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7章 世界が広がっていくよ
251.再びの王都です
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カラフルな街、王都。
再びやって来たここで、僕はグルメツアーをしていた。新たな仲間を迎えたお祝いだよー。
「肉料理が豊富だねー」
「きゅぃ(味濃いのが多い気がするー)」
「ぴぅ(いろんなタイプの料理があるね)」
「くるる(キュウリ食べたい)」
「キュウリどうぞ」
アイテムボックスから取り出したキュウリをペタに差し出すと、ポリポリと食べ始めた。キュウリを食べながら歩いてる姿が妙に面白い。
「きゅーきゅい(私はナッツがいいの)」
「でも、意外とお肉も――」
「きゅーきゅい(美味しいものは全部いいの)」
ナッティは食いしん坊だ。ご飯を美味しく楽しめるのはいいことだよねー。
王都に着いてまず向かったのは、モンちゃんのオススメだったレストランだった。そこで出てきたのは中華料理。小籠包とか北京ダックとか美味しかったよー。
リカちゃんに連絡をとったら、チーズ料理のレストランをオススメされた。焼いたお肉や野菜、パンにチーズを絡めて食べるんだ。チーズフォンデュって感じ。チーズってどんな食材も美味しくしてくれるよね。
他にもいろんなレストランに行って食べたけど、どれもしっかりした味付け。そして、魚介類が少ない。
「王都はいろんな地方から人が集まって、各地の料理を食べられるらしいけど、食材は偏ってるね」
「きゅぃ(海が遠いからかなぁ)」
「ぴぅ(王都の敷地内に農地もなさそうだもんねー)」
「お肉は集まってくる冒険者から買い取ってるらしいよー。だから、安くて種類豊富なんだろうね」
僕たちはただ美味しいものを食べてただけじゃないんだ。しっかり情報収集してたんだよ。
王都は各地から人が集まってくる街だから、様々な文化が入り乱れてる。獣人やエルフのような人間じゃない種族の異世界の住人も多い。
でも、街内での畜産や農作業があまりないから、食材は偏った印象だ。特に、魚介類の少なさにはびっくりしちゃう。お魚好きな人も多いと思うんだけどなぁ。
この街でお店を出すなら、魚介類をメインにした料理を売り出すのがいいかも?
そんなことを考えながら、塔を繋ぐ回廊を歩く。
この回廊、側面が透明な板でできてて、見晴らしがいいんだよ。高所恐怖症の人は辛いかも。
「ここから見ても、塔がいっぱい……あ、あれが王城かな?」
乱立する塔の合間に、白色の建物が見えた。ユリが白色は王城って言ってたはず。ここからじゃよく見えないなぁ。
「きゅぃ(行きたいの?)」
「いつか行ってみたいね」
「ぴぅ(モモならきっと行けるよ)」
「うん、そんな気がする」
観光気分で話しながら、緑色の塔から赤色の塔に渡った。ここは魔術学院の関連施設がある塔だ。聞き込みの結果、入学受付の施設があると知ったから来てみた。
入った途端、カウンターで作業中の人と目が合う。スーツのような服を来たお姉さんだ。手に魔法陣のような模様が描かれた手袋をしてる。
「……あ、入学希望の方ですか?」
「そうです! 僕でも入れる?」
テイムモンスターと間違われなくて良かった! まぁ、今回はテイマーに見える人が傍にいないからかもしれないけど。
「旅人の方なら、モンスターでも入学可能ですよ。意思疎通ができますからね。テイムモンスターは無理ですけど」
「それなら入りたい! あ、でも、どういう感じで魔術を学ぶか聞いていい?」
カミラに聞いてから、当然のように魔術学院に入ろうと考えてたけど、時間を拘束される感じだったら無理かもしれない。遊びたいこといっぱいあるし。
「魔術学院は覚えたい魔術関連スキルごとに教師がいて、そこで出される課題をクリアすることでスキルを習得できるようになってます。習得できる魔術はこちらをご覧ください」
微笑んだ受付さんが冊子を渡してくれた。
中を見ると、スキル名と一緒に、どういう課題が出されるかとか、クリアに掛かる時間の目安とかが書かれてる。親切だね。
「【詠唱破棄】もあるね」
「もちろん。魔術士に必須の技術ですから」
「僕はスキルリストで覚えちゃったけど、便利だよねぇ」
「スキルリストを入手できたなんてラッキーですね」
羨ましそうに言われたけど、まだ残ってるよ。習得が難しいスキル用にとってあるんだけど、そろそろ使うべき?
