315 / 618
8章 新たな地へ
309.楽しい空間だな~
しおりを挟む
最初の目的だった曲芸士さんを探すよ。
曲芸を披露してるフロアは七階らしいので、再びエレベーターのような乗り物で向かう。どんな曲芸を見られるのかな~。
「おお、このフロア、部屋に分かれてないのかー!」
着いた途端、植木や花が飾られた広い空間が見えた。建物の中に公園がある感じ。天窓があるようで、ところどころ光の柱ができてるのが綺麗だ。
花の傍にはベンチがあったり、軽食や飲み物を販売するワゴンがあったり、心地いい空間になってる。
様々なところから違った音楽が流れ、それに合わせて曲芸を披露している人がたくさんいた。お客さんも集まっていて、曲芸が成功する度に歓声が上がってる。
雑然とした雰囲気だけど、にぎやかで楽しい。ワクワクしてくるね。
「どこから見ようかなぁ」
きょろきょろと眺めながら歩く。
道は石畳になってて、まるで外にいるみたいな感じがするから不思議だった。
ルトやリリから情報をもらった曲芸士さんは、アクロバティックな動きが得意な人らしい。そういうのは僕のパフォーマンスに取り入れやすそうだから、ぜひ見たいんだけど――
「うぅ、目移りする……」
目的の人に辿り着く前に、ナイフでジャグリングしてる人を見つけて立ち止まっちゃうし、ピエロのパントマイムを凝視しちゃうし、全然進めない。
いや、こういうのを見るのも勉強になるからいいんだよ。うん、そういうことにしよう。
「すごーい! ボールが薔薇になった!」
マジックを披露している人を見て、パチパチと拍手する。
感動してたら、隣にいた男の子が「花よりキャンディがいい」とボソリと呟いたから、あははと笑っちゃった。正直だねー。小さい男の子は花より団子のことが多いよね。
マジシャンにも聞こえていたのか、ニコリと笑うと「ワン、ツー、スリー……」と言いながら、薔薇の花を振り――イチゴのキャンディに変えた。
「わあ、そんなにすぐに対応できるの? すごい!」
「私はマジシャンですからね。タネも仕掛けもありますよ」
「それ言い切っちゃうんだ」
マジシャンが男の子にキャンディを渡している間にちょっと会話する。なかなか愉快な人だった。
こうやって臨機応変にパフォーマンスできるのは僕も見習いたいな。
マジシャンの人が「あなたも」とうさぎ型の棒付きキャンディをくれたので、お礼を言って受け取る。こういうのもらえるの嬉しいよねー。
コンサートでキャンディの雨を降らせるのは面白いかも? みんなの記念にもなりそうだし。頭に当たったら痛いけど。
棒付きキャンディを魔法の杖のように振りながら、他の曲芸士さんを見て回る。
アクロバットが得意な曲芸士さんはどこかなぁ。
「さぁさぁどうぞ、見ていってくださいな」
不意に客を呼び寄せる声が聞こえてきた。
その声につられて、トテトテと歩く。
声の主の傍では、スレンダーな女性がしゃがんだ体勢から片手をついてバク転し、さらに側転を繰り返した後にバク宙していた。わあっと大きな歓声が上がる。
その後は転回したり、側宙したり、さらには高めの台からバク宙しながら飛びおりたり、ダイナミックな動きが続く。
途中、リボンを使って華やかな演出をしたり、ボールを投げた後に側転をしてからキャッチしたりと、見ごたえのあるパフォーマンスがあって、全然飽きない。
「すごーい! カッコいい!」
僕も飛翔スキルを使えば真似できそう。
一通りの披露が終わったところで、チップを払いながら話しかけてみる。
「こんにちはー。アクロバット素敵だったよ」
