316 / 555
8章 新たな地へ
310.ようやく入学です
しおりを挟む
ルシーと別れて、魔術学院の塔に来たよー。
前回は『魔術レベル5以上』という条件をクリアできなくて入学できなかったんだけど、ダンジョン攻略でレベルアップできたから、通えるようになってるはず!
「お久しぶりです、受付さん!」
「こんにちは、モモさん。入学申し込みに来たんですね」
魔術学院の入学受付カウンターにいる女性に手を上げて挨拶する。やほやほー。
僕のことを覚えててくれたみたいで、にこやかに手続きを始めてくれた。
「うん。あ、受付さんのお名前は?」
「あら、申し遅れました、私はミューズです。基礎魔術講座も担当していますから、聞きたいことがあればご遠慮なくどうぞ」
「基礎魔術……ってなぁに?」
きょとんと問いかけたら、ミューズさんは魔術学院証を作りながら肩をすくめた。
「基礎五属性の魔術のことですよ。初期適性がない状態で新たな属性の魔術を学びたいのでしたら、私の講座を受講してください。まぁ、モモさんは五属性の適性を保有しているようですから、必要ないと思いますけど」
なるほど。初期のスキル選択で取ってない基礎魔術を習得したいならミューズさんのお世話になるのか。
「光と闇の属性は基礎魔術じゃないんだ?」
「その二属性は特殊魔術に分類されてますね。モモさんはおそらく光属性を習得しやすいと思います。闇の適性は低そうですね」
「あ、それぞれで適性が決まってるの?」
「モンスター種の方はその傾向がありますよ。人種の方はまんべんなく習得できるようですけど」
天兎という種族は光属性の適性が高いってことかぁ。
モンちゃんが天兎の進化には光の進化石が必要って言ってたし、光属性のモンスターなのかも。
「そうなんだ。光魔術はいつか習得したいな」
「ぜひ学んでみてください――こちら魔術学院証です。講座を受講する際に必須ですので携帯を忘れないようにしてくださいね」
「おー、ありがとう!」
――――――
【魔術学院証】
王都魔術学院に入学した証
各講座の受講状況が記録される
――――――
なんか嬉しい。一人前の魔術士になれるかな。
「魔術学院に関するご質問はありますか?」
「僕、『魔術士の転職先』の情報と『モンスターの大きさを変える魔術』の習得をしたいんだけど、どの講座を受けたらいい?」
尋ねてみると、ミューズさんが空中にパッと青いスクリーンを出した。魔術学院の地図らしい。
「魔術士の転職先については、別の塔にある『転職案内所』で相談できますよ」
ミューズさんはここから近い塔の二階部分を指す。そこで魔術士の上位職について情報を入手できるし、相談員から転職のアドバイスをもらえるらしい。
あとで行ってみよう。
「モンスターの大きさを変える魔術は……形態変化魔術の一種ですね。この塔の三階で講座が開かれています。担当はナックラー先生で、今日もこれから講座があるはずですよ」
「おお、いいタイミングだね! 行ってみるよ」
「がんばってくださいね」
すぐに学べるなんてラッキー。
応援してくれるミューズさんに手を振って別れ、三階にレッツゴーです。
◇◆◇
三階に到着すると、様々な講座名が書かれた扉が廊下に沿って並んでいた。
えっと、形態変化魔術だったよね……あ、あった!
発見した扉を開いてみると、三人の男女が中で談笑してる。全員異世界の住人だ。まだ講座は始まってなかったみたい。
部屋にはホワイトボードがあって、学生用の机と椅子が十セットほど並んでいた。
「こんにちはー」
「うおっ……え、モンスター?」
「あ、知ってる! もふもふ教のアイドルでしょ」
「もふもふ教とはなんだ??」
女の子が僕を指して笑顔を見せると、男の子二人は『なんだそれ』と言いたげに首を傾げた。
王都はまだもふもふ教の知名度が低いのかも。神殿の横に教会ができたら、知られるようになるかなー。
「もふもふ教はもふもふとしたモンスターを愛でようっていう宗教(?)だよ。神殿とも仲良し! 僕はモモっていうんだ。よろしくー」
「よろしくー。モモ、可愛いねぇ。私はサラよ。十六歳なの」
「俺はニック。同じく十六歳だぜ」
「拙者はエモン。十七歳である」
侍か!?
思わずエモンを二度見した。和装に似た感じの格好で腰元に佩いているのは刀だった……うん、侍っぽい。え、ここ、魔術学院だよね?
「ふふ、エモンを見てびっくりしてるね。エモンは剣士だけど、魔術を剣術に取り入れたくて、魔術学院に通ってるんだよ」
サラが教えてくれた。なるほど、魔剣士になりたい感じだね。
「そっかぁ。でも、ここって形態変化魔術を学ぶところだよね? 剣術に使えるの?」
おいで、と招かれたのでサラの隣に腰掛けながら聞いてみる。
エモンがうむ、と頷いた。
「刀の大きさや形を変えられたら、敵の性質に合わせた戦闘が可能になると思うのである」
「おお、確かに! そういうアイテムにも効果がある魔術なんだ?」
「らしいぜ。効果は一時的だけどな」
「永続的に変化させたら、使いにくいであろう」
ニックの言葉にエモンが静かに答える。確かに、と僕は頷いた。
最初に出会った学生仲間ということで、三人とフレンド登録する。さらに雑談をしようと思ったところで、ガラッと扉が開いた。
「みなさん、こんにちは。あ、私、形態変化魔術講座担当のナックラーです」
ホワイトボードの傍に立った男性――ナックラー先生がニコリと微笑む。
学校はリモートとか仮想空間内で授業があることが多かったし、こういう感じで先生と対面するのは久しぶりかも。
どんな授業になるのか楽しみだな。
前回は『魔術レベル5以上』という条件をクリアできなくて入学できなかったんだけど、ダンジョン攻略でレベルアップできたから、通えるようになってるはず!