でも、テイムモンスターの強化にも使えるってわかったから、なかなか自分に使う気にならないんだよなぁ。
「複合魔術とか、高威力な魔術とか気になるなぁ。使い道が少ないけど、あると便利っていう魔術もいいね」
「魔術は日々研究されて、スキルという形で発表され続けてますから、さらに種類が増えていきますよ。入学後に優秀だと、研究職に就くことも可能です」
「おお……僕は無理そう……」
一つを究めるっていうのは、僕に向いてないと思うんだ。
そんなことを受付さんと話しながら、冊子を一通り見終えた。いくつか学びたい魔術を見つけたし、やっぱり入学したい。習得するのも、思ったより手間はかからなそうだし。
「入学しますか?」
「うん! 希望するだけで入れるの?」
「いえ、実は条件があります」
「……どんな?」
そんなことだろうと思ったー。
言葉にしないけど、やっぱりね、と頷いておく。
受付さんは微笑んで、人差し指を立てた。
「条件は一つだけですよ。――レベル5以上の魔術を習得していること、です。魔術士ならたいていクリアできていると思いますけど」
「ゲフッ……」
思わず呻いちゃった。受付さんがきょとんとしてる。
僕、魔術の最高レベルは火魔術のレベル3だよ。少なくとも、あと二回レベルアップさせないと。
「もしかして、まだクリアできてないのですか?」
「……うん、そうなんです」
「あらぁ……でしたら、クリアしてからまたいらっしゃってください」
受付さんは苦笑するしかないという表情でそう言った。だよねー、がんばるしかないかー。
「うぅ……仮想施設で魔術鍛える!」
魔術学院への入学はお預けです。
再びやって来たここで、僕はグルメツアーをしていた。新たな仲間を迎えたお祝いだよー。
「肉料理が豊富だねー」
「きゅぃ(味濃いのが多い気がするー)」
「ぴぅ(いろんなタイプの料理があるね)」
「くるる(キュウリ食べたい)」
「キュウリどうぞ」
アイテムボックスから取り出したキュウリをペタに差し出すと、ポリポリと食べ始めた。キュウリを食べながら歩いてる姿が妙に面白い。
「きゅーきゅい(私はナッツがいいの)」
「でも、意外とお肉も――」
「きゅーきゅい(美味しいものは全部いいの)」
ナッティは食いしん坊だ。ご飯を美味しく楽しめるのはいいことだよねー。
王都に着いてまず向かったのは、モンちゃんのオススメだったレストランだった。そこで出てきたのは中華料理。小籠包とか北京ダックとか美味しかったよー。
リカちゃんに連絡をとったら、チーズ料理のレストランをオススメされた。焼いたお肉や野菜、パンにチーズを絡めて食べるんだ。チーズフォンデュって感じ。チーズってどんな食材も美味しくしてくれるよね。
他にもいろんなレストランに行って食べたけど、どれもしっかりした味付け。そして、魚介類が少ない。
「王都はいろんな地方から人が集まって、各地の料理を食べられるらしいけど、食材は偏ってるね」
「きゅぃ(海が遠いからかなぁ)」
「ぴぅ(王都の敷地内に農地もなさそうだもんねー)」
「お肉は集まってくる冒険者から買い取ってるらしいよー。だから、安くて種類豊富なんだろうね」
僕たちはただ美味しいものを食べてただけじゃないんだ。しっかり情報収集してたんだよ。
王都は各地から人が集まってくる街だから、様々な文化が入り乱れてる。獣人やエルフのような人間じゃない種族の異世界の住人も多い。
でも、街内での畜産や農作業があまりないから、食材は偏った印象だ。特に、魚介類の少なさにはびっくりしちゃう。お魚好きな人も多いと思うんだけどなぁ。
この街でお店を出すなら、魚介類をメインにした料理を売り出すのがいいかも?
