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6章 どたばた大騒動?
201.二人と話そう
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ユウシャが「そういや、まだモモにおごってなかったな!」と言うので、街中の和風カフェに連れてきてもらった。前回、ユウシャのパーティを助けた時、お礼におごってくれるとは言ってたんだよね。
オギンたちは一旦帰ってもらったよー。飲食店内だと、さすがに邪魔になっちゃうから。
タマモの膝の上に抱きかかえられて、届いた甘味三点盛りの中から、一口サイズの大福を「あーん」とされながら、ちょっと遠い目をしちゃう。
たくさんの人に微笑ましげに眺められて、ちょっと恥ずかしいよー。大福は美味しいけどね!
「うっま! あんこってたまに食いたくなるよなー」
「そうだねー。どら焼きも美味しそう」
「生地がもっちもちだぞ」
ユウシャはどら焼きを頬張って、嬉しそうにしてる。二個セットの内一つを「やるよ」とくれたので、タマモと半分こにした。
確かに生地がもっちもちで美味しい。粒あんも程よい甘さ。どら焼きのあんこは粒あんが良いよね。異論は認める。
「美味しいですね」
「うまうま」
緑茶にぴったり。
このお店、座敷にちゃぶ台があるタイプの内観で、なんか落ち着く。
こういう感じのお店も、僕の屋敷でできるかも? イートインスペース作ろうかな。部屋はたくさんあるし。
今後のお店計画のことを考えながら甘味を食べてたら、ふとユウシャが顔を上げた。
「そうだ。モモも参加するか?」
「なにに?」
急に言われてもわかんないよ。
首を傾げたら、すぐにタマモが答えてくれた。
「ホラースポット探検ですよ」
「えっ!?」
ホラースポットとは? このゲーム、そんなのがあるんだ?
「はじまりの街近くのサクの川上流にゴム製品の廃工場があるのですが、そこが街の人にホラースポットと呼ばれているそうなんです」
「へ、へぇ~……二人とも、わざわざ行くつもりなの?」
自慢じゃないけど、僕はホラー苦手だよ。おばけ屋敷も嫌だ。つまり、ゲームの中でホラースポットなんて行きたくない。
だから、つい正気を疑う感じで二人を交互に見つめちゃう。
ユウシャは「おう!」と満面の笑みで頷いた。光を放ってるように見える。勇者という名前にするだけあって、光属性な感じ。
「私はユウシャさんのパーティメンバーの方にお願いされて、協力することにしたんです」
「あれ? ユウシャってフルパーティじゃなかった?」
「そうだぞ。でも、今回あいつらは参加しねぇんだ。まぁ、あれだ……俺がいつも情報をろくに集めずに行動するから、『それなら事前情報がなんもないとこ探って、少しは役に立て』って放り出された」
あはは、と笑いながら説明するユウシャを、僕は思わずジト目で眺める。
相変わらず、パーティメンバーを振り回してるらしい。今回はその罰みたいなものか。
「……タマモ、協力して大丈夫なの?」
「はい。私も未知な場所を探索するの好きですから。ちょうど廃工場を探りに行こうと思っていたところでしたし」
タマモもなかなかクセのある遊び方をしてるなぁ。でも、情報がないところを探索してワクワクする気持ちもわからなくもない。
「それで、モモも一緒に行くか? 掲示板で実況するつもりだから、モモがいればすげぇ閲覧数になると思うんだけど」
キラキラした目でユウシャに誘われた。目立つの好きなんだね?
