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10章 海は広くて冒険いっぱい
390.お宝探し
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なぜか宝物庫警備のお兄さんさんたちに握手を求められて応じたら、「うわっ、最高にもふもふ」「もふもふ……これがウサギという生き物……!」と興奮されました。
めっちゃ頭を撫で撫でされて、逃げるように宝物庫に入ったよ。僕が許可したのは握手までだからー! それ以上のお触りは禁止!
というか、なんで僕はすっごく歓迎されてたの?
「──解せぬ」
乱れた毛を整えながら呟く。
そんな僕の隣りに立つルトは、遠い目をしていた。リリは楽しそうにケラケラと笑ってる。
「解せ。どう見ても、もふもふ教の信者どもと同類だろ」
「タマモちゃんを思い出したよねー。まぁ、海の生き物にもふもふはあまり多くないし、その分、モモへの興奮が凄かったみたいだけど。普段、もふもふに触れることが少ないんだろうね」
なるほど、もふもふ教のみんなか。
……いや、興奮具合は似てたけど、遠慮のなさに慣れなくてビックリしちゃったよ。タマモとかが統率をとってくれてなかったら、普段からこんな感じで対応されることになってたのかな。
今度タマモに会った時に、改めて感謝を伝えよう。おかげさまで、僕は平穏にゲームを楽しめてるよ!
「もふもふ教予備軍はとりあえず置いといて──」
「置いとかないで」
「ここが宝物庫か。美術館とか博物館みたいだな」
僕の要求はルトに完全にスルーされました。
この宝物庫から出る時は、またあの警備のお兄さんたちと会うんだよ? 対処法を一緒に考えてよー!
「見て見て、これ綺麗!」
リリが近くのショーケースを指して、興奮した感じで言う。
宝物庫の中はたくさんのショーケースが並んでいるんだ。棚になっていて、全面がガラス張りで中に飾られているものを鑑賞できるようになってる。
リリが指したのは、巨大なダイヤモンドを削り出して作ったような、キラキラと輝いてる透明感のあるティアラだった。
「美術品だな。この辺にあるのは、貴重な素材っぽい」
「ごちゃまぜに置かれてるみたいだね」
ティアラの横に謎の黒い隕石のようなものが置かれているのを見て、首を傾げちゃう。
もうちょっと陳列の仕方に気を遣った方がいいんじゃない? 基本的に人を招き入れないところだからかもしれないけど、見栄えって大切だと思うよ。
「秘宝はどこだ?」
「奥の方じゃない?」
ルトとリリが首を傾げて話しながら宝物庫を歩いていく。
僕は視界の端を横切った魚に気を取られて、ちょっと出遅れた。
そういえば、この魚の鑑定をしてなかったなー。今しちゃおう。
――――――
【赤隠魚】
水属性モンスター。『???』にテイムされている。
『──』のために『──』を『──』に導く役目を負っている。
個体名:ルージュ
――――――
……おっと? 鑑定をして謎が深まるとは、これいかに。
ほぼ詳細がわからなかったけど、このモンスターがルージュという名前で、誰かにテイムされていて、なんらかの役目を持っていることは確かだ。
「ルージュって呼んでいいの?」
魚が尾びれを揺らめかせる。なんとなく『いいよー』と言われた気がする。
「じゃあ、ルージュ。僕たちになんか用事がある?」
尋ねてみたけど、答えはなかった。意思を読み取れてないだけかもしれない。
でも、ルージュは宙を泳ぐように進み、宝物庫内を彷徨っているルトたちの間を抜けると、一つのショーケースの前で止まった。
ついて行ってみると、そこにあるのは見覚えのある丸くて青い石。
「──あ、これ、秘宝じゃない?」
「お、そうじゃん。映像で見たやつそっくり」
「ここにあったんだねー」
僕の後にやって来たルトたちがホッと息をつく。
一応鑑定しておこう。
――――――
【リュウグウの秘宝】
海底都市リュウグウを築いたかつての海の王が創り出した宝。
海の力が満ちている。
盗んだ者には愚かな行為に相応しい罰が下る。
――――――
秘宝をどうやって使うのかとか、そういう重要そうな内容は一切なかった。残念。鑑定レベルが足りないのかもなー。
ルトたちも同じようで、結局呪いをどうにかするには、王都の神殿に話を聞きに行かないとダメそうだ。
「あ、まずい。そろそろログアウトしねーと」
「ほんとだ! まずは宿に戻らないとダメだね」
時間を確認したルトとリリが慌て始める。
宿に戻る時間を考えたら、結構ギリギリだね。秘宝探しに予想以上に時間がかかったし。
「模試、がんばってねー」
「おう、ありがとな。次は一緒に海中窟ダンジョンに行こうぜ」
「がんばるよー。またね!」
次に一緒に遊ぶ予定はもう立てている。呪いとダンジョンに関するミッションは、三人で取り組むことにしたから。
あいにく、ログイン時間が合わなくてちょっと日にちが空くけど、それまで僕はソロでのんびり遊ぶつもりだ。
バイバイと手を振って、転移スキルを使う二人を見送る。
ここに残ったのは僕一人、ではなく──
「ルージュ、これからどこかに僕をつれていく気ある?」
居残っているルージュに話しかけたら、クルッと宙で回転して、泳ぎ始めた。
やはり、ルージュが本当に案内したかったのはここじゃなかったらしい。鑑定結果で伏せられていた内容が、ここっぽくなかったんだよねー。
僕はまだログアウトしなくて大丈夫だし、しばらくルージュとのんびりお散歩しよう。
何が起きるかな~。ワクワクするね!
