もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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6章 どたばた大騒動?

197.モンちゃんとお出かけ

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 建築ギルドの人との話し合いは早々に終わった。
 今回はたくさんカウンターを設置するから、混雑はあんまりしないんじゃないかな。内装は完成してからのお楽しみ。

 二階でスラリン・ピア・ユキマル・ショコラ・オギンを喚び出したら、みんな楽しそうに探検を始めた。
 それを見てるだけで僕も楽しいよー。ペタには今度、温泉を体験させてあげようと思う。

 しばらくみんなと遊んだ後は、オギン以外を戻してから、街に出た。オギンに乗って向かうのはモンちゃんのところだよ。

「♪る~るるん」

 オギンは一番乗り心地が良いんだよねぇ。
 もふもふだし、振動が少ないし。僕は小さいから、乗っててもオギンに負担はないらしい。

 街の人に微笑ましそうに見られながら、もう慣れた家に到着。
 開け放たれた玄関から中を覗いて、人の気配を探る。――うん、今日はお弟子さんたちいなさそう。テイマー講習の日じゃないしね。

 そうとわかれば――

「モンちゃーん。こーんにーちはー!」
「おいっ、それ叫ぶのやめろって言っただろ!?」

 即座に返事があった。
 バタバタと駆けてきたモンちゃんに手を振る。

「ちゃんとお弟子さんがいないのは確認したよ」

 褒めて、と僕が暗に伝えたら、モンちゃんは頭痛をこらえるように額をぐりぐりと指先で押した。

「……そういう問題じゃねぇんだよなぁ。つーか、あいつら、もう俺のこと『モンちゃん師匠』って呼びやがるんだよ。取り返しつかねーんだわ」
「おやまぁ……あだ名で呼ばれるってことは、モンちゃんが慕われてるってことでしょ」
「九割お前のせいなんだが? あ?」

 コノヤロー、と頭を荒っぽく撫でられる。

「毛がぐしゃぐしゃになるー!」
「とても良い触り心地だった」
「満足そうでなによりだよ!」

 モンちゃんの表情を見て、文句は引っ込めた。これくらいでモンちゃんの気持ちがおさまるなら、別にいいや。

 毛繕いスキルで毛並みを整えてから、改めてモンちゃんに向かい合う。

「今日は何の用だ? テイマー講習は明日だぞ」
「わかってるよー。今日暇なら、一緒にはじまりの街に行かないかなーって思って」
「あ? 俺はこの街を長時間離れられねぇって、言ったはずだが」

 訝しげなモンちゃんに空間転移ドロップ(サク)を差し出す。
 食べたら、はじまりの街の転移ポイントである西の海岸に転移できるんだ。

「――ほーう」

 僕の説明を聞いたモンちゃんは目を丸くしてた。
 このアイテムを使えば、モンちゃんは父ちゃんと会えるよね。帰りも空間転移ドロップ(キーリ)を使えばすぐだよ。

「ね、一緒に行こう」
「……そうだな。いつか行かねーととは思ってたし。この街周囲のモンスターの状況が悪化する前に、話をしといた方がいいな」

 頷いたモンちゃんの後ろから、奥さんのレアナさんが近づいてくる。
 挨拶した後に、はじまりの街に行くことを告げたら、「ぜひ私も」と言われた。

「お義父様にご挨拶したいと、ずっと思っていたの」
「そっか、じゃあ、一緒に行こう!」

 幸い、空間転移ドロップは売るほどあるので問題ない。
 というわけで、みんなではじまりの街にレッツゴー。


◇◆◇ 


 西の海岸近くの砂浜にいたモンちゃんの父ちゃんは、僕たちの姿を見た途端、大きく目を見開いた。
 それからの話は家族のことだから、僕は聞こえないところで釣りをしてたよ。でも、三人とも良い表情だから、和解できたんだろうな。

「おお! おっきなブリだー。美味しそう」
「きゅぃ!」
「スラリンも大漁だねー」

 オギンは戻ってもらってるけど、スラリンはいつも通り魚釣りに協力してもらってる。
 漁スキルの効果か、普段より魚の種類と量が増えてる気がする。

 料理して食べるのが楽しみだねー。新しいお家を手に入れたお祝いに、みんなで宴会しよっか!

「……お前ら、いつもそんな感じで魚獲ってんのか」
「そうだよー。スラリンのおかげで、魚料理は売るほど作れるんだ!」

 野菜や果物を使ったメニューと並んで、僕のお店でよく売れるのは魚料理だよ。お寿司やサンドウィッチにしてあるのが人気なんだ。

「テイマー亜種だな」
「え、スライムの使い方としてぴったりじゃない?」
「少なくとも、俺の周囲じゃ聞いたことねぇ使い方だな」
「そうなの?」

 わりと初めから、スラリンは乗り気で漁をしてくれてたんだけど。
 思わずスラリンと顔を見合わせる。

 スラリンは『モモの役に立ちたかっただけだよー。一緒に漁できて楽しいよー』と答えてくれた。……楽しいならいっか!

「お話はもういいの?」
「おう。……ありがとな、モモ」

 ちょっと照れくさそうにモンちゃんが呟く。その腕に寄り添いながら、レアナさんも微笑んでいた。
 モンちゃんの父ちゃんも嬉しそうに微笑み、僕に釣り竿を差し出してくる。

「お礼と言ってはなんだが、これを受け取ってくれんか」
「えっと……【伝説の釣り人ロウジの釣り竿】?」

 鑑定をしてみてびっくり。レア度☆五つだよ。
 効果は『釣りスキルのレベルを3上げる。物理攻撃力+10。大型の魚を釣る成功率が上がる』だった。すごいね!

「ずっと手入れはしてたから、新品同様に使えるはずじゃ」
「本当にもらっていいの?」
「ああ。お前さんに使ってもらいたいんじゃ」

 そこまで言われたら、断る理由はないよね。ありがたくいただきます。

「ありがとー。使わせてもらうね!」
「今後も釣り人として成長できるよう祈っておるぞ」

〈伝説の釣り人ロウジのシークレットミッションをクリアしました。称号【釣り上手】が贈られます〉

 称号!?
 というか、シークレットミッションってあったんだね。

 称号【釣り上手】の効果は『狙ったモンスターが釣れやすくなる。釣り成功率が上がる』だった。すごく嬉しい!

 るんるん、と鼻歌を歌いながらアイテムボックスに釣り竿を収納する。

「モンちゃん、この後はどうする? もう第三の街に戻る?」

 二人に空間転移ドロップ(キーリ)を渡しながら尋ねる。
 時間があるなら、一緒に街探索しても良いな~って思ったんだけど、そうはいかなそう。

「帰るべきだろうな。ただ、ちょっとノース街道の状況が気になるんだよなぁ……」

 モンちゃんが迷った感じで言った。

「ノース街道?」
「最近、このあたりで古竜エンシェントドラゴンが確認されたって聞いてな。確か、あの山の奥を住処にしてるはずだから、様子を見に行くべきか……。でも、古竜エンシェントドラゴンは気難しいって聞くから、危険かもしれん」
「あ……」

 悩ましげに唸ってるモンちゃんから目を逸らす。
 古竜エンシェントドラゴンって、イグニスさんのことだよね? 目撃されたのって、僕と一緒に空を飛んだ時のはず。

 これ、教えた方がいいのかな?

「お前、なんか心当たりあるだろ……?」

 教える前に、なぜかバレた。
 ジロッと見下ろしてくるモンちゃんに「えへへ……」と笑って誤魔化してみる。

 全然通用しなかったけどね!

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