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モモの年末年始
一年の始まりです⑤
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教会でのイベントを終えて、ログアウトする前に第二の街のホームにある店にやって来た。
お正月期間だし、もふもふ教の人は教会に集まっていたからか、店に来るお客さんは少ない。こういう時でも、バトル尽くしで楽しんでる人が商品を買いに来ることはあるんだけど。
「レイドイベントで活躍した商品が結構売れてるなー」
羽が生えて飛べるようになるアイテムが毎日欠品状態。他にも回復薬やステータスアップ薬が売れ筋だ。
薬は消耗品だからねぇ。みんな、レイドイベントで手持ちの薬を使い尽くしちゃったみたいだし。
在庫がなくなってるアイテムを作り足して補充してから、今日のために用意していた商品を並べる。後で、第三の街のお店でも売る予定だ。
「ルールルンルン♪」
「ご機嫌だな」
「あ、タケミさん!」
よお、と手を上げたタケミさんが、「あけましておめでとう」と言ってから、商品カウンターを眺めて首を傾げた。
「あけましておめでとうございまーす」
「……これなんだ?」
タケミさんが指さしたのは、僕が並べたばかりの商品だ。
「福袋!」
「……正月だもんな」
納得した感じで頷いた後、福袋の中身を聞いてくる。
「ランダムに薬と料理、便利アイテム、装備、アクセサリーが入ってるよー。お祝い価格でお得です!」
「へぇ。一年の初めの運試しにいいか。一つもらうぞ」
面白そうに笑った後、タケミさんが福袋を買った。すぐさま中身を確認してる。
「なにが入ってた?」
「ステータスアップ薬とか。後はこれ」
タケミさんの手にあるのは【強化無魔石のブレスレット】だ。
実は、宝石強化スキルを使い続けてたら、魔石強化っていうスキルを手に入れられたんだ。
タケミさんがゲットしたのは、そのスキルを使って効果を上げてるアクセサリー。現時点で様々な店で売られてるアクセサリーの中では、トップクラスに効果が高い。
「おめでと~。福袋に入れたものの中で、たぶん一番良いアクセサリーだよ」
「確かに効果すげぇな」
嬉しそうに顔を綻ばせるタケミさんに、僕も満足です。やっぱり自分で作ったもので誰かを幸せにできたら嬉しい。
「福袋は一人一つの購入制限かけてるから、もう買えないよ」
「わかってる。買い占めなんてマナー違反はしねぇよ」
僕とタケミさんの会話を聞いてた他のお客さんが、次々に福袋を買っていく。これは売り切れるのも早そう。
「さすがタケミさん。よければ、他の商品も買ってね」
「おう。モモが売ってるのは品質が良くて助かる」
にこやかに微笑むタケミさんにバイバイと手を振って、お店の外に向かう。
「福袋には僕の等身大ぬいぐるみも入れてるけど、誰に当たるかな~」
そんな独り言を呟きながら、第三の街に転移です。
◇◆◇
第三の街の店に着いた時には、なんか変だなって気づいた。
さっきまでもふもふ教の教会にいた人たちが、店の前にたくさんいる。何かを待ってるみたいだ。
「んん? どうしたの?」
話しかけてみると、期待に満ちた表情をされた。
「モモさん、こちらで福袋の販売はしますか……?」
「するよー」
答えた瞬間、目がキラキラと輝くのがはっきりとわかった。
もう話が広がってるの? 来るの早くない?
「僕より先に来れるのすごいね?」
「福袋の情報が出た瞬間に、ここに転移してきましたから」
当然ですよ、と言いたげな女性に「なるほどー」と返す。
みんな、ここに転移ピンを設定してるんだね。それだけ、よく買い物に来てくれてるってことだ。毎度ありがとうございます。
「噂では、モモさんのぬいぐるみも入っているとか……?」
「うん。一号店と二号店で一つずつだけど」
「くぅうっ、負けられない戦いがここにある!」
勝手に僕の店を戦場にしないで? とは言えなかった。並んでる人たち全員の熱気がすごすぎて。
僕のぬいぐるみ、大人気だね……
「とりあえず、今から並べるから、買うのは順番にね。先着百名です」
「百……!」
即座に点呼が始まった。列の先頭から順に数字を言っていく。そして百の後に上がったのは「うわぁああん、そんなことある!?」という悲鳴だった。
あと一歩のところでダメだった時って、一番悔しくなるよね。
「恨みっこなしでお願いねー。他の商品もたくさんあるよ。もふもふで癒やされたいなら、休憩スペースも――あ」
福袋を並べ、すぐに売れていくのを見守りながら、買えなかった人にフォローを入れようと思ったけど、休憩スペースもすでに満員だった。ぬいぐるみが一つも残ってない。
「……運だからしかたないよね! 次に期待!」
「休憩スペース、ほぼ毎時満員ですよ」
「改善できるか考えるよ……」
そっと現状を伝えられたので、真剣に考えることにする。
スペースより、ぬいぐるみの数の問題なんだよなぁ。もっと作り足すか。それには、ツッキーやムギたちにも協力してもらわないと。
「オギンさんたちのぬいぐるみはないんですか?」
「うーん、たぶん作れるんだけど……」
オギンたちを毛繕いすると、アイテムを入手できるんだけど、ぬいぐるみよりも効果が良いアイテムを作れるんだよねぇ。
でも、この感じだと、ぬいぐるみを増産した方が良いか。
「――うん、作っておくね!」
「楽しみにしてます!」
期待されたら応えなくちゃ。
にこにこと笑って、素材の在庫を調べに行く。
