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6章 どたばた大騒動?
225.レイドイベント開始です
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〈〈レイドイベント『第三の街キーリ襲撃』が開始しました〉〉
ワールドアナウンスと同時に、遠距離攻撃プレイヤーの射程にモンスターが到達した。
見た目は普通のモンスターたちで、狂化モンスターではないっぽい。もしかしたら、狂化モンスターから逃げてきてるのかも?
「第一陣用意――放て!」
タマモが合図をする。それにより、最前列にいた魔術士や弓術士、投擲士が一斉に攻撃を放った。
鮮やかな光が、夜が明けたばかりの空に美しく輝く。
――ドンッ! バンッ! ズシッ!
「威力は可愛くない……」
殲滅、という言葉で表現したくなる数多の攻撃に、ちょっとだけ遠い目をしちゃうのはしかたないよね? このエリアの防衛力、もはや過剰戦力じゃない?
もふもふ教は軍隊だったのかなって思うくらい、統率のとれた戦闘だ。
「第二陣用意――放て!」
最前列が控えの遠距離攻撃プレイヤーと交代し、再び攻撃を放った。先ほどと同じ光景が繰り返される。
「これ、僕たちのとこまで来れるモンスターいないんじゃ……?」
ぽつりと呟く。でも、攻撃を避けたり負傷したりしながらも進んでくるモンスターを見つけた。一、二撃で倒せないモンスターは僕の想像以上にいたらしい。
普通に考えたら、僕も何回も攻撃を与えてから倒すわけだし、遠距離攻撃で倒しきれないのは当然だよね。
「近距離隊、前へ! ここからは敵味方入り乱れます。フレンドリーファイアは起きませんが、衝撃を感じることはあるので、注意してください」
指示を飛ばした後、体術士であるタマモも戦場へと飛び出した。
多くのモンスターの背後から、狂化モンスターの姿も見え始めている。ここからがバトル本番って感じだ。
「それじゃ、僕たちも行くよー」
「きゅぃ(がんばる!)」
口々に気合いを入れるスラリンたちと共に、僕もバトルフィールドに飛び出す。
東エリアからの敵は、僕たちもふもふ教の集団と異世界の住人の警備隊で相手をすることになっている。
ちなみに、西エリアは第二陣参入プレイヤーたちが中心となって対応し、北エリアはユウシャたちのような攻略組と呼ばれるプレイヤーが多く参戦していた。
モンちゃんたちテイマー集団は、西エリアと北エリアに分かれて戦っているらしい。
最初は東エリアにも、という話があったんだけど、タマモたちのようなもふもふ好きがよそ見をして危なくなったらいけない、ということで取りやめになった。
タマモは泣きそうな顔で「否定できないッ……」と同意していた。
そこまでもふもふ好きなのか。……うん、好きだよね。日頃のタマモを思い出したら、僕も納得するしかない。
僕たちで我慢してもらおう。僕もオギンもショコラもペタも、もふもふだよ~。ツッキーとムギとソウタもいるよ~。
「【空間斬】!」
戦闘の騒がしさの中から、ルトの声が聞こえた。その声の方を見ると、白銀の大剣を振るい、モンスターを一刀両断しているルトの姿があった。
バトル前に教えてくれたけど、ルトは僕があげたアイテムを使って、空間系の攻撃ができる剣を作れたんだって。クーリングタイムが長いけど、一撃で大抵のモンスターを倒せる斬撃を繰り出せるらしい。強い!