「あら、ありがとう、うさぎさん」
女性がニコリと微笑んだ。頭を撫でてくれたので「えへへ」とちょっと照れる。
「僕、モモっていうんだ。お姉さんは?」
「私はルシーよ。元サーカス団員なの」
あ、この人、ルトたちから教えてもらった人だ! 出会えて嬉しい! 前評判通り、すごいアクロバットを披露してくれる曲芸士さんだ。
「へぇ、サーカスがあるんだ?」
「そうね。基本的には第五の街で活動しているから、こちらではあまり知られていないかも」
ルシーがふふっと笑う。
第五の街かぁ。行けるようになったら、サーカスも見てみたいな。
「僕、ライブパフォーマンスを考えてるんだけど、アドバイスくれない?」
「ライブ?」
「うん、歌って踊るんだよ。今度大きな会場で披露するんだー」
サーバー合流空間でのライブがどんな感じかは情報をもらってないけど、これまでで一番観客が多いライブになるのは間違いない。
そこで、全員に楽しんでもらえるパフォーマンスをしたいんだ。
僕が思いを語ると、ルシーは「素敵ね」と微笑んでくれた。
「モモは今、どういうパフォーマンスをできるの? 私がアドバイスできることがあるかな?」
「じゃあ、ちょっと見てくれる?」
相談に乗ってくれるようなので、全力でパフォーマンスしよう。
スラリンやショコラたちも喚んで、一緒にやってみるよー。
「♪もふもふ、プリッティ!」
歌いながら動く。
飛翔で飛んで宙返りしたり、空中でステップを踏んだり、ターンしたり。
いつの間にかたくさんのお客さんが集まっていた。もふもふ教の集まりで見た顔もある気がする。みんな楽しそうで嬉しい!
「――いぇい!」
曲終わりにポーズすると、盛大な拍手をもらった。
チップを渡そうとする人たちに戸惑っていたら、ルシーが「これを使って」と箱をくれる。次々にチップが投げ込まれた。
いつものライブとは違う感じでおもしろーい!
大道芸的に、たまには道端でパフォーマンスしようかな。シェルさんのところに行けば、一緒にできるだろうな。
「アドバイスする必要がないくらい素敵だったわよ」
お客さんが立ち去ったところで、ルシーが褒めてくれた。
「ほんと? でも、広い会場でも見映えがするパフォーマンスをしたいんだよね」
「会場が広いと、パフォーマンスの仕方を少し変えた方がいいものねぇ」
僕が相談すると、ルシーは少し考えた後に、ニコッと笑った。
「――モモは飛ぶスキルを最大限に活用するのがいいと思うわ。あと、大きなモンスターを召喚して一緒に飛ぶとか」
「一緒に飛ぶ……」
復唱しながらスラリンたちを振り返る。
一緒に飛べるのはヒスイくらいだなぁ。でも、ヒスイは僕とサイズ変わらないし……新たなモンスターをテイムするにも、まだテイマーとしてレベルアップしてないからテイム枠が空いてないし、それに飛べるモンスターにも心当たりがないや。
僕が囓ったニンジンを使ったアイテムを食べてもらったらオギンたちでも飛べるけど……広い会場だと、オギンくらいのサイズでも僕と見映えはあまり変わらない気がする。
「そういえば、一時的にモンスターの大きさを変える魔術やアイテムがあるけど、そういうのは使わないの?」
「え、そんなのがあるんだ?」
ルシーから思いがけない情報をもらった。
魔術学院で習得できる魔術らしい。その魔術を使ってヒスイたちを大きくしたら面白いかも? 早速習いに行ってみようかな。
「あとはこういうアクロバットも見映えがするよ」
ルシーが様々な動きを教えてくれる。なんとか真似て習得してみた。
パフォーマーとしてレベルアップできてる気がする!
