353 / 555
9章 もふうさフィーバー
337.素敵な報酬
しおりを挟む
たくさん経験値がもらえたみたいで、全員のレベルが1上がった。やったね!
ヒスイも西のキーリ湖エリアでのレベリングと合わせて、ようやくレベル30に達したよ。それでも、このエリアはちょっと厳しいかもしれない。
できるところまでがんばってもらおう。やる気は十分みたいだし。
僕は木魔術がレベル4になったよー。新たに使えるようになったのは、スキル【木の槍】だよ。今後役に立ちそうだ。
そんなことを考えながら、レベルアップのアナウンスに続く討伐報酬のお知らせをふんふんと頷きながら聞き流す。
強いモンスターだけあって、結構貴重なアイテムをもらえたみたいだから嬉しいなぁ——なんてほのぼのしてたら、いつもと違ったアナウンスが聞こえてきた。
〈職業【魔術士】のレベルが20になりました。上位職に転職するには【転職ミッション】をクリアする必要があります〉
「おお! やっとレベル20だー。転職ミッションってどんなのだろう?」
噂では聞いてたけど、ついに僕も転職できるレベルになったんだね。でも、まだどの上位職になるか決めてないなぁ。
ひとまず転職ミッションの詳細を確かめてみよう。
——————
ミッション【魔術士からの転職】
魔術士として最低限の実力に達したことを示せ
すべてのミッションをクリアすると、その時点で転職可能な職業になることができる
〈転職ミッション〉
・冒険者ギルドに魔石を五個納品する
・西のキーリ湖エリアで【黒鯉】を倒す
・東の鉱山エリアのダンジョンで【闇死者】を倒す
・北の霊峰エリアで【氷妖樹】を倒す
・レベル6の魔術を習得する
——————
ほうほう? 第三の街周辺でクリアできるミッションばっかりだね。
討伐対象のモンスターはどれも出遭ったことない。普通に探索してたら見つからないモンスターの可能性がある。
「うーん……せっかく北の霊峰エリアにいるし、氷妖樹を探してみようかな」
第一目標は天兎に会うこと。第二目標は転職ミッションの一つをクリアすること。
「——というわけなので、ユキマル、氷妖樹がいそうだったら教えてねー」
軽く掲示板を探してみても、氷妖樹は霊峰上層で見つかる木のようなモンスターっていう情報しかなかった。ユキマルが頼みの綱です!
「ぴぅ(どんなモンスターなのかわからないけど、がんばる)」
僕の期待を感じたのか、ユキマルが気合いを入れた様子で跳ねる。よろしくねー。
僕も気配察知スキルでモンスターを探してみるつもりだけど、見つけられるかは微妙だ。
「キュオ(氷妖樹なら、もう少し上の方だと思うわよ)」
「あ、オギン知ってるの?」
「キュオ(見たことはないけどね)」
オギンは北の霊峰出身だから、情報を持ってたんだね。
じゃあ、もっと上を目指そうか——と歩き始めようとしたところで、見慣れたものが近づいてくるのに気づいた。
白い毛皮のコートを着た宝石兎だ。薄緑色だから風属性。積もった雪をかき分けるようにして卵を転がしてるけど、ほとんど進むことができなくて悪戦苦闘してる。
「……ん? 君、もしかして、さっき大雪猩から逃げてた宝石兎?」
なんとなく雰囲気が似てるような、と思って飛翔を使って近づきながら尋ねてみると、宝石兎がビクッと体を揺らして僕を見上げた。
「ぷぅ!」
「なぁに?」
鳴いて何かを主張してる。でも、僕、宝石兎語はわからないよ。
僕が首を傾げたら、宝石兎もコテッと頭を傾ける。その後、雪に阻まれて止まっていた卵をポンポンと叩くと、また「ぷぅ!」と鳴いた。
「——もしかして、僕にその卵をくれようとしてる?」
「ぷぅ」
そうだよ、と頷く宝石兎を見て、僕は「お、果物あげなくても、もらえるパターンがあるんだ!」と喜んだ。
そっか、助けてもらった恩返し的なものかな。ありがたく受け取ろう。
「ありがとー。ついでに、果物あげるね」
イチゴとマスカットをプレゼントする。宝石兎は目をキラキラとさせて喜んでくれた。
そして、くしくしと顔をお手入れすると、額の宝石が雪の上にポロッと転がり落ちる。
「——っ、え!? ちょ、宝石落っこちたよ!」
その宝石、取れるものなの?
