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6章 どたばた大騒動?
196.僕はお金持ちです?
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第三の街東区の外れに、目的のお屋敷はあった。温泉街からもちょっと離れてて、あまり人通りはない。
一応シークレットエリアではないみたいだから、お店の営業をするのは問題なさそう。
「ふあ……実際に見ると、予想してた以上に大きいね……」
立派な門があって、石畳の玄関アプローチが奥へと続く。
石畳の両脇には木や石、花を使った庭があって、その奥は白い砂利でできた広場になってるみたい。
これだけの広さがあれば、外でもオギンたちが寛げるスペースになるかも。石畳を通る人の目からは木で見えにくいし。
真っ直ぐな石畳の先には大きな玄関。
玄関の中は、予想外なことに土間と玄関ホールが段差で分かれてなかった。土足で入れるってこと。お店にするならちょうどいいけど、ちょっと違和感があるなぁ。
土間部分は大理石っぽい石材でできてて、玄関ホールは深みのある色合いの木材。
玄関ホールだけで、お店にできそうなほど広いよ。
入って正面に障子戸があって、その向こうの部屋は、不動産屋さんが言うには「簡易的な応接間です」ということらしい。十分広い部屋なんだけど。
ここは板の間だし、お店として使っていいかも。
玄関ホールから左右に伸びた廊下は、四角形を描くようになってて、廊下に沿って部屋がいくつもある。
一階だけで八部屋あるんだよ。うち一部屋は工房のストレージ機能付き。
生産職をあまりしてない人でも、ストレージ機能を使うために工房のある物件を建てる人が多いんだって。
「板の間は二部屋で、他は畳部屋だねー」
四角形の廊下内側にあたる、簡易的応接間ともう一つの板の間は、障子戸で分かれてるだけだったから、障子戸を外したら大きな空間になる。お店として使うのに十分!
大正っぽい古風な雰囲気のある部屋だから、レトロな内装で整えたら見映えもしそうだ。
四角形の廊下外側にある六つの部屋は、どれも庭に面してる。
正面玄関から右に進むと、砂利と小さめの木がある庭に面した部屋が二つ。一番玄関に近い部屋が工房だ。
奥の部屋二つは池がある庭、それに続く部屋二つは砂利と花や松がある庭が綺麗に見えた。最後の部屋は居間兼キッチンだ。
「どれも趣があって素敵~」
庭の良し悪しなんて分からないけど、ホッとする感じがある。縁側で緑茶とせんべいを食べながら、のんびり過ごしたい感じ。
「すべての部屋は、障子戸を外すことで開放し、広い空間を楽しむことができますよ」
「それもいいね。――あれ、でも、温泉はどこ?」
普通、一階にあるものだよね?
「温泉は別棟です。この部屋から見えると思いますが……」
右手側二番目の部屋から庭の奥の方を指し示される。
竹の目隠しの奥に、瓦葺きの屋根があった。飛び石を歩いていくと、小屋サイズの建物。中には荷物を置いたり、寛いだりするスペースがあって、その奥に湯気が見える。
「おお! 結構本格的な温泉だぁ」
檜っぽい浴槽に温泉が満ちてる。源泉かけ流しなんだって。
周囲は竹の目隠しがされてるけど、花とかがあって目にも嬉しい。上には屋根があるけど、壁はないから半露天風呂って感じかな。
「一階はこのような感じですね。二階部分はすべて畳のお部屋ですし、一階と同様に障子戸を取り除けば、一部屋の大広間にもできます」
二階も見てみたけど、廊下はなくて障子戸で部屋が分かれてるタイプだった。
これ、本当に大きな広間にできるかも。ファン集会だって開けちゃうし、スラリンたちも寛げそう!
「いいねー」
うんうん、と頷いてから改めて疑問に思う。
この広さで考えたら、資料に書かれてた金額が安すぎる気がするぞ……。
「――これで二百万リョウ?」
「さようでございます。……一つ、注意事項がございまして」
確認してみてわかったけど、やっぱり事情がある雰囲気だ。
不動産屋さんが奥の庭の向こうを指し示す。
「庭?」
「の向こうが、すぐに街を囲む壁になっていまして。さらに言いますと、ここは東側からモンスターが侵入してきやすい場所として、ご領主様から警告を受けているのです」
「おっと、警告を受けるほどかぁ……」
よく見たら、庭の木の向こうに、石の壁がある気がする。このあたりの壁はあまり高さがないみたいだ。結界だけで、モンスターを避けるようになってるのかも。
そうなると、確かに結界が効きにくいモンスターから襲撃される危険性が高まるね。
「ですので、売る相手は冒険者様に限定されております。それに加え、もし購入直後にモンスターに襲撃され、庭や建物に被害が出たとしても、不動産ギルドでは一切補償いたしかねます」
「まぁ、そうなるよね」
それなら二百万リョウというのも、安すぎることはないのかな。
モンスターの襲撃を防ぐアイテムを考えて設置した方がいいかもね。どんなのがいいかなー。
「ご購入になりますか?」
「うん、気に入ったしね。後のことは、後で考える!」
ホッとした感じの不動産屋さんは、不良物件が売れて嬉しそう。
僕にとっては良い物件だったから、お互いにとってありがたい結果になったね。
「それでは、こちらは本日からモモ様の物件です。店舗改装のお手配は必要ですか? 大工をこちらに派遣しましょう」
「お願いします!」
わざわざ建築ギルドに行かなくても相談できるのは便利。