そんなことを考えながら、塔を繋ぐ回廊を歩く。
この回廊、側面が透明な板でできてて、見晴らしがいいんだよ。高所恐怖症の人は辛いかも。
「ここから見ても、塔がいっぱい……あ、あれが王城かな?」
乱立する塔の合間に、白色の建物が見えた。ユリが白色は王城って言ってたはず。ここからじゃよく見えないなぁ。
「きゅぃ(行きたいの?)」
「いつか行ってみたいね」
「ぴぅ(モモならきっと行けるよ)」
「うん、そんな気がする」
観光気分で話しながら、緑色の塔から赤色の塔に渡った。ここは魔術学院の関連施設がある塔だ。聞き込みの結果、入学受付の施設があると知ったから来てみた。
入った途端、カウンターで作業中の人と目が合う。スーツのような服を来たお姉さんだ。手に魔法陣のような模様が描かれた手袋をしてる。
「……あ、入学希望の方ですか?」
「そうです! 僕でも入れる?」
テイムモンスターと間違われなくて良かった! まぁ、今回はテイマーに見える人が傍にいないからかもしれないけど。
「旅人の方なら、モンスターでも入学可能ですよ。意思疎通ができますからね。テイムモンスターは無理ですけど」
「それなら入りたい! あ、でも、どういう感じで魔術を学ぶか聞いていい?」
カミラに聞いてから、当然のように魔術学院に入ろうと考えてたけど、時間を拘束される感じだったら無理かもしれない。遊びたいこといっぱいあるし。
「魔術学院は覚えたい魔術関連スキルごとに教師がいて、そこで出される課題をクリアすることでスキルを習得できるようになってます。習得できる魔術はこちらをご覧ください」
微笑んだ受付さんが冊子を渡してくれた。
中を見ると、スキル名と一緒に、どういう課題が出されるかとか、クリアに掛かる時間の目安とかが書かれてる。親切だね。
「【詠唱破棄】もあるね」
「もちろん。魔術士に必須の技術ですから」
「僕はスキルリストで覚えちゃったけど、便利だよねぇ」
「スキルリストを入手できたなんてラッキーですね」
羨ましそうに言われたけど、まだ残ってるよ。習得が難しいスキル用にとってあるんだけど、そろそろ使うべき?
でも、テイムモンスターの強化にも使えるってわかったから、なかなか自分に使う気にならないんだよなぁ。
「複合魔術とか、高威力な魔術とか気になるなぁ。使い道が少ないけど、あると便利っていう魔術もいいね」
「魔術は日々研究されて、スキルという形で発表され続けてますから、さらに種類が増えていきますよ。入学後に優秀だと、研究職に就くことも可能です」
「おお……僕は無理そう……」
一つを究めるっていうのは、僕に向いてないと思うんだ。
そんなことを受付さんと話しながら、冊子を一通り見終えた。いくつか学びたい魔術を見つけたし、やっぱり入学したい。習得するのも、思ったより手間はかからなそうだし。
「入学しますか?」
「うん! 希望するだけで入れるの?」
「いえ、実は条件があります」
「……どんな?」
そんなことだろうと思ったー。
言葉にしないけど、やっぱりね、と頷いておく。
受付さんは微笑んで、人差し指を立てた。
「条件は一つだけですよ。――レベル5以上の魔術を習得していること、です。魔術士ならたいていクリアできていると思いますけど」
「ゲフッ……」
思わず呻いちゃった。受付さんがきょとんとしてる。
僕、魔術の最高レベルは火魔術のレベル3だよ。少なくとも、あと二回レベルアップさせないと。
「もしかして、まだクリアできてないのですか?」
「……うん、そうなんです」
「あらぁ……でしたら、クリアしてからまたいらっしゃってください」
受付さんは苦笑するしかないという表情でそう言った。だよねー、がんばるしかないかー。
「うぅ……仮想施設で魔術鍛える!」
魔術学院への入学はお預けです。
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