もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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9章 もふうさフィーバー

337.素敵な報酬

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 たくさん経験値がもらえたみたいで、全員のレベルが1上がった。やったね!

 ヒスイも西のキーリ湖エリアでのレベリングと合わせて、ようやくレベル30に達したよ。それでも、このエリアはちょっと厳しいかもしれない。
 できるところまでがんばってもらおう。やる気は十分みたいだし。

 僕は木魔術がレベル4になったよー。新たに使えるようになったのは、スキル【木の槍ウッドランス】だよ。今後役に立ちそうだ。

 そんなことを考えながら、レベルアップのアナウンスに続く討伐報酬のお知らせをふんふんと頷きながら聞き流す。

 強いモンスターだけあって、結構貴重なアイテムをもらえたみたいだから嬉しいなぁ——なんてほのぼのしてたら、いつもと違ったアナウンスが聞こえてきた。

〈職業【魔術士】のレベルが20になりました。上位職に転職するには【転職ミッション】をクリアする必要があります〉

「おお! やっとレベル20だー。転職ミッションってどんなのだろう?」

 噂では聞いてたけど、ついに僕も転職できるレベルになったんだね。でも、まだどの上位職になるか決めてないなぁ。
 ひとまず転職ミッションの詳細を確かめてみよう。

——————
ミッション【魔術士からの転職】
 魔術士として最低限の実力に達したことを示せ
 すべてのミッションをクリアすると、その時点で転職可能な職業になることができる
〈転職ミッション〉
 ・冒険者ギルドに魔石を五個納品する
 ・西のキーリ湖エリアで【黒鯉ブラコイ】を倒す
 ・東の鉱山エリアのダンジョンで【闇死者ダークアンデッド】を倒す
 ・北の霊峰エリアで【氷妖樹アイストレント】を倒す
 ・レベル6の魔術を習得する
——————

 ほうほう? 第三の街周辺でクリアできるミッションばっかりだね。
 討伐対象のモンスターはどれも出遭ったことない。普通に探索してたら見つからないモンスターの可能性がある。

「うーん……せっかく北の霊峰エリアにいるし、氷妖樹アイストレントを探してみようかな」

 第一目標は天兎アンジュラパに会うこと。第二目標は転職ミッションの一つをクリアすること。

「——というわけなので、ユキマル、氷妖樹アイストレントがいそうだったら教えてねー」

 軽く掲示板を探してみても、氷妖樹アイストレントは霊峰上層で見つかる木のようなモンスターっていう情報しかなかった。ユキマルが頼みの綱です!

「ぴぅ(どんなモンスターなのかわからないけど、がんばる)」

 僕の期待を感じたのか、ユキマルが気合いを入れた様子で跳ねる。よろしくねー。
 僕も気配察知スキルでモンスターを探してみるつもりだけど、見つけられるかは微妙だ。

「キュオ(氷妖樹アイストレントなら、もう少し上の方だと思うわよ)」
「あ、オギン知ってるの?」
「キュオ(見たことはないけどね)」

 オギンは北の霊峰出身だから、情報を持ってたんだね。
 じゃあ、もっと上を目指そうか——と歩き始めようとしたところで、見慣れたものが近づいてくるのに気づいた。

 白い毛皮のコートを着た宝石兎ジュエルラビだ。薄緑色だから風属性。積もった雪をかき分けるようにして卵を転がしてるけど、ほとんど進むことができなくて悪戦苦闘してる。

「……ん? 君、もしかして、さっき大雪猩スノウゴリから逃げてた宝石兎ジュエルラビ?」

 なんとなく雰囲気が似てるような、と思って飛翔フライを使って近づきながら尋ねてみると、宝石兎ジュエルラビがビクッと体を揺らして僕を見上げた。

「ぷぅ!」
「なぁに?」

 鳴いて何かを主張してる。でも、僕、宝石兎ジュエルラビ語はわからないよ。
 僕が首を傾げたら、宝石兎ジュエルラビもコテッと頭を傾ける。その後、雪に阻まれて止まっていた卵をポンポンと叩くと、また「ぷぅ!」と鳴いた。

「——もしかして、僕にその卵をくれようとしてる?」
「ぷぅ」

 そうだよ、と頷く宝石兎ジュエルラビを見て、僕は「お、果物あげなくても、もらえるパターンがあるんだ!」と喜んだ。
 そっか、助けてもらった恩返し的なものかな。ありがたく受け取ろう。

「ありがとー。ついでに、果物あげるね」

 イチゴとマスカットをプレゼントする。宝石兎ジュエルラビは目をキラキラとさせて喜んでくれた。
 そして、くしくしと顔をお手入れすると、額の宝石が雪の上にポロッと転がり落ちる。

「——っ、え!? ちょ、宝石落っこちたよ!」

 その宝石、取れるものなの?
 突然のことに僕はビックリしたけど、宝石兎ジュエルラビは気にした様子なく、宝石を卵の横に置く。そして、ペシペシと額を叩くと、次の瞬間には宝石が額に再生していた。

「ぷぅ」
「回復早いね……」

 宝石兎ジュエルラビの宝石って、抜け毛みたいなものだったりする?
 綺麗なのに、ちょっぴりありがたみが薄れた気がする。

「ぷぅ」
「あ、もう行くの? ばいばーい」

 一鳴きしてどこかへ去っていく宝石兎ジュエルラビを、手を振って見送る。
 全然振り返らなかったなぁ。やっぱりクール。

 でも、贈り物くれたし、優しい子だと思う。
 とりあえず、もらったものを収納しようと、卵と宝石に触れた瞬間……

〈シーズンモンスターを助けて感謝されました。宝石兎ジュエルラビ(風)との友好度が13%になりました。モンスターの贈り物として【エッグビジュ】五十個と【イースタージュエル】を入手しました〉

「ふあっ!?」
「きゅぃ(どうしたの?)」

 変な声を上げて驚いたら、スラリンに心配そうに見つめられた。

「友好度が一気に10%上がったし、もらえたエッグビジュの個数が多いし、初めてイースタージュエルをもらったからビックリしちゃったんだよー」
「きゅぃ(いいこといっぱいだね)」

 スラリンに説明しながら、アイテムボックスに入ったイースタージュエルを取り出して見つめる。
 このアイテム、宝石兎ジュエルラビの額にあるもののことだったんだね。

 シーズンアイテムの交換レートはエッグビジュ百個とイースタージュエル一個が等価な感じだったから、レアアイテムで間違いない。もらえてラッキーだったなぁ。友好度が上がったのも嬉しいし。

宝石兎ジュエルラビを助ける機会なんてあんまりなさそうだけど、今後も発見した時は積極的に助けようね!」

 この高報酬は見逃せない。
 ちょっぴり不純な思いで僕が提案したら、スラリンたちは『モモは優しいねー』と褒めてくれた。

 ち、違うんだ……友好度とアイテムが欲しくてね……なんてことを説明するのも雰囲気が壊れるし、ということで口ごもって誤魔化す。
 僕が優しいからってことにしておこう! 実際優しいつもりだしね。

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