突然のことに僕はビックリしたけど、宝石兎は気にした様子なく、宝石を卵の横に置く。そして、ペシペシと額を叩くと、次の瞬間には宝石が額に再生していた。
「ぷぅ」
「回復早いね……」
宝石兎の宝石って、抜け毛みたいなものだったりする?
綺麗なのに、ちょっぴりありがたみが薄れた気がする。
「ぷぅ」
「あ、もう行くの? ばいばーい」
一鳴きしてどこかへ去っていく宝石兎を、手を振って見送る。
全然振り返らなかったなぁ。やっぱりクール。
でも、贈り物くれたし、優しい子だと思う。
とりあえず、もらったものを収納しようと、卵と宝石に触れた瞬間……
〈シーズンモンスターを助けて感謝されました。宝石兎(風)との友好度が13%になりました。モンスターの贈り物として【エッグビジュ】五十個と【イースタージュエル】を入手しました〉
「ふあっ!?」
「きゅぃ(どうしたの?)」
変な声を上げて驚いたら、スラリンに心配そうに見つめられた。
「友好度が一気に10%上がったし、もらえたエッグビジュの個数が多いし、初めてイースタージュエルをもらったからビックリしちゃったんだよー」
「きゅぃ(いいこといっぱいだね)」
スラリンに説明しながら、アイテムボックスに入ったイースタージュエルを取り出して見つめる。
このアイテム、宝石兎の額にあるもののことだったんだね。
シーズンアイテムの交換レートはエッグビジュ百個とイースタージュエル一個が等価な感じだったから、レアアイテムで間違いない。もらえてラッキーだったなぁ。友好度が上がったのも嬉しいし。
「宝石兎を助ける機会なんてあんまりなさそうだけど、今後も発見した時は積極的に助けようね!」
この高報酬は見逃せない。
ちょっぴり不純な思いで僕が提案したら、スラリンたちは『モモは優しいねー』と褒めてくれた。
ち、違うんだ……友好度とアイテムが欲しくてね……なんてことを説明するのも雰囲気が壊れるし、ということで口ごもって誤魔化す。
僕が優しいからってことにしておこう! 実際優しいつもりだしね。
ヒスイも西のキーリ湖エリアでのレベリングと合わせて、ようやくレベル30に達したよ。それでも、このエリアはちょっと厳しいかもしれない。
できるところまでがんばってもらおう。やる気は十分みたいだし。
僕は木魔術がレベル4になったよー。新たに使えるようになったのは、スキル【木の槍】だよ。今後役に立ちそうだ。
そんなことを考えながら、レベルアップのアナウンスに続く討伐報酬のお知らせをふんふんと頷きながら聞き流す。
強いモンスターだけあって、結構貴重なアイテムをもらえたみたいだから嬉しいなぁ——なんてほのぼのしてたら、いつもと違ったアナウンスが聞こえてきた。
〈職業【魔術士】のレベルが20になりました。上位職に転職するには【転職ミッション】をクリアする必要があります〉
「おお! やっとレベル20だー。転職ミッションってどんなのだろう?」
噂では聞いてたけど、ついに僕も転職できるレベルになったんだね。でも、まだどの上位職になるか決めてないなぁ。
ひとまず転職ミッションの詳細を確かめてみよう。
——————
ミッション【魔術士からの転職】
魔術士として最低限の実力に達したことを示せ
すべてのミッションをクリアすると、その時点で転職可能な職業になることができる
〈転職ミッション〉
・冒険者ギルドに魔石を五個納品する
・西のキーリ湖エリアで【黒鯉】を倒す
・東の鉱山エリアのダンジョンで【闇死者】を倒す
・北の霊峰エリアで【氷妖樹】を倒す
・レベル6の魔術を習得する
——————
ほうほう? 第三の街周辺でクリアできるミッションばっかりだね。
討伐対象のモンスターはどれも出遭ったことない。普通に探索してたら見つからないモンスターの可能性がある。
「うーん……せっかく北の霊峰エリアにいるし、氷妖樹を探してみようかな」
第一目標は天兎に会うこと。第二目標は転職ミッションの一つをクリアすること。
「——というわけなので、ユキマル、氷妖樹がいそうだったら教えてねー」
軽く掲示板を探してみても、氷妖樹は霊峰上層で見つかる木のようなモンスターっていう情報しかなかった。ユキマルが頼みの綱です!
