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7章 世界が広がっていくよ
239.お祈りする?
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第三の街のお屋敷から、本日はスタートです。
まずはご飯を食べるよ。
「♪美味しいご飯を作りましょ~」
「きゅぃ!」
「♪プリプリお魚、卵焼き~」
「ぴぅ!」
「♪白いごはんに散らして、はいできあがり~」
ちらし寿司が完成した。
お魚いっぱいで錦糸卵が綺麗。美味しそう。
わくわくと期待に満ちた眼差しのスラリンたちと一緒に、テーブルを囲む。
「いただきまーす!」
「きゅーぃ!」
お行儀よく挨拶をしたスラリンたちにちらし寿司を配る。すぐさま嬉しそうに食べ始めた。特にスラリンはお魚が好きだから喜んでる。
僕もパクッと食べる。
「お魚美味しー。玉子は甘いねぇ。お米の硬さ、ちょうどいい!」
スキルを使って作ると、これまで食べたことがないくらい美味しい料理ができあがる。
これを実際の生活の中で作れるなんて考えたらダメなんだよ。スキルの力は偉大なんだから。経験者が言うんだから間違いない!
「きゅぃきゅぃ」
「そろそろお魚獲りに行かないとね」
「きゅぃ(任せて!)」
「ぴぅ(僕もがんばる!)」
「頼りにしてるよー」
スラリンとユキマルがいれば、大漁間違いなし。どんなお魚を獲れるかな~。
そんなことを考えながら、ちらし寿司を完食した。まだまだ食べられるけど、これからタマモと会う予定があるから、ひとまずお預けです。
「さて。僕は教会に行ってくるから、スラリンたちはお店をお願いね」
「きゅぃ(はーい。僕たち庭にいるだけでいいんだよね?)」
「うん、それがお客さんにとっても嬉しいことだろうし」
僕が不在の間、スラリンたちは屋敷の庭で遊んでる。玉乗りしたり、綱渡りしたり、スキルを習得する訓練みたいなものだ。
最近は、ブランコやシーソーなども設置したから、遊びらしい遊びもしてるらしいけど。
それをお店の休憩スペースから眺めるお客さんたちは幸せそうなので、スラリンたちの遊びも立派なお仕事だ。
「じゃあ、いってきまーす」
「ぴぅ(いってらっしゃーい)」
可愛くて頼もしい仲間たちに見送られて、教会に転移する。
パッと視界が切り替わった途端に、教会の入り口からタマモが駆け寄ってきた。
「モモさん、おはようございます!」
「おはよう! 今日も良い天気だね」
「今のところ、晴れしか確認できてないですけどね」
にこにこと笑ったタマモが、九尾をブンブンと振った。僕と会えた喜びが伝わってくる。いつも大歓迎してくれるから、僕も嬉しくなるんだよなぁ。
「晴れだと教会の綺麗さが際立つから、これからも晴れでいいよ」
タマモから教会の方へ視線を移して、思わず見惚れた。
最近完成したばかりの教会は、白亜が美しくて教会らしい見た目だ。十字架じゃなくて、天兎のシルエットが刻まれてるのが特徴。
教会の周りの庭には、様々な格好をした天兎の石像が並んでる。
僕のお気に入りは、杖を掲げて魔術を放とうとしてるところを写した石像だ。カッコいいんだよ。
昼寝してる格好の石像は、可愛いと人気らしい。わからなくもない。なんか見てるとほのぼの癒やされるもんねー。
「中のステンドグラスも、日差しがあるからこそ美しいですしね」
微笑んだタマモと共に教会の中へ進む。
小さめの玄関ホールの先には、礼拝堂と呼ばれる広い空間がある。そこの壁にある窓は、すべてステンドグラスだ。
僕が戦ってる姿や料理してる姿、錬金術でアイテムを作ってる姿、レイドイベントで奥義を発動した時の姿、古竜に乗ってる姿、などなど。
たくさんの場面を写したステンドグラスは、そこに描かれてるのが僕だとわかっていても、見惚れるほど美しい。日差しでキラキラとカラフルな光が降り注いでるのを見ると、それだけで幸せな気分になれちゃう。
「あそこにあるのは神々しすぎない?」
礼拝堂の正面には、手を広げた僕に後光が差してる感じのステンドグラスがある。神様って感じだ。みんなの目には僕がこう見えてるのかな。
「モモさんの素晴らしさをよく表していると思います」
「……そっか」
真剣な表情のタマモには、もう何も言うまい。タマモが僕のことを大好きなのは、今さら言われなくても知ってるし。
「ここに皆さんを集めて、聖歌を歌いたいですね」
たくさん並んでるベンチを指して、タマモが微笑む。でも、ちょっと聞き捨てならない言葉があった気がするよ?
