もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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6章 どたばた大騒動?

210.協力者ゲット?

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 ストーリーミッションをメニューから確認してみたけど、詳しい内容はわからなかった。だって説明文に『???』がたくさんあるんだ。
 でも、いくつか段階的にミッションをクリアする必要があることはわかる。

「んー、どうしよっかなー」
「なぁに? あなた、犯人を見つけるつもりなの?」
「そうできたらいいなーとは思ってるよ。だって王都行きたいもん」

 リカちゃんが「それはそうね」と頷いた。それから少し考え込む表情を見せた後に、ちらりと僕に視線を向ける。

「あなたが私の頼みを聞いてくれたら、少し協力してもいいわよ」
「頼み?」

 異世界の住人NPCからの協力って、たぶんストーリークリアのために必要なことだと思う。つまり、この場合の頼みは半ば強制だ。
 リカちゃんとは仲良くしたいから、それでなくともあまり断る気はないんだけど。

「そう。――私、黄金林檎ゴールデンアプルを探してるの」
「なに、それ?」
「黄金色のリンゴよ。私がテイムしたいモンスターの好物らしいんだけど、なかなか手に入らないのよね。農家に相談しても、育てるのは無理だって言われちゃったから、困っていて」
「あ、育てられるやつなんだ? 種か苗はあるの?」
「苗ならあるわよ」

 あるんだ?
 パチパチと目を瞬く僕に、リカちゃんが大きなため息をつく。

「――育てるのに技術が必要らしいの。黄金林檎ゴールデンアプルは少なくとも十個は欲しいんだけど、その数をバトルフィールド上で採集するのはたぶん十年以上かかるのよねぇ」
「十年……」

 自然界では育ちにくい種類ってことかな?
 でも、僕は神級栽培スキルを持ってるし、なんとかなるかも。というか、ミッションとしては楽にクリアできるものだと思う。

「でも、あなたはテイマーだし、難しいわよね。無理なら代わりに――」

 なにかを言おうとしたリカちゃんを、「苗ちょうだい」という言葉で遮った。リカちゃんが目を丸くして固まる。

「たぶん育てられると思う。農地だとどれくらいで収獲できるようになるの?」
「……えっと、確か二十八日だったかしら。神級栽培スキルを持っていたら育てられるようになると聞いたわ」

 現実時間で一週間ってことか。問題ない。

「僕、そのスキル持ってるから育てられるよ。農地もあるし」
「あなたテイマーなのよね?」
「うん。あと、魔術士で錬金術士で、料理や釣りが好きで、歌とダンスが趣味というか仕事みたいになってて、農地でいろんなものを育ててもいるよ」

 職業『アイドル』とは言わないでおいた。実際にそういう職業についてるわけじゃないし。僕の気分的にはアイドルなんだけど。

 なんてことを考えていたら、リカちゃんが呆れたような感心したような複雑な表情をしているのが見えた。

「……随分と楽しい生活をしているようね?」
「うん、楽しいよー」

 なんでもできるって、幸せだよね!
 ピースサイン――ほぼグーの状態をして見せる。一拍置いて、リカちゃんは吹き出すように笑った。

「ふふっ、頼もしいわ。それじゃあ、この苗を育ててちょうだい」

〈テイマー・リカエラから黄金林檎ゴールデンアプルの苗を受け取りました。育てて、リカエラに黄金林檎ゴールデンアプルを十個納品しましょう。ゲーム内時間六十日以内に納品できない場合、ミッションは失敗となります〉

 制限時間付きミッションって初めてかも。
 まぁ、なんとかなるはず。講習が終わったら農地に行かないと。

「がんばるよー。あ、そういえば、協力ってどういうの?」
「そうねぇ。――私、情報通だから、犯人に関する情報を掴んだら教えてあげるわ」
「なるほど?」

 謎めいた笑みを浮かべるリカちゃんの顔を見つめる。
 もしかしてリカちゃんって、ただのテイマーじゃない感じ? すごい協力者をゲットできたかも。


◇◆◇ 


 リカちゃんと話している間に始まった講習の内容は興味深いものだった。

 テイムしたモンスターにスキルを覚えさせるには、テイマーが明確な指示を出して反復練習させればいいらしい。
 でも、モンスターごとに得意・不得意なスキルがあって、いくら練習しても習得できない場合も多いんだとか。

 例えば、ダンジョンでスラリンたちが覚えたスキル【回避】は、基本的にどのモンスターでも覚えられるけど、スラリンのような無属性モンスターは【水鉄砲】などの属性があるスキルは習得できない。

 基本的には無属性スキルとモンスターの属性に合ったスキルだけを習得できる感じ。

「スライムってどんなスキルを覚えられるかなー」

 講習が終わってざわめきが戻ってきたところで、リカちゃんに聞いてみる。

「あら、モモはスライムを育ててるの?」
「うん。スライムとホワイトスライムだよ」
「光属性は珍しいわね」

 呟いたリカちゃんが視線を僕とは違う方へ移した。

「なんだ? 早速相談を受けてんのか?」
「モモはスライムの育て方を悩んでいるようですよ」
「あー、スライムか……」

 近づいてきたモンちゃんが、僕たちの前でドサッと座り込みあぐらをかいた。

「モンちゃん師匠、さようならー」
「その呼び方やめろって言ってんだろ」
「あはは、気に入ってるくせにー」

 複数のテイマーさんたちがモンちゃんをからかってから立ち去る。
 僕も手を振られたので「ばいばーい」と返した。きゃあきゃあと嬉しそうにされたので、タマモたちに似てるなーと思う。

「はぁ……。モモ、特別講習をしてやるから、ちゃんと聞けよ」

 僕がよそ見をしてると判断したのか、頭をぐりぐりと撫でられた。あんまり痛くない感じだし、わざわざ時間を取ってくれるんだから、やっぱりモンちゃんは優しいねー。

「はーい、よろしくね、モンちゃん!」

 にこにこと笑って手を挙げて見せたら、モンちゃんはなぜか大きなため息をついた。

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