「絶対行かない!」
「えー」
「怖いところじゃないなら、行ってもいいけど」
「地元民にホラースポットと言われているので、難しいかもしれないですね」
がっくりと肩を落としたユウシャを、タマモがクスクスと笑う。
「どんなところだったか、後で教えてくれる? 怖い要素があったら、詳細はいらないよ」
「ふふ、わかりました。では、実況スレも教えないほうがいいですね」
「うん。リアルタイムで怖いのは見たくないから、要点だけでいいよ」
手間をかけちゃうけど、タマモならすんなり受け入れてくれるだろうなーと思ったら、予想に違わず「了解です。モモさんが利用できそうなアイテムがあるかも調べてきますね」と言ってくれた。
「くっそー、絶対話題になれると思ったんだけどなぁ」
「廃工場の情報だけでも、きっと注目されますよ」
ユウシャを穏やかに宥めると、タマモはお皿に残っていた雪うさぎの形の練り切りを「あーん」と差し出してきた。
最後までこれするんだね。まぁ、報酬の前払いみたいなものかな?
にこにこと蕩けそうな笑みを浮かべてるタマモを見ながら、ぱくりと食べた。美味しいです。
「あ、タマモ、僕のお店のことなんだけど」
報告しなくちゃと思っていたことを思い出した。僕が言った途端、タマモの目がキラッと光ったように見える。
「カウンター増設工事にともなう休業ですか?」
「そうじゃなくて、二号店をこの街に出そうと思って」
「まあ! 素晴らしいですね!」
タマモの周囲に花が舞っている気がする。すごく喜んでくれてるみたい。ここまで期待されてると、僕も嬉しいよ。
「もう建物は買ったんだ。マップだとここで――」
システムメニューのマップを表示して教えたら、タマモはすかさず写真を撮って、「掲示板でお知らせしますね」と頼もしい返事をくれた。
「ありがとう。まだ開店日は決めてないんだけど、すごく広いお店になるから、商品数も増やそうと思ってるんだ。このお店みたいに、イートインスペースを作っても面白いかも? テイムしたモンスターたちと触れ合えるイベントとかもいつかしたいなー」
今後の展望を話してたら、タマモが「はぅ!」とのけぞった。なにごと?
顔を見上げたら、今度はじっと僕を凝視してくる。
「な、なんと! もふもふな皆様と触れ合える神イベントの開催が……!? モモさん、絶対してくださいね!」
「あ、うん。そこまで言うなら、がんばるよ」
相変わらずタマモのもふもふ愛は強い。熱意に押される感じで頷いちゃった。
詳細はまた後日、と約束して、早速ホラースポットに行くと言う二人を見送る。
早めに開店できるように、僕もがんばろうっと。
オギンたちは一旦帰ってもらったよー。飲食店内だと、さすがに邪魔になっちゃうから。
タマモの膝の上に抱きかかえられて、届いた甘味三点盛りの中から、一口サイズの大福を「あーん」とされながら、ちょっと遠い目をしちゃう。
たくさんの人に微笑ましげに眺められて、ちょっと恥ずかしいよー。大福は美味しいけどね!
「うっま! あんこってたまに食いたくなるよなー」
「そうだねー。どら焼きも美味しそう」
「生地がもっちもちだぞ」
ユウシャはどら焼きを頬張って、嬉しそうにしてる。二個セットの内一つを「やるよ」とくれたので、タマモと半分こにした。
確かに生地がもっちもちで美味しい。粒あんも程よい甘さ。どら焼きのあんこは粒あんが良いよね。異論は認める。
「美味しいですね」
「うまうま」
緑茶にぴったり。
このお店、座敷にちゃぶ台があるタイプの内観で、なんか落ち着く。
こういう感じのお店も、僕の屋敷でできるかも? イートインスペース作ろうかな。部屋はたくさんあるし。
今後のお店計画のことを考えながら甘味を食べてたら、ふとユウシャが顔を上げた。
「そうだ。モモも参加するか?」
「なにに?」
急に言われてもわかんないよ。
首を傾げたら、すぐにタマモが答えてくれた。
「ホラースポット探検ですよ」
「えっ!?」
ホラースポットとは? このゲーム、そんなのがあるんだ?
