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8章 新たな地へ
311.講義を受けたよ
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ナックラー先生は形態変化魔術の説明から講義を始めた。
「私が教える魔術は、符を用いて行うため符魔術に分類されています」
符? 初めて聞いたー。
僕がきょとんとしていると、ナックラー先生が「符とはこういうものです」と見本を配ってくれた。
細長い紙にふにゃふにゃとした線が描かれてる。
「今配った符に載っているのが形態変化魔術のまじないです」
よくわからないけど、へぇと頷きながら符を眺める。
サラたちは他の講座で符を見たことがあるのか、「なんか細かいな」「線が綺麗だね」「作るのが難しそうである」と感想をこぼしていた。
あ、これって、自分で作るんだ?
「符を使ったことがない方がいるようなので、使い方を説明しましょう」
にこにこと笑ったナックラー先生が、二本指で挟んだ符をシュッと投げた。符は誰も使っていない机に張り付き、瞬く間に人の手のひらに載りそうなほどのミニチュアサイズに変えてしまう。
「えっ、すごーい! なんかカッコいい!」
これまで僕が使ってきた魔術とは全然系統が違う気がする。和風魔法使い――呪術師みたいな感じ。こういうのもカッコいいし楽しそう!
「ありがとうございます――この符は【サイズ:2ダウン】を指定してあるので、ここまで小さくなります。まじないの一部を変えることで、大きさを自由に決められますよ」
へぇ。どのくらいの大きさになるかは、使ってみないとわからないねぇ。慣れたら感覚でできそうだけど。
「符魔術は生き物にも効果を示します。ですが、物と違い意思ある生き物は、符魔術に抵抗することもできます。バフやデバフが精神力によってかかりにくさが変わるように、符魔術も防御力や精神力によって効果を発揮できるかが決まるのです」
「ステータスが高いモンスターには符魔術が効かないってこと?」
それだと困っちゃうかもしれない。しょんぼりとしながら聞くと、ナックラー先生は「その答えは、『はい』とも『いいえ』とも言えますね」と微笑む。
「敵のモンスターに対して符魔術を使うと、高ステータスのモンスターには効かない可能性が高いです。ですが、例えば自分のテイムモンスターや友好的なモンスターに対して使った場合、そのモンスターが符魔術の効果を受け入れていれば、相手のステータスが高くても効果を発揮できます」
「なるほど。じゃあ、小さくするよーって言って、いいよーって答えがあったら、符魔術が成功するってことだね」
「そうですね。相手との関係性と意思確認が大切です」
それなら、僕がヒスイたちに符魔術を使っても大丈夫そう。
一安心して、引き続きナックラー先生の講義に耳を傾ける。
「先ほどは符を投げましたが、そのまま貼って使うこともできます」
ナックラー先生がホワイトボードに符を貼る。すると、ホワイトボードが二回りほど大きくなった。
「形態変化魔術の効果は貼ってから五分間です。剥がせば、すぐさま解除できます。符を重ね付けすることも可能です」
貼った符を剥がすと、ホワイトボードが元の大きさに戻る。
おお、ファンタジー感があって面白いねー。たくさん符を用意して遊びたくなっちゃいそう。
「――さて、今紹介したのが形態変化魔術の基本となる【サイズ変更】です。形や性質を変える魔術については、基本を習得した方に対して講義しますので、まずは【サイズ変更】をできるようになりましょう。大きくする場合と小さくする場合の二種類の符の見本をプレゼントします」
それぞれに二枚の符が配られた。これをどうしたらいいの?
僕が首を傾げていると、横でサラが見本の符を手にして【符:コピー】と呟く。その途端、反対の手にも符が一枚現れた。
「早速符を作ってますね……ですが、これは失敗です」
「あー、まじないが変ですねー」
サラがしょんぼりと肩を落とす。
確かに見比べてみると符に描かれている線が微妙に違う。ナックラー先生曰く、この微妙な違いがあるだけで、符が使えなくなるらしい。シビアだねぇ。
「さっきの符をコピーするの、どうやってするの?」
錬金術とかで作ってる感じじゃない。困ったぞぉ。僕、符を作れない……?
