もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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8章 新たな地へ

302.探索のご褒美

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 いろいろ気になるけど、まずは報酬の確認! 神使召喚って何?

——————
スキル【神使召喚】
 バトルフィールド内で十分間神使を召喚できる。クールタイムは一時間。
 現在召喚できる神使は【角馬ホルース

角馬ホルース
 土属性の神使
 黄麒麟オウキリンの配下にいる妖精の一種
 召喚している間、パーティ全員の土属性攻撃力が10%、土属性耐性が20%上がる
 また、状態異常『気絶』になりにくくなる
——————

 召喚って言っても、テイマーが使うものとは違う感じだね?
 直接攻撃に参加することはなくて、バフをくれるタイプらしい。パーティ枠を消費しないみたいだし、便利かも。

 角馬ホルース黄麒麟オウキリンの配下……もしかして、神魔に出会う度に配下の神使を召喚できるようになる?

 ちょっとシークレットエリア探索のやる気が復活してきたぞ。

 あ、ついでに追加された職業も確認しておこう。

——————
戦闘職【神職】
 どの職業からも転職可能な職業
 神に関わるスキルを覚えやすくなる
 神殿やスタ島の神の社に勤めることが可能
 神職になった後は【神主】【巫女】などの派生職業につくことができる
——————

 ほうほう……利点が全然わかんないね!
 今のところなりたいとは思わないから、スルーしちゃおう。

『おーい、どうしたのー?』
「あ、なんでもないです」

 黄麒麟オウキリンに話しかけられた。といっても、これが本当に黄麒麟オウキリンなのかはわからないけど。

「えっと……あなたは黄麒麟オウキリン本獣ほんじゅう?」

 人じゃないしな、と言葉を変えて聞いてみた。

『んー? そうとも言えるし、そうではないとも言えるね』
「どういうこと?」
『ほら、ボク、この像に降りてるだけだし。本物のボクは、ボクの神域にいるよ』

 黄麒麟オウキリンがパチリと瞬きをした。
 生きているように見えるけど、ここにあるのが像ってことは変わってないらしい。
 捧げものをしたら神魔を召喚できるってなってたけど、神魔の意識を像に乗り移らせてるだけみたいだ。一種の降霊術?

「へぇ。本物の黄麒麟オウキリンともいつか会える?」
『ボクの神域に来たら会えるよ』

 そういえば、ここは水の神域(黄)だったね。つまり、黄麒麟オウキリンを召喚できるけど、万水亀フルトガメの神域内ってことだ。

 どっかに黄麒麟オウキリンの神域もあるのかー。
 プレイヤーは得意な神域を一つ見つけて攻略すれば、どこでも同じような成果を得られるってことなんだろうな。

「……ん? それなら、この神域では本物の万水亀フルトガメには会える?」
『会えるだろうねー』

 あっさり肯定された。
 泉の底には五色の泉石があったし、水の神域(青)を進めば本物の万水亀フルトガメがいるんだろうな。

 そう納得したところで、ハッと重要なことを思い出す。
 僕、秘宝を探しに来たんだよ! さっき、黄麒麟オウキリンは『元々そこに置いといた』って言ってたけど、どこにあるんだろう?

 改めて周囲を捜索する。きょろきょろ。

「……えー、秘宝どこ?」
『ここだよ、ここ、ここ。ボクの足元』
「足元……あったー!」

 黄麒麟オウキリンの前足の間に、小さい黄麒麟オウキリン像みたいなものがあった。キラキラとした黄色の宝石でできてる。

——————
黄麒麟オウキリン像(小)】
 神魔の力が込められた秘宝
 農地に置くと、収穫量と生育速度、変異種発生率が向上する
——————

 置けばずっと効果があるタイプのアイテムだった。
 黄麒麟オウキリンが土属性だから豊穣の効果があるのかな。

「これ、もらっていいの?」
『いいよー。なくなれば、勝手に一日に一個作られるし』
「あ、そういう感じなんだ……」

 プレイヤーがたくさんここに来ても、一日に一人しか入手できない感じなんだね。

 まぁ、ここにたくさんプレイヤーが来る気はしないけど。効果が農地に限定されてるし、欲しがる人はあんまり多くないと思う。

 僕はとっても嬉しいけどね!

「じゃあ、ありがたくいただきます!」
『どうぞー。もう用は終わった? そろそろボク帰るけど』
「えーっと、んーっと……うん! 会えて嬉しかったよ! ばいばい」

 なんか質問した方がいいかな、って思ったけど、なんも浮かばなかった。出会いが突然すぎたんだよ。

『はいはーい。ボクの妖精、上手く使ってあげてね』

 フッと気配が消えた。
 目の前にあるのは無機質な神魔像だ。帰るの早ーい。

 それにしても、妖精かー。角馬ホルースのことだよね。喚んでみたいな。どんな見た目なんだろう。

「確かめたいし、僕もさっさと帰ろー」

 ヒスイたちも待ってるだろうしね! というわけで、飛翔フライを使いながら泳いで帰るぞー。

◇◆◇ 

 神域から戻り泉から上がると、ヒスイたちに『待ちくたびれた』と拗ねられた。
 ごめーん。思った以上に攻略に時間がかかったんだよ。

「いいものをもらったから、一緒に確認しよう!」
「キュオ(いいもの? 何かしら)」

 首を傾げるオギンたちの前で、新しくもらったスキルを発動する。

「【神使召喚:角馬ホルース】!」

 僕たちの周囲を黄色い光が駆け巡った。

『ヒヒーン!』

 馬の嘶きが聞こえたかと思うと、淡い黄色の一角獣のような生き物が現れる。透けてるー! え、幽霊!?

「くまま(妖精だー)」
「キュオ(土属性の子ね)」
「きゅーきゅい(意思はあまりなさそうだわ)」
「にゃ(神魔様の下位眷属にゃ)」

 幽霊じゃなかったらしい。確かに妖精って説明だったね。
 密かにホッとして、角馬ホルースを見上げる。
 大きいなー。実体がないから、戦闘の邪魔にはならなそう。

「下位眷属? ヒスイは?」
「にゃ(仙猫センリは中位眷属にゃ。上位眷属は神魔様の近くに侍ってるにゃ)」
「なるほどー。階級制なのかぁ」

 なかなかシビアだ。
 まぁ、それはともかく、神使召喚の確認ができてよかったな。使う機会がいつ来るかわかんないけど。

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