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6章 どたばた大騒動?
200.難しいことは考えたくなーい
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所変わって、モンちゃんの家。
報告に来た僕を、モンちゃんは「早っ!?」と言いながら出迎えてくれた。
いつも通り応接室に通されて、イグニスさんの様子と要望を教える。途端に頭を抱えたモンちゃんを見て、僕は「だよねぇ」と頷くしかない。
「おまっ、なんで、古竜が飛び回るなんてこと、受け入れちまうんだよ……!」
「勝手に飛ばれるより良くない?」
「うぐっ……それは、そうだが……」
苦渋の表情を浮かべてたけど、それ以上僕になにかを言う気はなくなったみたい。モンちゃんだって、古竜の望みを拒否できるなんて思ってないもんね。
〈上級特別任務『古竜の観察』を完了しました。報酬として【第三の街・キーリ領主の城への立ち入り許可証】を入手しました〉
なんかすごそうなものをもらったぞ?
領主の城ってシークレットエリアの一種かな。貴族と会うのは面倒くさい気がするけど、お城探検は楽しそう。暇があったら行ってみよう。
それはともかく、今考えるべきなのはイグニスさんのことだ。
「イグニスさんが飛ぶの、いつなら大丈夫だと思う?」
「いつだって大丈夫じゃない」
「それはわかってるけど、しいて言うなら、だよ」
「あー……」
悩んでるモンちゃんを眺めながら、緑茶をすする。
今回の緑茶は桃の香り付きなんだって。香りは甘いのに、味は緑茶のままだから、なんだか不思議な感じ~。
なかなか結論が出ないモンちゃんを見て、ふと以前ルトが言っていたことを思い出した。
三種の狂化モンスターが結界の効果を無視できるタイプで、この街周辺で暴れてるっていうなら、今後街防衛イベントが始まる可能性があるかもしれない、という話だ。
僕もなんとなくそういうイベントがありそうな気がしてる。
「この街がモンスターによって危機的状況になった場合、イグニスさんを呼び出して、協力してもらうっていうのはどう?」
言葉にしてみると、すごく良いアイディアな気がする。実際にイグニスさんが協力してくれるかどうかはわからないけど。
モンちゃんはきょとんとした後、真剣な表情になって考え込んだ。
「確かに、日に日にモンスターが街に襲撃してくる可能性が高まっていることを考えると、古竜の協力を得られるのは願ってもないことだ、が――」
言った後に、遠い目をしてるのはなんで?
「正直、どっちの方が被害がデカくなるのか想像できん。この前古竜が動いた時、街道が大ダメージを受けたって報告があったぞ? あれが、この街に起きた日には……!」
モンちゃんがブルッと震えた。
僕も地獄みたいな光景を思い出して、嘘でも『大丈夫だよ』なんて言えない。
「それは、その、街には被害が出ないように頼めばいいかも?」
「古竜がそんな些末なことを気にするのか?」
「……イグニスさんが我を忘れなければ、大丈夫なはず」
語尾に『きっと、たぶん』と付けたかったけど、そんなことを言ったら、モンちゃんは絶対に納得しないだろう。
というわけで、全力で誤魔化すように笑ってみた。すごく疑わしげな目で見られたよ。
しばらく見つめ合った後に、モンちゃんがため息をついて頷いた。
「本当に危ない状況になったら、頼むことにしようか」
「そうだね。でも、いつかは呼ばないと、勝手に飛んじゃうかもよ」
「……国王陛下にお尋ねしておく」
嫌そうだったけど、しかたないね。それがモンちゃんの役目だもん。
僕は肩の荷が下りた気分で、「じゃあ、そういうことでー」とそそくさと立ち去ることにした。
このままここにいて、余計なお仕事は背負い込みたくない!
◇◆◇
オギンとショコラ、ペタを喚び出して街中を歩く。
お店のことは建築ギルドに任せてるけど、二階の居住スペースの家具を用意しようと思って、一緒に探してるんだ。
「僕が作ってもいいんだけど、やっぱりこうして実際に見るほうがイメージしやすくていいよねー」
「キュオ」
オギンは、ショコラがふらふらーと屋台に引き寄せられるのを止め、ペタが居眠りしそうになるのを叩き起こし、僕の会話の相手もしてくれる。すごく優しい!