ナックラー先生をじぃっと見つめると、「おや、あなたは【符作製】スキルを持っていないんですね。では、こちらをどうぞ」と本を渡してくれた。
――――――
【赤ちゃんでもできる『符魔術基礎』教本】レア度☆☆☆
符魔術の基礎論が書かれているとされているが、中身を読むことはできない
所有するとすぐさま消費され、スキル【符作製】を習得できる
――――――
〈アイテムによりスキル【符作製】を習得しました〉
なんかめっちゃあおってる教本名だね? と思ったら、すぐに消えた。
手に入れるだけでスキルを覚えられるなら、そりゃ赤ちゃんでもできるだろうなぁ。
〈〈あるプレイヤーがこのワールド内で初めて【符魔術】関連スキルを習得しました。転職可能職業に【符魔術士】が追加されます〉〉
――――――
スキル【符作製】レベル1
符魔術を使うための符を作製するスキル
レベル1では【符:コピー】スキルを使用可能
職業【符魔術士】
魔術士の上位職
アイテム【符】を用いた魔術に補正効果がある
――――――
おっとぉ? これ、ワールドアナウンスだ! 新たな職業は符魔術士か。
これまで魔術学院で講義を受けて、符魔術を習得した人がいなかったのかな? 光魔術みたいな特殊魔術の方が人気?
まぁ、形態変化魔術とかは、あんまりバトルに影響しなさそうだもんねぇ。
「ありがとー! このスキルを使って、符をコピーしたらいいの?」
「はい。サイズアップとサイズダウン、それぞれ五枚成功できたら私に提出してください。それによって、形態変化魔術基礎の習得を認定します」
〈ミッション『形態変化魔術基礎を習得しよう』が開始しました〉
――――――
ミッション『形態変化魔術基礎を習得しよう』
サイズアップ符を五枚提出する 0/5
サイズダウン符を五枚提出する 0/5
――――――
認定してもらうまでは、スキルとして使えないってことかぁ。早く成功させたいな。
ミッションクリアがんばるぞー!
「私が教える魔術は、符を用いて行うため符魔術に分類されています」
符? 初めて聞いたー。
僕がきょとんとしていると、ナックラー先生が「符とはこういうものです」と見本を配ってくれた。
細長い紙にふにゃふにゃとした線が描かれてる。
「今配った符に載っているのが形態変化魔術のまじないです」
よくわからないけど、へぇと頷きながら符を眺める。
サラたちは他の講座で符を見たことがあるのか、「なんか細かいな」「線が綺麗だね」「作るのが難しそうである」と感想をこぼしていた。
あ、これって、自分で作るんだ?
「符を使ったことがない方がいるようなので、使い方を説明しましょう」
にこにこと笑ったナックラー先生が、二本指で挟んだ符をシュッと投げた。符は誰も使っていない机に張り付き、瞬く間に人の手のひらに載りそうなほどのミニチュアサイズに変えてしまう。
「えっ、すごーい! なんかカッコいい!」
これまで僕が使ってきた魔術とは全然系統が違う気がする。和風魔法使い――呪術師みたいな感じ。こういうのもカッコいいし楽しそう!
