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6章 どたばた大騒動?
195.お店計画!
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朝食の後は、第三の街・東の鉱山エリアに行くというリリとルトを見送った。「一緒に行くか?」って誘われたけど、今日は他にしたいことがあるんだ。
向かうのは一階の店舗部分。
相変わらずお客さんは来てるけど、北の森林エリアボスの対策アイテムを売り始めた頃ほどじゃない。
「あ、モモさんだ!」
「おはよ~」
キャッキャとはしゃぐお客さんに手を振ってから、商品を並べてるカウンターを確認する。
うぅむ、やっぱり商品の種類数がカウンターの上限ギリギリだなぁ。カウンターを増やすか、第二店舗を作るか考えなきゃ。
品切れ補充のために、買い取りカウンターから回収したアイテムを自動生産機能に入れる。
「広さは今でギリギリなんだよね……」
店の中を見渡して悩む。
お客さんが動き回れる広さを考えたら、ここにカウンターを増設するのはあまり居心地が良くない。やっぱり二号店が必要かな。
「――それなら、この街か、第三の街か……」
第三の街にも拠点があったら、行動しやすくなると思う。どうせなら、スラリンたちが常時動き回れるくらいの広さの家をゲットするかな?
そう考えたら、なんだかワクワクしてきた。
だって、スラリンたちと共同生活だよ? 楽しくないわけないじゃん!
「よし、早速第三の街に行こうっと」
「うん? いってらっしゃい!」
僕の独り言を聞いてたお客さんが、不思議そうにしながら手を振ってくれたので、僕も振り返す。
「いってきまーす!」
◇◆◇
第三の街・中心部。
冒険者ギルドの近くに不動産ギルドがあった。
「不動産屋さん、久々だな~」
第二の街で不動産ギルドを訪ねたのって、随分前な気がする。確か、農地の追加をした時が最後かな。
第三の街では初めてだけど、良い物件があるといいな。
「いらっしゃいませ」
「おはよーございます。この街で買える物件があるか聞きに来たんだけど」
入って正面にあるカウンターの向こうで立ち上がった男の人は、僕を見下ろしてきょとんと目を瞬かせた。
「……あぁ、噂の異世界の旅人(?)さんですね。こちらにどうぞ」
「はーい、ありがと」
なぜか『人』にはてなマークがついてた気がするけど、ツッコミは入れないよ。確かに僕は見た目が人じゃないし。
噂っていうのは聞きたいけど、十中八九天兎関係だよね?
示された椅子に座って、不動産屋さんを見上げる。
「物件をお探しに来られたんですよね? 条件等はございますか?」
早速本題に入った。条件かぁ。
「広さがあるといいなー。あと、お店ができる感じで。工房もあったら嬉しいけど、絶対ではないよ」
工房でストレージ機能を使えたら便利だけど、それは後から工事して付けられるし、今すぐじゃなくていい。
「広さと店舗ですね。ちなみにどれくらいの広さをご希望ですか?」
物件が載ってる資料をめくって、ササッと候補を絞っていく不動産屋さんの手を見ながら悩む。
どれくらいの広さ、かぁ。
「……成人男性くらいの大きさのモンスが複数体、自由に動き回れる感じ?」
「テイマーさんなんですね。この街では、そのような希望でいらっしゃる方は多いですよ」
ニコッと笑った不動産屋さんは、戸惑うことなく物件の資料を取り出した。示されたのは三件。
「おお? なんか大きそう!」
「はい。三階建ての小型ビルが一つ、二階建てのお屋敷(庭付き)が二つですね。すべて工房が備え付けになっています。店舗としてご利用になるには、改装を別途ご依頼していただく必要がございますが」
小型ビルは中心部から近くて、一番高額だ。買えないことはないけど、候補の中で一番狭いことを考えると、これはなしかなぁ。
お屋敷は、本当に大きい。庭も広いし、部屋数が多くて、スラリンたちも寛げそう。
店舗も広く作れそうだし、カウンターをたくさん設置すれば、商品数も増やせるね。ただ問題は――
「この二つのお屋敷、結構街の外れにあるね?」
「はい。危険性は高いですが、お安くなります」
東の街外れにあった温泉旅館と同じで、危険な分だけ安いのはありがたい。快適そうなのに、プレイヤーが買える物件になってるのも、その影響があるんだろうな。
異世界の住人のお客さんは来にくいかもしれないけど、タマモに店の宣伝を頼めば、プレイヤーのお客さんは普通に来てくれるだろうし、問題はない……と思いたい。
「このお屋敷二つだと、どっちがおすすめ?」
「あー……お好みによると思いますが、西の物件ですと、近代洋式の建物になっていまして、他の街の建物同様の快適性があります。前の持ち主が庭にもこだわっておられた影響で、見事な薔薇をご覧いただけますよ」
「ほうほう」
薔薇かー。リリとか好きそうだね?
