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7章 世界が広がっていくよ
256.僕たち強いんです
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北の霊峰の下層から中層に切り換わる辺りで、急にモンスターの強さが増した気がする。
「んー、やっぱり、ここは難度高いエリアだなぁ」
「きゅぃ(そろそろ流星使っていい?)」
「そうだね。次のモンスターに使ってみよっか」
「ぴぅ(謎光線は?)」
「スラリンの次!」
こんな会話をしながらテクテクと霊峰を登る。歩いてるのはオギンとショコラだけなんだけど。ピアは吹雪もなんのそので、ふわ~と空を浮いてる。
オギンは霊峰出身なだけあって、難所をすぐに見抜いて回避してくれるから、結構安全に進めてると思う。
タマモから情報をもらったんだけど、霊峰って時々落とし穴っぽいのとか、木から雪の塊が落ちてくるとか、罠のような場所がたくさんあるんだよ。進むだけで苦労してる人が多いんだって。
そういうのをスルーできるだけでも、オギンに感謝するしかないね!
「お、モンスターが近づいてきてるっぽいよ」
「きゅぃ(僕の出番!)」
「うん。――見えた。【雪男】だってー。でか……」
思わず素直な感想がこぼれ落ちた。
雪男は巨大な雪だるまみたいな姿だった。雪玉が四つ連なってる感じ。縦に長いよ。よく安定してるね?
鑑定したら、雪玉一つ一つが離れて動くこともできるらしいとわかった。雪玉の集合体が雪男ってことかぁ。
全部をほぼ同時に倒さないと、周りの雪から雪玉を作り直して回復しちゃうんだって。結構厄介なモンスターだ。
「先制はスラリンで行くよー。流星使っちゃって」
「きゅぃ(はーい、【流星】!)」
オギンの上からぴょんと雪の上に下りたスラリンが、スキル名を言った途端、どこかからゴゴッと音が聞こえた気がした。ちょっと不気味な音だぞ……?
きょろきょろと周囲を見る。そして、オギンたちと同じタイミングで空を見上げた。異様な気配を感じたんだ。
空で星が瞬くようにピカッと光が見える。その光は次の瞬間には分裂し、勢いよく雪男に降り注いだ。
――ドンッ! ドンッ! ドンッ!
地面が揺れた気がした。衝撃で地面から雪が舞い上がり、視界が妨げられる。
なにかが雪男にぶつかった気がしたんだけど……
視界が晴れたときには、雪男が粉々になって散っていた。
まさかの、一撃必殺……?
呆然と見つめちゃったけど、すぐにモンスター討伐アナウンスが聞こえて、現実だと理解した。
「きゅぃ(このスキルすごい!)」
「ぴ、ぴぅ(びっくりした……)」
「キュオ(雪山でこれは大丈夫だったのかしら?)」
「くまま(雪崩はやだなー)」
「もっふ~」
「え、みんな、のん気すぎない……? というか、それフラグでは!?」
ほのぼのと話しているみんなに思わずツッコミを入れちゃう。
流星スキル怖すぎだよ! 雪男レベルのモンスターを一撃必殺って凄すぎるでしょ! あと、雪崩の話はのん気にすることじゃない!
周囲の状況を探るために、慌てて飛翔で飛び上がる。
同時に、【フラグ可視化】スキルをオンにした。なんとなくこうした方がいいと思ったんだ。
見える範囲では、まだ雪崩が起きた感じはないけど……
一応、霊峰ではよっぽどひどい攻撃をしない限り雪崩が起きないという情報を聞いてる。
でも、たぶん、流星はよっぽどひどい攻撃に該当すると思うんだよねぇ。
そんなことを考えていたら、ふとスラリンの頭上に旗が立っているのに気づいた。旗はぴょんぴょんと跳ねながら、少しずつ霊峰を登っていく。
「あれ、絶対、ヤバいやつーっ! 【火の玉】!」
咄嗟に旗目掛けて火魔術を放った。パッシブスキルの【フラグ折り】の効果が上乗せされるはず。
——ボンッ!