「聖歌があるの?」
「現在鋭意制作中です。シェルさんとアイリーンさんにご協力いただいています」
「すごく良いのができる気しかしないね」
僕もちょっと楽しみだぞ。
聖歌ってどんな感じなのかな。厳かな雰囲気? それともハッピーな感じ? 教会の中でロックを歌うのもギャップがあって楽しいと思うよ。
「お二人にはもふもふ教の『楽曲担当』という役職についていただいているので、きちんと報酬をお支払いしてますよ」
「シェルさんも、もふもふ教に入っていた、だと……!?」
異世界の住人が加入してることは知ってたけど、シェルさんはいつの間に? でも、僕たちとの関わりが深かったし、いつ入っても不思議じゃない感じだったもんね。
「たくさんの方が加入してますよ。おかげで、もふもふ教運営費がたくさん集まり、上限に達してしまいました。現在寄付を停止しているんですが、皆さんから『早く貢がせて』という要望が多数で……」
「知ってたけど、みんなの熱意がすごい」
ぽかーんとしながらタマモの話を聞く。なんとなくこの話の続きが読めたよ。
「運営費消費のためにも、他の街にも教会の建設をしてもいいですか?」
にっこり笑ってるし、タマモの中ではもう結論が出てるでしょ。もふもふ教の運営はタマモに一任してるから好きにしちゃっていいよ。
「オッケー。はじまりの街と第三の街?」
「はい。――それと、王都にも」
思いがけない言葉にきょとんとしちゃった。
王都って、まだほとんどの人が行ってないと思うんだけど、気が早くない?
まずはご飯を食べるよ。
「♪美味しいご飯を作りましょ~」
「きゅぃ!」
「♪プリプリお魚、卵焼き~」
「ぴぅ!」
「♪白いごはんに散らして、はいできあがり~」
ちらし寿司が完成した。
お魚いっぱいで錦糸卵が綺麗。美味しそう。
わくわくと期待に満ちた眼差しのスラリンたちと一緒に、テーブルを囲む。
「いただきまーす!」
「きゅーぃ!」
お行儀よく挨拶をしたスラリンたちにちらし寿司を配る。すぐさま嬉しそうに食べ始めた。特にスラリンはお魚が好きだから喜んでる。
僕もパクッと食べる。
「お魚美味しー。玉子は甘いねぇ。お米の硬さ、ちょうどいい!」
スキルを使って作ると、これまで食べたことがないくらい美味しい料理ができあがる。
これを実際の生活の中で作れるなんて考えたらダメなんだよ。スキルの力は偉大なんだから。経験者が言うんだから間違いない!
