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7章 世界が広がっていくよ
257.キラキラの祝福だね
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ちょっと危ない状況になってもお互いをフォローして乗り越え、薬やスキルで体力と魔力を回復させながら、なんとか星の湖近くのセーフティエリアまで辿り着いた。
こんなにバトルを繰り返して進むの、僕にとっては珍しい。
たくさんバトルをこなしたおかげで、みんなレベルアップできたから良かったけどね!
「スラリン、レベル25到達おめでとー」
「きゅぃ(僕、強くなった!)」
「ユキマル、レベル29おめでとー」
「ぴぅ(もう少しでモモに追いつくね)」
「ショコラとオギンはレベル一つ上がったね」
「くまま(モモより上ー)」
「キュオ(大して変わらない気がするわ)」
ショコラとオギンは元々レベル30超えてたから、レベルアップに必要な経験値の量が多いんだろうなぁ。今のところバトルに困る様子はないから、このまま地道に成長していってもらいたい。
「僕も、祝レベル30! ぱんぱかぱーん!」
自分でファンファーレを表現してみた。スラリンたちが『すごーい、おめでとー』と祝福してくれる。
レベル30ということは、このままじゃ戦っても経験値が無駄になっちゃうんだよ。早くレベルキャップ解放しなくちゃ。
ちょうどいいタイミングで星の湖に着けそうだし、ラッキーだったな。
時間ももう夕暮れで、一度街に戻らなくてもすぐに夜になるだろうから、そのまま星の雫をゲットしちゃおう。
「星の湖に着いたら、すぐに採水して、街に戻るからそのつもりでいてね」
「きゅぃ(りょーかい!)」
ぴょんと跳ねたスラリンの横で、ユキマルたちもうんうんと頷いている。
さて、そろそろ行きますかー。
レベルキャップ解放目当てでたくさんのプレイヤーが近くにいるから、戦う機会は減りそうだなぁ。
オギンに乗って揺られながら、星の湖に向かう。空が茜色に変わり綺麗だ。
「あ、モモさーん!」
「うん? こんにちはー。あ、こんばんは、かなー」
きゃーっと手を振ってくるプレイヤーさんに挨拶を返す。
この人、たぶんもふもふ教だ。胸元に僕が売ってるウサギモチーフのブローチを付けてて、僕を見てすっごく嬉しそうにしてるもん。
もふもふ教の人は他にもいるらしく、次々に声を掛けられる。
バトルフィールドでこんなに挨拶されるのは珍しい。僕は普段、割とプレイヤーが少ないところを進んでることが多いから。
「ぴぅ(暗くなってきたねー)」
「そうだね。まだ見えるけど、一応泡光使ってくれる?」
「ぴぅ(いいよー)」
ユキマルがふわっと柔らかな光を放った。周囲が明るく照らされる。
ライト系のアイテムよりユキマルのスキルの方が便利!