この資料通りの広さがある庭なら、小さめのパーティーは開けそうだし、ここでファンのみんなと交流してもいいかも。
「東の物件は、この街独特の木造建築でして、畳の部屋や縁側、石・苔・水を使った『静寂』のイメージがある庭園が特徴です。それと、敷地内で温泉を楽しめるようになって――」
「その物件、見学させて!」
不動産屋さんが言い切らない内に、身を乗り出して言っていた。温泉って聞いたから、つい。
「は、はあ……かしこまりました」
戸惑いつつも、不動産屋さんが立ち上がる。
「――こちらの物件は、通常、賃貸契約後に、信用を確かめて売買契約に移行するのですが……お客様、もしかして、高貴な身分証をお持ちでは?」
「え? ――あ、持ってるかも。これ?」
指摘されて思い出したけど、名誉貴族証明書っていうアイテムを、イザベラちゃん関連のストーリークリア報酬でもらってたんだよね。ホームや農地が手に入りやすくなる、っていう効果があるの。
「はい、確かに。お客様はすぐに売買契約が可能となります」
不動産屋さんは名誉貴族証明書を確認して、にこやかに頷く。賃貸から始めなくていいのは僕も助かる。
というわけで、いざ物件見学だー。
向かうのは一階の店舗部分。
相変わらずお客さんは来てるけど、北の森林エリアボスの対策アイテムを売り始めた頃ほどじゃない。
「あ、モモさんだ!」
「おはよ~」
キャッキャとはしゃぐお客さんに手を振ってから、商品を並べてるカウンターを確認する。
うぅむ、やっぱり商品の種類数がカウンターの上限ギリギリだなぁ。カウンターを増やすか、第二店舗を作るか考えなきゃ。
品切れ補充のために、買い取りカウンターから回収したアイテムを自動生産機能に入れる。
「広さは今でギリギリなんだよね……」
店の中を見渡して悩む。
お客さんが動き回れる広さを考えたら、ここにカウンターを増設するのはあまり居心地が良くない。やっぱり二号店が必要かな。
「――それなら、この街か、第三の街か……」
第三の街にも拠点があったら、行動しやすくなると思う。どうせなら、スラリンたちが常時動き回れるくらいの広さの家をゲットするかな?
そう考えたら、なんだかワクワクしてきた。
だって、スラリンたちと共同生活だよ? 楽しくないわけないじゃん!
「よし、早速第三の街に行こうっと」
「うん? いってらっしゃい!」
僕の独り言を聞いてたお客さんが、不思議そうにしながら手を振ってくれたので、僕も振り返す。
「いってきまーす!」
◇◆◇
第三の街・中心部。
冒険者ギルドの近くに不動産ギルドがあった。
「不動産屋さん、久々だな~」
第二の街で不動産ギルドを訪ねたのって、随分前な気がする。確か、農地の追加をした時が最後かな。
第三の街では初めてだけど、良い物件があるといいな。
「いらっしゃいませ」
「おはよーございます。この街で買える物件があるか聞きに来たんだけど」
入って正面にあるカウンターの向こうで立ち上がった男の人は、僕を見下ろしてきょとんと目を瞬かせた。
「……あぁ、噂の異世界の旅人(?)さんですね。こちらにどうぞ」
「はーい、ありがと」
なぜか『人』にはてなマークがついてた気がするけど、ツッコミは入れないよ。確かに僕は見た目が人じゃないし。
噂っていうのは聞きたいけど、十中八九天兎関係だよね?
