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モモの年末年始
年末のご挨拶です②
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順に挨拶していって、たくさんのお土産を配ったら、お返しもいっぱいだった。嬉しいなぁ。
パティエンヌちゃんからは幻桃のピーチメルバをもらったから、食べるのが楽しみ。ライアンさんからは桃スイーツセットをもらった。帰ったら、スラリンたちと桃尽くしのお茶会するんだ。
カミラはスパルくんたちと一緒にいて、たくさんの乳製品をくれた。これを使って、また新商品を作ろうかな。
そんなこんなで、僕は今、第二の街を散歩しながら、次に挨拶する人を探してます。
「あ、シェルさん!」
「モモさん! お久しぶりです!」
日中だからスキル屋の看板を掲げてたシェルさんを発見――と思ったら、勢いよく駆け寄ってきた。ちょっとびっくりしちゃう。
「え、どうしたの。なにかあった?」
「モモさん、ライブをするのにお声がけがなかったのは、私に飽きてしまわれたからですか……」
滂沱。
シェルさんの悲しみに満ちた表情に、さらに驚いた。そんなつもりはまったくなかったんだけど。
「違うよ! 急だったし、第三の街でライブしたから、シェルさんを誘う余裕がなかっただけ」
「本当に……?」
「うん! 次にライブする時は、絶対誘うよ。というか、新曲のお願いもするかも」
涙が止まって、シェルさんの目に光が戻った。
「新曲作ります! また、アイリーンさんと相談しておきますね!」
「楽しみにしてるよー」
応じながら、アイリーンにも連絡しておかなくちゃ、と脳内メモをとった。アイリーンなら快く協力してくれそうだし、大丈夫のはず。
「それでは、本日のご用件は? 久しぶりにスキル交換ですか?」
「違うけど」
「そうですか……」
スキル屋業は今日も暇らしい。スキル交換に来るプレイヤーがあまりいないんだって。いらないスキルを集めるのって、結構大変だもんねぇ。
しょんぼりしてるシェルさんに「今年お世話になったお礼をしに来たよー」と告げる。
お礼の品は、一緒にハロウィンコンサートをした時の写真集です。タマモを通じてスクショを集めてもらった。シェルさんも載ってるんだ。
「今年の思い出として、残してくれたら嬉しいな」
「こ、これは! 嬉しいです! 家宝にします!」
「いや、それは大げさ……」
写真集を抱きしめて、喜びいっぱいの表情を浮かべるシェルさんに苦笑しちゃった。
シェルさんにはたくさんお世話になったから、このくらいの物で喜んでもらえるなら僕も嬉しいんだけどね。
「来年もよろしくねー」
「はい! こちらこそ、よろしくお願いします」
頭を下げたシェルさんが、「これをどうぞ」と手ぬぐいをくれた。大きく『音楽は人生だ』と書いてある隅に、小さく『スキル屋としてもがんばります』という文字がある。
シェルさんはやっぱり、スキル屋より音楽家としての比重が大きいよね? シェルさんらしい挨拶品で笑っちゃった。
「ありがとー。今度のライブで、こういうグッズを売ってもいいかもね」
「モモさんのファンの人は喜ぶと思いますよ!」
もふもふ教の方でも、特別なアイテムの販売をするかなー? 欲しがる人はたくさんいそう。
その後、シェルさんと少し雑談を続けた後に、挨拶回り再開。
第三の街に着いて向かうのはモンちゃんの家だ。
「モンちゃん! 僕が来たよー!」
「新手のオレオレ詐欺か」
「僕に成り代われる人っていなくない?」
「いねぇな」
すぐさま出てきたモンちゃんと真剣な表情で話してたら、レアナさんがくすくすと笑った。
「二人は仲良しね」
「モンちゃんモモちゃんで漫才界のトップを目指すって夢を持ってる同志だからね」
「初耳だが?」
「えっ……そんな……モンちゃん、忘れるなんてひどい……」
「俺がすげぇ悪いやつみたいだから、その悲しげな演技やめろ!」
ふざけて遊んでたら、モンちゃんに頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。毛が乱れるからやめてー。
「毛繕いー。あ、綿毛いる?」
「いる」
「反応早い」
取れた綿毛をプレゼントする。モンちゃんは何に使うんだろう? ぬいぐるみとしてプレゼントした方が良かったかな?
