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9章 もふうさフィーバー
334.ドラゴンで初飛行!
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ストルムはポンッと大きくなった。オギンでもゆったりと乗れそうなサイズ。
これでもまだ本来のサイズより小さいんだから、白嵐竜ってビックリするくらい大きいよねぇ。
『乗りたまえ』
「急に偉そうな口調になったのはなんで? イメチェン?」
ストルムがキリッとした顔で僕たちを見る。
理由を聞いてみたけど『気分』という答えが返ってきた。そんな気分になる理由がわからなすぎて面白い。
くふふ、と僕は笑いながら、背中を向けてくれたストルムに飛び乗る。
スラリンとユキマルはオギンに乗ってストルムの背に着地した。ヒスイはスイッと空を飛んで、僕の隣におりた。
ユキマルとスラリンが僕とオギンにひっついて、さらにストルムの背にある突起に掴まり、準備はオッケー。
「まずは霊峰の中層を探索するよー。目標は凍らずの泉っていう場所ね。水を採りたいんだよ」
ぺしぺし、とストルムを叩いて合図を出す。
『よくわかんないけど、水溜まりがあったら止まるよ』
「うん、まぁそれでいいや」
僕も凍らずの泉がどんなところか知らないしね。
それよりも、今思い出したけど、僕は竜関連のワールドミッションクリアで、竜操縦っていうスキルをもらったはず。竜に騎乗して移動する際に、竜の素早さが10上がるっていう効果のスキル。
ストルムは元々素早さが高いし、時空系魔力が薄い空間でステータスが半減するとはいえ、結構な速度が出そうだね?
ちょっぴり不安になったところで、ストルムの翼が羽ばたいた。
ぐん、と高度が上がる。エレベーターに乗ってる時の感じ。
「おおっ。凄く力強い感じー」
『動くと落ちるよ?』
きょろきょろと周りを見渡していたら、ストルムに注意された。
ある程度高度が上がったところで、勢いよく前進し、ビックリするほどの圧力を感じる。思わず口をぎゅっと閉じてストルムに抱きつく。
僕とストルムにひっついているユキマルも必死になっているのがわかった。油断したら飛ばされちゃいそうー!
「にゃにゃっ!」
「キュオ(これは、予想以上ね……)」
最初は余裕そうだったヒスイが、爪を立てて身を伏せる。
オギンもできる限り伏せて、風の抵抗を受けないようがんばっていた。
竜に乗るって、こんなに大変だったんだね。イグニスさんに乗った時ほどじゃないけど……
『泉ってああいうところ?』
「のわっ!?」
ストルムが急停止して、僕たちは転がって落ちそうになっちゃった。やっぱりイグニスさんより飛行が雑!
何度か騎乗して飛ぶのを繰り返して、調整してもらうしかないね。
そんな感じで今後の目標を立てながら、ホバリングしてるストルムから飛翔スキルを使って飛ぶ。
下を見ると、岩で囲まれた泉のようなものがあった。鑑定しよう。
――――――
【凍らずの泉】
どんなに冷えても凍らない水が湧く泉
――――――
「ここだよ! ストルムはこのままゆっくりおりてきてー」
僕はこのまま飛翔で飛んでいく。すると、ヒスイもついて来た。
「よいしょ、と」
「にゃ(地面が恋しかったから嬉しいにゃー)」
「僕もー」
ストルムより一足先に雪の上におりた途端、ヒスイがホッと息をついた。
飛べるから落ちても大丈夫ってわかってても、ストルムの上に乗って飛ぶの結構怖かったもんね。
少し遅れて近くの開けた場所におりたストルムが、不満そうな顔で声を上げる。
『なんかひどいなー』
「そう言うなら、もうちょっと気を遣って飛んでよ」
『回転したり急旋回したりはしてないよ?』
「それはそうなんだけど……うん、もうちょっと速度緩めてくれたら嬉しい」
『ふーん……わかったよ』
ストルムはあまり納得してなさそうだけど、改めてくれるみたいだしよしとしよう。僕が指示を出したら聞いてくれると思うし。
それにしても、普通の白嵐竜は飛ぶ時に回転したり、急旋回したりするんだ? それに乗って一緒に戦うのは無理な気がする。
「きゅぃ(水、採らないの?)」
「おっと、そうだった。みんなはちょっと待っててねー」
スラリンに指摘されて、雪をかき分けながら泉に向かう。中層に来ると、雪がたくさん積もってて進みにくい。
泉を囲む岩は不思議と雪が積もってなくて、一息つけた。
アイテムボックスから瓶を取り出す。
「ちょーっと遠いなぁ」
岩より泉の水面が随分と低い。
瓶を持って、岩に伏せる体勢で手を伸ばし、ギリギリ届いた。
水面に瓶が触れると、中にたっぷりと水が入る。
——————
【クーリングウォーター】レア度☆☆☆
どんなに冷やしても凍らない水
飲むと体が冷える
——————
鑑定結果が凄くシンプル! 使い道はわかってるからいいんだけどさ。
鑑定後に、瓶を出しては水を汲んで、と繰り返し、アイテムボックスの一枠が埋まったところで満足した。
これだけあれば、火傷回復薬を売れるくらいたくさん作れるでしょ。
「集め終わったよ~。次は上層を目指そうか」
飛翔スキルを使ってストルムの上に飛び乗る。
周囲を警戒してくれていたスラリンたちも乗り込めば準備完了。
『はいはい。できるだけ上を目指してみるよ』
「頼んだよー」
ストルムが羽ばたくのを感じて、しがみつく手に力を込める。
二度目だし、最初より余裕を持って乗ってられるかな。
ぐん、と高度が上がる。
目指せ霊峰上層! 待っててね、天兎!