「はじまりの街近くのサクの川上流にゴム製品の廃工場があるのですが、そこが街の人にホラースポットと呼ばれているそうなんです」
「へ、へぇ~……二人とも、わざわざ行くつもりなの?」
自慢じゃないけど、僕はホラー苦手だよ。おばけ屋敷も嫌だ。つまり、ゲームの中でホラースポットなんて行きたくない。
だから、つい正気を疑う感じで二人を交互に見つめちゃう。
ユウシャは「おう!」と満面の笑みで頷いた。光を放ってるように見える。勇者という名前にするだけあって、光属性な感じ。
「私はユウシャさんのパーティメンバーの方にお願いされて、協力することにしたんです」
「あれ? ユウシャってフルパーティじゃなかった?」
「そうだぞ。でも、今回あいつらは参加しねぇんだ。まぁ、あれだ……俺がいつも情報をろくに集めずに行動するから、『それなら事前情報がなんもないとこ探って、少しは役に立て』って放り出された」
あはは、と笑いながら説明するユウシャを、僕は思わずジト目で眺める。
相変わらず、パーティメンバーを振り回してるらしい。今回はその罰みたいなものか。
「……タマモ、協力して大丈夫なの?」
「はい。私も未知な場所を探索するの好きですから。ちょうど廃工場を探りに行こうと思っていたところでしたし」
タマモもなかなかクセのある遊び方をしてるなぁ。でも、情報がないところを探索してワクワクする気持ちもわからなくもない。
「それで、モモも一緒に行くか? 掲示板で実況するつもりだから、モモがいればすげぇ閲覧数になると思うんだけど」
キラキラした目でユウシャに誘われた。目立つの好きなんだね?
「絶対行かない!」
「えー」
「怖いところじゃないなら、行ってもいいけど」
「地元民にホラースポットと言われているので、難しいかもしれないですね」
がっくりと肩を落としたユウシャを、タマモがクスクスと笑う。
「どんなところだったか、後で教えてくれる? 怖い要素があったら、詳細はいらないよ」
「ふふ、わかりました。では、実況スレも教えないほうがいいですね」
「うん。リアルタイムで怖いのは見たくないから、要点だけでいいよ」
手間をかけちゃうけど、タマモならすんなり受け入れてくれるだろうなーと思ったら、予想に違わず「了解です。モモさんが利用できそうなアイテムがあるかも調べてきますね」と言ってくれた。
「くっそー、絶対話題になれると思ったんだけどなぁ」
「廃工場の情報だけでも、きっと注目されますよ」
ユウシャを穏やかに宥めると、タマモはお皿に残っていた雪うさぎの形の練り切りを「あーん」と差し出してきた。
最後までこれするんだね。まぁ、報酬の前払いみたいなものかな?
にこにこと蕩けそうな笑みを浮かべてるタマモを見ながら、ぱくりと食べた。美味しいです。
「あ、タマモ、僕のお店のことなんだけど」
報告しなくちゃと思っていたことを思い出した。僕が言った途端、タマモの目がキラッと光ったように見える。
「カウンター増設工事にともなう休業ですか?」
「そうじゃなくて、二号店をこの街に出そうと思って」
「まあ! 素晴らしいですね!」
タマモの周囲に花が舞っている気がする。すごく喜んでくれてるみたい。ここまで期待されてると、僕も嬉しいよ。
「もう建物は買ったんだ。マップだとここで――」
システムメニューのマップを表示して教えたら、タマモはすかさず写真を撮って、「掲示板でお知らせしますね」と頼もしい返事をくれた。
「ありがとう。まだ開店日は決めてないんだけど、すごく広いお店になるから、商品数も増やそうと思ってるんだ。このお店みたいに、イートインスペースを作っても面白いかも? テイムしたモンスターたちと触れ合えるイベントとかもいつかしたいなー」
今後の展望を話してたら、タマモが「はぅ!」とのけぞった。なにごと?
顔を見上げたら、今度はじっと僕を凝視してくる。
「な、なんと! もふもふな皆様と触れ合える神イベントの開催が……!? モモさん、絶対してくださいね!」
「あ、うん。そこまで言うなら、がんばるよ」
相変わらずタマモのもふもふ愛は強い。熱意に押される感じで頷いちゃった。
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早めに開店できるように、僕もがんばろうっと。
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