もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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7章 世界が広がっていくよ

252.ピコンと立ちました?

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 僕がしょんぼりしてるのを気の毒に思ったのか、受付さんが地図をくれた。

「王都の仮想施設は、他の街よりスキルの取得経験値が多いのでおすすめですよ」
「え、ほんとに!?」

 喜んで受け取る。すると、すぐさまマップが更新された。

〈王都のシークレットエリアの一部が開放されました〉

 マップを見ると、『王城』や『仮想施設』『鍛錬場』などの表示が増えてる。
 これ、王城にも入れるってこと? 門前払いされる気しかしないけど。

「テイマーさんでしたら、【連携訓練所】にも行ってみるといいですよ」

 受付さんがペタたちを眺めて微笑みながら言った。もふもふ好きなのかな?

「連携訓練所ってなに?」
「テイムモンスターとの連携を強められる仮想バトルフィールド空間です。テイムモンスターの効率的なレベリングの他、スキル取得がしやすくなったり、テイマーとの繋がりを強くしてバトルが上手くなったりする効果が見込めますよ」
「おお! テイムモンスター用の仮想施設みたいなものかぁ。いいね!」

 便利な場所聞いちゃったぞ。
 僕のスキルを鍛えるなら『仮想施設』、テイムモンスターの能力を鍛えるなら『連携訓練所』に行けばいいってことだね。

「がんばってくださいね」
「うん! 入学条件を満たしたらまた来るからよろしくね」
「はい、お待ちしております」

 微笑む受付さんにバイバイと手を振って立ち去ろうとしてから、ふと振り返る。聞き忘れてたことがあったの思い出したんだ。

「そうだ! あなたのおすすめレストランはどこ?」
「……ふはっ、ここでその情報を求められたのは初めてです」

 受付さんがクスクスと笑った。そんなに面白いこと言ったかな? 美味しい食べ物の情報って重要でしょ? みんな知りたがるものだと思うけど。

「僕は食べることが好きなので!」
「モンスターはみんなそうですよねー。もふもふカフェでテイマーさんと一緒にご飯を楽しんでる姿をよく見ますもん」

 ふわりと微笑んだ受付さんは、もふもふカフェというところでの光景を思い出しているらしい。幸せそうな顔だ。
 やっぱりもふもふ好きなのが確定だね!

「もふもふカフェなんてところがあるんだ?」
「ええ。店主さんがテイマーで、テイムモンスターが寛いでいるカフェですよ。テイマーさんも集まって、いつも店内がもふもふしてます」
「いいねー。癒やしの空間だー」

 僕も気になる!
 第三の街にある僕のお店とはちょっと違うタイプな気がするから、今後の参考になりそう。
 というわけで、詳しい店の場所を聞いた。絶対に行くぞ!

「美味しいレストランなら、『ねこねこ亭』がおすすめですよ」
「ねこねこ亭? 猫がいるの?」
「店主さんがネコ族の獣人です。美味しくて可愛い料理を食べられますよ」
「へぇ、そこも気になる! 行ってみるね」
「ぜひ。楽しんでくださいね」

 情報を聞き取って、早速向かおうと出入り口に行ったところで、女の人とぶつかりかけた。

「おっと!」
「きゃ……ごめんあそばせ、ウサギさん」
「ううん、僕の方こそごめんなさい!」

 目の前に深紅の布地がある。
 お互いに一歩下がったところで上を見ると、淡いピンクの髪で縁取られた上品そうな顔立ちの女性が、ふわりと微笑んでいた。

 なんか高貴な雰囲気だなぁ。

 僕がぽかんと見つめると、女性はズレた眼鏡を指先で直し、首を傾げる。

「ウサギさんはここの学生さん?」
「違うよー。入学したかったんだけど、魔術のレベルが足りなかった!」
「あら、それは残念だったわね」

 ふふ、と微笑んだ女性に、受付さんが「ラファイエット様、わざわざいらしてくださったのですか?」と声を掛けて、慌てて近づいてきた。

 やっぱり偉い人なのかも。
 研究者っぽい雰囲気でもあるけどなぁ。

「サマナ様の研究室を訪ねたついでに、資料を受け取りに来ただけよ」
「あ、資料ですね。こちらです」

 受付さんが冊子を渡すと、確認したラファイエットさんが「ありがとう」と微笑んだ。

「モンスターの大規模襲撃があったのに、第三の街は想定よりも随分と被害が少なかったようね」
旅人プレイヤーの皆さんの活躍がすごかったようですよ」

 受付さんからチラリと視線を向けられた。
 そうです! 僕がその活躍したプレイヤーです!

 まぁ、受付さんはそんなこと知らないんだろうけど。
 いや、知ってるのかな? 渡した資料が第三の街襲撃の報告書のたぐいなら、僕の情報が載っててもおかしくない。

「あと、古竜エンシェントドラゴンでしょう?」

 キラッと輝いた目をしながら、ラファイエットさんが微笑む。
 受付さんの頬が引き攣った。

「そ、そうらしいですね。ちょっと怖いですけど、制御はされていたみたいです」
「ふふ、そうじゃなければ、お父様が許可を出さないわ。信頼してるテイマーのモンハさんからの保証があったから、その情報を信じて許可を出したのよ」

 モンちゃんの知り合いなのかな?

 探究心に満ちた眼差しで資料に目を通すラファイエットさんの言葉が、ちょっと引っかかる。特にってところに。

 ラファイエットさんのお父様って、もしかして——

「陛下も、凄い決断をされましたよね……」
「そうね。古竜エンシェントドラゴンを味方として使うなんて、古代王国の王のようだと、心躍っていらっしゃったようだけれど」

 いたずらっ子のように微笑むラファイエットさんと、それに対して「少年のような方ですよねー、陛下は」と苦笑する受付さんの言葉で、答えが出たようなものだ。

 ——ほらー! やっぱりラファイエットさんのお父様って王様じゃん! つまり、ラファイエットさんは王女様!?

 マジマジと見つめる。お供もつけてないから、王女様っぽくない。自立した働く女性って感じだ。

 そんなラファイエットさんの頭上に、ピコンと旗が立った。お子様ランチについてそうな可愛い旗だ。ウサギのイラストが載ってる。

「……なにこれ?」

〈フラグ関連の称号を保有した状態で、シークレットミッション『国の重要NPCと出会う』をクリアしました。スキル【フラグ可視化】が贈られます〉

 なんか変なスキルを入手しちゃったぞ?

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