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7章 世界が広がっていくよ
268.会いに来たよ
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たくさん魚介類をとれて満足してるスラリンたちを引き連れ、サクノ山内のノース採掘場跡を進む。イグニスさんに会いに行くんだ。
突進土竜が作った穴は狭かったから、オギンやペタには帰ってもらった。今のパーティは僕とスラリン、ユキマル、ナッティのちっちゃい子組。
ユキマルは松明代わりに周囲を照らしてくれる上に、モンスターの接近を素早く教えてくれるし、ナッティは時々『ここ、掘ったら良いものがありそうよ』と教えてくれる。
「――あれ? ナッティの能力って罠探知だったよね? 良いものをお知らせするのはなんか違う気がする……」
「きゅーきゅい(罠が悪いものってどうして決められるの?)」
「良い罠もある……?」
よくわかんないけど、ナッティの認識がそうだから、罠探知スキルで発見できる範囲が広いのかも。ありがたいからそういうことにしとこー。
ノース採掘場跡で採れる良いものは【黒鉄】とか【魔銀】とか、レア度が高い金属類だった。錬金術で使えそう!
「ぴぅっ(すごい気配がするよ。これ、イグニスさんだと思う)」
ユキマルが教えてくれた。確かにマップで見たら、目的地が結構近くなってる。みんなで話しながら進むと、楽しいしバトルもさっさと終わるから、すごく早く着いた気分だ。
「イグニスさん元気かなー」
元気じゃないイグニスさんは想像できないけど。国がなくなるような事態が起きても、イグニスさんはピンピンしてそうなイメージ。
「きゅーきゅい(緊張するわ……)」
「大丈夫だよー。イグニスさん、優しいから」
ナッティの背をぽんぽんと叩く。こうして宥めるのはこれで何度目かな。
そんなに古竜に会うって、緊張すること? ……することかも。モンちゃんさえ、古竜っていう存在にはビビってる感じだったもんなぁ。
「きゅぃ(着いた?)」
「あ、ほんとだー」
明るい光が見える。
広場を覗くと、たくさんのモンスターがうろついてた。前とは違う道を通ってきたから、広場を少し見下ろす感じのところに出たみたいだ。埴輪人形とかに襲われる心配が低くなるから、ちょうどいい。
「イグニスさーん、こんにちはー」
姿は見えないけど、気配はする。寝てるのかな?
とりあえず挨拶してみたら、パッと巨大な赤いモンスターが見えるようになった。イグニスさんだ。
『小さき者、よく来たな。散策の誘いか?』
「ううん、ちょっとお話しに来ただけ」
『そうか……』
ちょっとしょんぼりしてる。後でモンちゃんに『またイグニスさんを呼び出していい?』って聞こうかな。イグニスさんもたまにはのんびり空を飛びたいよね。
「――あ、聞くならラファイエットさんの方が確実?」
ふとミッションを思い出して呟く。
第二王女のラファイエットさんなら、王様と話してイグニスさん散歩の許可をもらいやすいかも。ちょうどイグニスさん関係の依頼を受けてるし、達成できれば良いアピールになるんじゃないかな?
『ラファイエット?』
「うん、今の王国の第二王女なんだよー」
説明を始めようとしたところで、背中をツンツンとつつかれた。ナッティだ。
「きゅーきゅい(まずは紹介をしてほしいわ)」
「そうだったね。イグニスさん、この子たちは僕のテイムモンスターで、星栗鼠のナッティと、ラージスライムのスラリン、ホワイトスライムのユキマルだよ」
『ほーう……小さき者たちだな』
イグニスさんが目を細めてナッティたちを眺める。見つめられてるナッティたちは緊張した様子だ。
「小さいけど、頼りになるんだよ」
『それは良きことだ。そのラージスライムとは特に強き絆を築いているようだ。これからも共に仲良く精進するがいい』
「僕とスラリンが……?」
きょとんとしながらスラリンと見つめ合う。
初めてテイムしたのがスラリンだったし、一番絆が深いのは当然。僕だって、仲良しでいられるようがんばってるつもりだし。
でも、イグニスさんから良い関係だって言われたら、さらに嬉しい気がした。自他共に認める良い友だちってことだね!