背後から「ぬいぐるみ当たったー! もふもふー!」という喜びが爆発したような声が聞こえてきた。
おめでとう。たくさん可愛がってね♪
お正月期間だし、もふもふ教の人は教会に集まっていたからか、店に来るお客さんは少ない。こういう時でも、バトル尽くしで楽しんでる人が商品を買いに来ることはあるんだけど。
「レイドイベントで活躍した商品が結構売れてるなー」
羽が生えて飛べるようになるアイテムが毎日欠品状態。他にも回復薬やステータスアップ薬が売れ筋だ。
薬は消耗品だからねぇ。みんな、レイドイベントで手持ちの薬を使い尽くしちゃったみたいだし。
在庫がなくなってるアイテムを作り足して補充してから、今日のために用意していた商品を並べる。後で、第三の街のお店でも売る予定だ。
「ルールルンルン♪」
「ご機嫌だな」
「あ、タケミさん!」
よお、と手を上げたタケミさんが、「あけましておめでとう」と言ってから、商品カウンターを眺めて首を傾げた。
「あけましておめでとうございまーす」
「……これなんだ?」
タケミさんが指さしたのは、僕が並べたばかりの商品だ。
「福袋!」
「……正月だもんな」
納得した感じで頷いた後、福袋の中身を聞いてくる。
「ランダムに薬と料理、便利アイテム、装備、アクセサリーが入ってるよー。お祝い価格でお得です!」
「へぇ。一年の初めの運試しにいいか。一つもらうぞ」
面白そうに笑った後、タケミさんが福袋を買った。すぐさま中身を確認してる。
「なにが入ってた?」
「ステータスアップ薬とか。後はこれ」
タケミさんの手にあるのは【強化無魔石のブレスレット】だ。
実は、宝石強化スキルを使い続けてたら、魔石強化っていうスキルを手に入れられたんだ。
タケミさんがゲットしたのは、そのスキルを使って効果を上げてるアクセサリー。現時点で様々な店で売られてるアクセサリーの中では、トップクラスに効果が高い。
「おめでと~。福袋に入れたものの中で、たぶん一番良いアクセサリーだよ」
「確かに効果すげぇな」
嬉しそうに顔を綻ばせるタケミさんに、僕も満足です。やっぱり自分で作ったもので誰かを幸せにできたら嬉しい。
「福袋は一人一つの購入制限かけてるから、もう買えないよ」
「わかってる。買い占めなんてマナー違反はしねぇよ」
僕とタケミさんの会話を聞いてた他のお客さんが、次々に福袋を買っていく。これは売り切れるのも早そう。
「さすがタケミさん。よければ、他の商品も買ってね」
「おう。モモが売ってるのは品質が良くて助かる」
にこやかに微笑むタケミさんにバイバイと手を振って、お店の外に向かう。
「福袋には僕の等身大ぬいぐるみも入れてるけど、誰に当たるかな~」
そんな独り言を呟きながら、第三の街に転移です。
◇◆◇
第三の街の店に着いた時には、なんか変だなって気づいた。
さっきまでもふもふ教の教会にいた人たちが、店の前にたくさんいる。何かを待ってるみたいだ。
「んん? どうしたの?」
話しかけてみると、期待に満ちた表情をされた。
「モモさん、こちらで福袋の販売はしますか……?」
「するよー」
答えた瞬間、目がキラキラと輝くのがはっきりとわかった。
もう話が広がってるの? 来るの早くない?
「僕より先に来れるのすごいね?」
「福袋の情報が出た瞬間に、ここに転移してきましたから」
当然ですよ、と言いたげな女性に「なるほどー」と返す。
みんな、ここに転移ピンを設定してるんだね。それだけ、よく買い物に来てくれてるってことだ。毎度ありがとうございます。
「噂では、モモさんのぬいぐるみも入っているとか……?」
「うん。一号店と二号店で一つずつだけど」
「くぅうっ、負けられない戦いがここにある!」
勝手に僕の店を戦場にしないで? とは言えなかった。並んでる人たち全員の熱気がすごすぎて。
僕のぬいぐるみ、大人気だね……
「とりあえず、今から並べるから、買うのは順番にね。先着百名です」
「百……!」
即座に点呼が始まった。列の先頭から順に数字を言っていく。そして百の後に上がったのは「うわぁああん、そんなことある!?」という悲鳴だった。
あと一歩のところでダメだった時って、一番悔しくなるよね。
「恨みっこなしでお願いねー。他の商品もたくさんあるよ。もふもふで癒やされたいなら、休憩スペースも――あ」
福袋を並べ、すぐに売れていくのを見守りながら、買えなかった人にフォローを入れようと思ったけど、休憩スペースもすでに満員だった。ぬいぐるみが一つも残ってない。
「……運だからしかたないよね! 次に期待!」
「休憩スペース、ほぼ毎時満員ですよ」
「改善できるか考えるよ……」
そっと現状を伝えられたので、真剣に考えることにする。
スペースより、ぬいぐるみの数の問題なんだよなぁ。もっと作り足すか。それには、ツッキーやムギたちにも協力してもらわないと。
「オギンさんたちのぬいぐるみはないんですか?」
「うーん、たぶん作れるんだけど……」
オギンたちを毛繕いすると、アイテムを入手できるんだけど、ぬいぐるみよりも効果が良いアイテムを作れるんだよねぇ。
でも、この感じだと、ぬいぐるみを増産した方が良いか。
「――うん、作っておくね!」
「楽しみにしてます!」
期待されたら応えなくちゃ。
にこにこと笑って、素材の在庫を調べに行く。
背後から「ぬいぐるみ当たったー! もふもふー!」という喜びが爆発したような声が聞こえてきた。
おめでとう。たくさん可愛がってね♪
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