僕もがんばらなきゃ。
「【嵐蹴り】!」
飛翔から蹴り技を放つ。もうこの攻撃も慣れたものだな~。
倒しきれなかった敵を、スラリンたちがすかさず仕留めてくれる。
進化したスラリンは、ステータスが底上げされて結構強い。今のところ、攻撃は体当たりや分解吸収が主だけど、体が大きくなったから威力が増した。頼りになる仲間だよ。
「きゅぃ~(転がるよ)」
スラリンがゴロゴロと転がって、次々にモンスターの足を止める。そこにすかさずオギンたちが攻撃を繰り出していた。
屋敷内で大玉に乗る練習をしていたスラリンは、なぜか自分が大玉のように転がるスキルを習得したんだ。
転がるスラリンに乗ってバランスをとるユキマルたちの姿は、最近屋敷の敷地内でよく見られる光景です。僕の屋敷が観光名所になってる気がするくらい、スラリンたちを見る目的の人たちが押し寄せてる。
楽しんでくれてるなら、まぁいいよ。おかげで店の商品もたくさん売れてるし。
「モモ、予想してた以上に敵が多いね」
「そうだねぇ。討伐率100%でこれだから、他のエリアはもっと厳しいのかも?」
倒したモンスターが消えて、リリに話しかけられた。それに対し、肩をすくめて答える。
こうして話してる間も次々とモンスターが現れるんだから、休む暇がない。さすがレイドイベント、簡単には終わらせてくれないね。
「おーい、モモ! 体力と魔力の回復が追いつかないやつが増えてるぞ。一旦、距離を取らせようぜ!」
「ツッキー、了解!」
前線をムギやソウタと共に駆けて攻撃していたツッキーが、壁の方へと退避していく。
それを合図として、遠距離攻撃が敵に炸裂して足止めし、また近距離まで来ていた敵を集中して倒していく姿が各所に見られた。
僕は一足先に壁の方まで飛翔で戻る。
手にしているのはスイッチだ。
再びマイクを構え、フィールドに散っているプレイヤーと異世界の住人に声を掛ける。
「トラップ発動まで五、四、三、二、一……」
事前に取り決めていた通りに、プレイヤーたちが壁近くまで後退する。
一部、敵に交じって残っている人もいるけど、あれは覚悟を決めた顔だな。それなら僕も遠慮なくぶちかましちゃうぞ。
「――スイッチオン~」
のほほんと言った後、手元のスイッチを押した。ポチッとな♪
――ドドドドドドッ! バババババッ!
凄まじい音と共に、地面から様々なボムが爆発する。その衝撃で、たくさんのモンスターが宙を飛んでいくのが見えた。一部、人が交じってるのは見なかったフリをする。
今回の襲撃に備えて、たくさんのボムを地面に仕掛けておいたんだよ。スイッチ発動式なんだ。想像以上に威力がすごかったのは、ボムを並べる間隔が狭かったからかな。
「たーまやー!」
「物騒な花火だな……」
いつの間にか隣りにいたルトが、遠い目をして呟いた。
〈大量のボムを一度に使い敵にダメージを負わせたことにより、称号【爆弾魔】を入手しました〉
待って? それはちょっと不名誉な称号では?
ワールドアナウンスと同時に、遠距離攻撃プレイヤーの射程にモンスターが到達した。
見た目は普通のモンスターたちで、狂化モンスターではないっぽい。もしかしたら、狂化モンスターから逃げてきてるのかも?
「第一陣用意――放て!」
タマモが合図をする。それにより、最前列にいた魔術士や弓術士、投擲士が一斉に攻撃を放った。
鮮やかな光が、夜が明けたばかりの空に美しく輝く。
――ドンッ! バンッ! ズシッ!
「威力は可愛くない……」
殲滅、という言葉で表現したくなる数多の攻撃に、ちょっとだけ遠い目をしちゃうのはしかたないよね? このエリアの防衛力、もはや過剰戦力じゃない?
もふもふ教は軍隊だったのかなって思うくらい、統率のとれた戦闘だ。
「第二陣用意――放て!」
最前列が控えの遠距離攻撃プレイヤーと交代し、再び攻撃を放った。先ほどと同じ光景が繰り返される。
「これ、僕たちのとこまで来れるモンスターいないんじゃ……?」
ぽつりと呟く。でも、攻撃を避けたり負傷したりしながらも進んでくるモンスターを見つけた。一、二撃で倒せないモンスターは僕の想像以上にいたらしい。
普通に考えたら、僕も何回も攻撃を与えてから倒すわけだし、遠距離攻撃で倒しきれないのは当然だよね。
「近距離隊、前へ! ここからは敵味方入り乱れます。フレンドリーファイアは起きませんが、衝撃を感じることはあるので、注意してください」
指示を飛ばした後、体術士であるタマモも戦場へと飛び出した。
多くのモンスターの背後から、狂化モンスターの姿も見え始めている。ここからがバトル本番って感じだ。
「それじゃ、僕たちも行くよー」
「きゅぃ(がんばる!)」
口々に気合いを入れるスラリンたちと共に、僕もバトルフィールドに飛び出す。
東エリアからの敵は、僕たちもふもふ教の集団と異世界の住人の警備隊で相手をすることになっている。
ちなみに、西エリアは第二陣参入プレイヤーたちが中心となって対応し、北エリアはユウシャたちのような攻略組と呼ばれるプレイヤーが多く参戦していた。
モンちゃんたちテイマー集団は、西エリアと北エリアに分かれて戦っているらしい。
最初は東エリアにも、という話があったんだけど、タマモたちのようなもふもふ好きがよそ見をして危なくなったらいけない、ということで取りやめになった。
タマモは泣きそうな顔で「否定できないッ……」と同意していた。
そこまでもふもふ好きなのか。……うん、好きだよね。日頃のタマモを思い出したら、僕も納得するしかない。
僕たちで我慢してもらおう。僕もオギンもショコラもペタも、もふもふだよ~。ツッキーとムギとソウタもいるよ~。
「【空間斬】!」
戦闘の騒がしさの中から、ルトの声が聞こえた。その声の方を見ると、白銀の大剣を振るい、モンスターを一刀両断しているルトの姿があった。
バトル前に教えてくれたけど、ルトは僕があげたアイテムを使って、空間系の攻撃ができる剣を作れたんだって。クーリングタイムが長いけど、一撃で大抵のモンスターを倒せる斬撃を繰り出せるらしい。強い!