めっちゃ頭を撫で撫でされて、逃げるように宝物庫に入ったよ。僕が許可したのは握手までだからー! それ以上のお触りは禁止!
というか、なんで僕はすっごく歓迎されてたの?
「──解せぬ」
乱れた毛を整えながら呟く。
そんな僕の隣りに立つルトは、遠い目をしていた。リリは楽しそうにケラケラと笑ってる。
「解せ。どう見ても、もふもふ教の信者どもと同類だろ」
「タマモちゃんを思い出したよねー。まぁ、海の生き物にもふもふはあまり多くないし、その分、モモへの興奮が凄かったみたいだけど。普段、もふもふに触れることが少ないんだろうね」
なるほど、もふもふ教のみんなか。
……いや、興奮具合は似てたけど、遠慮のなさに慣れなくてビックリしちゃったよ。タマモとかが統率をとってくれてなかったら、普段からこんな感じで対応されることになってたのかな。
今度タマモに会った時に、改めて感謝を伝えよう。おかげさまで、僕は平穏にゲームを楽しめてるよ!
「もふもふ教予備軍はとりあえず置いといて──」
「置いとかないで」
「ここが宝物庫か。美術館とか博物館みたいだな」
僕の要求はルトに完全にスルーされました。
この宝物庫から出る時は、またあの警備のお兄さんたちと会うんだよ? 対処法を一緒に考えてよー!
「見て見て、これ綺麗!」
リリが近くのショーケースを指して、興奮した感じで言う。
宝物庫の中はたくさんのショーケースが並んでいるんだ。棚になっていて、全面がガラス張りで中に飾られているものを鑑賞できるようになってる。
リリが指したのは、巨大なダイヤモンドを削り出して作ったような、キラキラと輝いてる透明感のあるティアラだった。
「美術品だな。この辺にあるのは、貴重な素材っぽい」
「ごちゃまぜに置かれてるみたいだね」
ティアラの横に謎の黒い隕石のようなものが置かれているのを見て、首を傾げちゃう。
もうちょっと陳列の仕方に気を遣った方がいいんじゃない? 基本的に人を招き入れないところだからかもしれないけど、見栄えって大切だと思うよ。
「秘宝はどこだ?」
「奥の方じゃない?」
ルトとリリが首を傾げて話しながら宝物庫を歩いていく。
僕は視界の端を横切った魚に気を取られて、ちょっと出遅れた。
そういえば、この魚の鑑定をしてなかったなー。今しちゃおう。
――――――
【赤隠魚】
水属性モンスター。『???』にテイムされている。
『──』のために『──』を『──』に導く役目を負っている。
個体名:ルージュ
――――――
……おっと? 鑑定をして謎が深まるとは、これいかに。
ほぼ詳細がわからなかったけど、このモンスターがルージュという名前で、誰かにテイムされていて、なんらかの役目を持っていることは確かだ。
「ルージュって呼んでいいの?」
魚が尾びれを揺らめかせる。なんとなく『いいよー』と言われた気がする。
「じゃあ、ルージュ。僕たちになんか用事がある?」
尋ねてみたけど、答えはなかった。意思を読み取れてないだけかもしれない。
でも、ルージュは宙を泳ぐように進み、宝物庫内を彷徨っているルトたちの間を抜けると、一つのショーケースの前で止まった。
ついて行ってみると、そこにあるのは見覚えのある丸くて青い石。
「──あ、これ、秘宝じゃない?」
「お、そうじゃん。映像で見たやつそっくり」
「ここにあったんだねー」
僕の後にやって来たルトたちがホッと息をつく。
一応鑑定しておこう。
――――――
【リュウグウの秘宝】
海底都市リュウグウを築いたかつての海の王が創り出した宝。
海の力が満ちている。
盗んだ者には愚かな行為に相応しい罰が下る。
――――――
秘宝をどうやって使うのかとか、そういう重要そうな内容は一切なかった。残念。鑑定レベルが足りないのかもなー。
ルトたちも同じようで、結局呪いをどうにかするには、王都の神殿に話を聞きに行かないとダメそうだ。
「あ、まずい。そろそろログアウトしねーと」
「ほんとだ! まずは宿に戻らないとダメだね」
時間を確認したルトとリリが慌て始める。
宿に戻る時間を考えたら、結構ギリギリだね。秘宝探しに予想以上に時間がかかったし。
「模試、がんばってねー」
「おう、ありがとな。次は一緒に海中窟ダンジョンに行こうぜ」
「がんばるよー。またね!」
次に一緒に遊ぶ予定はもう立てている。呪いとダンジョンに関するミッションは、三人で取り組むことにしたから。
あいにく、ログイン時間が合わなくてちょっと日にちが空くけど、それまで僕はソロでのんびり遊ぶつもりだ。
バイバイと手を振って、転移スキルを使う二人を見送る。
ここに残ったのは僕一人、ではなく──
「ルージュ、これからどこかに僕をつれていく気ある?」
居残っているルージュに話しかけたら、クルッと宙で回転して、泳ぎ始めた。
やはり、ルージュが本当に案内したかったのはここじゃなかったらしい。鑑定結果で伏せられていた内容が、ここっぽくなかったんだよねー。
僕はまだログアウトしなくて大丈夫だし、しばらくルージュとのんびりお散歩しよう。
何が起きるかな~。ワクワクするね!
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