もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
212 / 555
6章 どたばた大騒動?

225.レイドイベント開始です

しおりを挟む
〈〈レイドイベント『第三の街キーリ襲撃』が開始しました〉〉

 ワールドアナウンスと同時に、遠距離攻撃プレイヤーの射程にモンスターが到達した。
 見た目は普通のモンスターたちで、狂化モンスターではないっぽい。もしかしたら、狂化モンスターから逃げてきてるのかも?

「第一陣用意――放て!」

 タマモが合図をする。それにより、最前列にいた魔術士や弓術士、投擲士が一斉に攻撃を放った。
 鮮やかな光が、夜が明けたばかりの空に美しく輝く。

 ――ドンッ! バンッ! ズシッ!

「威力は可愛くない……」

 殲滅、という言葉で表現したくなる数多の攻撃に、ちょっとだけ遠い目をしちゃうのはしかたないよね? このエリアの防衛力、もはや過剰戦力じゃない?
 もふもふ教は軍隊だったのかなって思うくらい、統率のとれた戦闘だ。

「第二陣用意――放て!」

 最前列が控えの遠距離攻撃プレイヤーと交代し、再び攻撃を放った。先ほどと同じ光景が繰り返される。

「これ、僕たちのとこまで来れるモンスターいないんじゃ……?」

 ぽつりと呟く。でも、攻撃を避けたり負傷したりしながらも進んでくるモンスターを見つけた。一、二撃で倒せないモンスターは僕の想像以上にいたらしい。
 普通に考えたら、僕も何回も攻撃を与えてから倒すわけだし、遠距離攻撃で倒しきれないのは当然だよね。

「近距離隊、前へ! ここからは敵味方入り乱れます。フレンドリーファイアは起きませんが、衝撃を感じることはあるので、注意してください」

 指示を飛ばした後、体術士であるタマモも戦場へと飛び出した。
 多くのモンスターの背後から、狂化モンスターの姿も見え始めている。ここからがバトル本番って感じだ。

「それじゃ、僕たちも行くよー」
「きゅぃ(がんばる!)」

 口々に気合いを入れるスラリンたちと共に、僕もバトルフィールドに飛び出す。

 東エリアからの敵は、僕たちもふもふ教の集団と異世界の住人NPCの警備隊で相手をすることになっている。

 ちなみに、西エリアは第二陣参入プレイヤーたちが中心となって対応し、北エリアはユウシャたちのような攻略組と呼ばれるプレイヤーが多く参戦していた。

 モンちゃんたちテイマー集団は、西エリアと北エリアに分かれて戦っているらしい。
 最初は東エリアにも、という話があったんだけど、タマモたちのようなもふもふ好きがよそ見をして危なくなったらいけない、ということで取りやめになった。

 タマモは泣きそうな顔で「否定できないッ……」と同意していた。
 そこまでもふもふ好きなのか。……うん、好きだよね。日頃のタマモを思い出したら、僕も納得するしかない。

 僕たちで我慢してもらおう。僕もオギンもショコラもペタも、もふもふだよ~。ツッキーとムギとソウタもいるよ~。

「【空間斬くうかんぎり】!」

 戦闘の騒がしさの中から、ルトの声が聞こえた。その声の方を見ると、白銀の大剣を振るい、モンスターを一刀両断しているルトの姿があった。

 バトル前に教えてくれたけど、ルトは僕があげたアイテムを使って、空間系の攻撃ができる剣を作れたんだって。クーリングタイムが長いけど、一撃で大抵のモンスターを倒せる斬撃を繰り出せるらしい。強い!

 僕もがんばらなきゃ。

「【嵐蹴り】!」

 飛翔フライから蹴り技を放つ。もうこの攻撃も慣れたものだな~。
 倒しきれなかった敵を、スラリンたちがすかさず仕留めてくれる。

 進化したスラリンは、ステータスが底上げされて結構強い。今のところ、攻撃は体当たりや分解吸収が主だけど、体が大きくなったから威力が増した。頼りになる仲間だよ。

「きゅぃ~(転がるよ)」

 スラリンがゴロゴロと転がって、次々にモンスターの足を止める。そこにすかさずオギンたちが攻撃を繰り出していた。

 屋敷内で大玉に乗る練習をしていたスラリンは、なぜか自分が大玉のように転がるスキルを習得したんだ。

 転がるスラリンに乗ってバランスをとるユキマルたちの姿は、最近屋敷の敷地内でよく見られる光景です。僕の屋敷が観光名所になってる気がするくらい、スラリンたちを見る目的の人たちが押し寄せてる。
 楽しんでくれてるなら、まぁいいよ。おかげで店の商品もたくさん売れてるし。

「モモ、予想してた以上に敵が多いね」
「そうだねぇ。討伐率100%でこれだから、他のエリアはもっと厳しいのかも?」

 倒したモンスターが消えて、リリに話しかけられた。それに対し、肩をすくめて答える。
 こうして話してる間も次々とモンスターが現れるんだから、休む暇がない。さすがレイドイベント、簡単には終わらせてくれないね。

「おーい、モモ! 体力と魔力の回復が追いつかないやつが増えてるぞ。一旦、距離を取らせようぜ!」
「ツッキー、了解!」

 前線をムギやソウタと共に駆けて攻撃していたツッキーが、壁の方へと退避していく。
 それを合図として、遠距離攻撃が敵に炸裂して足止めし、また近距離まで来ていた敵を集中して倒していく姿が各所に見られた。

 僕は一足先に壁の方まで飛翔フライで戻る。
 手にしているのはスイッチだ。

 再びマイクを構え、フィールドに散っているプレイヤーと異世界の住人NPCに声を掛ける。

「トラップ発動まで五、四、三、二、一……」

 事前に取り決めていた通りに、プレイヤーたちが壁近くまで後退する。
 一部、敵に交じって残っている人もいるけど、あれは覚悟を決めた顔だな。それなら僕も遠慮なくぶちかましちゃうぞ。

「――スイッチオン~」

 のほほんと言った後、手元のスイッチを押した。ポチッとな♪

 ――ドドドドドドッ! バババババッ!

 凄まじい音と共に、地面から様々なボムが爆発する。その衝撃で、たくさんのモンスターが宙を飛んでいくのが見えた。一部、人が交じってるのは見なかったフリをする。

 今回の襲撃に備えて、たくさんのボムを地面に仕掛けておいたんだよ。スイッチ発動式なんだ。想像以上に威力がすごかったのは、ボムを並べる間隔が狭かったからかな。

「たーまやー!」
「物騒な花火だな……」

 いつの間にか隣りにいたルトが、遠い目をして呟いた。

〈大量のボムを一度に使い敵にダメージを負わせたことにより、称号【爆弾魔】を入手しました〉

 待って? それはちょっと不名誉な称号では?

しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。