「センスはピアも良いと思うんだけど、ここで喚び出したらショコラ以上に自由に行動してはぐれちゃいそうだもんね……」
「キュオ!」
オギンから『絶対に喚び出さないでね!』という意志を感じる。
「くるる」
「ペタはそのソファがいいの?」
家具店に入った途端、ペタがソファに寝転んだ。ソファベッドらしく、ペタの大きさでもゆったり寛げるほどのサイズがある。
二階は広いから、これくらいの家具も普通に置けちゃうし、買っちゃおう。
店員さんと購入するためのやり取りをしてたところで、オギンとショコラも良い寝床を見つけたらしい。
「オギンはふわふわクッションかー。おっきいね!」
「キュオー」
低反発っぽい沈み込む感触がオギンのお気に入りみたいだ。ふわふわな表面は白色で、オギンがクッションと同化してる気がする。
「ショコラは固めが好きなんだね」
「くまま」
マットレスなしの木のベッドに、ショコラが横になってる。岩場に住んでたから、こういうほうが慣れてるのかも。
「ピアはどんなのが好みかな?」
「キュオ」
尋ねてみたら、オギンに大きなハンモックを勧められた。ピアは常時浮いてるし、高いところが好きなんだって。
「そっか。じゃあこれも購入で。スラリンとユキマルは――」
「くるる」
ペタが舟の形をした箱を持ってきた。底にクッションが敷いてある。スライムなら、二体が寄り添って落ち着けるサイズだ。
「え、これがいいの?」
「くまま」
ショコラもペタと同意見らしく、『きっと気にいるよー』と返事があった。
スラリンたち、舟に乗ったことないのに、これが好きなんだ? ちょっぴり不思議に思いつつ、気に入らなければまた改めて買いに来るか、僕が作ればいっかと思って購入する。
全部アイテムボックスに収納して、今のところはこれでよしと思い店を出たところで、どこかで見た顔と出会した。
「わっ……モンスター? って、こいつら連れてるの、もしかしてモモか?」
「モモさん、こんにちは!」
「ユウシャとタマモ、こんにちは」
以前西の湖でペタにやられそうになっていたところを僕が助けたパーティのリーダーであるユウシャ。それと、もう長い付き合いになるタマモ。
なんだか不思議な組み合わせだね?
にこやかに挨拶してくるタマモに抱きつかれながら、ちょっと首を傾げちゃった。
報告に来た僕を、モンちゃんは「早っ!?」と言いながら出迎えてくれた。
いつも通り応接室に通されて、イグニスさんの様子と要望を教える。途端に頭を抱えたモンちゃんを見て、僕は「だよねぇ」と頷くしかない。
「おまっ、なんで、古竜が飛び回るなんてこと、受け入れちまうんだよ……!」
「勝手に飛ばれるより良くない?」
「うぐっ……それは、そうだが……」
苦渋の表情を浮かべてたけど、それ以上僕になにかを言う気はなくなったみたい。モンちゃんだって、古竜の望みを拒否できるなんて思ってないもんね。
〈上級特別任務『古竜の観察』を完了しました。報酬として【第三の街・キーリ領主の城への立ち入り許可証】を入手しました〉
なんかすごそうなものをもらったぞ?
領主の城ってシークレットエリアの一種かな。貴族と会うのは面倒くさい気がするけど、お城探検は楽しそう。暇があったら行ってみよう。
それはともかく、今考えるべきなのはイグニスさんのことだ。
「イグニスさんが飛ぶの、いつなら大丈夫だと思う?」
「いつだって大丈夫じゃない」
「それはわかってるけど、しいて言うなら、だよ」
「あー……」
悩んでるモンちゃんを眺めながら、緑茶をすする。
今回の緑茶は桃の香り付きなんだって。香りは甘いのに、味は緑茶のままだから、なんだか不思議な感じ~。
なかなか結論が出ないモンちゃんを見て、ふと以前ルトが言っていたことを思い出した。
三種の狂化モンスターが結界の効果を無視できるタイプで、この街周辺で暴れてるっていうなら、今後街防衛イベントが始まる可能性があるかもしれない、という話だ。
僕もなんとなくそういうイベントがありそうな気がしてる。
「この街がモンスターによって危機的状況になった場合、イグニスさんを呼び出して、協力してもらうっていうのはどう?」
言葉にしてみると、すごく良いアイディアな気がする。実際にイグニスさんが協力してくれるかどうかはわからないけど。
モンちゃんはきょとんとした後、真剣な表情になって考え込んだ。
「確かに、日に日にモンスターが街に襲撃してくる可能性が高まっていることを考えると、古竜の協力を得られるのは願ってもないことだ、が――」
言った後に、遠い目をしてるのはなんで?
