もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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7章 世界が広がっていくよ

241.おひさ!

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 教会内を探検しながら、もふもふ教の今後について話していたら、あっという間に一時間が経っていた。

 この教会、見どころがいっぱい! まだ敷地に余裕があるし、増築予定なんだよ。泊まれるところとか、カフェとか作れたらいいなー。

 礼拝堂に戻ると、ユリと希少種会が集まっていた。

「久しぶりやな~、モモ」
「ユリ、元気そうだね! 活躍を聞いて驚いちゃった」

 顔を合わせた瞬間、ユリに頬をモミモミされながら挨拶する。ユリってこんな感じだったっけ?

「楽しんでがんばっとるよ。けど、仕事の時間が前と変わって、モモがログインしてる時間と全然合わんかったんよ。会えなくて寂しかったわぁ」
「おー、お疲れさま?」

 どうやら僕の頬を揉んで癒やされてるらしい。社会人って大変だね。

「随分とライブもやってんのやろ? 抽選外れるし、時間は合わへんし……癒やしがあらへん!」
「はは……僕以外にももふもふはいるよ?」

 呆れた顔で僕たちのやり取りを見てるムギたちを指す。今日はヤナはいないみたい。ツッキーとムギ、ソウタの初期希少種会メンバーだ。

「確かにあの子らでも癒やされることはあるし、特にソウタくんなんかめっちゃ可愛いけどな? モモは別格やねん!」
「えーと、ありがとう?」

 褒められてるみたいだし、とりあえずお礼を言っておいた。
 ユリが「休憩スペースでぬいぐるみと過ごすんも、めっちゃ激戦を突破せなアカンしなぁ」としょんぼりしてたので、あげようと思っていた天兎アンジュラパぬいぐるみを差し出す。

「……お?」
「これ、王都まで案内してもらうお礼にプレゼントするよ。会えなくても、ちょっとは寂しくなくなるでしょ?」

 時間の問題は僕がどうすることもできない。ぬいぐるみをプレゼントすることで、お仕事をがんばってるらしいユリの癒やしになればいいなぁ。

「ありがとさん、モモ!」

 ユリがぱぁっと輝くような笑顔で天兎アンジュラパぬいぐるみに抱きついた。すごく幸せそうな表情だ。
 その背後でタマモが羨ましそうな顔をしてる。タマモにもお世話になってるし、プレゼントしちゃおう。

「タマモもどうぞ~」
「え、いいんですか!? ありがとうございます!」

 差し出した途端、抱きしめて頬ずりするタマモを見て、あははと笑っちゃう。愛されてるね~。

「うん。【もふもふミラー】っていうアイテムをゲットして、ぬいぐるみの素材を今までより効率的に集められるようになったから、お店の休憩スペースにも増やしていこうと思ってるんだ」
「それは最高のニュースですね! 皆さんにお知らせしておきます」

 タマモがビシッと敬礼してから、掲示板への書き込みを始める。片時もぬいぐるみを手放さないのはさすがだ。

「……今頃、掲示板が熱狂状態にゃ」
「お? ムギはモモの信者の掲示板を見てんのか?」
「たまにだけどにゃ。役立つ情報が落ちてることもあるにゃ」
「圧倒されちゃうこともありますけどね~」

 ムギたちがお茶を飲みながら話してる。僕たちの会話に取り残されたから、マイペースに休憩をとることにしたらしい。お茶なら、僕も一緒に飲んでほのぼのしたい!

「僕もまぜてー」
「モモが加わったら、落ち着いてお茶を飲むどころじゃなくなるにゃ」
「ムギ冷たい」

 しょんぼりしてたら、緑茶と淡いピンクの雪うさぎの練り切りを差し出される。なんだかんだ言いつつ、普通に歓迎してくれるのがムギの優しいところだよね。

「お茶おいし~。この練り切り可愛いね」
「モモさんみたいだと言って、ムギさんが迷わず買ってましたよ」
「それを言うじゃないにゃ!」

 おっと? お菓子を見て僕を思い出して買っちゃうくらい、ムギは僕のことが好きだってことだよね。

「ムギ、可愛い!」

 思わず抱きついたら、ムギが顔を逸らしながらも尻尾で宥めるように背中を叩いてくれた。告げ口したソウタは、照れてるムギをにこにこと見つめてる。
 ソウタも一緒に抱きついちゃえ。ぎゅー!

「わわっ!? ふは、あったかいですね~」
「もふもふの相乗効果だね!」
「うるさいにゃー……」

 おしくらまんじゅうのようにひっついてる僕たちを見て、タマモが口元を手で隠した。キラキラとした目をしてる。

「はわわ……もふもふな癒やしの空間が誕生してる……!」
「正直チャラ狼のツッキーが傍にいなければ、完璧な光景だったと思うわ」
「なんで俺をのけ者にしようとするんだよ!?」
「もふもふなのはいいけど、ツッキーはチャラすぎるんや」
「ガーン……俺、カッコいい月狼ルナウルフなのに。街の子どもたちには人気なんだぜ……?」
「そういうとこやで」

 ツッキーがしょんぼりしてた。確かにチャラい感じは、人によってはあまり好かれないかもねぇ。ノリが良くて、僕は結構好きだけど。子どもに好かれるのもわかる。

「それより、そろそろ出発しようにゃ」

 無心で僕たちの写真を撮ってるタマモを、ムギが呆れた顔をしながら止める。
 早く王都に行って遊びたいしね。

「じゃあ、まずは第三の街に転移しよっか」

 王都に向かうには、西のキーリ湖を進まなければならない。そのために第三の街に向かうのは当然だと思って僕が提案するも、タマモに「いえ」と制止された。

「教会に集まってもらったのは、距離を短縮するためなんですよ。今こそ、もふもふ教の力を示す時!」

 やる気いっぱいの表情のタマモを、きょとんと見つめ返す。

 ユリや希少種会の三人を待っている間に、もふもふ教という組織ができることや、教会の施設内のことを教えてもらっていた。でも、タマモが今なにを言おうとしているのか全然わからなかった。

「もふもふ教の力……?」

 不意にレイドイベントで奥義を発動した時のことを思い出す。
 まさか、同じような特殊な能力をまだ隠し持っていたの?

「はい! その名も『拠点間転移』です」
「うん?」

 タマモが誇らしげに胸を張って言う。でも、それどういう意味? 拠点間といっても、僕たちもふもふ教の拠点と言えるのは、今のところこの教会だけだと思うんだけど。

「組織が拠点として設定した場所まで転移できるシステムですよー。各街の拠点とバトルフィールド上の占領されていないセーフティエリアを一つ設定できます」
「つまり……?」
「あらかじめ、現時点で王都に最も近いセーフティエリアを転移可能な拠点として設定しておきましたので、王都へ向かう時間の短縮ができます!」

 顔いっぱいに『褒めて!』と書いてあるタマモを凝視する。
 ここで僕がするべきことは一つだけだ。

「タマモ、偉い! すごい! ありがとう!」
「うふふ~、モモさんから褒めてもらえて嬉しいです~」

 ぎゅっと抱きついて褒めたら、嬉しそうに弾んだ声が聞こえた。
 タマモとユリのおかげで、すぐに王都に辿り着けそうだね!

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