僕もがんばらなきゃ。
「【嵐蹴り】!」
飛翔から蹴り技を放つ。もうこの攻撃も慣れたものだな~。
倒しきれなかった敵を、スラリンたちがすかさず仕留めてくれる。
進化したスラリンは、ステータスが底上げされて結構強い。今のところ、攻撃は体当たりや分解吸収が主だけど、体が大きくなったから威力が増した。頼りになる仲間だよ。
「きゅぃ~(転がるよ)」
スラリンがゴロゴロと転がって、次々にモンスターの足を止める。そこにすかさずオギンたちが攻撃を繰り出していた。
屋敷内で大玉に乗る練習をしていたスラリンは、なぜか自分が大玉のように転がるスキルを習得したんだ。
転がるスラリンに乗ってバランスをとるユキマルたちの姿は、最近屋敷の敷地内でよく見られる光景です。僕の屋敷が観光名所になってる気がするくらい、スラリンたちを見る目的の人たちが押し寄せてる。
楽しんでくれてるなら、まぁいいよ。おかげで店の商品もたくさん売れてるし。
「モモ、予想してた以上に敵が多いね」
「そうだねぇ。討伐率100%でこれだから、他のエリアはもっと厳しいのかも?」
倒したモンスターが消えて、リリに話しかけられた。それに対し、肩をすくめて答える。
こうして話してる間も次々とモンスターが現れるんだから、休む暇がない。さすがレイドイベント、簡単には終わらせてくれないね。
「おーい、モモ! 体力と魔力の回復が追いつかないやつが増えてるぞ。一旦、距離を取らせようぜ!」
「ツッキー、了解!」
前線をムギやソウタと共に駆けて攻撃していたツッキーが、壁の方へと退避していく。
それを合図として、遠距離攻撃が敵に炸裂して足止めし、また近距離まで来ていた敵を集中して倒していく姿が各所に見られた。
僕は一足先に壁の方まで飛翔で戻る。
手にしているのはスイッチだ。
再びマイクを構え、フィールドに散っているプレイヤーと異世界の住人に声を掛ける。
「トラップ発動まで五、四、三、二、一……」
事前に取り決めていた通りに、プレイヤーたちが壁近くまで後退する。
一部、敵に交じって残っている人もいるけど、あれは覚悟を決めた顔だな。それなら僕も遠慮なくぶちかましちゃうぞ。
「――スイッチオン~」
のほほんと言った後、手元のスイッチを押した。ポチッとな♪
――ドドドドドドッ! バババババッ!
凄まじい音と共に、地面から様々なボムが爆発する。その衝撃で、たくさんのモンスターが宙を飛んでいくのが見えた。一部、人が交じってるのは見なかったフリをする。
今回の襲撃に備えて、たくさんのボムを地面に仕掛けておいたんだよ。スイッチ発動式なんだ。想像以上に威力がすごかったのは、ボムを並べる間隔が狭かったからかな。
「たーまやー!」
「物騒な花火だな……」
いつの間にか隣りにいたルトが、遠い目をして呟いた。
〈大量のボムを一度に使い敵にダメージを負わせたことにより、称号【爆弾魔】を入手しました〉
待って? それはちょっと不名誉な称号では?
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