旗が勢いよく燃えて消えた。すぐにアナウンスが聞こえてくる。
〈フラグを折ったことにより『雪崩』がキャンセルされました〉
おー! 期待してはいたけど、こういう事象もキャンセルできるのか! 意外と使えるスキルだね。
フラグを折ったというより、燃やしたけど。ちょっと可哀想。
ふぃー、と息を吐いて、スラリンたちのところに戻る。みんなきょとんとしてるから、雪崩が本当に起きかけてたって気づいてないんだね。
「くまま(なにかあったー?)」
「んー……なんでもないよ! ちょっと敵がいた気がしたけど、気のせいだった」
教えるか迷って、まぁいいかと流した。
せっかくスラリンが活躍できたんだから、水を差したくない。
なぜか、スラリンはさっきの嬉しそうだった様子から一転して、すでにしょんぼりとしてるけど。
「スラリンはどうしたの?」
「きゅぃ(このスキル、二十四時間経たないと再使用できないみたい……)」
「あー、そうだよねぇ。それくらいのクールタイムはしかたないよ」
二十四時間で再使用できるようになるだけ、ありがたいのでは? ここぞという場面で活躍してくれそうなスキルだ。使う場所は選ぶべきだし、普段は地道に戦うしかないけど。
「――もっと汎用性の高い攻撃スキルを習得させるべきだったかな?」
ちょっぴりそんな思いを抱きつつ、星の湖に向けて攻略を再開する。
この辺のモンスターを倒すと、結構良い素材が集まるから嬉しいな~。お店の商品がさらに充実しそう。
「ぴぅ(次はボクだよね?)」
「うん。って、言ってたら、出てきたねー」
木々の合間をシュパッと素早く動き回る敵が迫ってくる。鑑定が上手く使えないくらいの移動速度だ。これじゃあ、すぐに接敵しちゃう!
「ユキマル、謎光線!」
「ぴぅ(やっちゃうよー)」
ユキマルがふるりと震えたかと思うと、パッと光が放たれた。それは一筋の光線となって、ユキマルの前方90度の範囲を一掃するように動く。
結果、その範囲にいた動き回る敵を容易く捕捉することができた。途端に敵の動きが止まり、そのまま地面の雪に埋もれる。
「鑑定ー」
すかさず鑑定すると、敵は飛猿というモンスターだとわかった。素早さが特徴で、攻撃を与えるのが難しいタイプらしい。範囲攻撃スキルが有効みたいだね。
謎光線は範囲攻撃に近いスキルだったから、上手く攻撃できたんだろう。確か、このスキルではランダムでデバフを与えられるはずなんだけど、今回はどんな感じかな?
じぃっと油断なく観察していると、飛猿がゆら~と雪から立ち上がり、ふらふら~と歩き始める。まるで酔っ払ってるみたいな動きだ。
鑑定してみたら『泥酔』と表示がされてたから、まさに酔っ払い状態なんだろう。
時々転んで雪に埋もれてるのが、ちょっと可哀想だけどおもしろい。
「【火炎放射】!」
僕が火魔術を放っても、飛猿は一切逃げる素振りを見せなかった。このデバフにはかかりたくないなぁ。
「ショコラ【くまくまパンチ】、オギン【爪撃】」
「くまま~!」
「キュオー!」
ショコラとオギンが敵に接近し攻撃をした。僕も隙を見て魔術を放ち、スラリンは雪を発射、ユキマルは再度謎光線を使う。
流星より与えるダメージは小さいけど、クールタイムは短めみたいでいいねー。デバフは重ね付けされるみたいだ。
ほぼ無抵抗で攻撃を受けていた飛猿が瀕死状態になったところで、僕が仕上げの魔術を放つ。
「【火の矢】!」
――ボンッ!
火が炸裂し、討伐アナウンスが聞こえた。いぇーい、ラストアタックは僕だー。
〈火魔術がレベル4になり、【炎爆烈】を習得しました〉
魔術レベルアップ、きたー! やったね。仮想施設を使わなくても地道にレベルアップできたの嬉しい。あと一つ上げないと。新たに覚えた魔術も強そう。
「ユキマル、良い感じのスキルだったね! デバフを与えられるの、最高!」
「ぴぅ(役に立てて良かったよー)」
ユキマルも嬉しそうだ。
この調子で星の湖まで行っちゃうぞ!