立ち去る不動産屋さんを見送ってから、一階の板の間二部屋の障子戸を取り除いていく。
広々空間でお店するぞ~。
一応シークレットエリアではないみたいだから、お店の営業をするのは問題なさそう。
「ふあ……実際に見ると、予想してた以上に大きいね……」
立派な門があって、石畳の玄関アプローチが奥へと続く。
石畳の両脇には木や石、花を使った庭があって、その奥は白い砂利でできた広場になってるみたい。
これだけの広さがあれば、外でもオギンたちが寛げるスペースになるかも。石畳を通る人の目からは木で見えにくいし。
真っ直ぐな石畳の先には大きな玄関。
玄関の中は、予想外なことに土間と玄関ホールが段差で分かれてなかった。土足で入れるってこと。お店にするならちょうどいいけど、ちょっと違和感があるなぁ。
土間部分は大理石っぽい石材でできてて、玄関ホールは深みのある色合いの木材。
玄関ホールだけで、お店にできそうなほど広いよ。
入って正面に障子戸があって、その向こうの部屋は、不動産屋さんが言うには「簡易的な応接間です」ということらしい。十分広い部屋なんだけど。
ここは板の間だし、お店として使っていいかも。
玄関ホールから左右に伸びた廊下は、四角形を描くようになってて、廊下に沿って部屋がいくつもある。
一階だけで八部屋あるんだよ。うち一部屋は工房のストレージ機能付き。
生産職をあまりしてない人でも、ストレージ機能を使うために工房のある物件を建てる人が多いんだって。
「板の間は二部屋で、他は畳部屋だねー」
四角形の廊下内側にあたる、簡易的応接間ともう一つの板の間は、障子戸で分かれてるだけだったから、障子戸を外したら大きな空間になる。お店として使うのに十分!
大正っぽい古風な雰囲気のある部屋だから、レトロな内装で整えたら見映えもしそうだ。
四角形の廊下外側にある六つの部屋は、どれも庭に面してる。
正面玄関から右に進むと、砂利と小さめの木がある庭に面した部屋が二つ。一番玄関に近い部屋が工房だ。
奥の部屋二つは池がある庭、それに続く部屋二つは砂利と花や松がある庭が綺麗に見えた。最後の部屋は居間兼キッチンだ。
「どれも趣があって素敵~」
庭の良し悪しなんて分からないけど、ホッとする感じがある。縁側で緑茶とせんべいを食べながら、のんびり過ごしたい感じ。
「すべての部屋は、障子戸を外すことで開放し、広い空間を楽しむことができますよ」
「それもいいね。――あれ、でも、温泉はどこ?」
普通、一階にあるものだよね?
「温泉は別棟です。この部屋から見えると思いますが……」
右手側二番目の部屋から庭の奥の方を指し示される。
竹の目隠しの奥に、瓦葺きの屋根があった。飛び石を歩いていくと、小屋サイズの建物。中には荷物を置いたり、寛いだりするスペースがあって、その奥に湯気が見える。
「おお! 結構本格的な温泉だぁ」
檜っぽい浴槽に温泉が満ちてる。源泉かけ流しなんだって。
周囲は竹の目隠しがされてるけど、花とかがあって目にも嬉しい。上には屋根があるけど、壁はないから半露天風呂って感じかな。
「一階はこのような感じですね。二階部分はすべて畳のお部屋ですし、一階と同様に障子戸を取り除けば、一部屋の大広間にもできます」
二階も見てみたけど、廊下はなくて障子戸で部屋が分かれてるタイプだった。
これ、本当に大きな広間にできるかも。ファン集会だって開けちゃうし、スラリンたちも寛げそう!
「いいねー」
うんうん、と頷いてから改めて疑問に思う。
この広さで考えたら、資料に書かれてた金額が安すぎる気がするぞ……。
「――これで二百万リョウ?」
「さようでございます。……一つ、注意事項がございまして」
確認してみてわかったけど、やっぱり事情がある雰囲気だ。
不動産屋さんが奥の庭の向こうを指し示す。
「庭?」
「の向こうが、すぐに街を囲む壁になっていまして。さらに言いますと、ここは東側からモンスターが侵入してきやすい場所として、ご領主様から警告を受けているのです」
「おっと、警告を受けるほどかぁ……」
よく見たら、庭の木の向こうに、石の壁がある気がする。このあたりの壁はあまり高さがないみたいだ。結界だけで、モンスターを避けるようになってるのかも。
そうなると、確かに結界が効きにくいモンスターから襲撃される危険性が高まるね。
「ですので、売る相手は冒険者様に限定されております。それに加え、もし購入直後にモンスターに襲撃され、庭や建物に被害が出たとしても、不動産ギルドでは一切補償いたしかねます」
「まぁ、そうなるよね」
それなら二百万リョウというのも、安すぎることはないのかな。
モンスターの襲撃を防ぐアイテムを考えて設置した方がいいかもね。どんなのがいいかなー。
「ご購入になりますか?」
「うん、気に入ったしね。後のことは、後で考える!」
ホッとした感じの不動産屋さんは、不良物件が売れて嬉しそう。
僕にとっては良い物件だったから、お互いにとってありがたい結果になったね。
「それでは、こちらは本日からモモ様の物件です。店舗改装のお手配は必要ですか? 大工をこちらに派遣しましょう」
「お願いします!」
わざわざ建築ギルドに行かなくても相談できるのは便利。
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広々空間でお店するぞ~。
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