もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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6章 どたばた大騒動?

224.レイドイベント直前です

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 時間が過ぎるのは早いもの。一週間なんてあっという間だ。

 街全体がピリピリとした緊張感に包まれているのを感じながら、屋敷の敷地外周の壁に腰掛ける。ここからはまだ闇に沈んでいる東のバトルフィールドがよく見えた。

 この壁、普通に乗り越えてバトルフィールドと行き来できるんだよねぇ。便利だけど、モンスターに襲われる確率も高い。

「もうすぐレイドイベの時間になるよ~」
「きゅぃ(準備万端!)」
「ぴぅ(お屋敷守るよ)」

 隣に並んだスラリンとユキマルがワクワクと体を揺らしてる。たくさん活躍したいんだって。

 今日までにストーリーミッションに関するタスクや、レイドイベントに関するミッションをできる限り達成した。
 プレイヤーみんな、初めてのストーリー攻略とレイドイベントだから、すっごく盛り上がってるんだよねぇ。

 第二の街の開放はレイドイベントになるはずだったんだけど、僕が古竜エンシェントドラゴンのイグニスさんを引っ張り出しちゃったから、レイドイベント自体が起きなかった。

 最初のストーリーミッションも、僕がいつの間にかクリアしちゃって、全員結果を知るだけになっちゃった。ルトによると、結構悔しがってた人が多かったらしい。

 つまり、これまで全然体験できなかったストーリーとレイドイベント、どっちにも全力で関われるってことで、プレイヤー全員のやる気が凄いらしい。僕は掲示板をほとんど見ないから、これもルトとリリからの情報。

 僕はここ数日、もふもふ教設立のために忙しくしてたので、気合いを入れてるみんなのノリには、ちょっぴりついていけてない気がする。
 だって、教会を考えるの、想像以上に楽しかったんだもん!

 一昨日、もふもふ教の正式な認可がされて、早速タマモが教会用の土地を探してきた。タマモは各街に教会を作るつもりらしいけど、最初に見つけたのは第二の街の一画にある更地だ。中心街にあるから、相応な値段がする。

 でも、もふもふ教の設立がワールドアナウンスされた途端、すぐさま加入申請が大量に届いて、組織資金が各自から提供されたことで、すぐさま土地を買える状況になったんだ。みんなもお金持ちだねぇ。

 組織資金っていうのは、プレイヤーによる宗教等の組織内でのシステムで、加入者みんなでプールして、組織運営のために使える資金のこと。使い道はすごくたくさんあるんだ。

 宗教等の組織って言ったのは、もふもふ教の設立が認可された途端、『クランシステム解放』のワールドアナウンスがあったから。

 クランは冒険者プレイヤーが設立・所属できる組織のこと。冒険者ギルドから独立して、依頼を受けたり報酬を渡したりできる。
 ゲームではありがちなものだから、詳細を知らなくても理解できると思う。クラン内のシステムは、もふもふ教のものとほぼ同じだ。

 今回のレイドイベントのために、早速いくつかのクランができたらしい。僕も誘われたけど、もふもふ教があるからいらないかな~と思って断った。リリとルトも断ったって言ってた。

「リリたちまで、本当にもふもふ教に入るとはなぁ。特にルトは嫌がると思ってたけど」

 次第に明るくなっていく空を見ながらポツリと呟く。
 街襲撃までのカウントダウンが次第にゼロに近づいていくけど、全然緊張してない。この日のために準備してきたし、僕には頼りになる仲間がたくさんいるからね。

「きゅぃ(僕ももふもふ教の一員!)」

 スラリンがぴょんと跳ねて主張する。
 僕のテイムモンスターたちは全員、もふもふ教内で『神の使い』という役目を与えられている。
 ……意味がわからないって? 正直僕も理解できてない。そう決めたのはタマモだから。

 もふもふ教の代表者はタマモで、内部の人事を決めてくれてる。
 それによると、僕は『教祖・神・アイドル』という役目。……まぁ、これまでと大して変わらないよね。

 ルトとリリは『神の相談役』という、僕やスラリンたちより意味がわかんない役目になってる。

 希少種会のツッキーたちは『もふもふ広報』という役目として加入してた。もふもふな姿を見せることで、もふもふ教を広めるのが仕事だって。それ、ただ普通にゲーム内で遊んでるだけじゃない?

 ツッキーは「大したことしなくてもいいから楽だな!」と楽しそうに笑ってた。ムギとソウタはちょっと遠い目をしてた気がする。

 役目があると、プールした資金から定期的に報酬が支払われるから、迷惑にはなってないはずだし、僕は「そっかー」と返しておいた。

 他にも『見守り隊』とか、『聖地(お店)の警備』とか、いろんな役目を持ってる人がいるらしい。落ち着いた頃に紹介してもらえることになってるから、楽しみにしてる。たぶん、みんな一回は顔を合わせたことがあると思うけど。

「教会、完成するのが楽しみだねぇ」
「もふ(仕上げでキラキラにする~)」
「……ピアはほんと、キラキラが好きだね」

 体に巻きつけた電飾で周囲を照らしているピアを横目で眺め、思わず笑っちゃう。

 教会用の土地を入手した後は、すぐさま建築ギルドで教会の建物を相談したんだ。凄く綺麗で神秘的な建物になりそう。
 庭もあるから、そこはピアの力を借りて、イルミネーションを用意しようかな。

 教会の完成は、レイドイベント後のお楽しみ!

「モモさん、そろそろ来るようですよ」

 壁の下の方からタマモの声が聞こえた。

 東のバトルフィールドには、もふもふ教の人たちがたくさん集まってる。僕のお店を守るために、力を貸してくれるんだって。
 街防衛のためじゃないの? っていうツッコミは無意味なのでおやめください。

「討伐率100%でも来るんだ……。ちゃんとバトルする機会があって、ある意味良かったね?」
「モモさんの屋敷を襲うなら、『万死!』ですけどね」
「殺意がすごい」

 タマモに同調して頷く人たちを眺めて、思わず笑っちゃう。ここが突破されるなんてまったく想像できないから、もうお気楽な感じだよ。
 でも、せっかくたくさん準備したし、僕もがんばろうかな。

 カウントダウンがゼロになった途端、ドドッと迫りくる気配を察知して、立ち上がる。
 戦闘開始の合図は僕に任されてるんだ。

 今回のために作った特別なマイクを構えて、夜が明けていくバトルフィールドを見渡す。
 たくさんのキラキラとした眼差しを感じた。

「みんなー! レイドイベント、たくさん暴れまわっちゃおうね! この屋敷を守れた暁には、第一回もふもふ教集会でコンサートするよ!」
「「「きゃあー! モモさんは神!」」」

 地面を揺らすような大きな歓声が上がった。
 迫ってきていた敵が、なぜか怯えて足を止めたように感じられたのは、きっと気のせいだよね?

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