「んー、やっぱり、ここは難度高いエリアだなぁ」
「きゅぃ(そろそろ流星使っていい?)」
「そうだね。次のモンスターに使ってみよっか」
「ぴぅ(謎光線は?)」
「スラリンの次!」
こんな会話をしながらテクテクと霊峰を登る。歩いてるのはオギンとショコラだけなんだけど。ピアは吹雪もなんのそので、ふわ~と空を浮いてる。
オギンは霊峰出身なだけあって、難所をすぐに見抜いて回避してくれるから、結構安全に進めてると思う。
タマモから情報をもらったんだけど、霊峰って時々落とし穴っぽいのとか、木から雪の塊が落ちてくるとか、罠のような場所がたくさんあるんだよ。進むだけで苦労してる人が多いんだって。
そういうのをスルーできるだけでも、オギンに感謝するしかないね!
「お、モンスターが近づいてきてるっぽいよ」
「きゅぃ(僕の出番!)」
「うん。――見えた。【雪男】だってー。でか……」
思わず素直な感想がこぼれ落ちた。
雪男は巨大な雪だるまみたいな姿だった。雪玉が四つ連なってる感じ。縦に長いよ。よく安定してるね?
鑑定したら、雪玉一つ一つが離れて動くこともできるらしいとわかった。雪玉の集合体が雪男ってことかぁ。
全部をほぼ同時に倒さないと、周りの雪から雪玉を作り直して回復しちゃうんだって。結構厄介なモンスターだ。
「先制はスラリンで行くよー。流星使っちゃって」
「きゅぃ(はーい、【流星】!)」
オギンの上からぴょんと雪の上に下りたスラリンが、スキル名を言った途端、どこかからゴゴッと音が聞こえた気がした。ちょっと不気味な音だぞ……?
きょろきょろと周囲を見る。そして、オギンたちと同じタイミングで空を見上げた。異様な気配を感じたんだ。
空で星が瞬くようにピカッと光が見える。その光は次の瞬間には分裂し、勢いよく雪男に降り注いだ。
――ドンッ! ドンッ! ドンッ!
地面が揺れた気がした。衝撃で地面から雪が舞い上がり、視界が妨げられる。
なにかが雪男にぶつかった気がしたんだけど……
視界が晴れたときには、雪男が粉々になって散っていた。
まさかの、一撃必殺……?
呆然と見つめちゃったけど、すぐにモンスター討伐アナウンスが聞こえて、現実だと理解した。
「きゅぃ(このスキルすごい!)」
「ぴ、ぴぅ(びっくりした……)」
「キュオ(雪山でこれは大丈夫だったのかしら?)」
「くまま(雪崩はやだなー)」
「もっふ~」
「え、みんな、のん気すぎない……? というか、それフラグでは!?」
ほのぼのと話しているみんなに思わずツッコミを入れちゃう。
流星スキル怖すぎだよ! 雪男レベルのモンスターを一撃必殺って凄すぎるでしょ! あと、雪崩の話はのん気にすることじゃない!
周囲の状況を探るために、慌てて飛翔で飛び上がる。
同時に、【フラグ可視化】スキルをオンにした。なんとなくこうした方がいいと思ったんだ。
見える範囲では、まだ雪崩が起きた感じはないけど……
一応、霊峰ではよっぽどひどい攻撃をしない限り雪崩が起きないという情報を聞いてる。
でも、たぶん、流星はよっぽどひどい攻撃に該当すると思うんだよねぇ。
そんなことを考えていたら、ふとスラリンの頭上に旗が立っているのに気づいた。旗はぴょんぴょんと跳ねながら、少しずつ霊峰を登っていく。
「あれ、絶対、ヤバいやつーっ! 【火の玉】!」
咄嗟に旗目掛けて火魔術を放った。パッシブスキルの【フラグ折り】の効果が上乗せされるはず。
——ボンッ!