「キュオ(助かるわ)」
「くまま(暗かったもんねー)」
オギンとショコラも嬉しそうだ。
ユキマルの光に照らされて、たくさんの足跡が残った雪道を進む。星の湖の場所を探さなくても、こうして手がかりがあるんだから、レベルキャップ情報を周知して良かったなぁ。
「キュオ(あら、着いたかしら?)」
「ん? そうだね。みんな瓶を構えてる! あれが星の湖かー」
雪の大地が途切れ、空を映す湖が現れた。まだ星は見えてない。もう少しかな。僕も瓶を用意しておこう。
「よいしょっと」
オギンからおりて、アイテムボックスから瓶を取り出す。
スラリンたちが周囲の警戒を請け負ってくれてるし、プレイヤーもいっぱいいるので、突然モンスターに襲撃される危険はなさそうだ。さり気なくもふもふ教の人が周りを固めてくれてる気もするし。
「――そろそろ夜だね」
ゲーム内での一日で二時間だけある夜の時間。
こうしてバトルフィールド上で過ごすのは初めてだ。昼とは全然雰囲気が違って、静けさと緊張感が満ちてる気がする。
こういうのも、なかなかおもしろいかもしれない。バトルフィールドでは夜限定のモンスターが現れることがあるらしいし、また挑戦してみてもいいかも。もっと難度の低いバトルフィールドで、ね。
「きゅぃ(あ、星……)」
「すごい……」
突然、湖面に光が溢れた。そう見えるほどにたくさんの星が空に輝き、湖に映ってるんだ。
風がなく、鏡のように空を映す湖は、感動するほど美しい。
こんな景色、リアルだったら相当遠出しないと見れないし、タイミングも難しいんだろうな。
思わず、採水するより先に景色を写真に収めていた。
滅多に来れない場所だろうから、この記憶を長く留めておきたい。
「くまま(水取らないのー?)」
「うん、取るよ」
ショコラに声を掛けられて、ハッとして湖に歩み寄った。
僕の動きにつられたのか、周囲の人たちも一斉に動き始める。
星を映す湖面をちゃぽんと瓶ですくう。
瓶の中がキラキラと輝く水で満たされた。
〈【星の雫】を入手しました。レベルキャップ(一)を解放します〉
瓶の中の水からキラキラがあふれる。それは手を伝って僕の体を覆い、白く輝かせた。
体の奥から力が湧いてくるような心地がする。
「おー、これがレベルキャップ解放?」
光が消えた後には、瓶の中にあった星の雫もなくなっていた。
改めて採水しようとすると〈採水できるのは一人一回です〉というアナウンスがされる。星の雫の販売禁止措置かな?
他のアイテム作りに使えないのは残念。たぶん、夜以外なら採水できるんだろうな。
「きゅぃ(目的達成できた?)」
「うん、たぶん」
他のプレイヤーたちがどんどんと転移で帰っていくので、これで問題ないはず。
僕たちも帰らないと。
「――家で、レベルキャップ解放祝いをしよっか!」
「きゅぃ(するー! 美味しいもの食べよう!)」
楽しそうに返事をするスラリンたちを一足先に戻し、僕は転移を発動する。
次はダンジョン探索だね!
こんなにバトルを繰り返して進むの、僕にとっては珍しい。
たくさんバトルをこなしたおかげで、みんなレベルアップできたから良かったけどね!
「スラリン、レベル25到達おめでとー」
「きゅぃ(僕、強くなった!)」
「ユキマル、レベル29おめでとー」
「ぴぅ(もう少しでモモに追いつくね)」
「ショコラとオギンはレベル一つ上がったね」
「くまま(モモより上ー)」
「キュオ(大して変わらない気がするわ)」
ショコラとオギンは元々レベル30超えてたから、レベルアップに必要な経験値の量が多いんだろうなぁ。今のところバトルに困る様子はないから、このまま地道に成長していってもらいたい。
「僕も、祝レベル30! ぱんぱかぱーん!」
自分でファンファーレを表現してみた。スラリンたちが『すごーい、おめでとー』と祝福してくれる。
レベル30ということは、このままじゃ戦っても経験値が無駄になっちゃうんだよ。早くレベルキャップ解放しなくちゃ。
ちょうどいいタイミングで星の湖に着けそうだし、ラッキーだったな。
時間ももう夕暮れで、一度街に戻らなくてもすぐに夜になるだろうから、そのまま星の雫をゲットしちゃおう。
「星の湖に着いたら、すぐに採水して、街に戻るからそのつもりでいてね」
「きゅぃ(りょーかい!)」
ぴょんと跳ねたスラリンの横で、ユキマルたちもうんうんと頷いている。
さて、そろそろ行きますかー。
レベルキャップ解放目当てでたくさんのプレイヤーが近くにいるから、戦う機会は減りそうだなぁ。
オギンに乗って揺られながら、星の湖に向かう。空が茜色に変わり綺麗だ。
「あ、モモさーん!」
「うん? こんにちはー。あ、こんばんは、かなー」
きゃーっと手を振ってくるプレイヤーさんに挨拶を返す。
この人、たぶんもふもふ教だ。胸元に僕が売ってるウサギモチーフのブローチを付けてて、僕を見てすっごく嬉しそうにしてるもん。
もふもふ教の人は他にもいるらしく、次々に声を掛けられる。
バトルフィールドでこんなに挨拶されるのは珍しい。僕は普段、割とプレイヤーが少ないところを進んでることが多いから。
「ぴぅ(暗くなってきたねー)」
「そうだね。まだ見えるけど、一応泡光使ってくれる?」
「ぴぅ(いいよー)」
ユキマルがふわっと柔らかな光を放った。周囲が明るく照らされる。
ライト系のアイテムよりユキマルのスキルの方が便利!