ワクワクしながら見据えた霊峰の頂上付近は雲に覆われていた。
これでもまだ本来のサイズより小さいんだから、白嵐竜ってビックリするくらい大きいよねぇ。
『乗りたまえ』
「急に偉そうな口調になったのはなんで? イメチェン?」
ストルムがキリッとした顔で僕たちを見る。
理由を聞いてみたけど『気分』という答えが返ってきた。そんな気分になる理由がわからなすぎて面白い。
くふふ、と僕は笑いながら、背中を向けてくれたストルムに飛び乗る。
スラリンとユキマルはオギンに乗ってストルムの背に着地した。ヒスイはスイッと空を飛んで、僕の隣におりた。
ユキマルとスラリンが僕とオギンにひっついて、さらにストルムの背にある突起に掴まり、準備はオッケー。
「まずは霊峰の中層を探索するよー。目標は凍らずの泉っていう場所ね。水を採りたいんだよ」
ぺしぺし、とストルムを叩いて合図を出す。
『よくわかんないけど、水溜まりがあったら止まるよ』
「うん、まぁそれでいいや」
僕も凍らずの泉がどんなところか知らないしね。
それよりも、今思い出したけど、僕は竜関連のワールドミッションクリアで、竜操縦っていうスキルをもらったはず。竜に騎乗して移動する際に、竜の素早さが10上がるっていう効果のスキル。
ストルムは元々素早さが高いし、時空系魔力が薄い空間でステータスが半減するとはいえ、結構な速度が出そうだね?
ちょっぴり不安になったところで、ストルムの翼が羽ばたいた。
ぐん、と高度が上がる。エレベーターに乗ってる時の感じ。
「おおっ。凄く力強い感じー」
『動くと落ちるよ?』
きょろきょろと周りを見渡していたら、ストルムに注意された。
ある程度高度が上がったところで、勢いよく前進し、ビックリするほどの圧力を感じる。思わず口をぎゅっと閉じてストルムに抱きつく。
僕とストルムにひっついているユキマルも必死になっているのがわかった。油断したら飛ばされちゃいそうー!
「にゃにゃっ!」
「キュオ(これは、予想以上ね……)」
最初は余裕そうだったヒスイが、爪を立てて身を伏せる。
オギンもできる限り伏せて、風の抵抗を受けないようがんばっていた。
竜に乗るって、こんなに大変だったんだね。イグニスさんに乗った時ほどじゃないけど……
『泉ってああいうところ?』
「のわっ!?」
ストルムが急停止して、僕たちは転がって落ちそうになっちゃった。やっぱりイグニスさんより飛行が雑!
何度か騎乗して飛ぶのを繰り返して、調整してもらうしかないね。
そんな感じで今後の目標を立てながら、ホバリングしてるストルムから飛翔スキルを使って飛ぶ。
下を見ると、岩で囲まれた泉のようなものがあった。鑑定しよう。
――――――
【凍らずの泉】
どんなに冷えても凍らない水が湧く泉
――――――
「ここだよ! ストルムはこのままゆっくりおりてきてー」
僕はこのまま飛翔で飛んでいく。すると、ヒスイもついて来た。
「よいしょ、と」
「にゃ(地面が恋しかったから嬉しいにゃー)」
「僕もー」
ストルムより一足先に雪の上におりた途端、ヒスイがホッと息をついた。
飛べるから落ちても大丈夫ってわかってても、ストルムの上に乗って飛ぶの結構怖かったもんね。
少し遅れて近くの開けた場所におりたストルムが、不満そうな顔で声を上げる。
『なんかひどいなー』
「そう言うなら、もうちょっと気を遣って飛んでよ」
『回転したり急旋回したりはしてないよ?』
「それはそうなんだけど……うん、もうちょっと速度緩めてくれたら嬉しい」
『ふーん……わかったよ』
ストルムはあまり納得してなさそうだけど、改めてくれるみたいだしよしとしよう。僕が指示を出したら聞いてくれると思うし。
それにしても、普通の白嵐竜は飛ぶ時に回転したり、急旋回したりするんだ? それに乗って一緒に戦うのは無理な気がする。
「きゅぃ(水、採らないの?)」
「おっと、そうだった。みんなはちょっと待っててねー」
スラリンに指摘されて、雪をかき分けながら泉に向かう。中層に来ると、雪がたくさん積もってて進みにくい。
泉を囲む岩は不思議と雪が積もってなくて、一息つけた。
アイテムボックスから瓶を取り出す。
「ちょーっと遠いなぁ」
岩より泉の水面が随分と低い。
瓶を持って、岩に伏せる体勢で手を伸ばし、ギリギリ届いた。
水面に瓶が触れると、中にたっぷりと水が入る。
——————
【クーリングウォーター】レア度☆☆☆
どんなに冷やしても凍らない水
飲むと体が冷える
——————
鑑定結果が凄くシンプル! 使い道はわかってるからいいんだけどさ。
鑑定後に、瓶を出しては水を汲んで、と繰り返し、アイテムボックスの一枠が埋まったところで満足した。
これだけあれば、火傷回復薬を売れるくらいたくさん作れるでしょ。
「集め終わったよ~。次は上層を目指そうか」
飛翔スキルを使ってストルムの上に飛び乗る。
周囲を警戒してくれていたスラリンたちも乗り込めば準備完了。
『はいはい。できるだけ上を目指してみるよ』
「頼んだよー」
ストルムが羽ばたくのを感じて、しがみつく手に力を込める。
二度目だし、最初より余裕を持って乗ってられるかな。
ぐん、と高度が上がる。
目指せ霊峰上層! 待っててね、天兎!
ワクワクしながら見据えた霊峰の頂上付近は雲に覆われていた。
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