「きゅぃきゅぃ」
「そろそろお魚獲りに行かないとね」
「きゅぃ(任せて!)」
「ぴぅ(僕もがんばる!)」
「頼りにしてるよー」
スラリンとユキマルがいれば、大漁間違いなし。どんなお魚を獲れるかな~。
そんなことを考えながら、ちらし寿司を完食した。まだまだ食べられるけど、これからタマモと会う予定があるから、ひとまずお預けです。
「さて。僕は教会に行ってくるから、スラリンたちはお店をお願いね」
「きゅぃ(はーい。僕たち庭にいるだけでいいんだよね?)」
「うん、それがお客さんにとっても嬉しいことだろうし」
僕が不在の間、スラリンたちは屋敷の庭で遊んでる。玉乗りしたり、綱渡りしたり、スキルを習得する訓練みたいなものだ。
最近は、ブランコやシーソーなども設置したから、遊びらしい遊びもしてるらしいけど。
それをお店の休憩スペースから眺めるお客さんたちは幸せそうなので、スラリンたちの遊びも立派なお仕事だ。
「じゃあ、いってきまーす」
「ぴぅ(いってらっしゃーい)」
可愛くて頼もしい仲間たちに見送られて、教会に転移する。
パッと視界が切り替わった途端に、教会の入り口からタマモが駆け寄ってきた。
「モモさん、おはようございます!」
「おはよう! 今日も良い天気だね」
「今のところ、晴れしか確認できてないですけどね」
にこにこと笑ったタマモが、九尾をブンブンと振った。僕と会えた喜びが伝わってくる。いつも大歓迎してくれるから、僕も嬉しくなるんだよなぁ。
「晴れだと教会の綺麗さが際立つから、これからも晴れでいいよ」
タマモから教会の方へ視線を移して、思わず見惚れた。
最近完成したばかりの教会は、白亜が美しくて教会らしい見た目だ。十字架じゃなくて、天兎のシルエットが刻まれてるのが特徴。
教会の周りの庭には、様々な格好をした天兎の石像が並んでる。
僕のお気に入りは、杖を掲げて魔術を放とうとしてるところを写した石像だ。カッコいいんだよ。
昼寝してる格好の石像は、可愛いと人気らしい。わからなくもない。なんか見てるとほのぼの癒やされるもんねー。
「中のステンドグラスも、日差しがあるからこそ美しいですしね」
微笑んだタマモと共に教会の中へ進む。
小さめの玄関ホールの先には、礼拝堂と呼ばれる広い空間がある。そこの壁にある窓は、すべてステンドグラスだ。
僕が戦ってる姿や料理してる姿、錬金術でアイテムを作ってる姿、レイドイベントで奥義を発動した時の姿、古竜に乗ってる姿、などなど。
たくさんの場面を写したステンドグラスは、そこに描かれてるのが僕だとわかっていても、見惚れるほど美しい。日差しでキラキラとカラフルな光が降り注いでるのを見ると、それだけで幸せな気分になれちゃう。
「あそこにあるのは神々しすぎない?」
礼拝堂の正面には、手を広げた僕に後光が差してる感じのステンドグラスがある。神様って感じだ。みんなの目には僕がこう見えてるのかな。
「モモさんの素晴らしさをよく表していると思います」
「……そっか」
真剣な表情のタマモには、もう何も言うまい。タマモが僕のことを大好きなのは、今さら言われなくても知ってるし。
「ここに皆さんを集めて、聖歌を歌いたいですね」
たくさん並んでるベンチを指して、タマモが微笑む。でも、ちょっと聞き捨てならない言葉があった気がするよ?
「聖歌があるの?」
「現在鋭意制作中です。シェルさんとアイリーンさんにご協力いただいています」
「すごく良いのができる気しかしないね」
僕もちょっと楽しみだぞ。
聖歌ってどんな感じなのかな。厳かな雰囲気? それともハッピーな感じ? 教会の中でロックを歌うのもギャップがあって楽しいと思うよ。
「お二人にはもふもふ教の『楽曲担当』という役職についていただいているので、きちんと報酬をお支払いしてますよ」
「シェルさんも、もふもふ教に入っていた、だと……!?」
異世界の住人が加入してることは知ってたけど、シェルさんはいつの間に? でも、僕たちとの関わりが深かったし、いつ入っても不思議じゃない感じだったもんね。
「たくさんの方が加入してますよ。おかげで、もふもふ教運営費がたくさん集まり、上限に達してしまいました。現在寄付を停止しているんですが、皆さんから『早く貢がせて』という要望が多数で……」
「知ってたけど、みんなの熱意がすごい」
ぽかーんとしながらタマモの話を聞く。なんとなくこの話の続きが読めたよ。
「運営費消費のためにも、他の街にも教会の建設をしてもいいですか?」
にっこり笑ってるし、タマモの中ではもう結論が出てるでしょ。もふもふ教の運営はタマモに一任してるから好きにしちゃっていいよ。
「オッケー。はじまりの街と第三の街?」
「はい。――それと、王都にも」
思いがけない言葉にきょとんとしちゃった。
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