「キュオ(助かるわ)」
「くまま(暗かったもんねー)」
オギンとショコラも嬉しそうだ。
ユキマルの光に照らされて、たくさんの足跡が残った雪道を進む。星の湖の場所を探さなくても、こうして手がかりがあるんだから、レベルキャップ情報を周知して良かったなぁ。
「キュオ(あら、着いたかしら?)」
「ん? そうだね。みんな瓶を構えてる! あれが星の湖かー」
雪の大地が途切れ、空を映す湖が現れた。まだ星は見えてない。もう少しかな。僕も瓶を用意しておこう。
「よいしょっと」
オギンからおりて、アイテムボックスから瓶を取り出す。
スラリンたちが周囲の警戒を請け負ってくれてるし、プレイヤーもいっぱいいるので、突然モンスターに襲撃される危険はなさそうだ。さり気なくもふもふ教の人が周りを固めてくれてる気もするし。
「――そろそろ夜だね」
ゲーム内での一日で二時間だけある夜の時間。
こうしてバトルフィールド上で過ごすのは初めてだ。昼とは全然雰囲気が違って、静けさと緊張感が満ちてる気がする。
こういうのも、なかなかおもしろいかもしれない。バトルフィールドでは夜限定のモンスターが現れることがあるらしいし、また挑戦してみてもいいかも。もっと難度の低いバトルフィールドで、ね。
「きゅぃ(あ、星……)」
「すごい……」
突然、湖面に光が溢れた。そう見えるほどにたくさんの星が空に輝き、湖に映ってるんだ。
風がなく、鏡のように空を映す湖は、感動するほど美しい。
こんな景色、リアルだったら相当遠出しないと見れないし、タイミングも難しいんだろうな。
思わず、採水するより先に景色を写真に収めていた。
滅多に来れない場所だろうから、この記憶を長く留めておきたい。
「くまま(水取らないのー?)」
「うん、取るよ」
ショコラに声を掛けられて、ハッとして湖に歩み寄った。
僕の動きにつられたのか、周囲の人たちも一斉に動き始める。
星を映す湖面をちゃぽんと瓶ですくう。
瓶の中がキラキラと輝く水で満たされた。
〈【星の雫】を入手しました。レベルキャップ(一)を解放します〉
瓶の中の水からキラキラがあふれる。それは手を伝って僕の体を覆い、白く輝かせた。
体の奥から力が湧いてくるような心地がする。
「おー、これがレベルキャップ解放?」
光が消えた後には、瓶の中にあった星の雫もなくなっていた。
改めて採水しようとすると〈採水できるのは一人一回です〉というアナウンスがされる。星の雫の販売禁止措置かな?
他のアイテム作りに使えないのは残念。たぶん、夜以外なら採水できるんだろうな。
「きゅぃ(目的達成できた?)」
「うん、たぶん」
他のプレイヤーたちがどんどんと転移で帰っていくので、これで問題ないはず。
僕たちも帰らないと。
「――家で、レベルキャップ解放祝いをしよっか!」
「きゅぃ(するー! 美味しいもの食べよう!)」
楽しそうに返事をするスラリンたちを一足先に戻し、僕は転移を発動する。
次はダンジョン探索だね!
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