もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でＶＲＭＭＯの世界を冒険します！

8章 新たな地へ

313.農地でキラキラ～

　いろんなノルマを達成した気分でふらふらとお散歩していると、フレンドチャットの通知があった。アイリーンからの連絡だ。

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アイリーン：こんちゃー！　新曲できたよ。確認よろしく。運営さんから事前に披露する曲を教えてって連絡が来てたから、モモさんの分も新曲を送っておいていい？
添付ファイル【音楽】【歌詞カード】

モモ：おー！　ありがとう！　早かったね！　運営さんへの連絡もお願いしまーす♪
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　想像していた以上に早い新曲の完成に胸が高鳴る。ワクワク。
　曲を聞いたら早速パフォーマンスを考えたいし、農地に移動しよう。

　転移スキルを使って農地に向かうと、果樹園の一画がすごいことになっていた。いや、他の場所も気になることがあるんだけど、果樹園の変化がすごすぎるんだよ……

「……何事？　え、僕がちっこくなったわけじゃないよね？」

　果樹たちが通常の二倍ほどに大きくなっていた。そのせいで果樹同士の間隔が狭まって、ぎゅうぎゅうって感じ。実ってる果物もすごい量だ。一個ずつが二回りくらい大きくなっているようにも見える。

「これ、黄妖精のパウダーの影響？」

　ふわっと光が舞っている範囲だけ、果樹が変化しているのを見ると、その可能性が高い。というか、それしか理由が思いつかない。

「すっごーい！　たくさん食べられる！」

　驚きが過ぎれば、嬉しさが込み上げてくる。
　果物パーティーしちゃおうかな♪　スイーツをたくさん作って、アリスちゃんやベラちゃんとお茶会してもいいかもな～。

　いろんな計画を考えながら、ルンルンと収穫した。
　僕の顔と同じくらいのサイズの桃を掲げて眺める。甘い香りがして美味しそう。食べちゃう？　うん、味見は大切！

「あーむ、もぐもぐ――うまうまぁ」

　果汁たっぷりでジューシー。まるで濃厚なジュースを飲んでるみたいな感じ。大きくなっても味が変わらないどころか、さらに美味しくなってる気がする！

　これでタルトを作りたいな。桃カフェ・ピーチーズのパティエンヌちゃんにお願いして、美味しいスイーツに変えてもらうのもいいかも。

「そういえば、黄妖精のパウダーの効果に『作物に付加効果が生じることがある』って書いてあった気がする……」

　気になったので、まだ食べてない実を鑑定。

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【美しき王桃オウトウ】レア度☆☆☆☆
　ジューシーな桃
　満腹度を20回復する
　食べると、周囲にキラキラなエフェクトが生じる
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「え!?　エフェクト、とは……？」

　満腹度回復量が激増してるのも嬉しいけど、それより気になるのが見たことがない効果だよ。

　ふと周囲を見渡してみると、僕の動きに合わせてキラッと光の粒が舞った。

　おお、なんか綺麗かもしれない。僕自身じゃよく見えないのがちょっと残念。

　ステータスを開いてアバターの確認をしてみると、ピンクな天兎アンジュラパの周囲がキラキラッと輝いていた。試しにウインクしたら――

「ふあっ、超可愛いんですけどー！」

　ウインクに合わせて星が放たれて飛んでいく。一メートルくらい飛んだら消えちゃうけど、それも儚げでいい。
　ウインクしたら星が出てくるって、アイドルって感じがするね！

「これ、ライブ用に確保しとこうっと」

　キラキラなアイドルオーラをみんなに浴びせちゃうぞぉ。
　ルンルンと鼻歌を歌いながら果物を収穫。特殊な効果がついてる果物は、全体の二割ほどだった。結構確率いいんじゃない？

　美しき王桃オウトウの他には、『体力回復１％/分（十分間）』の付加効果がある【パワフル太陽ミカン】とか、『器用さ＋５（三十分）』の付加効果がある【くねくねバナナ】とかもあった。

　この果物でスイーツを作ったら、お店で大人気になりそう。また儲かっちゃうな～♪

「さて、と……」

　果物の収穫が終わり、他の作物を確認する。
　黄麒麟オウキリン像（小）は農地全体に効果があるはずだから、こっちにもなんか変化があると思うんだよね。というか、一目見て『ん？』となった作物があるんだ。

　薬草と魔力草を植えてるところに、見たことがないハート型の葉の草がある。三つ葉と四つ葉のクローバーに似てる。
　普通の薬草はヨモギみたいな葉で、魔力草はオオバコみたいな葉なんだけど――とりあえず、鑑定だー！

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【愛の薬草】レア度☆☆☆☆
　薬草の変異種
　愛を込めて調薬すると、効果がアップする

【幸運の魔力草】レア度☆☆☆☆
　魔力草の変異種
　調薬すると、幸運値アップの効果が付加されることがある
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「愛を込めて調薬……幸運値アップ……」

　錬金術で真心を込めた時みたいに愛を込めるの？　愛してるーって歌いながら錬金しちゃう？　ルトに見られたら呆れられちゃいそう。あははー。
　魔力草の方は作り方が指定されてないし、確率で付加効果がある感じだね。

　面白いなーと笑いながら収穫作業を続けてたら、もう一つ不思議なものを発見した。
　ここでは薬草に似た見た目の【空間草】を育ててたんだけど、朝露みたいにキラキラとした透明な粒が葉にいっぱいついてる。なんだこれ？

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【時空草】レア度☆☆☆☆☆☆
　空間草の変異種
　時空系の魔力を大量に含んでいる
　竜ドラゴン種の好物
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〈行動蓄積によりスキル【全鑑定】のレベルが５になりました〉

「ふぁっ!?　待って、気になることがたくさんあるよ！」

　続けざまに情報を押し寄せてきて、ちょっとパニック。深呼吸してびー・くーる……うん、落ち着いた。

　まずは全鑑定スキルレベルアップやったね！　地道に鑑定を続けた成果だ。
　仮想施設で鑑定スキルのレベルを上げるのは精神的に疲れちゃうから、こうして普段の行動でレベルアップできるのが最高に嬉しい。

　さて、次はビックリした時空草の鑑定結果について考えるよー。
　時空系の魔力がどういうものなのかわかんないけど、空間草よりすごくなったってイメージでいいかな。錬金術でレシピ検索したら利用法はわかるだろうし、今はそういうことにしておこう。

「――気になるのは、『竜ドラゴン種の好物』って説明なんだよぉ！」

　ふぎゃーと叫んでみる。
　竜ドラゴン種ってことは、イグニスさんとかスタ島にいる木を司る古竜エンシェントドラゴンたちがみんな時空草好きって理解でいいよね？

　竜ドラゴンって意外と草食だったの!?　……いや、たぶん『時空系の魔力』って部分が好みに合致してるんだろうな。

「竜ドラゴンと言えば、竜落子シードラコから作れる喚び笛（竜ドラゴン）っていうアイテムがあったなぁ。喚び出した竜ドラゴン種を従えられるかはわからないってなってたけど、好物を渡せば確率が上がるんでは……？」

　時空草をじっと見下ろす。
　とっても結果が気になります。竜ドラゴンを従えるうさぎって、カッコよくない？

　絶対モンちゃんやルトに怒られると思ってやめてたけど、好奇心が湧いちゃったぞ……

「……いや、今はテイム枠もないし、だめだめ」

　ブンブンと頭を振る。
　テイマーレベルが上がって、テイム枠が空いたらまた考えよう。