示された椅子に座って、不動産屋さんを見上げる。
「物件をお探しに来られたんですよね? 条件等はございますか?」
早速本題に入った。条件かぁ。
「広さがあるといいなー。あと、お店ができる感じで。工房もあったら嬉しいけど、絶対ではないよ」
工房でストレージ機能を使えたら便利だけど、それは後から工事して付けられるし、今すぐじゃなくていい。
「広さと店舗ですね。ちなみにどれくらいの広さをご希望ですか?」
物件が載ってる資料をめくって、ササッと候補を絞っていく不動産屋さんの手を見ながら悩む。
どれくらいの広さ、かぁ。
「……成人男性くらいの大きさのモンスが複数体、自由に動き回れる感じ?」
「テイマーさんなんですね。この街では、そのような希望でいらっしゃる方は多いですよ」
ニコッと笑った不動産屋さんは、戸惑うことなく物件の資料を取り出した。示されたのは三件。
「おお? なんか大きそう!」
「はい。三階建ての小型ビルが一つ、二階建てのお屋敷(庭付き)が二つですね。すべて工房が備え付けになっています。店舗としてご利用になるには、改装を別途ご依頼していただく必要がございますが」
小型ビルは中心部から近くて、一番高額だ。買えないことはないけど、候補の中で一番狭いことを考えると、これはなしかなぁ。
お屋敷は、本当に大きい。庭も広いし、部屋数が多くて、スラリンたちも寛げそう。
店舗も広く作れそうだし、カウンターをたくさん設置すれば、商品数も増やせるね。ただ問題は――
「この二つのお屋敷、結構街の外れにあるね?」
「はい。危険性は高いですが、お安くなります」
東の街外れにあった温泉旅館と同じで、危険な分だけ安いのはありがたい。快適そうなのに、プレイヤーが買える物件になってるのも、その影響があるんだろうな。
異世界の住人のお客さんは来にくいかもしれないけど、タマモに店の宣伝を頼めば、プレイヤーのお客さんは普通に来てくれるだろうし、問題はない……と思いたい。
「このお屋敷二つだと、どっちがおすすめ?」
「あー……お好みによると思いますが、西の物件ですと、近代洋式の建物になっていまして、他の街の建物同様の快適性があります。前の持ち主が庭にもこだわっておられた影響で、見事な薔薇をご覧いただけますよ」
「ほうほう」
薔薇かー。リリとか好きそうだね?
この資料通りの広さがある庭なら、小さめのパーティーは開けそうだし、ここでファンのみんなと交流してもいいかも。
「東の物件は、この街独特の木造建築でして、畳の部屋や縁側、石・苔・水を使った『静寂』のイメージがある庭園が特徴です。それと、敷地内で温泉を楽しめるようになって――」
「その物件、見学させて!」
不動産屋さんが言い切らない内に、身を乗り出して言っていた。温泉って聞いたから、つい。
「は、はあ……かしこまりました」
戸惑いつつも、不動産屋さんが立ち上がる。
「――こちらの物件は、通常、賃貸契約後に、信用を確かめて売買契約に移行するのですが……お客様、もしかして、高貴な身分証をお持ちでは?」
「え? ――あ、持ってるかも。これ?」
指摘されて思い出したけど、名誉貴族証明書っていうアイテムを、イザベラちゃん関連のストーリークリア報酬でもらってたんだよね。ホームや農地が手に入りやすくなる、っていう効果があるの。
「はい、確かに。お客様はすぐに売買契約が可能となります」
不動産屋さんは名誉貴族証明書を確認して、にこやかに頷く。賃貸から始めなくていいのは僕も助かる。
というわけで、いざ物件見学だー。
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