「今年お世話になったお礼も持ってきたんだよー」
「律儀だな」
「来年もいろいろ迷惑かけそうだけど、よろしくお願いしたいから」
「下心は隠せ」
「言わなくてもバレバレだと思って」
にこにこと笑って、大量の料理を渡す。美味しく食べてもらえたら嬉しい。
「サンキュ。これとか、あいつが好きそうだな」
「海苔の佃煮?」
「そう、俺のカニックス」
「カニックス……?」
「モンハのテイムモンスターよ。見た目は大きなカニなの」
「……もふもふはしてないけど、強そうだね」
もふもふ教の標的にはならなそう。
モンちゃんは何かを思い出すような表情で「あー、そういや、キュウは旅人たちからすげぇ好かれてたな……」と呟く。もふもふ教の洗礼は受けていたらしい。キュウってどんな子だろう。いつか会いたいな。
「ま、来年もよろしくな、モモ。これやるよ」
気を取り直した感じで、モンちゃんが何かを投げてくる。
見た目はハンドミラーだ。割れたら危ないんだから投げないでよ。ちょっぴり不満に思いつつ鑑定する。
「【ふわふわミラー】?」
「そのミラーに映った状態で毛繕いスキルを使うと、魅力度アップ&取得アイテム倍増効果がある」
「最高だね!」
素晴らしすぎるプレゼントだよ。モンちゃん、センスいい!
「モモはたくさんの人の前で歌ったり踊ったりするのが楽しそうだったからな。それを使って、もっとたくさんの人を喜ばせたらいいんじゃないか?」
「うん、がんばる。ありがとう!」
コンサートしてるって話をした時は微妙な反応だったのに、ちょっと変わったね。この前ライブを見て、印象が変わったのかな。
レアナさんが「どんなことであれ、心から楽しいと思えることがあるって素敵だものね」と微笑んでる。
僕の活動を認めてもらえた感じがして嬉しい。
ミラーに映った天兎姿の自分を眺めてにこりと笑う。
来年も神アイドル天兎モモ、みんなに幸せと癒やしを届けられるようにがんばります!
たくさん応援してもらえたら嬉しいな♪
パティエンヌちゃんからは幻桃のピーチメルバをもらったから、食べるのが楽しみ。ライアンさんからは桃スイーツセットをもらった。帰ったら、スラリンたちと桃尽くしのお茶会するんだ。
カミラはスパルくんたちと一緒にいて、たくさんの乳製品をくれた。これを使って、また新商品を作ろうかな。
そんなこんなで、僕は今、第二の街を散歩しながら、次に挨拶する人を探してます。
「あ、シェルさん!」
「モモさん! お久しぶりです!」
日中だからスキル屋の看板を掲げてたシェルさんを発見――と思ったら、勢いよく駆け寄ってきた。ちょっとびっくりしちゃう。
「え、どうしたの。なにかあった?」
「モモさん、ライブをするのにお声がけがなかったのは、私に飽きてしまわれたからですか……」
滂沱。
シェルさんの悲しみに満ちた表情に、さらに驚いた。そんなつもりはまったくなかったんだけど。
「違うよ! 急だったし、第三の街でライブしたから、シェルさんを誘う余裕がなかっただけ」
「本当に……?」
「うん! 次にライブする時は、絶対誘うよ。というか、新曲のお願いもするかも」
涙が止まって、シェルさんの目に光が戻った。
「新曲作ります! また、アイリーンさんと相談しておきますね!」
「楽しみにしてるよー」
応じながら、アイリーンにも連絡しておかなくちゃ、と脳内メモをとった。アイリーンなら快く協力してくれそうだし、大丈夫のはず。
「それでは、本日のご用件は? 久しぶりにスキル交換ですか?」
「違うけど」
「そうですか……」
スキル屋業は今日も暇らしい。スキル交換に来るプレイヤーがあまりいないんだって。いらないスキルを集めるのって、結構大変だもんねぇ。
しょんぼりしてるシェルさんに「今年お世話になったお礼をしに来たよー」と告げる。
お礼の品は、一緒にハロウィンコンサートをした時の写真集です。タマモを通じてスクショを集めてもらった。シェルさんも載ってるんだ。
「今年の思い出として、残してくれたら嬉しいな」
「こ、これは! 嬉しいです! 家宝にします!」