「ありがとうございます――この符は【サイズ:2ダウン】を指定してあるので、ここまで小さくなります。まじないの一部を変えることで、大きさを自由に決められますよ」
へぇ。どのくらいの大きさになるかは、使ってみないとわからないねぇ。慣れたら感覚でできそうだけど。
「符魔術は生き物にも効果を示します。ですが、物と違い意思ある生き物は、符魔術に抵抗することもできます。バフやデバフが精神力によってかかりにくさが変わるように、符魔術も防御力や精神力によって効果を発揮できるかが決まるのです」
「ステータスが高いモンスターには符魔術が効かないってこと?」
それだと困っちゃうかもしれない。しょんぼりとしながら聞くと、ナックラー先生は「その答えは、『はい』とも『いいえ』とも言えますね」と微笑む。
「敵のモンスターに対して符魔術を使うと、高ステータスのモンスターには効かない可能性が高いです。ですが、例えば自分のテイムモンスターや友好的なモンスターに対して使った場合、そのモンスターが符魔術の効果を受け入れていれば、相手のステータスが高くても効果を発揮できます」
「なるほど。じゃあ、小さくするよーって言って、いいよーって答えがあったら、符魔術が成功するってことだね」
「そうですね。相手との関係性と意思確認が大切です」
それなら、僕がヒスイたちに符魔術を使っても大丈夫そう。
一安心して、引き続きナックラー先生の講義に耳を傾ける。
「先ほどは符を投げましたが、そのまま貼って使うこともできます」
ナックラー先生がホワイトボードに符を貼る。すると、ホワイトボードが二回りほど大きくなった。
「形態変化魔術の効果は貼ってから五分間です。剥がせば、すぐさま解除できます。符を重ね付けすることも可能です」
貼った符を剥がすと、ホワイトボードが元の大きさに戻る。
おお、ファンタジー感があって面白いねー。たくさん符を用意して遊びたくなっちゃいそう。
「――さて、今紹介したのが形態変化魔術の基本となる【サイズ変更】です。形や性質を変える魔術については、基本を習得した方に対して講義しますので、まずは【サイズ変更】をできるようになりましょう。大きくする場合と小さくする場合の二種類の符の見本をプレゼントします」
それぞれに二枚の符が配られた。これをどうしたらいいの?
僕が首を傾げていると、横でサラが見本の符を手にして【符:コピー】と呟く。その途端、反対の手にも符が一枚現れた。
「早速符を作ってますね……ですが、これは失敗です」
「あー、まじないが変ですねー」
サラがしょんぼりと肩を落とす。
確かに見比べてみると符に描かれている線が微妙に違う。ナックラー先生曰く、この微妙な違いがあるだけで、符が使えなくなるらしい。シビアだねぇ。
「さっきの符をコピーするの、どうやってするの?」
錬金術とかで作ってる感じじゃない。困ったぞぉ。僕、符を作れない……?
ナックラー先生をじぃっと見つめると、「おや、あなたは【符作製】スキルを持っていないんですね。では、こちらをどうぞ」と本を渡してくれた。
――――――
【赤ちゃんでもできる『符魔術基礎』教本】レア度☆☆☆
符魔術の基礎論が書かれているとされているが、中身を読むことはできない
所有するとすぐさま消費され、スキル【符作製】を習得できる
――――――
〈アイテムによりスキル【符作製】を習得しました〉
なんかめっちゃあおってる教本名だね? と思ったら、すぐに消えた。
手に入れるだけでスキルを覚えられるなら、そりゃ赤ちゃんでもできるだろうなぁ。
〈〈あるプレイヤーがこのワールド内で初めて【符魔術】関連スキルを習得しました。転職可能職業に【符魔術士】が追加されます〉〉
――――――
スキル【符作製】レベル1
符魔術を使うための符を作製するスキル
レベル1では【符:コピー】スキルを使用可能
職業【符魔術士】
魔術士の上位職
アイテム【符】を用いた魔術に補正効果がある
――――――
おっとぉ? これ、ワールドアナウンスだ! 新たな職業は符魔術士か。
これまで魔術学院で講義を受けて、符魔術を習得した人がいなかったのかな? 光魔術みたいな特殊魔術の方が人気?
まぁ、形態変化魔術とかは、あんまりバトルに影響しなさそうだもんねぇ。
「ありがとー! このスキルを使って、符をコピーしたらいいの?」
「はい。サイズアップとサイズダウン、それぞれ五枚成功できたら私に提出してください。それによって、形態変化魔術基礎の習得を認定します」
〈ミッション『形態変化魔術基礎を習得しよう』が開始しました〉
――――――
ミッション『形態変化魔術基礎を習得しよう』
サイズアップ符を五枚提出する 0/5
サイズダウン符を五枚提出する 0/5
――――――
認定してもらうまでは、スキルとして使えないってことかぁ。早く成功させたいな。
ミッションクリアがんばるぞー!
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