「お久しぶりです、受付さん!」
「こんにちは、モモさん。入学申し込みに来たんですね」
魔術学院の入学受付カウンターにいる女性に手を上げて挨拶する。やほやほー。
僕のことを覚えててくれたみたいで、にこやかに手続きを始めてくれた。
「うん。あ、受付さんのお名前は?」
「あら、申し遅れました、私はミューズです。基礎魔術講座も担当していますから、聞きたいことがあればご遠慮なくどうぞ」
「基礎魔術……ってなぁに?」
きょとんと問いかけたら、ミューズさんは魔術学院証を作りながら肩をすくめた。
「基礎五属性の魔術のことですよ。初期適性がない状態で新たな属性の魔術を学びたいのでしたら、私の講座を受講してください。まぁ、モモさんは五属性の適性を保有しているようですから、必要ないと思いますけど」
なるほど。初期のスキル選択で取ってない基礎魔術を習得したいならミューズさんのお世話になるのか。
「光と闇の属性は基礎魔術じゃないんだ?」
「その二属性は特殊魔術に分類されてますね。モモさんはおそらく光属性を習得しやすいと思います。闇の適性は低そうですね」
「あ、それぞれで適性が決まってるの?」
「モンスター種の方はその傾向がありますよ。人種の方はまんべんなく習得できるようですけど」
天兎という種族は光属性の適性が高いってことかぁ。
モンちゃんが天兎の進化には光の進化石が必要って言ってたし、光属性のモンスターなのかも。
「そうなんだ。光魔術はいつか習得したいな」
「ぜひ学んでみてください――こちら魔術学院証です。講座を受講する際に必須ですので携帯を忘れないようにしてくださいね」
「おー、ありがとう!」
――――――
【魔術学院証】
王都魔術学院に入学した証
各講座の受講状況が記録される
――――――
なんか嬉しい。一人前の魔術士になれるかな。
「魔術学院に関するご質問はありますか?」
「僕、『魔術士の転職先』の情報と『モンスターの大きさを変える魔術』の習得をしたいんだけど、どの講座を受けたらいい?」
尋ねてみると、ミューズさんが空中にパッと青いスクリーンを出した。魔術学院の地図らしい。
「魔術士の転職先については、別の塔にある『転職案内所』で相談できますよ」
ミューズさんはここから近い塔の二階部分を指す。そこで魔術士の上位職について情報を入手できるし、相談員から転職のアドバイスをもらえるらしい。
あとで行ってみよう。
「モンスターの大きさを変える魔術は……形態変化魔術の一種ですね。この塔の三階で講座が開かれています。担当はナックラー先生で、今日もこれから講座があるはずですよ」
「おお、いいタイミングだね! 行ってみるよ」
「がんばってくださいね」
すぐに学べるなんてラッキー。
応援してくれるミューズさんに手を振って別れ、三階にレッツゴーです。
◇◆◇
三階に到着すると、様々な講座名が書かれた扉が廊下に沿って並んでいた。
えっと、形態変化魔術だったよね……あ、あった!
発見した扉を開いてみると、三人の男女が中で談笑してる。全員異世界の住人だ。まだ講座は始まってなかったみたい。
部屋にはホワイトボードがあって、学生用の机と椅子が十セットほど並んでいた。
「こんにちはー」
「うおっ……え、モンスター?」
「あ、知ってる! もふもふ教のアイドルでしょ」
「もふもふ教とはなんだ??」
女の子が僕を指して笑顔を見せると、男の子二人は『なんだそれ』と言いたげに首を傾げた。
王都はまだもふもふ教の知名度が低いのかも。神殿の横に教会ができたら、知られるようになるかなー。
「もふもふ教はもふもふとしたモンスターを愛でようっていう宗教(?)だよ。神殿とも仲良し! 僕はモモっていうんだ。よろしくー」
「よろしくー。モモ、可愛いねぇ。私はサラよ。十六歳なの」
「俺はニック。同じく十六歳だぜ」
「拙者はエモン。十七歳である」
侍か!?
思わずエモンを二度見した。和装に似た感じの格好で腰元に佩いているのは刀だった……うん、侍っぽい。え、ここ、魔術学院だよね?
「ふふ、エモンを見てびっくりしてるね。エモンは剣士だけど、魔術を剣術に取り入れたくて、魔術学院に通ってるんだよ」
サラが教えてくれた。なるほど、魔剣士になりたい感じだね。
「そっかぁ。でも、ここって形態変化魔術を学ぶところだよね? 剣術に使えるの?」
おいで、と招かれたのでサラの隣に腰掛けながら聞いてみる。
エモンがうむ、と頷いた。
「刀の大きさや形を変えられたら、敵の性質に合わせた戦闘が可能になると思うのである」
「おお、確かに! そういうアイテムにも効果がある魔術なんだ?」
「らしいぜ。効果は一時的だけどな」
「永続的に変化させたら、使いにくいであろう」
ニックの言葉にエモンが静かに答える。確かに、と僕は頷いた。
最初に出会った学生仲間ということで、三人とフレンド登録する。さらに雑談をしようと思ったところで、ガラッと扉が開いた。
「みなさん、こんにちは。あ、私、形態変化魔術講座担当のナックラーです」
ホワイトボードの傍に立った男性――ナックラー先生がニコリと微笑む。
学校はリモートとか仮想空間内で授業があることが多かったし、こういう感じで先生と対面するのは久しぶりかも。
どんな授業になるのか楽しみだな。
1,387
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。