)】に空きがあります。湖狸レイカスターには適した環境ではありませんが、ペタを入れますか?〉

「えっ、適した環境じゃないとかあるんだ?」

 ペタと顔を見合わせてから「うーん……じゃあやめとく!」と告げる。
 召喚にちょっと時間がかかるようになるけど、居心地悪いとこに入れたくないからね。今後はモンスター空間もいろんな種類を確保した方がいいかも。

 ペタが尻尾で地面をペタペタ叩いてから消えていくのを見守って、ぐいっと背を伸ばす。
 目的のモンスターとは違ったけど、テイムできて良かったな~。

「……あ、討伐証明アイテムはゲットできなかった!」

 倒してないから仕方ないね……。

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