「きゅぃ(僕とモモ、仲良し!)」
「そうだねー。ユキマルとナッティも仲良しだよ!」
みんなでハグハグ。
きゃっきゃと戯れてたら、イグニスさんが微笑ましそうにしてることに気づいた。
確かイグニスさんは昔の国王とお友だちで、今はその人の墓守をしてるんだよね。たぶんその国王はテイマーさんで、きっととても仲が良い友だちだったんだろうな。
イグニスさんは僕たちを見て、昔のことを思い出して懐かしんでるのかも。いつかその時の話も聞いてみたい。
『それで、今日は何用で来たのだ?』
「聞きたいことがあったんだよー。さっきも言ったけど、僕、第二王女のラファイエットさんっていう人と知り合ってね。その人、創世神の研究をしてるんだって」
『ほう、創世神。今の世でも興味を持つ者がいるのか』
イグニスさんが意外そうに目を丸くした。
でも、創世神は今でもこの国の神殿で祀られてる人みたいだし、興味持ってる人は多いと思うよ。
「イグニスさんって、創世神と深い関わりがある?」
『深いと言えるかはわからぬが……我々古竜は創世神によって生まれた存在だ。魔力ばかりが満ちる何もなき世界に、火を司る我と土を司るアースが大地を育み、木を司るウッドが植物を育み、水を司るウォダが海を育み、風を司るシルが空を育んだ』
めちゃくちゃ関わりがあるじゃん。というか、古竜が創世神の魔力を使ってこの世界を創ったと言ってもいいのでは?
「……思った以上に古竜がすごかった!」
イグニスさんの他に四体の古竜がいるのかー。会いたいような、会いたくないような、微妙な気分。
イグニスさんが悪い性質ってわけじゃないけど、偉大な存在すぎて僕くらいの小さい存在の都合をあんまり気にしないところがあるからねー。
悪気はないんだけど、困っちゃうことはある。岩犀討伐後に置いてきぼりにされたこととか!
『凄いかどうかはわからぬが……それが我らの役目ゆえ。今はほとんどすることがなく、我以外も眠りについているはずだ』
「そっか。どこかにいるのは確実だけど、会う機会はなさそうだねー」
言いながら、どこかでピコンと旗が立った気がする。
一応スキルを確認。――フラグ可視化のスキルはオフになってる。ということは、さっきのは気のせい! そういうことにしておいてください!
突進土竜が作った穴は狭かったから、オギンやペタには帰ってもらった。今のパーティは僕とスラリン、ユキマル、ナッティのちっちゃい子組。
ユキマルは松明代わりに周囲を照らしてくれる上に、モンスターの接近を素早く教えてくれるし、ナッティは時々『ここ、掘ったら良いものがありそうよ』と教えてくれる。
「――あれ? ナッティの能力って罠探知だったよね? 良いものをお知らせするのはなんか違う気がする……」
「きゅーきゅい(罠が悪いものってどうして決められるの?)」
「良い罠もある……?」
よくわかんないけど、ナッティの認識がそうだから、罠探知スキルで発見できる範囲が広いのかも。ありがたいからそういうことにしとこー。
ノース採掘場跡で採れる良いものは【黒鉄】とか【魔銀】とか、レア度が高い金属類だった。錬金術で使えそう!
「ぴぅっ(すごい気配がするよ。これ、イグニスさんだと思う)」
ユキマルが教えてくれた。確かにマップで見たら、目的地が結構近くなってる。みんなで話しながら進むと、楽しいしバトルもさっさと終わるから、すごく早く着いた気分だ。
「イグニスさん元気かなー」
元気じゃないイグニスさんは想像できないけど。国がなくなるような事態が起きても、イグニスさんはピンピンしてそうなイメージ。
「きゅーきゅい(緊張するわ……)」
「大丈夫だよー。イグニスさん、優しいから」
ナッティの背をぽんぽんと叩く。こうして宥めるのはこれで何度目かな。
そんなに古竜に会うって、緊張すること? ……することかも。モンちゃんさえ、古竜っていう存在にはビビってる感じだったもんなぁ。
「きゅぃ(着いた?)」
「あ、ほんとだー」
明るい光が見える。
広場を覗くと、たくさんのモンスターがうろついてた。前とは違う道を通ってきたから、広場を少し見下ろす感じのところに出たみたいだ。埴輪人形とかに襲われる心配が低くなるから、ちょうどいい。
「イグニスさーん、こんにちはー」
姿は見えないけど、気配はする。寝てるのかな?