「教えてくれてありがとー!」
「ふふ、どういたしまして。また聞きたいことがあったらいらっしゃいな」
ルシーとフレンド登録できた。
パフォーマンスに悩んだら、ルシーに相談しようっと。
曲芸を披露してるフロアは七階らしいので、再びエレベーターのような乗り物で向かう。どんな曲芸を見られるのかな~。
「おお、このフロア、部屋に分かれてないのかー!」
着いた途端、植木や花が飾られた広い空間が見えた。建物の中に公園がある感じ。天窓があるようで、ところどころ光の柱ができてるのが綺麗だ。
花の傍にはベンチがあったり、軽食や飲み物を販売するワゴンがあったり、心地いい空間になってる。
様々なところから違った音楽が流れ、それに合わせて曲芸を披露している人がたくさんいた。お客さんも集まっていて、曲芸が成功する度に歓声が上がってる。
雑然とした雰囲気だけど、にぎやかで楽しい。ワクワクしてくるね。
「どこから見ようかなぁ」
きょろきょろと眺めながら歩く。
道は石畳になってて、まるで外にいるみたいな感じがするから不思議だった。
ルトやリリから情報をもらった曲芸士さんは、アクロバティックな動きが得意な人らしい。そういうのは僕のパフォーマンスに取り入れやすそうだから、ぜひ見たいんだけど――
「うぅ、目移りする……」
目的の人に辿り着く前に、ナイフでジャグリングしてる人を見つけて立ち止まっちゃうし、ピエロのパントマイムを凝視しちゃうし、全然進めない。
いや、こういうのを見るのも勉強になるからいいんだよ。うん、そういうことにしよう。
「すごーい! ボールが薔薇になった!」
マジックを披露している人を見て、パチパチと拍手する。
感動してたら、隣にいた男の子が「花よりキャンディがいい」とボソリと呟いたから、あははと笑っちゃった。正直だねー。小さい男の子は花より団子のことが多いよね。
マジシャンにも聞こえていたのか、ニコリと笑うと「ワン、ツー、スリー……」と言いながら、薔薇の花を振り――イチゴのキャンディに変えた。
「わあ、そんなにすぐに対応できるの? すごい!」
「私はマジシャンですからね。タネも仕掛けもありますよ」
「それ言い切っちゃうんだ」
マジシャンが男の子にキャンディを渡している間にちょっと会話する。なかなか愉快な人だった。
こうやって臨機応変にパフォーマンスできるのは僕も見習いたいな。
マジシャンの人が「あなたも」とうさぎ型の棒付きキャンディをくれたので、お礼を言って受け取る。こういうのもらえるの嬉しいよねー。
コンサートでキャンディの雨を降らせるのは面白いかも? みんなの記念にもなりそうだし。頭に当たったら痛いけど。
棒付きキャンディを魔法の杖のように振りながら、他の曲芸士さんを見て回る。
アクロバットが得意な曲芸士さんはどこかなぁ。
「さぁさぁどうぞ、見ていってくださいな」
不意に客を呼び寄せる声が聞こえてきた。
その声につられて、トテトテと歩く。
声の主の傍では、スレンダーな女性がしゃがんだ体勢から片手をついてバク転し、さらに側転を繰り返した後にバク宙していた。わあっと大きな歓声が上がる。
その後は転回したり、側宙したり、さらには高めの台からバク宙しながら飛びおりたり、ダイナミックな動きが続く。
途中、リボンを使って華やかな演出をしたり、ボールを投げた後に側転をしてからキャッチしたりと、見ごたえのあるパフォーマンスがあって、全然飽きない。
「すごーい! カッコいい!」
僕も飛翔スキルを使えば真似できそう。
一通りの披露が終わったところで、チップを払いながら話しかけてみる。
「こんにちはー。アクロバット素敵だったよ」
「あら、ありがとう、うさぎさん」
女性がニコリと微笑んだ。頭を撫でてくれたので「えへへ」とちょっと照れる。
「僕、モモっていうんだ。お姉さんは?」
「私はルシーよ。元サーカス団員なの」
あ、この人、ルトたちから教えてもらった人だ! 出会えて嬉しい! 前評判通り、すごいアクロバットを披露してくれる曲芸士さんだ。
「へぇ、サーカスがあるんだ?」
「そうね。基本的には第五の街で活動しているから、こちらではあまり知られていないかも」
ルシーがふふっと笑う。
第五の街かぁ。行けるようになったら、サーカスも見てみたいな。
「僕、ライブパフォーマンスを考えてるんだけど、アドバイスくれない?」
「ライブ?」
「うん、歌って踊るんだよ。今度大きな会場で披露するんだー」
サーバー合流空間でのライブがどんな感じかは情報をもらってないけど、これまでで一番観客が多いライブになるのは間違いない。
そこで、全員に楽しんでもらえるパフォーマンスをしたいんだ。
僕が思いを語ると、ルシーは「素敵ね」と微笑んでくれた。
「モモは今、どういうパフォーマンスをできるの? 私がアドバイスできることがあるかな?」
「じゃあ、ちょっと見てくれる?」
相談に乗ってくれるようなので、全力でパフォーマンスしよう。
スラリンやショコラたちも喚んで、一緒にやってみるよー。
「♪もふもふ、プリッティ!」
歌いながら動く。
飛翔で飛んで宙返りしたり、空中でステップを踏んだり、ターンしたり。
いつの間にかたくさんのお客さんが集まっていた。もふもふ教の集まりで見た顔もある気がする。みんな楽しそうで嬉しい!