「いや、それは大げさ……」
写真集を抱きしめて、喜びいっぱいの表情を浮かべるシェルさんに苦笑しちゃった。
シェルさんにはたくさんお世話になったから、このくらいの物で喜んでもらえるなら僕も嬉しいんだけどね。
「来年もよろしくねー」
「はい! こちらこそ、よろしくお願いします」
頭を下げたシェルさんが、「これをどうぞ」と手ぬぐいをくれた。大きく『音楽は人生だ』と書いてある隅に、小さく『スキル屋としてもがんばります』という文字がある。
シェルさんはやっぱり、スキル屋より音楽家としての比重が大きいよね? シェルさんらしい挨拶品で笑っちゃった。
「ありがとー。今度のライブで、こういうグッズを売ってもいいかもね」
「モモさんのファンの人は喜ぶと思いますよ!」
もふもふ教の方でも、特別なアイテムの販売をするかなー? 欲しがる人はたくさんいそう。
その後、シェルさんと少し雑談を続けた後に、挨拶回り再開。
第三の街に着いて向かうのはモンちゃんの家だ。
「モンちゃん! 僕が来たよー!」
「新手のオレオレ詐欺か」
「僕に成り代われる人っていなくない?」
「いねぇな」
すぐさま出てきたモンちゃんと真剣な表情で話してたら、レアナさんがくすくすと笑った。
「二人は仲良しね」
「モンちゃんモモちゃんで漫才界のトップを目指すって夢を持ってる同志だからね」
「初耳だが?」
「えっ……そんな……モンちゃん、忘れるなんてひどい……」
「俺がすげぇ悪いやつみたいだから、その悲しげな演技やめろ!」
ふざけて遊んでたら、モンちゃんに頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。毛が乱れるからやめてー。
「毛繕いー。あ、綿毛いる?」
「いる」
「反応早い」
取れた綿毛をプレゼントする。モンちゃんは何に使うんだろう? ぬいぐるみとしてプレゼントした方が良かったかな?
「今年お世話になったお礼も持ってきたんだよー」
「律儀だな」
「来年もいろいろ迷惑かけそうだけど、よろしくお願いしたいから」
「下心は隠せ」
「言わなくてもバレバレだと思って」
にこにこと笑って、大量の料理を渡す。美味しく食べてもらえたら嬉しい。
「サンキュ。これとか、あいつが好きそうだな」
「海苔の佃煮?」
「そう、俺のカニックス」
「カニックス……?」
「モンハのテイムモンスターよ。見た目は大きなカニなの」
「……もふもふはしてないけど、強そうだね」
もふもふ教の標的にはならなそう。
モンちゃんは何かを思い出すような表情で「あー、そういや、キュウは旅人たちからすげぇ好かれてたな……」と呟く。もふもふ教の洗礼は受けていたらしい。キュウってどんな子だろう。いつか会いたいな。
「ま、来年もよろしくな、モモ。これやるよ」
気を取り直した感じで、モンちゃんが何かを投げてくる。
見た目はハンドミラーだ。割れたら危ないんだから投げないでよ。ちょっぴり不満に思いつつ鑑定する。
「【ふわふわミラー】?」
「そのミラーに映った状態で毛繕いスキルを使うと、魅力度アップ&取得アイテム倍増効果がある」
「最高だね!」
素晴らしすぎるプレゼントだよ。モンちゃん、センスいい!
「モモはたくさんの人の前で歌ったり踊ったりするのが楽しそうだったからな。それを使って、もっとたくさんの人を喜ばせたらいいんじゃないか?」
「うん、がんばる。ありがとう!」
コンサートしてるって話をした時は微妙な反応だったのに、ちょっと変わったね。この前ライブを見て、印象が変わったのかな。
レアナさんが「どんなことであれ、心から楽しいと思えることがあるって素敵だものね」と微笑んでる。
僕の活動を認めてもらえた感じがして嬉しい。
ミラーに映った天兎姿の自分を眺めてにこりと笑う。
来年も神アイドル天兎モモ、みんなに幸せと癒やしを届けられるようにがんばります!
たくさん応援してもらえたら嬉しいな♪
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