もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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6章 どたばた大騒動?

223.情報プレゼントだよ

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 リカちゃんから情報を得て、ルトが掲示板に報告を上げているのを横目で見ながらのんびりしていると、慣れたワールドアナウンスが聞こえてきた。

〈〈ストーリーミッション『狂化モンスター事件の黒幕を追え』内のタスク『十人以上のプレイヤーが黒幕の情報を入手』をクリアしました。全プレイヤーに報酬【キーリ領主城への入城許可】と依頼『犯人逮捕協力』が出されます〉〉

 おっと……?
 アナウンスを聞きながらルトと目を合わせる。

 今回アナウンスの時間がちょっとズレたのは、情報を知る人の数が条件に入っていたからみたいだ。掲示板で報告すれば、十人なんてあっという間だよねぇ。

 それにしても、僕は領主のお城への入城許可をもう持ってたけど、これでみんな行けるようになったんだね。おかげで、お城でなにかが起こるのが確定になったよ。なにかって言うか、もう犯人逮捕以外になさそうだけど。

「モモ。黒幕と犯人って言葉を使い分けてる意味わかるか?」
「え? あー、そういえば、ミッションと依頼で、言い方違ったね」

 システムメニューのミッション欄で改めて確認したけど、やっぱり捕まえるのは黒幕じゃなくて犯人ってなってる。
 つまり――

「今回も、黒幕は捕まえられねぇってことかね……」
「そうなんだろうねぇ」

 ため息交じりで言うルトに、僕はのほほんと返事をした。
 ベラちゃんが関わった事件でも、黒幕には逃げられたし、今回もそうなる気配が濃厚だ。その場合、王都はちゃんと解放されるのかな?

「とりあえず、犯人はしっかり捕まえよう。これは異世界の住人NPCと協力しろってことだろうし、冒険者ギルドと街の警備隊に報告だな」

 頷いたルトが立ち上がる。早速行動するつもりらしい。やる気いっぱいだね。

 ルトをリカちゃんと一緒に見送ろうとしてたら、なぜかジトッとした目で見下ろされた。

「なに?」
「モモはなんもしねぇのか?」
「僕がすることってある?」

 街防衛のレイドイベントのために、せっせと薬などのアイテムを作って納品したから、生産系ミッションはほぼ100%に近い。さらに僕が追加しなくても、今日中にでも目標達成になるだろう。

 討伐率のミッションも、それなりに狂化モンスターを倒して貢献してるし、問題はないはず。僕が東の狂化モンスターを倒しに行く前に、そっち側は討伐率100%になってたけど。

 これ、実際のレイドイベントで、東側からの襲撃は起きないなんてことにはならないよね? もしそうなったら、襲撃に備えてせっせと用意したアイテムが無駄になりそうで、ちょっぴり残念なんだけど。

「……いや、ねぇな。しいて言うなら、お前の信者の統率を頼むのと、なんか情報があったらすぐに報告しろってくらいだな」
「信者の統率はタマモの役目です」
「こら、タマモがさすがに可哀想だろ。つーか、信者って完全に認めたんだな」
「もうすぐもふもふ教の設立が正式にできるし、さすがにね」

 今までファンって呼んでたけど、信者さんって言うべきなんだろうなと、諦めがついたよ。呼び名が変わるだけで、実態に違いはないし、まぁいい。

 僕が軽く頷いたら、ルトはパチパチと目を瞬かせた。

「あ? マジで宗教化すんのか?」
「知らなかった? タマモたちが掲示板で途中経過も報告してるはずだけど」
「俺はそっちの板には関わらねぇようにしてんだよ。頭おかしくなりそうだからな」
「ひどい。でもわかる」

 僕も、僕が話題に出てる掲示板は見てません。いつもタマモやリリを通して、どんなやり取りがされてるかちょっと聞くだけ。

「リリのヤツ、俺に報告し忘れやがったな……」
「そんなこともあるさ~」
「報告忘れ常習者のお前は、今はなんもねぇんだよな?」

 のほほんと返事をしたら、眉間に皺を寄せたルトが、ジッと僕を見据えた。
 報告ねぇ。最近はそんなに――

「あ」
「んだよ、やっぱあんのかよ」
「えへへ」
「笑って誤魔化すな。通用すんのは俺以外だけだ」
「通用する範囲広すぎない?」

 僕の愛嬌で世界を征服できる気がするぞー! なんて、頭の中でふざけながら、にこにことルトを見上げる。嫌な予感がしたのか、ルトは盛大に顔を引き攣らせた。

「やっぱ聞きたくねぇな」
「だがしかし、思い出したからには報告せねばならんのです」
「なにキャラだよ。愛嬌ウサギだけで過剰なんだから、さらにキャラを上乗せすんな」
「今日のルト、いつもより辛辣では?」

 耳を押さえるルトの顔の辺りまで飛んで、強引に手を引き離す。聞こえなかった、は許しません。

「――街襲撃のとき、古竜エンシェントドラゴン登場するかも!」
「は!? ふざけんな、コノヤロー!」
「残念なことに、全然ふざけてないんだよねー」

 驚愕の表情のルトに、僕はヤレヤレと頭を振った。

 実はモンちゃんを通して、古竜エンシェントドラゴンに関しての国上層部からの指示を受けていたのだ。第三の街並びに王都への襲撃を防げるなら、古竜エンシェントドラゴンに協力してもらうのも良し、って。

 つまり、街襲撃の際に古竜エンシェントドラゴンを呼ぶのは、ほぼ確定事項だよ! 古竜エンシェントドラゴンのお散歩、お楽しみに~。

 その指示について話しているときのモンちゃんが、凄まじく疲れた表情だったのはご愁傷さまです。できる限り街に被害が出ないよう、イグニスさんに頼んでおくからね!

「はぁ……。その情報、異世界の住人NPCには伝えてんのか?」

 動揺を見せてないリカちゃんを横目で観察し、ルトが目を細める。

「うん。モンちゃんを通してる話だから、ギルドとかへの報告はされてるはずだよ」
「それなら、俺らの方に情報広げればいいんだな」
「した方がいいの?」
「そりゃそうだろ」

 呆れた表情で再び掲示板を使い始めたルトが、チラッと僕を見下ろす。

「――知らねぇ内に古竜エンシェントドラゴンの攻撃に巻き込まれるなんて悲惨な事態が起きたら、さすがのお前でも多少は非難されるぞ」
「報告よろしくお願いします!」

 ルトが言ったことを想像して、ヒェッとなった。
 さすがにたくさんの人に恨まれたくはないです!

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