「――いぇい!」
曲終わりにポーズすると、盛大な拍手をもらった。
チップを渡そうとする人たちに戸惑っていたら、ルシーが「これを使って」と箱をくれる。次々にチップが投げ込まれた。
いつものライブとは違う感じでおもしろーい!
大道芸的に、たまには道端でパフォーマンスしようかな。シェルさんのところに行けば、一緒にできるだろうな。
「アドバイスする必要がないくらい素敵だったわよ」
お客さんが立ち去ったところで、ルシーが褒めてくれた。
「ほんと? でも、広い会場でも見映えがするパフォーマンスをしたいんだよね」
「会場が広いと、パフォーマンスの仕方を少し変えた方がいいものねぇ」
僕が相談すると、ルシーは少し考えた後に、ニコッと笑った。
「――モモは飛ぶスキルを最大限に活用するのがいいと思うわ。あと、大きなモンスターを召喚して一緒に飛ぶとか」
「一緒に飛ぶ……」
復唱しながらスラリンたちを振り返る。
一緒に飛べるのはヒスイくらいだなぁ。でも、ヒスイは僕とサイズ変わらないし……新たなモンスターをテイムするにも、まだテイマーとしてレベルアップしてないからテイム枠が空いてないし、それに飛べるモンスターにも心当たりがないや。
僕が囓ったニンジンを使ったアイテムを食べてもらったらオギンたちでも飛べるけど……広い会場だと、オギンくらいのサイズでも僕と見映えはあまり変わらない気がする。
「そういえば、一時的にモンスターの大きさを変える魔術やアイテムがあるけど、そういうのは使わないの?」
「え、そんなのがあるんだ?」
ルシーから思いがけない情報をもらった。
魔術学院で習得できる魔術らしい。その魔術を使ってヒスイたちを大きくしたら面白いかも? 早速習いに行ってみようかな。
「あとはこういうアクロバットも見映えがするよ」
ルシーが様々な動きを教えてくれる。なんとか真似て習得してみた。
パフォーマーとしてレベルアップできてる気がする!
「教えてくれてありがとー!」
「ふふ、どういたしまして。また聞きたいことがあったらいらっしゃいな」
ルシーとフレンド登録できた。
パフォーマンスに悩んだら、ルシーに相談しようっと。
1,441
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
「可愛げがない」と婚約破棄された公爵令嬢ですが、領地経営をしていたのは私です
希羽
恋愛
「お前のような可愛げのない女との婚約は破棄する!」
卒業パーティの会場で、婚約者である第二王子デリックはそう宣言し、私の義妹ミナを抱き寄せました。 誰もが私が泣き崩れると思いましたが――正直、せいせいしました。 だって、王子の領地経営、借金返済、結界維持、それら全ての激務を一人でこなしていたのは「可愛げのない」私だったのですから。
「承知しました。では、あとはミナと二人で頑張ってください」
私は手切れ金代わりに面倒な仕事を全て置いて国を出ました。 すると、国境で待っていたのは、隣国ガルガディア帝国の冷徹皇太子ことクライド様。なぜか彼は私を溺愛し、帝国で最高の地位と環境を与えてくれて……。
【完結】婚約者に忘れられていた私
稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」
「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」
私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。
エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。
ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。
私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。
あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?
まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?
誰?
あれ?
せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
もうあなたなんてポイよポイッ。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。
※視点が一話一話変わる場面もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。