「ぴぅ(どんなモンスターなのかわからないけど、がんばる)」
僕の期待を感じたのか、ユキマルが気合いを入れた様子で跳ねる。よろしくねー。
僕も気配察知スキルでモンスターを探してみるつもりだけど、見つけられるかは微妙だ。
「キュオ(氷妖樹なら、もう少し上の方だと思うわよ)」
「あ、オギン知ってるの?」
「キュオ(見たことはないけどね)」
オギンは北の霊峰出身だから、情報を持ってたんだね。
じゃあ、もっと上を目指そうか——と歩き始めようとしたところで、見慣れたものが近づいてくるのに気づいた。
白い毛皮のコートを着た宝石兎だ。薄緑色だから風属性。積もった雪をかき分けるようにして卵を転がしてるけど、ほとんど進むことができなくて悪戦苦闘してる。
「……ん? 君、もしかして、さっき大雪猩から逃げてた宝石兎?」
なんとなく雰囲気が似てるような、と思って飛翔を使って近づきながら尋ねてみると、宝石兎がビクッと体を揺らして僕を見上げた。
「ぷぅ!」
「なぁに?」
鳴いて何かを主張してる。でも、僕、宝石兎語はわからないよ。
僕が首を傾げたら、宝石兎もコテッと頭を傾ける。その後、雪に阻まれて止まっていた卵をポンポンと叩くと、また「ぷぅ!」と鳴いた。
「——もしかして、僕にその卵をくれようとしてる?」
「ぷぅ」
そうだよ、と頷く宝石兎を見て、僕は「お、果物あげなくても、もらえるパターンがあるんだ!」と喜んだ。
そっか、助けてもらった恩返し的なものかな。ありがたく受け取ろう。
「ありがとー。ついでに、果物あげるね」
イチゴとマスカットをプレゼントする。宝石兎は目をキラキラとさせて喜んでくれた。
そして、くしくしと顔をお手入れすると、額の宝石が雪の上にポロッと転がり落ちる。
「——っ、え!? ちょ、宝石落っこちたよ!」
その宝石、取れるものなの?
突然のことに僕はビックリしたけど、宝石兎は気にした様子なく、宝石を卵の横に置く。そして、ペシペシと額を叩くと、次の瞬間には宝石が額に再生していた。
「ぷぅ」
「回復早いね……」
宝石兎の宝石って、抜け毛みたいなものだったりする?
綺麗なのに、ちょっぴりありがたみが薄れた気がする。
「ぷぅ」
「あ、もう行くの? ばいばーい」
一鳴きしてどこかへ去っていく宝石兎を、手を振って見送る。
全然振り返らなかったなぁ。やっぱりクール。
でも、贈り物くれたし、優しい子だと思う。
とりあえず、もらったものを収納しようと、卵と宝石に触れた瞬間……
〈シーズンモンスターを助けて感謝されました。宝石兎(風)との友好度が13%になりました。モンスターの贈り物として【エッグビジュ】五十個と【イースタージュエル】を入手しました〉
「ふあっ!?」
「きゅぃ(どうしたの?)」
変な声を上げて驚いたら、スラリンに心配そうに見つめられた。
「友好度が一気に10%上がったし、もらえたエッグビジュの個数が多いし、初めてイースタージュエルをもらったからビックリしちゃったんだよー」
「きゅぃ(いいこといっぱいだね)」
スラリンに説明しながら、アイテムボックスに入ったイースタージュエルを取り出して見つめる。
このアイテム、宝石兎の額にあるもののことだったんだね。
シーズンアイテムの交換レートはエッグビジュ百個とイースタージュエル一個が等価な感じだったから、レアアイテムで間違いない。もらえてラッキーだったなぁ。友好度が上がったのも嬉しいし。
「宝石兎を助ける機会なんてあんまりなさそうだけど、今後も発見した時は積極的に助けようね!」
この高報酬は見逃せない。
ちょっぴり不純な思いで僕が提案したら、スラリンたちは『モモは優しいねー』と褒めてくれた。
ち、違うんだ……友好度とアイテムが欲しくてね……なんてことを説明するのも雰囲気が壊れるし、ということで口ごもって誤魔化す。
僕が優しいからってことにしておこう! 実際優しいつもりだしね。
1,296
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。