旗が勢いよく燃えて消えた。すぐにアナウンスが聞こえてくる。
〈フラグを折ったことにより『雪崩』がキャンセルされました〉
おー! 期待してはいたけど、こういう事象もキャンセルできるのか! 意外と使えるスキルだね。
フラグを折ったというより、燃やしたけど。ちょっと可哀想。
ふぃー、と息を吐いて、スラリンたちのところに戻る。みんなきょとんとしてるから、雪崩が本当に起きかけてたって気づいてないんだね。
「くまま(なにかあったー?)」
「んー……なんでもないよ! ちょっと敵がいた気がしたけど、気のせいだった」
教えるか迷って、まぁいいかと流した。
せっかくスラリンが活躍できたんだから、水を差したくない。
なぜか、スラリンはさっきの嬉しそうだった様子から一転して、すでにしょんぼりとしてるけど。
「スラリンはどうしたの?」
「きゅぃ(このスキル、二十四時間経たないと再使用できないみたい……)」
「あー、そうだよねぇ。それくらいのクールタイムはしかたないよ」
二十四時間で再使用できるようになるだけ、ありがたいのでは? ここぞという場面で活躍してくれそうなスキルだ。使う場所は選ぶべきだし、普段は地道に戦うしかないけど。
「――もっと汎用性の高い攻撃スキルを習得させるべきだったかな?」
ちょっぴりそんな思いを抱きつつ、星の湖に向けて攻略を再開する。
この辺のモンスターを倒すと、結構良い素材が集まるから嬉しいな~。お店の商品がさらに充実しそう。
「ぴぅ(次はボクだよね?)」
「うん。って、言ってたら、出てきたねー」
木々の合間をシュパッと素早く動き回る敵が迫ってくる。鑑定が上手く使えないくらいの移動速度だ。これじゃあ、すぐに接敵しちゃう!
「ユキマル、謎光線!」
「ぴぅ(やっちゃうよー)」
ユキマルがふるりと震えたかと思うと、パッと光が放たれた。それは一筋の光線となって、ユキマルの前方90度の範囲を一掃するように動く。
結果、その範囲にいた動き回る敵を容易く捕捉することができた。途端に敵の動きが止まり、そのまま地面の雪に埋もれる。
「鑑定ー」
すかさず鑑定すると、敵は飛猿というモンスターだとわかった。素早さが特徴で、攻撃を与えるのが難しいタイプらしい。範囲攻撃スキルが有効みたいだね。
謎光線は範囲攻撃に近いスキルだったから、上手く攻撃できたんだろう。確か、このスキルではランダムでデバフを与えられるはずなんだけど、今回はどんな感じかな?
じぃっと油断なく観察していると、飛猿がゆら~と雪から立ち上がり、ふらふら~と歩き始める。まるで酔っ払ってるみたいな動きだ。
鑑定してみたら『泥酔』と表示がされてたから、まさに酔っ払い状態なんだろう。
時々転んで雪に埋もれてるのが、ちょっと可哀想だけどおもしろい。
「【火炎放射】!」
僕が火魔術を放っても、飛猿は一切逃げる素振りを見せなかった。このデバフにはかかりたくないなぁ。
「ショコラ【くまくまパンチ】、オギン【爪撃】」
「くまま~!」
「キュオー!」
ショコラとオギンが敵に接近し攻撃をした。僕も隙を見て魔術を放ち、スラリンは雪を発射、ユキマルは再度謎光線を使う。
流星より与えるダメージは小さいけど、クールタイムは短めみたいでいいねー。デバフは重ね付けされるみたいだ。
ほぼ無抵抗で攻撃を受けていた飛猿が瀕死状態になったところで、僕が仕上げの魔術を放つ。
「【火の矢】!」
――ボンッ!
火が炸裂し、討伐アナウンスが聞こえた。いぇーい、ラストアタックは僕だー。
〈火魔術がレベル4になり、【炎爆烈】を習得しました〉
魔術レベルアップ、きたー! やったね。仮想施設を使わなくても地道にレベルアップできたの嬉しい。あと一つ上げないと。新たに覚えた魔術も強そう。
「ユキマル、良い感じのスキルだったね! デバフを与えられるの、最高!」
「ぴぅ(役に立てて良かったよー)」
ユキマルも嬉しそうだ。
この調子で星の湖まで行っちゃうぞ!
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