「正直、どっちの方が被害がデカくなるのか想像できん。この前古竜が動いた時、街道が大ダメージを受けたって報告があったぞ? あれが、この街に起きた日には……!」
モンちゃんがブルッと震えた。
僕も地獄みたいな光景を思い出して、嘘でも『大丈夫だよ』なんて言えない。
「それは、その、街には被害が出ないように頼めばいいかも?」
「古竜がそんな些末なことを気にするのか?」
「……イグニスさんが我を忘れなければ、大丈夫なはず」
語尾に『きっと、たぶん』と付けたかったけど、そんなことを言ったら、モンちゃんは絶対に納得しないだろう。
というわけで、全力で誤魔化すように笑ってみた。すごく疑わしげな目で見られたよ。
しばらく見つめ合った後に、モンちゃんがため息をついて頷いた。
「本当に危ない状況になったら、頼むことにしようか」
「そうだね。でも、いつかは呼ばないと、勝手に飛んじゃうかもよ」
「……国王陛下にお尋ねしておく」
嫌そうだったけど、しかたないね。それがモンちゃんの役目だもん。
僕は肩の荷が下りた気分で、「じゃあ、そういうことでー」とそそくさと立ち去ることにした。
このままここにいて、余計なお仕事は背負い込みたくない!
◇◆◇
オギンとショコラ、ペタを喚び出して街中を歩く。
お店のことは建築ギルドに任せてるけど、二階の居住スペースの家具を用意しようと思って、一緒に探してるんだ。
「僕が作ってもいいんだけど、やっぱりこうして実際に見るほうがイメージしやすくていいよねー」
「キュオ」
オギンは、ショコラがふらふらーと屋台に引き寄せられるのを止め、ペタが居眠りしそうになるのを叩き起こし、僕の会話の相手もしてくれる。すごく優しい!
「センスはピアも良いと思うんだけど、ここで喚び出したらショコラ以上に自由に行動してはぐれちゃいそうだもんね……」
「キュオ!」
オギンから『絶対に喚び出さないでね!』という意志を感じる。
「くるる」
「ペタはそのソファがいいの?」
家具店に入った途端、ペタがソファに寝転んだ。ソファベッドらしく、ペタの大きさでもゆったり寛げるほどのサイズがある。
二階は広いから、これくらいの家具も普通に置けちゃうし、買っちゃおう。
店員さんと購入するためのやり取りをしてたところで、オギンとショコラも良い寝床を見つけたらしい。
「オギンはふわふわクッションかー。おっきいね!」
「キュオー」
低反発っぽい沈み込む感触がオギンのお気に入りみたいだ。ふわふわな表面は白色で、オギンがクッションと同化してる気がする。
「ショコラは固めが好きなんだね」
「くまま」
マットレスなしの木のベッドに、ショコラが横になってる。岩場に住んでたから、こういうほうが慣れてるのかも。
「ピアはどんなのが好みかな?」
「キュオ」
尋ねてみたら、オギンに大きなハンモックを勧められた。ピアは常時浮いてるし、高いところが好きなんだって。
「そっか。じゃあこれも購入で。スラリンとユキマルは――」
「くるる」
ペタが舟の形をした箱を持ってきた。底にクッションが敷いてある。スライムなら、二体が寄り添って落ち着けるサイズだ。
「え、これがいいの?」
「くまま」
ショコラもペタと同意見らしく、『きっと気にいるよー』と返事があった。
スラリンたち、舟に乗ったことないのに、これが好きなんだ? ちょっぴり不思議に思いつつ、気に入らなければまた改めて買いに来るか、僕が作ればいっかと思って購入する。
全部アイテムボックスに収納して、今のところはこれでよしと思い店を出たところで、どこかで見た顔と出会した。
「わっ……モンスター? って、こいつら連れてるの、もしかしてモモか?」
「モモさん、こんにちは!」
「ユウシャとタマモ、こんにちは」
以前西の湖でペタにやられそうになっていたところを僕が助けたパーティのリーダーであるユウシャ。それと、もう長い付き合いになるタマモ。
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