とりあえず挨拶してみたら、パッと巨大な赤いモンスターが見えるようになった。イグニスさんだ。
『小さき者、よく来たな。散策の誘いか?』
「ううん、ちょっとお話しに来ただけ」
『そうか……』
ちょっとしょんぼりしてる。後でモンちゃんに『またイグニスさんを呼び出していい?』って聞こうかな。イグニスさんもたまにはのんびり空を飛びたいよね。
「――あ、聞くならラファイエットさんの方が確実?」
ふとミッションを思い出して呟く。
第二王女のラファイエットさんなら、王様と話してイグニスさん散歩の許可をもらいやすいかも。ちょうどイグニスさん関係の依頼を受けてるし、達成できれば良いアピールになるんじゃないかな?
『ラファイエット?』
「うん、今の王国の第二王女なんだよー」
説明を始めようとしたところで、背中をツンツンとつつかれた。ナッティだ。
「きゅーきゅい(まずは紹介をしてほしいわ)」
「そうだったね。イグニスさん、この子たちは僕のテイムモンスターで、星栗鼠のナッティと、ラージスライムのスラリン、ホワイトスライムのユキマルだよ」
『ほーう……小さき者たちだな』
イグニスさんが目を細めてナッティたちを眺める。見つめられてるナッティたちは緊張した様子だ。
「小さいけど、頼りになるんだよ」
『それは良きことだ。そのラージスライムとは特に強き絆を築いているようだ。これからも共に仲良く精進するがいい』
「僕とスラリンが……?」
きょとんとしながらスラリンと見つめ合う。
初めてテイムしたのがスラリンだったし、一番絆が深いのは当然。僕だって、仲良しでいられるようがんばってるつもりだし。
でも、イグニスさんから良い関係だって言われたら、さらに嬉しい気がした。自他共に認める良い友だちってことだね!
「きゅぃ(僕とモモ、仲良し!)」
「そうだねー。ユキマルとナッティも仲良しだよ!」
みんなでハグハグ。
きゃっきゃと戯れてたら、イグニスさんが微笑ましそうにしてることに気づいた。
確かイグニスさんは昔の国王とお友だちで、今はその人の墓守をしてるんだよね。たぶんその国王はテイマーさんで、きっととても仲が良い友だちだったんだろうな。
イグニスさんは僕たちを見て、昔のことを思い出して懐かしんでるのかも。いつかその時の話も聞いてみたい。
『それで、今日は何用で来たのだ?』
「聞きたいことがあったんだよー。さっきも言ったけど、僕、第二王女のラファイエットさんっていう人と知り合ってね。その人、創世神の研究をしてるんだって」
『ほう、創世神。今の世でも興味を持つ者がいるのか』
イグニスさんが意外そうに目を丸くした。
でも、創世神は今でもこの国の神殿で祀られてる人みたいだし、興味持ってる人は多いと思うよ。
「イグニスさんって、創世神と深い関わりがある?」
『深いと言えるかはわからぬが……我々古竜は創世神によって生まれた存在だ。魔力ばかりが満ちる何もなき世界に、火を司る我と土を司るアースが大地を育み、木を司るウッドが植物を育み、水を司るウォダが海を育み、風を司るシルが空を育んだ』
めちゃくちゃ関わりがあるじゃん。というか、古竜が創世神の魔力を使ってこの世界を創ったと言ってもいいのでは?
「……思った以上に古竜がすごかった!」
イグニスさんの他に四体の古竜がいるのかー。会いたいような、会いたくないような、微妙な気分。
イグニスさんが悪い性質ってわけじゃないけど、偉大な存在すぎて僕くらいの小さい存在の都合をあんまり気にしないところがあるからねー。
悪気はないんだけど、困っちゃうことはある。岩犀討伐後に置いてきぼりにされたこととか!
『凄いかどうかはわからぬが……それが我らの役目ゆえ。今はほとんどすることがなく、我以外も眠りについているはずだ』
「そっか。どこかにいるのは確実だけど、会う機会はなさそうだねー」
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