もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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6章 どたばた大騒動?

199.こんにちは、お久しぶりです!

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 その後も突進土竜ラッシュモールが度々出てきたけど、スラリンとユキマルがすぐに倒してくれた。
 僕はたまにスキルをかけ直したり、回復薬投げたりするだけでいいから楽~。

「召喚時間に限りがないのって、ほんとありがたいなぁ」
「きゅぃ!」
「スラリン、レベル上がったね」

 スラリンが順調に成長中で嬉しい。
 仲間たちの中で一番レベルが低いから、今後も一緒にバトルすることを考えて、しばらくはじまりの街か第二の街周辺でレベリングしたほうがいいかも。第三の街周辺はまだちょっと厳しそうだもんねぇ。

 話しながら歩いてたら、急にユキマルが立ち止まった。体を固まらせて、すごく警戒してるみたい。

「ぴっ!?」
「どうしたの? って、あ、もしかして――」

 洞窟の先が明るい。たぶんイグニスさんがいるところだ。
 ユキマルを「大丈夫だよー」と宥めながら進む。

 山を貫くような縦穴。その底に当たる地面にはこんもりと盛り上がった場所がある。昔の王様のお墓なんだって、前にイグニスさんと会った時に知った。
 イグニスさんはその王様と仲良しで、今でもお墓を守ってるんだ。

「んー、見えないなぁ」

 きょろきょろと見渡してから、洞窟から身を乗り出す。
 お墓を守るモンスターたちの警戒範囲に入らないように注意しながら、そっと呼びかけてみることにした。

「イグニスさーん」
『小さき者が我を呼ぶか』

 低い声が返ってきた。瞬きする間に、巨大な古竜エンシェントドラゴンの姿が現れる。

「あ、お久しぶりです。僕、モモだよ。覚えてる?」
『………………ああ、二日ほど前に会ったな』
「それはたぶん別の人だと思う」
『そうだったか?』

 眠そうに目を瞬かせてるけど、イグニスさん寝ぼけてる?

 僕を誰かと見間違うことなんてそうそうないと思うし、時間の感覚が狂ってるのかも。一日の大半を寝てるならそうなってもおかしくない。

「まぁ、いいや。イグニスさん、なんか困ったことある?」
『なにゆえ、そのようなことを聞くのだ』
「王様がイグニスさんの様子を把握しておきたいんだって」
『王?』

 イグニスさんが不思議そうに首を傾げた後、『ああ、たまに来る人間たちと同じ目的か』と頷いた。

「そうそう。今回は定期観察じゃなくて、特別。最近、イグニスさんが空を飛んだから、異常がないか確認したいらしいよ」
『ない。我はいつも通りここで寝ておる』
「そっか。それなら良かった。じゃあ、異常なしということで――」

 さっさと帰ろう、と思ったところで、イグニスさんと目が合った。思わず言葉が止まる。

『だが、そろそろ翼を広げたい気もする』
「え」
『また共に行くか?』
「行かないです! ――というか、騒ぎになっちゃうから、控えてほしいなー」

 咄嗟に即答していた。前回の経験、怖かったんだもん。置いてきぼりにされたの、結構悲しかったし。

 お願いもしてみたけど、イグニスさんを止められるとは思えないから、ただ言ってみただけ。一応止めたよっていう体裁を取り繕うのは必要だよね。

『ふむ。人を騒がせるのは本意ではない』
「あ、やめてくれるんだ?」

 前も思った気がするけど、イグニスさんってめちゃくちゃ強そうなモンスターだけど、人に配慮する気はあるよね。それが頭から飛んじゃって、やらかしちゃうこともあるけど。

 あれ? 僕と似てる……?
 いや、僕のやらかしとは、影響力が段違いだ。僕なんて、イグニスさんと比べたら月とすっぽんみたいなもの。うん、きっとそう。

『だが、飛びたい』
「意志は曲げない感じかー」

 これどうしたらいいんだろう?
 迷った末に、アイディアが浮かんで、ポンと手を叩く。

「――それなら、モンちゃんに聞いてみるよ。いつなら飛んでも大丈夫かって。予告しておけば、あんまり騒ぎにならない、はず!」

 どうやったって騒ぎになるだろうけど、影響を弱めることはできるだろう。
 モンちゃんに厄介事を押し付けようとしてるわけじゃないよ?

『ほう。ならば、そなたにこれをやろう』
「なぁに?」

 ぽい、と投げ渡されたのは、細い筒のようなものだった。

『【竜笛】だ。吹けば我を呼び出せる。飛んでも良い時に鳴らせ。鳴ったところまで飛んでいこう』
「おお? なんかすごいアイテムをもらった気がする」

 古竜エンシェントドラゴンを呼び出せるとか、チートアイテムでは? でも、ピンチなところを助けてくれるとは限らないし、期待はしないでおこう。

『合図を待っておるぞ。――か弱き者を過剰に脅かすのは気が引ける。立ち去ると良い』

 イグニスさんの姿が見えなくなった。

 か弱き者って僕のことかな? そんなに怯えていたつもりはないけど。
 そう思いながら視線を巡らせたところで、背後で震えるスラリンとユキマルの姿に気づいた。

「あ、ごめん、大丈夫だよー。イグニスさん怖くないよー」

 か弱き者ってこの二体のことかぁ。説明もしないで連れてきちゃったの、ちょっと申し訳ない。

 スラリンたちを宥めてから、イグニスさんがいたところを振り返る。
 竜笛をもらったし、もう少し仲良くなりたかったな。

「ドラゴンってなにを食べるかな? 僕の好きなもの、おすそ分けしたら食べてくれるかな?」

 お皿に載った幻桃ラールペシェのタルトを取り出して地面に置く。

「イグニスさん、良かったらこれ食べてね」

 大きな体にお菓子一つじゃ足りないかも、と思ったけど、食べないかもしれないものをたくさん置いていくのも嫌だ。ゴミになっちゃうもん。

 タルトを気に入ってくれたなら、また今度会った時にたくさん渡せばいいっか。

 イグニスさんとちゃんと話せたし、早く帰ろう。モンちゃんが報告を待ってるはず。
 転移スキルを使うのが簡単なんだけど、召喚したままだと一緒に転移できないので、まず二体を戻す。

「うーんと、第三の街・モンちゃん家、と」

 設定していた転移ピンを選択。
 任務達成の報告をするぞ~。

「またね、イグニスさん」

 転移の間際、『またな』と返事があった気がした。

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